連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第96回・2022/3/17) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第96回〔全112回〕/第20週『1993-1994』の感想。
※ 本作は、2022年2月26日、NHK大阪放送局で撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も毎日変わります。ご理解を。
家族を連れて岡山の雉真家に帰ったるい(深津絵里)は、いなくなる直前の母の様子を雪衣から聞き、ますます疑問を深めます。その夜、ひなた(川栄李奈)は部屋の片隅に家族写真が飾られているのを発見。写真を通して初めて祖父や祖母の姿を見て、家族の歴史に思いを馳せるのでした。数日後、錠一郎(オダギリジョー)はるいを連れてある場所に向かうのですが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9,13,17,20週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7,15,16週
泉並敬眞(過去作/まんぷく、スカーレット、六畳間のピアノマン) 第11週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10,12,19週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6,14週
石川慎一郎(過去作/オーディオドラマ「極楽プリズン」、閻魔堂沙羅の推理奇譚) 第18週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
昨夜、福島県沖で発生した地震 福島県・宮城県で震度6強
『カムカムエヴリバディ』の感想の冒頭で書くことではないかも知れませんが、居ても立っても居られないので、少しだけ。
昨夜に福島県・宮城県で震度6強の大きな地震が発生しました。私の住む千葉県北西部でも震度4。11年前の東日本大震災の時は震度5弱でしたが、かなりの揺れを感じて目を覚ましました(既に寝ていた時間ですので)。皆さんがお住まいの地域はいかがでしたか? また、身体や住宅に問題はありませんか?
奇しくも昨日「ワームムーン(芋虫月)を見るなら…」なんて投稿をしたので、皆さんの無事と安全を改めて祈りたいと思います。
「今回こそ、褒めさせて欲しい」と願いを込めて…
さて、頭を切り替えて… と。今朝も、日課の30分間の朝散歩と、家事分担の洗濯物干しを終えて、レコーダーのスイッチを入れた。「今回こそ、褒めさせて欲しい」と願いを込めて。
しかし、アバンタイトルから腰が砕けた。なぜ、今回のアバンで? るい(深津絵里)が錠一郎(オダギリジョー)から算太(濱田岳)の通帳を渡され? 夏の岡山で? それも、雉真家で語るのか? 全く、理解不能である。
なぜ、錠一郎が算太の通帳を雉真家でるいに渡して語るの?
もう、ツッコむのは面倒だが、まだアバンだからやっておくと。そもそも、あの通帳は算太の死に際に、るいが直接に算太から譲り受けたものだ。だったら、るいが所有・保管しているのが、これまでの本作流ではないのか? だって、錠一郎が大月家の “大蔵省” ではないのだから。
おっと、知らない人のために補足しておくと。昭和の頃は、家庭で家計を管理している人を、政府機関の「大蔵省」に例えていたのだ。因みに、「大蔵省」が今の名称「財務省」になったのが、2001年だから、劇中では “大蔵省” で合っているってことだ。
流石に、「四十九日」を過ぎたら夫婦で話さないと…
話を戻す。そして、普通に考えて。そうそう、私の親戚の一人が無くなったのが 1996年の12月27日で、通夜と告別式は12月30~31日に執り行われたのを良く覚えている。だから、算太の葬儀も1992年の年末に行われたと考えるのが妥当だ。
とは言え大月家が信心深い? と百歩譲って、年末年始の葬儀は避けたとして、更に好意的に解釈をして “亡くなった人のお金の話をするのは如何なものか” と大月夫妻が考えたとしても、「四十九日」を過ぎたら話さないと、相続の問題もあるわけで。
るいが勇と雪衣に「墓守費用」として通帳を渡すにしても…
しかし、劇中の今は1993年の夏。少なくとも葬儀から半年以上は経過している。だったら、夫婦で話す機会はいくらでもあったのでは? だって、錠一郎はずっと家にいるわけだし、どこかのタイミングで、るいが通帳を錠一郎に預けたなら、その話をしないまま、遺骨を持って、岡山へ納骨の儀をしにやって来るのは、おかしいような。
もちろん、るいが長い間 “墓守” をしてくれた勇 (目黒祐樹)と雪衣(多岐川裕美)に「墓守費用」として渡すために持って来たなら、話は別だが。それだったら、アバンで渡すのが未練があるように夫婦で語り合うのも惨めと言うか、情けないと言うか、情が薄いと言うか…
過去の名場面で胡麻化したって、すぐに化けの皮は剥がれる
さて、主題歌明けは、今週のお約束である、過去の “遺産” であり、大切な “貯金” である、今作の古き良き時代の「安子編」と「るい編」の名場面を、惜しげもなく投入して 《誤魔化す作戦》 だ。当初から見ている視聴者なら「この頃は、まだ良かったなぁ。今もひょっとして感動する場面なのかも?」と勝手に脳内補完させる作戦だ。
しかし、そんな見せかけの神通力なんて、すぐに化けの皮が剥がれるのだ。そんな化けの皮を見事にペロリと剥がしてしまったのが、次の るいの台詞だ。
るい「長い間 心配かけてごめんなさい」
えっ、今さら? この「今さら」には二つの意味がある。一つは、前回で描かれた「30年ぶりに再会した時に言わないで…」の「今さら」。もう一つは「30年近く疎遠にしておいて…」の「今さら」だ。
前者は、好意的に解釈すれば、“30年ぶり” に “再会” したから。最初に謝るより “社交辞令の挨拶” を優先したから… と受け取れる。後者も好意的に解釈すれば、“大人” になったし、“親” になったから、娘時代は知らなかったことを教わって、それが理解できたから… と受け取れ…
いや、そう思うしかないのだ。だって、そう視聴者が解釈する前提で脚本家も演出家も描写しているのだから。
前回で、るいが早々に謝罪をしておけば良かったような…
いや、本来なら、前回で、るいたちが家に上がった時に、るいが抱える “負債” について、るいと勇と雪衣が話す場面があっても良かったのだ。もちろん、 ひなた(川栄李奈)と桃太郎(青木柚)は人払いし、アダルトタイムにして。まあ、この案件については錠一郎も部外者だから、ジョーが気を使って子供二人を外に連れ出す方が、妥当だと思う。
本来は、このような展開や演出や演技があって良かったのだ。それを手抜きか気が付かないのか知らないが、やらない。こう言う部分が、今作が丁寧さに欠ける残念な部分なのだ。
脚本家の自虐ネタ?
