連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第111回・2022/4/7) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
公式リンク:Website、Twitter、Instagram
第111回〔全112回〕/第23週(最終週)『2003-2025』の感想。
※ 本作は、2022年2月26日、NHK大阪放送局で撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も毎日変わります。ご理解を。
岡山の偕行社で行われた「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」は、大盛り上がりの中で終演を迎え、ひなた(川栄李奈)とるい(深津絵里)は聖夜の奇跡を喜びます。年が明けて映画「サムライ・ベースボール」が公開されると、再び来日したアニー(森山良子)は…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9,13,17,20,最終週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7,15,16,21週
泉並敬眞(過去作/まんぷく、スカーレット、六畳間のピアノマン) 第11週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる) 第22週
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10,12,19週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6,14週
石川慎一郎(過去作/オーディオドラマ「極楽プリズン」、閻魔堂沙羅の推理奇譚) 第18週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
川栄李奈さんが英語の発音を頑張っているのは理解するが…
今回も私が書くのは、あくまでも “ドラマ愛” 溢れる「感想」であり、冷酷な「ドラマ評」でないのを前提で書くが(笑)
今回のアバンタイトル。川栄李奈さんが英語の発音を頑張っているのは理解するが。ロバート役やジョージ役、今回のウィリアム・ロレンス(『戦場のメリークリスマス』か!?)には、英語を堪能な俳優さんをキャスティングしているのだから、何とかならなかったのかと。まあ、川栄さんは頑張っているが。
いい声で「A long time ago ...」を聞くと必ず思い出す…
で、大して書くことも無いから、ウィリアムが言った最後の台詞「A long time ago ...」について。私、いい声で「A long time ago ...」を聞くと必ず思い出す曲がある。それが、1981年に発売された高中正義さんの名作『虹伝説』の1曲目『Prologue』の2分50秒くらいの台詞。知らない人は下記の動画で…
きっと、40歳以降のギターキッズなら誰もが知っている名曲だ。おっと、話を「感想」に戻そう。これ、脚本家たちの「してやったり!」のニヤリ顔が目に浮かぶようなあざとさを感じる台詞だ。如何にも「100年の物語」を意識した「昔、昔…」と言うやつだ。まあ、ここまで来たら何をやっても許すしかないが…
それでも、ここまで連続性が担保されていない “繋がっていない連ドラ” で「昔、昔…」とやられても、白けるだけなのだが。とは言え、妄信的な視聴者さんは、また次のように騒ぐだろう。「ウィリアム(William)」の短縮形が「ビル (Bill)、ビリー(Billy)」だから、「ウィリアム=ビリー説が有力視!」とか(苦笑)
なぜ、アニーとひなたが同一ショットに映るカットが無い?
さて、気を取り直して。主題歌明けに感じたことが、2つある。
1つは… 今回を見る前に、前回の録画をじっくり見直してみて感じたことだが。見返した理由は、川栄李奈さんがゲスト出演していたNHK『あさイチ』で、森山良子さんが、「川栄さんの走るのが速くて…」のようにおっしゃっていたのを思い出したから。でも、どう見ても、川栄さんに追い掛けられているカットは1つも無かった。
確かに、凶悪犯が刑事に追い掛けられているかのように、78歳設定のアニー・ヒラカワ(森山良子)は走って走って逃走し、38歳設定のひなた(川栄李奈)も、『太陽にほえろ!』の新人刑事並みに犯人を走って追い掛けてはいる “ように” 編集で見えるが…
アニー、生きててよかった… ね。
と言うわけで、私が大好きな「フラカン」こと、フラワーカンパニーズのインディーズ時代からの名曲『深夜高速』のあのフレーズを思い出してしまった。
「♪生きててよかった 生きててよかった 生きててよかった」
この歌は、「生きててよかった」ことを歌っているのではなく、「目的を持って走ること」よりも「走り続けること」に意味があり、それは「生き続けること」に繋がると言うことで、人生を振り返って「生きててよかった」と思えればいい… みたいなことを歌った名曲。ご存じない方は、この感想から脱線した機会に下記の動画を見て頂けば、嬉しい限り…
アニーが孫から走って逃げること自体が非凡で奇妙なこと…
さて、話を「感想」に戻そう。正に、「アニー、生きててよかった」だ。
これ、録画を見直して、冷静になって気付いたのだが。そもそも、アニーが「おばあちゃん!」と声を掛けた孫から “走って逃げる” こと自体が非凡であり、奇妙なことに見えたのだ。普通に孫を “無視” すれば良いし、百歩譲っても「来ないで!」と言うだけで良かったのでは?
