インビジブル (第2話・2022/4/22) 感想

TBS系・金曜ドラマ『インビジブル』
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第2話『調教師の連続殺人! 少年犯罪者を利用したトリックの謎を暴く』の感想。
リコ(柴咲コウ)は志村(高橋一生)に、自分と手を組めば未解決事件の情報を提供すると提案。その様子を捜査一課課長・犬飼(原田泰造)らが監視する中、キリコは次の事件が起こると言い出す。翌日、キリコが口にした情報を基に動画配信サイトでライブ配信される動画を確認すると、ある山林の土中から大量の人骨が掘り出される映像が流れた。警察は早速、捜査を開始する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:いずみ吉紘(過去作/極悪がんぼ、仰げば尊し、集団左遷!!)
演出:竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、警視庁ゼロ係シリーズ、MIU404) 第1,2話
棚澤孝義(過去作/半沢直樹2013、死役所、着飾る恋には理由があって)
泉正英(過去作/病室で念仏を唱えないでください、TOKYO MER)
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリーズ、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド、MIU404、ゴシップ#)
主題歌:Dragon Ash「Tiny World」
大人の事情も理解するが、演技の出来る人を集めて欲しい!
前回(第1話)の感想では、キリコ(柴咲コウ)が警察内部にいながら、外部の動きを操作しているように見せている点を褒めた。だから、今回も、原田泰造氏の棒読み演技にも屈せず見始めたのだが。次から次へと日テレ御用達のWAHAHA本舗のメンバーが…
別に演技を本業としていない人を否定するつもりはない。また、俳優さんたちが嘘か誠か知らないが、異業種の人がドラマの世界に入って来ると刺激がもらえるなんてこと言っているのを見聞きする。しかし、余程の名演技でなければ、視聴者の立場からすると、明らかに演技を生業にしている人とはギャップがあるわけで。
その意味で、撮影現場はともかく、もう少し真面目に見ている視聴者の立場になってキャスティングして欲しいものだ。
大切な第2話で、こんな体たらくな仕上がりになるとは!?
まあ、そんな心構えでつくっているから、第1話を見て、これから継続視聴するか決める大切な第2話で、こんな体たらくな仕上がりになるのだ。と言いたくなるような第2話だった。
とにかく、ストーリーが序盤を過ぎてから、あちこちへ飛ぶから何度も全容が見えなくなって、土曜の朝から何度も録画を蒔き戻してみる羽目になってしまった。
22分頃の猿渡の台詞が、後出しジャンケンとして酷過ぎる!
特に酷かったのが、調教師のアジトをチラッと見せたあと、“民宿” に移送してから、志村が猿渡の聴取を受けるまでの「13分頃から22分頃」まで。何が酷いのかって言うと、22分過ぎまで、自分勝手に動いている志村(高橋一生)を監察しているはずの猿渡(桐谷健太)が放置したままなのも問題だが、何より次の台詞が無いからだ。
猿渡「調布少年院に行ったのは インビジブルの指示ですか?」
ハッキリ言うが、完全な後出しジャンケンだ。それも、プロの脚本家として恥ずかしい位の。
稚拙な後出しジャンケンで、主人公の動く理由が見えない…
これ、志村が勝手に動き出した瞬間に、猿渡が犬飼(原田泰造)に問い質すカタチで良いから、劇中で言わせるべきだったのだ。それをやらないから、志村が動き回る動機が全く見えて来ないのだ。
これ、脚本がダメだと撮影現場で判断できるはず。だったら、演出家は脚本に無くても、“民宿” のスタジオセットをこれ見よがしに映す暇があったら、キリコが志村に何らかの情報提供をしたような描写を、ワンカットでも良いから臨機応変に撮影しておけば良かったのだ。
本編に入れるか入れないかは、編集段階で脚本家に問えば良いのだから。そう、「先生の脚本通りだと、話が繋がらないんですけど…」と(苦笑)
最低限、主人公が動く理由が視聴者に伝わらなければ…
だって、主人公が動く理由が視聴者に伝わらなければ、刑事ドラマとしても、警察ドラマとしても、探偵モノとしても、私に言わせれば “完全にアウト” だ。もやは、犯人が誰か? なんて以前のレベルに達していない。なにせ、事件を解決しようとしている刑事がなぜ “その捜査” をしているかが描かれていないのだから。
この描写では、"キリコの存在意義が無い"のとほぼ同義…
もしも、脚本家と演出家を擁護して、先の脚本や演出を “アリ” とするなら、言っちゃ悪いが、その時点で “キリコ” の存在意義が無いのと、ほぼ同義なのだ。
だって、志村は捜査会議で勝手に “調教師” の存在を決め付け、「調教師ってやつを捕まえない限り…」と言って動き出したわけだから。別に “調教師” なんてキーワードは要らないのだ。多数の死体が見つかってその殺人犯を見つける… だけで、志村が単独操作する動機としては十分なのだから。
やり方次第で、後出しジャンケンだって効果的に使える
別に、後出しジャンケンが全部悪いとは思わない。それこそ、最近のドラマファンの大好物である “伏線” とか “回収” のように、誰にでもわかるようなフラグ、要するに、先の展開に期待を持たせるようなあからさまな台詞や演出も盛り込む必要があるってこと。
それこそ、キリコがさり気なく志村に耳打ちするワンカットで良いのだ。何を言ったのか、聞いたのかは視聴者に伝わらなくても、「何かを言った、伝わった」ことが分かれば、後出しジャンケンは「なるほどね!」になる。そう、こう言うのを “回収が出来た” と言うのだ。完全に脚本と演出のミスだと思う。
あとがき
少なくとも、本読み(脚本の読み合わせ)でミスに気付いて欲しかったです。それが無理でも、少なくとも演出家が画コンテを書く時点で気付くべき案件だと思いますが。新人監督でもあるまいし…
それに、前回では、キリコに必然性がありましたが、今回ではほぼ必然性がありませんでした。あの10分頃の捜査会議の情報(被害者同士の関係性など)を更に調べて行けば、『相棒』の杉下右京さんなら “秒” で解決している案件では(笑)
だから、『インビジブル』と言うタイトルなら、せめて “キリコ” に必然性があるように描いて欲しいです。簡単なことだと思いますよ。志村とキリコが情報の取引をしているように見せるだけで良いのですから。
それに本作の売りって「未解決事件の情報を提供する代わりに手を組もう…」ですよね。その「情報の取引」と「後出しジャンケン」の区別がつかないようなら、ただの出演者のプロモーションビデオになるってことだと思います…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16767/
【これまでの感想】
第1話
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