元彼の遺言状 (第2話・2022/4/18) 感想

フジテレビ系・月9『元彼の遺言状』
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第2話『超敏腕女弁護士が暴く殺人犯の目的!150億の行方は』の感想。
麗子(綾瀬はるか)は亡き栄治(生田斗真)の親族と関係者を呼び集め、犯人はこの中にいると断定するが、誰も名乗り出てこない。そんな中、看護師の朝陽(森カンナ)が、事件当日の出来事を、麗子と篠田(大泉洋)に打ち明ける。一方、富治(生田=2役)の名前で、栄治の車がスクラップ工場に出されていたことが判明。駆け付けた麗子は、その車のトランクから金庫を発見する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:小説・新川帆立「元彼の遺言状」
脚本:杉原憲明(過去作/SUPER RICH、嘘から始まる恋) 第1,2話
小谷暢亮(過去作/闇の法執行人、DCU)
脚本協力:中園勇也(過去作/脚本協力「SUPER RICH」)
伊吹一(過去作/地上波ドラマ不明)
演出:鈴木雅之(過去作/ラジエーションハウス1,2、ショムニ、HERO、婚カツ!) 第1話
澤田鎌作(過去作/不毛地帯、監察医 朝顔、ナイト・ドクター)) 第2話
西岡和宏(過去作/ルパンの娘2020、ラジエーションハウスII)
音楽:川井憲次(過去作/花燃ゆ、すべてがFになる、まんぷく)
まえがき
最初に断っておきます。今作、今回を面白いと思った方、出演者のファンの方は、この感想は読まない方が良いです。逆に、モヤモヤしている方などは、少しはスッキリするかも知れません…
なぜ"ミステリー"として面白味を感じ難いのか…
劇中のある登場人物が下記のことを言っていた…
篠田「ミステリーのセオリー…」
そう、今作は “ミステリー” なのだ。しかし、今作の決定的な失敗(と、決めてしまった)は、第2話が終わった今でも、一向に “ミステリー” に見えて来ない点だ。そこで、今作がなぜ “ミステリー” に見えて来ないのか、“ミステリー” として面白味を感じ難いのかを、「3つの論点」で語ってみようと思う。
圧倒的に、主人公に対して魅力を感じ難い
「1つ目」は、圧倒的に主人公に対して魅力を感じ難い点だ。
まあ、これについては、視聴者の好みはあると思う。また、《出演者の魅力》が《主人公の魅力》を押し上げていると感じる人もいると思う。更に、原作(私は未読)の設定も関係するとは思うが。
"スタイリッシュな綾瀬はるかさん"を意識し過ぎ!
まず、物語も演出も演技も、全てが “スタイリッシュな綾瀬はるかさん” を意識し過ぎているような気がする。綾瀬さんが似たような役どころばかりを演じることには賛否はあると思う。
しかし、『義母と娘のブルース』の主人公 “岩木亜希子” や、『天国と地獄?サイコな2人?』の “望月彩子” のような、ロジックで動くロボット的な部分と、情に厚い人間的な部分を併せ持ったキャラが、綾瀬はるかさんの魅力を最も効果的に引き出すのではないかと思うのだ。
因みに、個人的に綾瀬はるかさんのハマり役は、映画『僕の彼女はサイボーグ』(2007年)の “彼女” だと思っている。だから、今作の “剣持麗子” にも、もうちょっと人間味を加えたら、グッと魅力が増すと思うのだ。
麗子と篠田の"2人体制"でドラマを進めている分かり難さ!
「2つ目」は、麗子(綾瀬はるか)篠田(大泉洋)の “2人体制” でストーリーを進めている点だ。
それも、ほぼ情報を視聴者に淡々と語り見せているだけ。その上、本来は麗子が “主人公” で、篠田は “相棒” なのに、“2人体制” だから、物語の中心人物自体が分かり難い。更に、情報だけは多い。だから、一体、何を描いているのか、描きたいのかが分かり難いのだ。
"難解で複雑なミステリー"に見せようとし過ぎて空回り!
また、ミステリーだから、多少の後出しジャンケンは止むを得ないし、複雑にすることで難解事件に見せようとするのも理解は出来る。ただ、全体を “難解で複雑なミステリー” に見せようとするが余り、その思いが空回りをして、結果的に “思わせぶり” で終わってしまったのではないだろうか。
結局、“難解で複雑なミステリー” に見せようとしまいと、最終的に視聴者が “難解で複雑なミステリー” と感じなければ意味が無いわけで。そこに重点を置かずに、雰囲気優先にしてしまったから、視聴者は置いてけぼり間を味わうことになり、面白くなかったのではないだろうか。
映像で見て面白いように、もっと情報を整理整頓すべき!
そして、「3つ目」は、無駄が多過ぎること。
そもそも論になってしまうが。この度の前後編の真犯人および動機から考えると、正直言って無駄が多過ぎると思わないだろうか? ざっと、容疑者は10名近くはいた。しかし、こんなに必要だっただろうか? これ、“ドラマ” として面白く創るなら、主人公と真犯人と富治(生田斗真=2役)と残り1名くらいで良かったのでは?
原作縛りがあるのは前述と通り、理解はしている。しかし、原作の熱烈なファンでない限り、ドラマはドラマで良いのだ。いや、ドラマとして成立しなければ、実写ドラマ化した本来の意味がない。だから、映像で見て面白いように、もっと情報を整理整頓して、芸達者な出演者を有効活用して、大いに魅せるべきだったのだ。
それが、原作を実写ドラマ化する最大の醍醐味でもあるのに…
あとがき
いやあ、やっと終わりましたね。第1話を情報てんこ盛りで引っ張って、第2話でこの程度の結末? って感じでした。これなら、通常放送枠内の第1話で十分だったと思います。正に、肩透かしの “ツカミ” って感じでした。どうやら、原作の “1冊分” を “2話” で完結させたようですから、流石に情報が多過ぎるわけです。
次回からは、先日発売されたばかりの続編小説『剣持麗子のワンナイト推理』のエピソードとオリジナルエピソードを織り交ぜながら「一話完結」になるそうですから、3話からが本当のお手並み拝見と言ったところでしょうか。
演出担当も、鈴木雅之氏から澤田鎌作氏に交代して、妙な顔のアップや左右シンメトリーの構図が少なくなりましたし、全体のテンポアップが図られた感じがしました。この調子で脚本家も交代しながら、どんどん改善していって欲しいです。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16754/
【これまでの感想】
第1話
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