それ以前に、80歳目前の祖母を40歳手前の孫が町中を追い掛け回すのなんて、ほぼ “高齢者虐待” のレベル。まあ、生きていたから良かったが。逆にもしも… だったら、朝ドラの黒歴史に名場面として刻まれたかも知れないが…
なぜ、ひなたとアニーが英語で話すの?
そして、主題歌明けで気になった、2つ目。それは、アニーを背負ったひなたが、アニーに英語で話したこと。
だって、二人とも日本人でしょう? アニーだって、公共放送を電波ジャック出来ちゃうくらいに日本語が堪能なんでしょ? だったら、日本語でよくね? おっと、口が悪くなってしまった。
とにかく、異様の連続だ。それくらいに、「アニー=安子」の設定に無理があるってこと。そして、その無理を強引に通そうとすればするほど、空いた穴が大きくなるのだ。まあ、次回が最終回だから、これ以上、穴が大きくなることは無いと思うが…
3人ヒロインを繋げることと、「アニー=安子」を洗脳すること
その後は… 必死である。「必死」の一言。何に必死なのかって? 「安子編」と「るい編」と「ひなた編」を強引に “繋げること” に… だ。そして、「アニー=安子」を視聴者に “洗脳すること” に… だ。そしてそして、宙ぶらりんでも気にならないことを “見事な回収” と言わせるための “あざとい後付け理由” が… だ。
上記の3つに異論反論がある読者さんは、意向を読まない方が良い。精神衛生上、良くないから。代わりに、満開の桜や、散りゆく桜吹雪でも愛でた方が心のためになるから… 賛成派の読者さんは、もう少しお付き合いを願いたい。
敢えて褒めるなら、宙ぶらりん案件を少しは"まとめ"たこと
きっと、SNS上は「るい腺崩壊!」とか「感動の嵐!」とか「巧みな回収!」と称賛し、「ドラマチックな展開」や「安子編のラストシーンの素晴らしいアンサーシーンだ!」と宣伝しまくると思う。
しかし、ここまで読んで下さっている読者さんなら、きっと似たような気持で見ていたのではないだろうか。「いくら “ドラマ” だからって、不自然過ぎる!」と。高齢者虐待に始まって、日本人の祖父と孫同士の英会話、るいとアニーの約50年間のわだかまりが一瞬で解消、『サムライ・ベースボール』で稔の夢が叶った… とか。
もう、感動がどうだこうだのレベル以前に、失笑しかないのだが。まあ、敢えて褒めるとするなら、宙ぶらりん案件を少しでも減らして “まとめた” ことくらいだろうか。
「安子・るい・錠一郎」と「定一・健一」の関りを丁寧に描くべきだった…
今回の15分間を見終えて、思ったこと。それは、ここまで岡山の偕行社で行われた「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」が今作の結末に於いて《重要案件》になるなら、「安子・るい・錠一郎」の3人と、「柳沢定一・健一」の2人の、大きな二つの人間関係を、もっと上手く関わらせて、それを丁寧に描けば良かったと言うことだ。
なぜなら、前者の「3人」の人生にとって、後者の「2人」の存在は、たいへん大きな役割を持っていたからだ。いや、大きな役割を持っていたからこそ、脚本家は「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」を最後に持って来たとも言えるのだ。
各ヒロインの人生の岐路や転換期に必ず存在し、影響を与えた数少ない登場人物が「定一と健一」
ここで忘れてはならないのは、「三世代に亘る100年のファミリーストーリー」である今作の中で、三世代のヒロイン、それも各ヒロインの人生の岐路や転換期に必ず存在し、影響を与えた数少ない登場人物が、「柳沢定一・健一」の2人だと言うこと(まあ、ひなたは関りが薄いのは、住んでいる場所や関係性から仕方がない)。
だから、「柳沢定一・健一」を単純な喫茶店店主でなく、もっと重要なキャラクターとして、3人のヒロインとの関りを丁寧に描くだけで、少なくともこの度の一連の「再会劇」の違和感は減らせたのだ。
定一を「るい編」までは"生きている設定"にしておけば…
おっと、「再会劇」の違和感を払拭するには、もう一つ、やるべきことがあった。それは、前述のように「柳沢定一・健一」と3人のヒロインとの関りを丁寧に描いて上で… と言う条件付きになるが。それは、定一(世良公則)が少なくとも「るい編」上では “生きている” 設定にしておけば良かったのだ。
定一は生前、錠一郎を大切に可愛がっていたのだから…
だって、お忘れの方も多いだろうが、定一は生前「Night and Day」の木暮(近藤芳正)の先代支配人に、自分が死んだら錠一郎の後見人になって欲しいと頼んでいたくらいに、錠一郎を大切に可愛がっていたのだ。
もちろん、生きている設定にしたら、相当な高齢者の設定になるが、それなら先日の伴虚無蔵(松重豊)が2022年に生きているのもアリなのだから、どうにでもなると思う。
「フェスティバル」を《定一の追悼コンサート》にすれば良かった!
