連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第106回・2022/3/31) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第106回〔全112回〕/第22週『2001-2003』の感想。
※ 本作は、2022年2月26日、NHK大阪放送局で撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も毎日変わります。ご理解を。
いよいよハリウッド映画「サムライ・ベースボール」の製作がスタート。桃山剣之介(尾上菊之助)の出演や、いくつかのシーンを条映で撮影することなどが決まり、条映もひなた(川栄李奈)も沸き立ちます。そんなある日、ひなたが帰宅すると、居間に大叔父の勇(目黒祐樹)の姿が。その日上司の榊原(平埜生成)から聞いた嬉しいニュースを伝えると、勇の思わぬリアクションにるい(深津絵里)もひなたも驚いて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
ハリウッド映画「サムライ・ベースボール」の日本人出演者オーディション前日。アクション監督の到着を待っていたひなた(川栄李奈)の前に現れたのは、10年前に俳優の道を諦めたはずの五十嵐(本郷奏多)でした。まさかの再会に、ひなたの心は大きく揺れ動きます。翌日、会場準備に勤(いそ)しむひなたは…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9,13,17,20週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7,15,16,21週
泉並敬眞(過去作/まんぷく、スカーレット、六畳間のピアノマン) 第11週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる) 第22週
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10,12,19週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6,14週
石川慎一郎(過去作/オーディオドラマ「極楽プリズン」、閻魔堂沙羅の推理奇譚) 第18週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
連ドラとして、話が繋がっていれば良いと言うものではない
まあ、今日の15分間も “連ドラ” としては、ストーリーが “繋がっている” のは認めるが。繋がっていれば、何でも良いと言うわけにはいかないわけで…。
映画については「記者会見のシーンだけ」で必要十分だった
まず、言いたいのは、次回が金曜日で、それなりの区切りをつけて来週に臨むべきだと私は考えるから、今回でも “それなり” の内容を描いておかないと、前回が内容がほぼゼロだったので困るのではないかと、要らぬ心配をしていているのだ。
しかし、今回は、あろうことか。映画の内容などの説明に多くの時間が割かれてしまった。映画の内容に “ある程度” は触れざるを得ないことは、準レギュラーの登場人物も絡んだ案件だから許容範囲。しかし、それでも個人的には、エキストラを集めた記者会見のシーンだけで必要十分だったと思うが。
「映画」や「時代劇」「武士道」なんて共通因子では無い!
いずれにしても、中学数学で例えるなら、多項式である「三世代のファミリーストーリー」を因数分解した時の共通因数(ドラマとしては「共通因子」「テーマ」の方が分かり易いだろうか?)は、恐らく「あんこ」「おまじない」「英語」「英会話」「ラジオ」「ラジオ英語講座」「アメリカ」「ジャズ(音楽)」辺りしか思い付かない。
そう、「映画」や「時代劇」「武士道」なんて共通因数では無いのだ(「ハリウッド」「エンタメ」はギリギリのセーフだが…)。
「雉真家」「雉真繊維」「足袋」は"共通因子"なのか?
因みに、「雉真家」、それに準ずる「雉真繊維」「足袋」は共通因数なのか? 私の考えでは、ギリギリのアウトだ。理由は、「るい編」に於いて、これっぽちも話題に上がらなかったから。これに尽きる。
更に加えるなら、安子の結婚相手の実家で、るいが幼少期から女学生期に育った場所と言うだけで、3人目のヒロインひなたには全くの無関係と言うのも大きな理由だ。
「雉真」を描かないと、連ドラの結末が描けないと言う現実
ただ、ここで残念なお知らせがある。それは、共通因数としてギリギリでアウトな「雉真」(敢えて、雉真ブランド的に捉えて表記した)を、「三世代のファミリーストーリー」の終盤に描かないと “連ドラ” として成立しないと言う現実。そう、脚本の失敗があるからだ。
なぜなら、敢えて復唱しないが。前述の「あんこ」「おまじない」に始まる9つの共通因子の “ほぼ全て” が「るい編」の後半で “後出しジャンケン” で登場した、取って付けた共通項だからだ。
これが、「るい編」の背骨を貫くように描かれていれば話は別だ。例えば、るい(深津絵里)が回転焼き屋を開店する際に「たちばなの味」も復元に心血を注いだ… とか、錠一郎(オダギリジョー)がジャズの本場アメリカでの成功を諦め切れずに努力をし続けた… とか、ひなた(川栄李奈)が時代劇人気の復活のために英語学習に慢心したとか…。
そう言う描写があれば良かったのだが、今作には無い! 無いけど、さも “あった” かのように、しれ~っと「雉真家」を組み込まないと、「三世代のファミリーストーリー」にならないのが今作であり、完全に脚本が失敗したところだと、私は思っている。
「ほう・れん・そう」のために、殊更に るいが瞬間移動!?
