ミステリと言う勿れ (第12話/最終回15分拡大スペシャル・2022/3/28) 感想

フジテレビ系・月9『ミステリと言う勿れ』
公式リンク:Website、twitter、Instagram
第12話/最終回15分拡大スペシャル『15分拡大SP 手紙に隠された秘密…暴かれる妹の死の真相 真実は一つじゃない』の感想。
なお、原作となった漫画、田村由美『ミステリと言う勿れ』は、未読。また、本作は2021年11月下旬に全話をクランクアップ(撮影終了)しているため、感想には要望などは基本的に書かずに、単純な感想のみとします。
博物館学芸員の辻(北村匠海)が連続殺人犯の羽喰十斗こと“ジュート”だと知った我路(永山瑛太)は、妹・愛珠(白石麻衣)のことを聞くために辻を連れ出す。その頃、整(菅田将暉)は新幹線の隣席の乗客・紘子(関めぐみ)が読んでいる手紙に描かれた絵が目に入り、絵の頭文字をつないで「名古屋には来るな」とつい声に出してしまう。手紙の内容とは真逆のメッセージに驚く紘子は、実母の親友が実父からの手紙を隠していたことを告白。そんな整と紘子の様子を見ていたサキ(高畑淳子)という女性が、後ろの席に移ってくる。整は、何通もある古い絵手紙の謎を紘子と共に解くことになる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:田村由美『ミステリと言う勿れ』
脚本:相沢友子(過去作/鍵のかかった部屋、ビブリア古書堂の事件手帖)
脚本協力:烏丸棗(過去作/死役所) 第8,9話
演出:松山博昭(過去作/鍵のかかった部屋、トレース~科捜研の男) 第1,2,3,5,6,7,10,11,最終話
品田俊介(過去作/ルパンの娘1-2、探偵の探偵、ナオミとカナコ) 第4話
相沢秀幸(過去作/アンサング・シンデレラ、トレース~科捜研の男、SUPER RICH) 第8,9話
共同演出:阿部博行(過去作/ココア、シャーロック アントールドストーリーズ) 第6話
音楽:Ken Arai(過去作/鍵のかかった部屋、トレース~科捜研の男~)
主題歌:King Gnu「カメレオン」
ありがとう サキ
冒頭から、18分。前回で整(菅田将暉)の出番が少なかったからなのか、最終回はファーストシーンから、本作らしい整クンの卓越した推理力と観察力を新幹線内の座席と言うワンシチュエーション・ドラマ仕立てで見せ始めた。
とにかく、新幹線の隣席の乗客・紘子(関めぐみ)が読んでいる手紙のイラストから読み解いた暗号を怒涛のように畳み掛けて進む展開はお見事! とにかく、絵文字暗号から「ありがとう サキ」まであっと言う間に辿り着くくだりで、一気に満足度が上がった。
うしろのひとは おしりあいですか?
常に事故に遭遇した際のことを考えている整クンは、電車に乗る時も所謂「安全地帯」を自分の座席の近くに見つけておくと言う。その用意周到さ言うか、いや「常に何かが起こる」と身構えているからこそ、今回も紘子の手紙の絵文字暗号に気づいたし、トイレに立った際の1回だけの往復で、「後ろの人は お知合いですか?」と気付いちゃう。
どうして ちちおやとあるくのが きほんなんでしょう?
後ろの席の女性は、紘子を実父の暴力から守るために、実母から託された育ての親・サキ(高畑淳子)だった。そして、実父は既に他界しており、虐待で精神を患った実母は入院中で、手紙を書いたのも実母だと言う。そして、整クンらしい素朴な疑問が「どうしてバージンロードは父親と歩くのが基本なんでしょう?」だった。
確かに、“一番手にかけて育ててくれたであろう母親を。。。” と言う整クンの意見は最もだし、彼らしい優しさに溢れている。が、しかし…
ちちおやが はなよめを あくまから まもるために あるく
因みに、整クンは負けるが。ウェディング関連の仕事を30年もやっている私が聞いた説によると(諸説ある)。
キリスト教ではバージンロードは「花嫁の一生」を表しており、その道(ロード)には数多くの悪魔がいて、歩き出す最初の地点(花嫁が生まれた時)から “父親が娘を悪魔から守るため” に悪魔が出てくるのを布を敷いて清めて阻止しつつ、結婚するまで父親が守る… と言うのを表現しているそうだ。
だから、牧師(神父)さんの前でエスコートするのが父親から新郎に交代するわけだ。更に、フラワーガールが先導して花びらを撒くのも、花嫁の格好をしたブライズメイドを揃えるのも、悪魔から花嫁を守る意味があるとされている。
2人のおかあさんと 3人で あるきたい
「一番大事な人と歩いて下さい」と言った整クンの言葉に、「生みの母と育ての母の3人で歩きたい」と言った紘子。そして、謎解きが残っていた絵文字暗号の文章を紘子が良い方に解釈した「ひろこ しあわせで」でなく、「ふたりで ころした」と読まなくてはいけなったと言う、背筋がゾクッとするオチ。
そして、「読み手(受け手)が解釈した解釈が正しい」と言う意味深なサキの言葉は、今作に限らず、ドラマ全般の、いや物事全般に言えることかも知れない。そう、結局、「何が正しいのか?」「何が正義なのか?」は、立場や解釈次第で変わるってこと。コロナ渦、ウクライナ紛争など、今のご時世にも一石を投じる意味深い内容だった…
このあいだ ちょっときになったひとがいたんですけど
