連続テレビ小説「ちむどんどん」〔全120回〕 (第9回・2022/4/21) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ちむどんどん』
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第9回〔全120回〕/第2週『別れの沖縄そば』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
運動会が終わり、比嘉家の家族は史彦(戸次重幸)や和彦(田中奏生)たちと気持ちよく暮らしを再開したが、仕事が少ない地域事情もあり、母・優子(仲間由紀恵)ひとりだけでは一家の経済は先細い。暢子(稲垣来泉)たちが心配するなか、優子の体は疲労がたまってしまう。そこに、遠い親戚から一通の手紙が。その中身は、思ってもみなかった申し出であり、優子は大きな悩みを抱えることになってしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:羽原大介(過去作/マッサン、昭和元禄落語心中、スパイラル~町工場の奇跡~)
演出:木村隆文(過去作/ひまわり、梅ちゃん先生、ごちそうさん、なつぞら) 第1,2週
松園武大(過去作/おひさま、とと姉ちゃん、半分、青い。、エール)
中野亮平(過去作/花子とアン、マッサン、あさが来た、べっぴんさん)
音楽:岡部啓一(過去作/真夜中のパン屋さん)
高田龍一(過去作/ドラマ劇伴無し)
帆足圭吾(過去作/真夜中のパン屋さん)
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児(過去作/昭和元禄落語心中、赤ひげ2,3、ミス・ジコチュー)
藤並英樹(過去作/今だから新作ドラマ作ってみました/第3夜 転・コウ・生、いないかもしれない)
※敬称略
賢三の叔母が"死"を知った理由を曖昧にする必要ってある?
善一「人づてに聞いたみたいで(字幕ママ)」
地域の役員で、村唯一の商店である「共同売店」の店主・善一(山路和弘)が、亡き父・賢三(大森南朋)の遠い親戚が母・優子(仲間由紀恵)に一通の手紙を書いた理由を述べた。
そう、これ、賢三の叔母が賢三の死を知った理由なのだが。“人づて” って?どうして、叔母が死を知った理由を曖昧に描く必要があるのだろうか? そこがとても不思議でならない。
今作の設定で、手紙が"ほぼ秒"で届くのは、流石に…
だって、そもそも、賢三が亡くなって、そんなに日が経っていない設定のはず。その上、ここは沖縄で。比嘉家にはテレビも電話のない様子で。当時の郵便事情も踏まえると…
賢三の死から、叔母に賢三の死が “人づて” に伝わって、叔母が手紙を書いて送って、優子の手元に届いくまで、今流行りの言葉で言えば、 “ほぼ秒” のようなものだ。これで良いのだろか?
先週の金曜日に、賢三が妙なフラグを立てていた…
まあ、先週の金曜日に、賢三が「もうすぐ 那覇に出るけど キビ倒しまでには戻るから」と妙なネタ振りがあった。放送時は、「那覇に出稼ぎに行けばそれなりの収入が得られるのか?」と好意的に解釈もしてみたのだが。
やはり、あれは当初の違和感通りに「那覇に出て、そこから親戚を頼って東京なりの “本土” に出稼ぎに行く」と捉えるべきだったのか。そう考えれば、優子が出稼ぎに行けなくなったことを親戚に “繋がりのある” 出稼ぎの斡旋業者なんかに、夫の死を連絡して、そこから親戚の叔母に “人づて” に伝わったと、話を繋げることは出来る。
優子がお金に困って、止む無く夫の親戚に泣き付いたか…
しかし、連絡したのか? そもそも、親戚関連で出稼ぎしたのかも不明なのだ。
もう一つの推測は、優子がお金に困って、止む無く夫の親戚に泣き付いたと言う可能性だ。まあ、その方が単純だし納得もしやすい。だが、先週から今週の描写からすると、優子は自分が頑張って大黒柱の代わりを務めようと必死だったし、ズックや体操着を買う時もそんなに必死な感じは無かったのだ。
だから、どうしても、「親戚の叔母からの一通の手紙」が “人づて” に “届いた” ことが気になってしょうがないのだ。
《賢三の死》を《賢三の遺影》で表現!これが大事な演出!!
また、しつこくて申し訳ないが。やはり、今週に入ってからず~っと書き続けている 《賢三の死》 の描き方が雑なのだ。
ただ、今回の終盤で、漸く “優子の目線” で見た 《賢三の遺影》 のインサート・カットが盛り込まれた。更に、序盤の比嘉家の居間の引きのカットにも、正面の仏壇に小さな 《賢三の遺影》 が映っていた。
こう言うのが、とても重要なのだ。以前から書いて来たが、こう言う良い意味での “印象操作” や “辻褄合わせ” に有効な演出を、もっともっとやるべきだったのだ。だって、大切なお父ちゃんが死んで “間もない” のだから。
《賢三の死》をしっかり盛り込んでこそ"料理""家族""きょうだい"が意味を持つ!