さて、話を本編の感想に戻そう。とにかく、映画の内容なんて、どうでも良いのに、そこを不自然に深堀して描いた割に、るいが『ドラえもん』に登場する「どこでもドア」で単独、岡山へ直行した。朝ドラあるある的、且つ、時代劇風に言えば「瞬間移動の術」だ。
これ、「クリスマス・ジャズ・フェスティバルへの出演依頼の件」って、誰が見ても、岡山から帰って来た錠一郎とトミー(早乙女太一)が、大月家で話せば済むことだ。そして、足袋の話も、るいが次に岡山に行った際に、大叔父の勇(目黒祐樹)に話せば済むはず。
そう、職場で新人に教える、ただの「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」でしか無いのだ。なのに、そのために瞬間移動って?
るいの瞬間移動は、明らかに不自然で、違和感でしかない!
それに、「陸軍将校の社交場があった場所」と言う設定の関係者に “安子” はあっても、“るい” の名前は無いはず。それなのに、「ジョーの妻」と言うだけで瞬間移動して、同席して、何となく感慨深い表情をするって、流石にやり過ぎ。
これ、好意的に見れば、丁寧に描いているように見えなくも無いが、やはり、“連ドラ” の一部として見ると、明らかに不自然で、違和感でしかないのだ。そして、お分かりのように、“連ドラ” として、それも半年間の超終盤にもなって、違和感を覚えさせた瞬間に、正しい描写とは言い切れなくなる。
せめて、ナレーションで「少し時間が経過していること」や「るいが、直接岡山に出向く必要があったこと」を補足するべきだったと思う。まさか、残り6回しかない放送の中で “回収” するなら話は別だが(失笑)
るいが岡山に行くのは予告編で周知されていたことだから…
そもそも。今週分の予告編で、るいが岡山に行くのは周知されていたこと。もちろん、意図的に予告編を見ない人はいるだろうが。それでも、NHKは見て欲しいから放送するわけで、その意味でも、るいが岡山に行くのは周知されていたことなのだ。だから、「るいが、なぜ岡山に行くのか?」の理由は、多くの視聴者が気にしていたことのはず。
しかし、その興味関心の「なぜ岡山へ?」の答えが、違和感ありまくりの「瞬間移動」では、お話にならない(なっていない)。この部分も、個人的には明らかに脚本の失敗だと思うが…。
足袋の依頼をするなら、るいとひなたが岡山へ行くだけで…
いや、「瞬間移動」だけが失敗なのでない。るいたちが住んでいるのが京都で、訪問先が岡山だからこそ、“るいだけ” が岡山に行くのが不自然なのだ。また、突然に現れた勇を岡山に送り届けると言うのも、本当に不自然極まりない。なぜ、こんな無意味で不自然な “行ったり来たり” を「放送時間のない中」で描くのか意味が分からない。
主人公が「?」と違和感を抱いたら、視聴者も「?」と思うもの
意味が分からないと言えば、アニー・ヒラカワ(森山良子)のことを気にする主人公ひなた… と言うのも分からない案件の一つだ。これ、ひなたが「アニー」と言う人物に対して “気になっている” なら、気になった時点から常に「アニーが気になってしょうがない主人公ひなた」を描き続けるべきなのだ。
それなのに、真剣みの伝わらないオーディションのシーンや、興味関心のない五十嵐(本郷奏多)の恋バナの顛末に時間を割いて、間延びさせた。これも、脚本の失敗だと思う。
主人公が一度「?」と違和感を抱いたら、視聴者も「?」と思うもので、だから、「?」と思った主人公を描き続けるべきで、それが結果として “ドラマ” になるのに、それをやらないのだ。
「回収」でなく「稚拙なサプライズ」「陳腐で恥ずかしい見世物」
苦情ついでに書いてしまうが。今作の悪い癖に、最初は敢えて触れずに(スルーしておいて)、あとから「実は、○○でした…」と理由付けを後出しジャンケンするのだ。これを、一部の信者は「伏線だ、回収だ」と騒いでいるのだが。こんなのは、敢えて言うなら、ただの「稚拙なサプライズ」「陳腐で恥ずかしい見世物」のレベルだ。
伏線すら、まともに張れていないのだから、回収なんて在り得ない!
