連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第110回・2022/4/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第110回〔全112回〕/第23週(最終週)『2003-2025』の感想。
※ 本作は、2022年2月26日、NHK大阪放送局で撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も毎日変わります。ご理解を。
「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」で、いよいよ錠一郎(オダギリジョー)とトミー(早乙女太一)のセッションが始まった頃、ひなた(川栄李奈)は会場のそばでアニー・ヒラカワ(森山良子)の姿を発見。急いで駆け寄ろうとしますが、それに気づいたアニーは走り出し、再び姿を消してしまいます。その頃、控室で一人出番を待っているるい(深津絵里)のもとに、親友の一子(市川実日子)が現れて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9,13,17,20,最終週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7,15,16,21週
泉並敬眞(過去作/まんぷく、スカーレット、六畳間のピアノマン) 第11週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる) 第22週
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10,12,19週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6,14週
石川慎一郎(過去作/オーディオドラマ「極楽プリズン」、閻魔堂沙羅の推理奇譚) 第18週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
特に、感想として改めて書くことない15分間だったが…
特に感想として改めて書くことない15分間だったが。敢えて書くなら、「なぜ、2022年設定のアバンに伴虚無蔵?」と「劇伴担当の金子隆博さん出演部分のクレジットは、<演奏 BIG HORN BEE>なんだ!」と「ホーンセッションの生演奏の劇伴で演出するってアイデアか…」の3つくらい。
だって、伴虚無蔵(松重豊)って何歳と言う設定なの? って話だから。まあ、とにかく、準レギュラーの登場人物を最終週はズラリと勢揃いさせて、妄想的な視聴者さんを満足させるのに必死なようだ。
なぜ、今の話の中心が「るいとアニー」なのかが解せない…
と言うわけで、妄信的ではなく、冷静なドラマウォッチャーとしては、今週、いや「100年のファミリーストーリー」として、ず~っと払拭できていない事柄がある。それは、最終週の、また、「100年のファミリーストーリー」のメインが、るい(深津絵里)と “アニー” こと安子なのか? ってこと。
いつから「お母さんに届けるために歌うつもりやった」の?
特に、違和感ありまくりなのが、るい。
今回の12分過ぎに、るいが「お母さんに届けるために 歌うつもりやった」と言っていた。「歌うつもり」が “いつ” から芽生えたのか不明瞭だが、好意的に解釈をすれば、錠一郎(オダギリジョー)に言われたから… とか、錠一郎の復活のステージだから… と受け取ることが出来る。
でも、「音楽」「ジャズ」「♪On the Sunny Side of the Street(邦題:ひなたの道を)」が、今作の共通因子(=テーマ)の1つであるなら、「歌うつもり」は、「安子編」から脈々と繋がっているべきで。だって、それが連続土ドラマと言うものだからだ。従って、連ドラ的に考えれば、「歌うつもり」は “錠一郎と出会った頃” から芽生えていて良かったのだ。
クリーニング店で働きながら喫茶店で歌の練習をしていれば