だから、本来なら、遠い場所にあるわけでないのだから、お墓参りだって盛り込むべきだし、毎日の仏壇へのお参りだって描くべきだと思う。そう言うことが、一般的なホームドラマとして “家族の繋がり” になるわけで。更に、今作流に考えれば、お父ちゃんは「ニライカナイ=理想郷=神様の島」にいて、家族のことを見ているのだから。
だから、《賢三の死》 をしっかりと劇中に盛り込んでこそ、今作が描きたい “料理” や “家族” や “きょうだい” と言うアイテムたちに、ドラマのテーマに隣接すると言う “意味” と “意義” が生まれるのだと思う。
限られた放送時間で描くには"描くべき優先順位"があるはず
それなのに、木曜日の終盤まで、今作はやらなかった。なぜなのだろう? むしろ、“料理” や “家族” や “きょうだい” と言うアイテムたちに比べれば、本作に於いては優先順位が低い “友だち” や “ご近所さん” のやり取りを強調している。
描くなとは思わないが、限られた放送時間で描くには優先順位があると思うのだ。「撮影していないから盛り込めない!」なら分かるが、今回で 《賢三の遺影》 がワンカットでも撮影してあったことが判明したのだ。だったら、運動会のシーンで、前回のケンカのシーンや優子が暢子(稲垣来泉)に料理を教えるシーンでも使い回して良かったと思う。
そういう演出をしてこそ、《賢三の死》 にも意味が生まれると思うのだが…
今回は特に"イメージ"を"先行"した演出が多過ぎたと思う…
それに、今回は特に “イメージ” を先行した演出が多過ぎたと思う。それも、ちょっと的外れで。
例えば、序盤で親戚や善一たちが手紙のことを優子に詰め寄る時の劇伴。少々コミカルな印象を持った。でも、ここは比嘉家にとって、母にとって、子どもたち一人ひとりにとっての重大な岐路なのだから、深刻な劇伴を選曲すべきでは?
逆に暢子が和彦(田中奏生)に手紙を出そうとする時の劇伴は、いつもの「♪椰子の実」でイメージ先行。でも、あそこはしっかりと暢子の葛藤を描くべきでは? 例えば、何度も手紙を書き直したり、出したり仕舞ったり。
「撮影していないから盛り込めない!」なら、ナレーションで補強すれば良いだけのこと。「暢子は、東京に行ってみたい気持ちと、お母ちゃんやニーニーたちを別れたくない気持ちで、悩んでいました…」と。それを描いてこそ、暢子の手書きの手紙のアップとモノローグに命が吹きこまれると思うのだが…。
その上、史彦(戸次重幸)の「民俗学の講義」を盛り込んでも、暢子の葛藤が “沖縄と言う土地” に由来することが明確に描かれていないから、ピンと来ない。ドラマ的に “いい感じ” なことを盛り込んでも、ストーリーに合致しなければ必要無いのだ。そう、「撮影してしまったから、盛り込みます!」は通用しないと思う…
あとがき(その1)
今回は、きびしい感想を綴りました。これも、まだ本作に期待しているからです。まあ、子役を演じる小さな俳優さんたちの演技にだいぶ支えられているとは思いますが。でも、超、超、超好意的に見れば、15分間を「起承転結」に当て嵌めると。
「起」は、子どもたちの東京への憧れ。「承」は、暢子の踏ん張りや親戚や近所のアドバイス、「転」はヒロイン暢子の葛藤、「結」は暢子の決断… となっており、それなりに沖縄統治下の沖縄に生きる小学生の主人公の “心の機微” を描きつつ、主人公らしく “物語を牽引” したと思います。
あとがき(その2)
せめて、今回を2回、いや、前夜? の親戚たちと母のやり取りを覗き見する暢子までを前回に盛り込んで、前述の「起承転結」のパートだけ15分にしたら、だいぶ心理描写の尺が増えて印象は違ったと思います。
今作は、沖縄ロケがあって、撮影期間も限定されているため、「撮れる部分と撮れなかった部分」があると思うのです。もちろん、「撮り増しが出来ない部分」も。だから、脚本を崩壊させない範囲で、演出が利用できる映像は、今回のようにどんどん利用すべきだと思います。だって、俳優さんたちの演技は良いのですから…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16761/
【これまでの感想】
第1週『シークワーサーの少女』
1 2 3 4 5 土
第2週『別れの沖縄そば』
6 7 8
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