そして、サキから意味深な質問をされた整クンが自身の結婚観や恋愛観を少し述べた後、「この間 ちょっと気になった人がいたんですけど 行方不明になっちゃって」と答えた。その「ちょっと気になった人」こそが “我路” だった。ここまで35分で、一話完結って感じで。
そして、前回からの誇り高き妹・愛珠(白石麻衣)の死の真相を追う我路(永山瑛太)の前に現れた連続殺人犯の羽喰十斗こと “ジュート” である博物館学芸員の辻(北村匠海)が “+(クロス)” する! と言う展開。なかなか、上手く2つのエピソードが繋げたものだ。
ターコイズは たびのおまもりのいし
そして、毎回、誕生石が隠し味になっている本作。今回は、紘子が身に着けていたイヤリングがブルーの「ターコイズ」だった。
ターコイズは、昔から旅のお守りとされていた石で、邪悪なものや危険から持ち主の身を守ったり、幸運を呼ぶ石と言われており、 「旅のお守りの石」として重宝されている。そして、宝石言葉は 「成功」「幸運」だ。「紘子 幸せで」と暗号を受け取った紘子に、この先の人生の安全と幸あれと思いたくなった…
辻が「ラピスラズリ」の石を持っている恐ろさ…
さて、いよいよ愛珠の死の真相だ。そして、前半にさり気なく登場した「ターコイズ」に続て、後半ではバッチリと登場したのが「ラピスラズリ」。
こちらも、邪悪を退ける「幸運を招く石」と言われているが、「ターコイズ」と意味が少し違うのは、ラピスラズリは、正しい判断力を高める意味合いがあり、それによって最高の幸運を呼び寄せるとされている。従って、運気が落ちて来た時と感じた時や、進路に迷いが生じた時に身に着けると良いとされている。辻がこの石を持っていることが、既に恐ろしい…
連ドラの最終回としては、異なる2つのエピソードで散漫に…
ただ、連ドラの最終回としては、「ラピスラズリ」が出てきた段階で、小休止と言う感じは否めなかった。やはり、原作は同じとしても、最終回に全く内容が異なる2つのエピソード、それも1つは今回の単独案件で、もう1つは以前からの継続案件では、流石に散漫になったようだ。
特に原作未読のドラマ視聴者は更にモヤモヤしたまま終了…
また、終わり方も、どう評価して良いのやら…。続編やスペシャルドラマが予定されているような感じだったが。それでも、「シーズン1」は「シーズン1」でケリをつけて貰わないと、特に原作未読のドラマ視聴者は更にモヤモヤしたままは、スッキリしなかった。
続編があるなら、原作未読のままの方がドラマを楽しめる!?
しかしだ。その一面で、「シーズン2」があるような匂わせ方で終わったこと言ついては、実写ドラマのファンとしては喜ばしいことだ。やはり、この独特な世界観を終わらせてしまうのは勿体ないと思うから。
ただ、漏れ伝わる情報によると、この「シーズン1」(と言ってしまうが)でドラマ化されたのは、原作の全38話の内の全てでなく、更に時間軸も飛ばしているそうで、それを考えると原作の漫画を読まない方が、今後放送されるかも知れない「シーズン2」を楽しめるかも知れない。
あとがき(その1)
恐らく、制作陣は、ここまで評判が良くなるとは思っていなかった可能性がありますね。これ、『監察医 朝顔2』の前例があるのですから、最初から思い切って「2クール放送」していたら、原作を丸々に実写ドラマ化して収めることが出来たし、モヤモヤした最終回にならずに済んだ可能性はありますね。ただ、連ドラとしても、『月9』としても満足度は高かったです。
あとがき(その2)
それと、私の最終回の感想でも、原作を引き合いに出してしまいましたが。人気作品を原作にしたために、原作との比較をしがちですが、まあ、それも「読み手(受け手)が解釈した解釈が正しい」と言うわけでして。
私は、単純に連ドラが思いのほか評判が良かったので… と言うより、撮影は昨年に終わっているのですから、当初からこの最終回が用意されていたと考えます。その意味で、続編なり、スペシャルドラマなり、劇場版があるとしても、この先、1年間は間が空くわけで。その意味で、やはり「シーズン1」は「シーズン1」でケリをつけて欲しかったです。
最後に。原作を既読の読者の皆さんへ。
皆さんのご協力で、ドラマ版を気兼ねなく楽しむことが出来ました。引き続き、原作の具体的なネタバレはご遠慮下さい。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16698/
【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話
- 関連記事
-
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第105回・2022/3/30) 感想 (2022/03/30)
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第104回・2022/3/29) 感想 (2022/03/29)
- ミステリと言う勿れ (第12話/最終回15分拡大スペシャル・2022/3/28) 感想 (2022/03/29)
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第103回・2022/3/28) 感想 (2022/03/28)
- 【速達】2022年4月期/春ドラマの視聴予定リストに、ドラマイムズ「明日、私は誰かのカノジョ」を追加! (2022/03/27)