マイファミリー (第1話/初回25分拡大・2022/4/10) 感想

TBSテレビ系・日曜劇場『マイファミリー』
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第1話/初回25分拡大『今こそ、家族を守れ 前代未聞の完全誘拐!? 子供の未来の為に闘う家族の愛と絆の物語』の感想。
神奈川・鎌倉の鳴沢家。ゲーム会社CEO・温人(二宮和也)は妻・未知留(多部未華子)、娘・友果(大島美優)と3人で暮らしている。ある日、友果が誘拐され、5億円の身代金が要求された。温人の通報を受け、神奈川県警は誘拐事件の捜査本部を設置。捜査一課の葛城(玉木宏)らが鳴沢家を訪れる。そんな折、温人のビジネスパートナー・香菜子(高橋メアリージュン)から会社の緊急事態を知らせる連絡が入る。温人が5億円の捻出に苦心する中、未知留は夫婦共通の大学時代の友人・三輪(賀来賢人)と東堂(濱田岳)に連絡を取る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:黒岩勉(過去作/グランメゾン東京、アンサング・シンデレラ、危険なビーナス、TOKYO MER)
演出:平野俊一(過去作/インハンド、TOKYO MER、日本沈没-希望のひと-) 第1話
田中健太(過去作/半沢直樹、小さな巨人、陸王、下町ロケット、DCU)
宮崎陽平(過去作/下町ロケット、半沢直樹2020、日本沈没2021、DCU)
富田和成(過去作/隕石家族)
音楽:大間々昂(過去作/地味にスゴイ!校閲ガール、お金の切れ目が゙恋の始まり、ファイトソング)
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」
二宮和也さんと多部未華子さんの"役どころ"が微妙…
感想の、それも第1話の感想の冒頭で、私が芝居についてはド素人だから主演関連の出演者や演技のことに言及するのは稀なのだが。
最初から、ず~っと気になったのは、ファンには申し訳ないが二人の演技や孫座感が好きだから敢えて書くが。二宮和也さんと多部未華子さんが夫婦に見えない。それもセレブ夫婦に。更に、13歳の親にも。決して二人の演技がどうこうと言うのではない。キャスティングとして、如何なものか? と思うのだ。
全くの想像の域を出ないが、少なくとも多部さんは、そして恐らく二宮さんも、ここらで大人の演技人としてさらに飛躍を狙っての配役のような。まあ、確かにお二人とも、10代前半からお芝居の仕事をされているから、どこかでイメチェンしたいと思うのは、ご本人も関係者も同意だろうし、それ自体は間違っているとは思わない。
しかし、作品と役柄は選ぶべきではないだろうか。二人が同時に同じ目的をもって出演するのは構わないが、見ているこちらは同時に二人がイメチェンしようとするのが見えてしまうと、一気に処理能力が追い付かなくなって、結果的に “馴染む” 前に “違和感” が増してしまう。
まあ、最終回まで見続ければ “慣れる” ことはあるだろうが、全員が全員、最終回まで見るかどうかは、初回の印象が大きな影響を与えるわけで。演技力も個性も存在感も、この年代の俳優さんとしては群を抜いている二人なのは認めるところ。
それだけに、最初に「二宮×多部」のキャスティングありきの企画なら、別のオリジナル脚本にする選択肢が当ても良かったような。その意味で、「う~ん?」と思って書いてしまった…
"2サス"や"刑事ドラマ"でも、"誘拐事件"を扱わなくなった
さて、本編の感想。公式サイトでは『誘拐事件で試される“家族の絆”一瞬たりとも目が離せないノンストップファミリーエンターテインメント!』と大々的に謡っているが、正直カタカナが多くて良く分からない(苦笑)
まあ、第1話を見た限りでは、関係が冷えた夫婦の娘が誘拐され、娘を助け出すために奔走する過程を通して、家族の絆が深まりました… と言う感じだと思う。実は、ドラマ、それも「2サス」や「刑事ドラマ」でも “誘拐事件” を扱わなくなって久しい。その理由は幾つもあるが。
警察が基本的に「誘拐犯の検挙率は、ほぼ100%」と発表しているため “犯人が逃げ切る結末” が創り難いと言う現実。また逆に、模倣犯の抑制の意味でも少なくなっているのだ。
日曜日の夜は、家族揃って非日常的な"ハラハラ"を楽しんで
従って、王道保守の『日曜劇場』が御上にたてつくはずは無く。そこで、誘拐事件を扱いながら、表面的には玉木宏を前面に押し出して「刑事ドラマ仕立て」として楽しませ、奥深いところには「ホームドラマ」や「ヒューマンドラマ」を軸にして、テーマは「夫婦と家族の絆、そして再構築」の方向性なのだろう。
その意味では、毎週日曜日の夜は、家族揃って非日常的な “ハラハラドキドキ” を楽しんで下さい… と言った、如何にも『日曜劇場』らしい連ドラだ。
"一昔前"とは一味違う誘拐事件のドラマになりそうな予感!