いや、そうしないと連ドラとして成立しない。いや、もちろん、「I hate you !」と汚い言葉を吐いて浴びせた母親に、「いつかは歌って聞かせたい」なんて思っていないのは当然だ。しかし、今作が連ドラであるなら… 竹村クリーニング店で働きながら、ジャズ喫茶「Night and Day」で密かに歌の練習をしても良かったのだ(『エール』では、そんな感じのくだりがあった…)。
そう、二人の “恋バナ” を描きつつ、二人の “ジャズへの想い” みたいなものも… と言うこと。そして、錠一郎がトランペット奏者からピアノ奏者として再起して復活するタイミングで、るいも「お母さんに届けるために 歌うつもりやった」と、夫婦で動き出せば良かったのだ。
そんな壮大な話? そう、だって「三世代に跨る100年のファミリーストーリー」なのだから当然だ。そして、本当なら「ひなた編」をすっ飛ばして、この度の「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」に直結したら良かっただけのことなのだ。そうすれば、ジャズ・フェスティバルが唐突に開催され、るいまでステージで歌う違和感がだいぶ払拭出来たはず。
周到な準備の積み重ねが連ドラして成立させるためには重要
もう、賢明な読者さんなら、お分かりだろう。るいが竹村クリーニング店で働きながら、ジャズ喫茶「Night and Day」でジョーのトランペットを伴奏に密かに歌の練習… みたいな描写がチラッとあるだけで、妄信的な視聴者さんが大好物な “回収” のための “仕掛け” になると言うということを。
こう言う周到な準備の積み重ねが、連ドラして成立させるためには重要で、そう言う “やるべきこと” をやって来なかったのが今作なのだ。
アニーが転んで呟いた「るい…」に失笑…
その一番良い例が、今回のラストシーンだ。本来ならアニー・ヒラカワ(森山良子)が転んで呟いた「るい…」で感動させなくていけないのだ。しかし、あれで感動できる人が羨ましいくらいの失笑シーンになった。
その理由は簡単だ。安子が娘を捨てた「26歳(1951年)」から、劇中の現在「78歳(2003年)」までの “52年間” を、たったの “6分間” の “告白” で簡単に済ませたからだ。それも、経歴詐称して、公共の電波を私物化して、一方的に捨てた娘に思いを話して、失踪しようなんて姑息な言動を受け入れろと言う作り手の方がおかしいのだ。
最も期待外れの方法で"安子の52年間"を描いたから感動できない
なぜなら、「安子は、今、何をしているのだろう?」と、きっと妄信的であろうと冷静であろうと今作を見て来た視聴者なら共通に思っていたと思うから。だから、今作への思い入れは違えども、少なくとも「安子編」を面白いと感じ、感動して見ていた人なら、誰もが考えたはずだ、「安子は、今、何をしているのだろう?」と。
それを、あろうことか、ちょっと前から「ヒロイン枠」に加入した新メンバーのアニーが、唐突に、一方的に、そして最も期待外れの方法で “描かれなかった安子の52年間” をパパっと済ませてしまったのだ。
そりゃあ、アニーが走って転んで「るい…」と涙ぐんでも、「泣きたいのは、こっちだよ」と言わんばかりの視聴者が多かったのでは? 少なくとも、私は泣く前に失笑してしまったが…
ひなたが速攻「おばあちゃん!」は不自然過ぎやしないか?
そう、失笑の理由は、もう一つあった。
それは、9分過ぎ、フェスティバルの会場「偕行社」場の前で、ひなたがアニーの姿を発見して、急いで駆け寄ろうとした時に、「おばあちゃん!」と声を掛けて、それに気づいたアニーは走り出しすシーンだ。これ、脚本と演出のどちらが悪いのか判断し兼ねるが。とにかく、違和感だらけ。
"ひなたとアニー"の心境の変化に、視聴者が付いて行けない
確かに、ひなたが「アニー → 安子 → 祖母」と判断するのは間違っていないが、少なくとも視聴者の一人である私の感覚では、ひなたの感情の変化が速すぎるってこと。人間、そんなに赤の他人だった人を、ラジオからの音声を聞いただけで肉親と受け入れられるだろうか?
どうせ、アニーが走るカットがたくさんあったのだから、最初や他人行儀に「アニーさん!」と声を掛けて、走って逃げるアニーの背中に向かって「おばあちゃん!」と投げ掛けて、むしろ、ひなたが本気を出せばアニーに追いつくのを敢えて止めて、追い掛けて来ないひなたを振り返って確認したアニーが再び速度を上げて走った挙句に転んで「るい…」じゃないのか!