例えば、前回での五十嵐の恋バナの顛末だが。
あれだって、オーディションのチームが来日して、条映映画村の正面玄関を見上げるシーンかなんかで、「これが、ハリウッド映画のチームです。そして、先頭を歩くのが、今やアクション監督のアシスタントとして活躍する、あのアラカンの50倍の五十嵐。その後ろを歩くデイジーが、五十嵐の恋人なんです」と最初にネタバレしたら良かったのだ。
なぜかって? だって、視聴者の方が事実を知ったタイミングが主人公ひなたより先だから、安心して「ひなたの反応」を楽しめるから。でも、放送の通りでは、視聴者が「え~!? そうだったの~」と期待を裏切られて気分になってしまう。もちろん、肝心の ひなたは飄々としているだけにイラっとするし…。
今回の「オーディションの結果」も同じこと。結局、伏線すら、まともに張れていないのだから、回収なんて在り得ないのだ。
あとがき
興味関心を惹かれるような内容が、ほぼゼロですね。全部が、匂わせで、後出しの解説ばかり。こればかりなので、興味関心が湧かないのです。「出るぞ、出るぞ!」と言われ続けて、一向にお化けが出て来ないお化け屋敷みたいなものです。この場に及んで、先送りばかりですしね。
先日も書きましたが、もはや、先送りしている場合ではないと思いますよ。むしろ、とんとん拍子で話を進めて行って、さっさと「母・安子と娘・るいは再会できるのか?」「アニーは誰?」「たちばなの包装紙は?」「ビリーはどうした?」くらいは、答えを提示したら良いと思います。こんなの「回収」でも何でもないですから!
さあて、あと6回。愚痴を言いながら、何とか、ここまで来ましたね。きっと、モヤモヤ&イライラしながら見続けている読者さんも多いと思います。あと、もう少しです。今回は先日に続いて、今作の「良かった頃」を思い出す動画を貼っておきます。期待を捨てずに… ふ~っ
明るくなぁれ、楽しくなぁれ…(Be cheerful, be joyful...)
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【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
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第5週『1946~1948』
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第7週『1948-1651』
31 32 33 34 35 土
第8週『1951-1962』
36 37 38 39 40 土
第9週『1962』
41 42
妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44 45 46 47 土
第11週『1962-1963』
48 49 50 51 52 土
第12週『1963-1964』
53 54 55 56 57 土
第13週『1964-1965』
58 59 60 61 62 土
第14週『1965-1976』
63 64 65 66 67 土
第15週『1976-1983』
68 69 70 71 72 土
第16週『1983』
73 74 75 76 77 土
第17週『1983-1984』
78 79 80 81 82 土
第18週『1984-1992』
83 84 85 86 87 土
第19週『1992-1993』
88 89 90 91 92 土
第20週『1993-1994』
93 94 95 96 97 土
第21週『1994-2001』
98 99 100 101 102 土
第22週『2001-2013』
103 104 105
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