と言うわけで。「今どき、家族再生を描くのに誘拐事件?」なんて思う視聴者は多いと思う。ただ、コンプライアンスに寛大だった一昔前は、こんなのばかりだったわけで…(苦笑)
その意味では、私は気にならない。俳優も硬軟揃っているし、スタッフもほぼ万全、のちに触れるが、斬新な映像技術も盛り込んでおり、“一昔前” とは一味違う作品になりそうな予感はする。
気になるのは、盛り込まれている"要素"が意外に多そうな事
ただ、ちょっと気になったのは、メインの夫婦の背景に盛り込まれている “要素” が意外に多そうなこと。会社の存続、夫婦の過去、脇役の過去など、いろいろ出て来そうな予感がする。
「最終回、最終章だけ見れば良いドラマ」にならないで!
その意味で興味深いのは、全体の結末だ。「誘拐事件の解決」がオチなのか、それとも「誘拐事件の解決」のあとから “最終章” が始まるのか? だ。そう、結局、30分頃までに、ほぼ全ての登場人物が出てしまい、描くべき要素も出尽くしたと思えてしまうところが惜しいのだ。
「この先、どうなるんだろう?」よりも「結末は、どうなるんだろう?」の想いの方が圧倒的に強いのだ。こう思ってしまう理由が、第1話で “要素” を見せ過ぎているからなのか、“要素” が多過ぎるからなのかは分からない。しかし、期待するのは、今後の展開で「最終回、最終章だけ見れば良い」と言うことにならないことだ。
そのためには、まずは「全体のテンポアップ」が欠かせないと思う。いくら「25分拡大版」とは言え、長過ぎる!
民放初の映像技術『バーチャル・プロダクション』を採用!
さて、ここからは先程「のちに触れる」と言った映像技術について書こうと思う。今作では、民放初の映像技術『バーチャル・プロダクション』が採用されている。
『バーチャル・プロダクション』を簡単に説明すると。事前に360度カメラなどで撮影した映像素材を、巨大な曲面LED(演者の背後・左右・上)に投影し、そのLEDの前で演者が演技をして、演者とLEDの映像を同時に撮影収録してしまうと言う最新技術。国内でも映画やネットドラマでは実績はあるが、民放地上波では初の試みだ。
クルマを運転するシーンが『バーチャル・プロダクション』
少し、この技術を掘り下げると。今回では、クルマを運転するシーンで『バーチャル・プロダクション』が採用された。
これまでの合成は、演者はスタジオに停めた車に乗って演技をする。背景にはグリーンバックと呼ばれる合成用の幕があって、撮影しながらグリーンバックに走っている風景を合成すると言うスタイル。今は、演技をしながらリアルタイムで「合成結果」を見ながら演技することが出来るが、基本天気にグリーンバックの前で演技をするのは変わらない。
『バーチャル・プロダクション』は革新的な映像技術!
しかし、『バーチャル・プロダクション』だと、演者の目に「走っている風景」が目に入って来るのだ。そう、あとから合成するのではなく、リアルな背景動画の前で演技が出来るから。また、この技法だと、キャストとスタッフが同時に状況を共有できると言う利点もある。
また、グリーンバックでは「暗いシーン」は合成できないが、この手法だと時間や天候、季節に影響されない。8K画質の360度映像さえあれば、富士山のご来光に向かって台詞を言うことも、俳優さんやスタッフは本番時にロケに行く必要がないのだ。
下の映像を見れば『バーチャル・プロダクション』が分かる
この説明で、分かり難い人は、下の動画を見て頂きたい。仕掛けが良く分かると思う。分かり易いのは、28秒くらいの映像。男性が空港内を歩くシーン。良く見ると、男性は実際の廊下を歩いておらず、ウォーキングマシーンの上を歩いているだけ。そして背景の映像が流れていると言うわけだ。
あとがき
主人公夫婦の家の中は、ドラマ『リコカツ』で採用された『マルチカメラ撮影』が採用されていましたね。『リコカツ』では最大6台のカメラが同時撮影していましたが、今作では私が数えたところ5台かな? と。
とにかく、手稲に描こうとする意図は伝わりますが、もう少し劇伴を使ってでも、テンポ良く見せて欲しいです。流石に、引っ張り過ぎの展開を含めて、飽きてしまいました。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16729/
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