そして、この度の「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」を、《定一の追悼コンサート》にすれば良かったのだ。《定一の追悼コンサート》なら、素人の妻・い(深津絵里)が、(プロの?)夫・錠一郎(オダギリジョー)らのプロのバンドで歌うのも違和感はない。だって、《定一の追悼》なのだから。
そして、《定一の追悼》なら、撮影スケジュールさえ許せば(CGで合成するも良し…)、稔(松村北斗)や算太(濱田岳)も亡霊で出演可能だったのだ(苦笑)
《定一の追悼コンサート》と"クリスマスの奇跡"で感動できたと思う!
いや、《定一の追悼コンサート》にした上で、“クリスマス” を強調すれば、むしろ過去の登場人物が再登場するのに “クリスマスの奇跡” を理由にして、十分にイケたと思う。
そうすれば、「三世代に亘る100年のファミリーストーリー」として、これまで描いて来たことが上手く “仕掛け” になって、皆さんが大好物の “回収” になり、それなりの感動を与えることが出来たと思う。
それこそ、この土壇場になって、ベテランの本業歌手を走らせたり、女優さんに英語の歌を歌わせたりして、その場凌ぎで皮相的な “出来事” で、無理矢理に感動させなくても済んだと思う。そしして、【恩人への感謝】こそが、連ドラとしての “繋がり” であり、今作の朝ドラらしい “裏テーマ” になったと思う…
あとがき
今回を見て、やはり「三世代に亘る…」に無理があったようですね。これ、「安子とるいの二世代のファミリーストーリー」なら、何とか収まったと思いますよ。
だって、少なくとも、モモケンも虚無蔵も五十嵐もいない世界で、「御菓子司たちばなのファミリーストーリー」に限定して、橘家、雉真家、大月家の3家族だけに絞り込んでおけば、今回だって、それなりに納得できたと思います。
特に、稔の “大志” と安子(アニー)の生き様と、「♪On the Sunny Side of the Street(邦題:ひなたの道を)」は、重なったと思うので…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16719/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
26 27 28 29 30 土
第7週『1948-1651』
31 32 33 34 35 土
第8週『1951-1962』
36 37 38 39 40 土
第9週『1962』
41 42
妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44 45 46 47 土
第11週『1962-1963』
48 49 50 51 52 土
第12週『1963-1964』
53 54 55 56 57 土
第13週『1964-1965』
58 59 60 61 62 土
第14週『1965-1976』
63 64 65 66 67 土
第15週『1976-1983』
68 69 70 71 72 土
第16週『1983』
73 74 75 76 77 土
第17週『1983-1984』
78 79 80 81 82 土
第18週『1984-1992』
83 84 85 86 87 土
第19週『1992-1993』
88 89 90 91 92 土
第20週『1993-1994』
93 94 95 96 97 土
第21週『1994-2001』
98 99 100 101 102 土
第22週『2001-2013』
103 104 105 106 107 土
第23週・最終週『2003-2025』
108 109 110
- 関連記事
-
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全23週〕 (第23週・最終週/土曜日版・2022/4/9) 感想 (2022/04/09)
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第112回/最終回・2022/4/8) 感想 (2022/04/08)
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第111回・2022/4/7) 感想 (2022/04/07)
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第110回・2022/4/6) 感想 (2022/04/06)
- 正直不動産〔全10回〕 (第1話・2022/4/5) 感想 (2022/04/06)