これを1~2分掛けて描いて、ようやく “ひなたとアニー” の心境の変化に、視聴者が付いて行けるように思うのだが。それを、るいと一子(市川実日子)のやり取りに置き換えた。
これによって、益々、終週の、また、「100年のファミリーストーリー」のメインが、るい(深津絵里)と “アニー” こと安子になってしまったのだ。何とも、浅はかな…
「アニーの設定が解せない」理由を考えてみた…
それにしても、アニーの設定が解せない。なぜ、あの安子が、ハリウッド映画のキャスティング・ディレクターになったのか? が。そこで、昨日に『4/5のWeb拍手へ:「カムカムエヴリバディ(第109回・4/5)」と「アニーのモデルと、アニー役の森山良子さん」について』で書いたことを少しここで書いてみる。
まず、ほぼ間違いないのは、アニーには “実在のモデル” がいること。その人は、トム・クルーズ主演の映画『ラスト・サムライ』(2003年日本公開)のキャスティング・ディレクターの奈良橋陽子さん(Wikipedia)。キャスティングの仕事の他に、日本では、ロックバンドのゴダイゴの「♪Monkey Magic」、「♪ガンダーラ」などの英語詩も書かれているので、アニー役にミュージシャンを配役に起用した可能性だ。
そして、奈良橋さんをモデルにするために、強引に「時代劇」「映画村」「ハリウッド」と言う急ごしらえの共通因子をぶっ込んで来たと言う想像。
もう一つは、アニー役の森山良子さんの父上は、森山 久(ひさし)さんと言って、ルイ・アームストロングとも親交があったジャズ・トランペット奏者で、そのお父さんから英語を叩き込まれた英語力を買われたと言う想像。
私は、これらの想像、いや妄想が、まんざらではないと思っている。だって、「ひなた編」になってから、唐突に「時代劇」「映画村」「ハリウッド」要素が入って来たから。
安子を敢えて"ハリウッド・セレブ婦人"に仕立てるなら…
これ、安子を敢えて “ハリウッド・セレブ婦人” に仕立てるなら、妄想の上に妄想を重ねて、安子が全米で大成功した「和菓子チェーン《TACHIBAHA(たちばな)》の社長」なんか良かったかも? 兄・算太(濱田岳)のたちばな復活の話、そして、横須賀の和菓子屋と直結させちゃう…
そして、夫・ロバートの口利きで逆進出して日本に凱旋帰国するのをちょっと躊躇している安子と、風の噂で聞き付けた複雑な心境のるいが、「ラジオ英語講座」が取り持つ縁で再会して、積年の想いをぶつけ合い、「♪On the Sunny Side of the Street」の歌も力を貸して、仲たがいが解けていく… みたいな展開でも良かったような。
まあ、これだと「ひなた編」は不要になるが(苦笑) でも、既に今週の展開では、2022年以降の部分では「ひなた編」の意味も価値も少しはありますが、2003年設定では、ひなたは居ても居なくても関係ないと…(自粛)
あとがき(その1)
すみません。ここは私の個人的な思いを書く場所なので、書いちゃいますが。個人的な印象なんですけど、るいが、まるで紅白歌合戦のオオトリを歌う大物歌手のように楽屋で出番を待って、化粧をしようとしているのに… イラっとします(言っちゃった)。
アニーのことが気になって気が気でないから気を紛らわすために化粧鏡の前でバッグから化粧道具を出した… と好意的に解釈も出来ますが、流石に腕を組んで出番待ちするのは如何なものかと。まあ、るいが男性の昭和のドラマなら、タバコを一服… と演技指導する場面でしょうが。深津さんは悪くないんですけど…
あとがき(その2)
きっと、今日は、「アニーは、マラソン選手か!?」とか、「おはぎは、たちばなの?」「横須賀の和菓子屋がスポンサーって?」が、トレンド入りだとか、話題沸騰中などと言う、ほぼステマであろう宣伝や噂記事が溢れるでしょう。「“おはぎの少年” が未回収」も同様ですが、もはや今作は、炎上商法とネタ回収しか話題にならない(しない)ですかね。
朝ドラのファンとして情けないです。尻切れトンボの案件をきれいに回収して終わることより、連ドラとして成立しているか、連ドラとして面白いかどうかの方が、半年間見て来たなら重要だと思うのですが…
明るくなぁれ、楽しくなぁれ…(Be cheerful, be joyful...)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16718/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
26 27 28 29 30 土
第7週『1948-1651』
31 32 33 34 35 土
第8週『1951-1962』
36 37 38 39 40 土
第9週『1962』
41 42
妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44 45 46 47 土
第11週『1962-1963』
48 49 50 51 52 土
第12週『1963-1964』
53 54 55 56 57 土
第13週『1964-1965』
58 59 60 61 62 土
第14週『1965-1976』
63 64 65 66 67 土
第15週『1976-1983』
68 69 70 71 72 土
第16週『1983』
73 74 75 76 77 土
第17週『1983-1984』
78 79 80 81 82 土
第18週『1984-1992』
83 84 85 86 87 土
第19週『1992-1993』
88 89 90 91 92 土
第20週『1993-1994』
93 94 95 96 97 土
第21週『1994-2001』
98 99 100 101 102 土
第22週『2001-2013』
103 104 105 106 107 土
第23週・最終週『2003-2025』
108 109
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