インビジブル (第1話/初回15分拡大・2022/4/15) 感想

TBS系・金曜ドラマ『インビジブル』
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第1話/初回15分拡大『無骨刑事×女犯罪者 異色バディ誕生! 史上最悪の凶悪犯に迫る! 渋谷大爆破』の感想。
東京・渋谷駅の駅前広場で爆発事件が発生。警視庁刑事部特命捜査対策班の警部補・志村(高橋一生)が応援を待つ中、街頭ビジョンに新たな爆破予告映像が流れる。その人物は「私が欲しいのは、志村貴文」と告げ、次の爆破の情報と引き換えに志村の身柄を要求。志村が指定の場所へ行くと謎の女・キリコ(柴咲コウ)が待っていた。キリコは爆発事件の実行犯について証言し…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:いずみ吉紘(過去作/極悪がんぼ、仰げば尊し、集団左遷!!)
演出:竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、警視庁ゼロ係シリーズ、MIU404) 第1話
棚澤孝義(過去作/半沢直樹2013、死役所、着飾る恋には理由があって)
泉正英(過去作/病室で念仏を唱えないでください、TOKYO MER)
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリーズ、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド、MIU404、ゴシップ#)
主題歌:Dragon Ash「Tiny World」
こんな話のようだ…
警視庁捜査一課から左遷して来た刑事の男が、裏社会を牛耳り、あまたの凶悪犯罪の裏で凶悪犯たちをコーディネートしている “インジビジブル” の女と手を組んで事件を… と言う話のようだ。
評価が二分するような気がする…
第1話の感想の冒頭だからハッキリ言うが。これ、評価が二分するような気がする。それも、かなり複雑に。
まず、この放送枠を考えると、スタッフが共通している点もあって、『MIU404』(2020年)の雰囲気がある。その上、相反する二人がタッグを組んで事件を解決すると言う点でも類似している。そうなると、必然的に『MIU404』を比較してしまう私のような《刑事ドラマ好き》がいるわけで。
そんな人たちには、既視感と、特撮や俳優のラインナップなどの安っぽさが目に余って評価を下げるはず(私が、そうだ)。
意外とキリコ(柴咲コウ)の立ち位置を含めた描き方が秀逸!
ただ、《刑事ドラマ好き》から見ると、意外とキリコ(柴咲コウ)の立ち位置を含めた描き方が秀逸。特に、きちんとキリコの身柄を押さえて警察内部で居させて、外部との接触を絶たせた上で、主人公・志村(高橋一生)の見せ場をつくっている点。
まあ、過去の刑事ドラマでは拘置所内から犯罪を行うなんてキャラもいたから新鮮味はない。しかし、過去に似たようなキャラがいたからこそ、それらと比較する楽しみもあるわけで。こんなことから、《刑事ドラマ好き》でも、評価は分かれるような気がすると言うこと。
《出演者がお目当てのファン》は楽しめたのか?
もう一つの視点は、《出演者がお目当てのファン》は楽しめたのかどうかだ。私は内容に関わらず「見たい」と思う出演者はいないから本音のところは分からないが。
少なくとも、「高橋一生×柴咲コウ」の共演に期待した視聴者は一定数はいるはず。恐らく、そんな人たちも二人の共演にはそれなりの満足はあったはずだ。だって、あれだけ出演場面が大量にあって、どアップのあれば満足できないはずはない。ただ、そうなると気になるのがストーリーや脇役の演技になるはず。
で、《出演者目当て》だと恐らく、ストーリーが「後出し情報や捻りがあって、最後まで見ないと分からない複雑な感じ」であると感じると思うのだ。まあ、ホントに “複雑な感じ” であって、最後まで見れば分かるのだが、人の印象は第一印象で大部分が決まってしまうから、あまり得策で無かったような。
台詞の「名指しで指名」が気になって気になって…
第一印象と言えば。私が、序盤で気になって気になって、中々ストーリーが頭にはいて来なかった台詞がある。それが「名指しで指名」と言う表現。
国語の授業ではないが、「指名」は「人物を選定して、それを伝えること」。一方の「名指し」は「名前を公開・公表すること」。要するに、この度のつかい方では「名指しして来た」か「指名して来た」だけで良かったのだ。まあ、こんなことに引っ掛かるのは私だけだと思うが…
謎解き用の"縦軸"を強調し過ぎなかったのが意外に良かった
今作の感想に戻ろう。
第1話を見終えて意外だったのが、志村の刑事人生を大きく揺るがせた、志村の元同僚で殉職した安野慎吾の「3年前の事件」と言う “謎解き絡み” の「3年前の事件」を強調し過ぎずに、あくまでも本編を描くことに主軸が置かれたこと。
最近は、最終回まで視聴者を惹き付けようと「馬のニンジン」の如くに、謎解きの “縦軸” を異常に強調する連ドラが氾濫しているが、今作は違った。そして、前述のように、主人公の志村だけを強調せず、少なくともキリコもほぼ対等に描いたのも、好感が持てる。
スタッフは全話構成がしっかり見えていて作り込まれている
恐らく、演者は違うかも知れないが、少なくとも脚本家と演出家は全話の構成がしっかりと見えていて、その全体像を基準に各話、各シーンを作り込んでいるのだろう。もしかすると、演者も全容を知っているのは一部だけとか。だから、何となくだが、ほぼ全員が手探りで “インジビジブル” の存在や関係を追及しているように映るのかも…
「刑事ドラマ」「ヒューマンドラマ」として計算されている
とにかく、「刑事ドラマ」として、本来は相反する関係の “正義” の代表の刑事と、“悪” の代表の犯罪コーディネーターがタッグを組んで、真の “正義” と、隠れた “悪” をあぶり出すのは意外に新鮮だ。
また、ある種の「ヒューマンドラマ」として、動物的な本能で動く手段を選ばない刑事と、犯罪社会を陰で操るようなミステリアスな女犯罪者の対峙構造も計算されて作り込まれている印象だ。
その意味では公式サイトで大々的に謡っている「前代未聞の犯罪エンターテインメント」にも、そんなに偽りは感じなかった…
拡大放送が自らの足を引っ張ったかも…
ただ、第1話で気になったのは。前述した通りで、最後まで見れば分かるように創られているが、そもそも、ストーリーが捻ってあって(悪いことではないが)、更に後出しジャンケンの情報も幾つかあり、更に拡大版になっていることもあって、若干ではあるが分かり難さがあったこと。
まあ、第1話だから捻って、謎めいて、最後まで見せたいと言う作り手の意図があったのだろうが。もう少し、分かり易くても良かったような。やはり、拡大放送が自らの足を引っ張った… と言わざるを得ない。これ、通常枠に収めて行けば、タイトな雰囲気が出たと思う。残念…
あとがき
中盤までは「金曜日の連ドラもダメか…」と、半ば諦めましたが。最後まで見たら、意外と良かったです。あとは、出演者への好みのもんだでしょうね。しばらく、様子見しようと思います。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16744/
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