「何だかなぁ」と思いつつ、夕食のシーンを見終えて、勇と桃太郎の恋バナ談義に入ったから、「まだぁ~」と思って見ていたら、流石、元高校球児で名ピッチャーだった勇が、目が覚めるような剛速球を投げて来た。
勇「あれができたら これができたらいうて
先延ばしにするんじゃねえ。
絶対(ぜってえ) 報われんぞ」
おいおい、この台詞、脚本家の自虐ネタか? そう、自分では「壮大な回収」だと思って最後の1か月分の脚本を書いたのかも知れないが、きちんと見ていれば、単なる “先延ばし” であることは分かるのだ。
まあ、正しく例えるなら “先延ばし” と言うよりも、その場凌ぎで面白そうなエピソードをツギハギして、物語を “先に進める” ことばかりを優先させているだけなのだ。要するに、歴史年表のように、淡々と粛々と、行間も無ければ、余韻も無い。だから、最低限の “物語” にもなっていないと言うわけだ。
歴史年表のように最低限の"物語"にもなっていないことが証明されちゃった
前述の「歴史年表のように… 最低限の “物語” にもなっていない」を証明するようなエピソードが、終盤での定一(世良公則)の息子・健一(世良公則さんの二役)の再会だ。
そう、「再会」なのだ。もちろん、錠一郎にとっても、るいにとっても… だ。だって、本来、知らないはずが無いのだ。いや、ジョーが本当に知らないとしたら、るいにも負けず劣らない “人でない” だ。それに、知らない設定の方が無理がある。
だって、健一は喫茶店「Dippermouth Blues」を手伝っていたし、定一は出征した息子の写真を店内に飾ってあった可能性だってあるし、そもそも息子同然に育てたジョーに健一の存在を話さないわけがないのだ。それに、健一は、小学校では算太の二級下の後輩なのだから橘家とも無縁だったとは限らないし。
稔(松村北斗)の行きつけの店で、るいも母の安子と一緒に何度か足を運んでいるのだから、子ども好きの定一が話さなわけが…。
結局、このように、思い付きのように “行き違い” と書いて、その場凌ぎをやって、単純に過去のエピソードを、現在のエピソードと繋げているだけなのだ。プロの脚本家に言うことではないが、「その場凌ぎ」なんて「回収」の真逆の行為だから(失笑) 劇伴の北村英治さんの「♪二人でお茶を(tea for two)」は素敵だったが…
諸事情でナレーションがカットされた可能性もあるが…
まあ、プロの脚本家がそんなことするはずがない! だろうから、援護すれば。もしかすると、ナレーションで補足している可能性はある。ただ、敢えて詳細は書かないが、諸事情が理由でナレーションがカットされた可能性もあるが。
だとしても、やはり、映像で見せるべき。とは言っても、「世良公則さんと前野朋哉さんを使い回せ」と言っているわけでは無いことは分かって頂けると思うが。
錠一郎は定一や健一と連絡を取り合っている設定の方が…
私なら、妻である るいが「岡山や雉真家の話はしたくない」のが見え見えだったとしても、その目を盗んででも、るいよりは “情のあるジョー” が(笑)、定一や健一を連絡を取り合っている設定にしておくと思う。だって、二人はジョーの “かけがえのない恩人” なのだから。
だから、るいが雉真家や大阪のクリーニング店の竹村夫妻と不義理を決め込んで、その描写が皆無でも良いから、錠一郎は定一と健一と連絡し合っているのを映像で見せておけば良かったのだ。そして、そのことを、るいが “羨ましい” 感じで見ているでも良かったのだ。
そうすれば、今回のような “出来事を並べて、情報を見せているだけ” にはならなかったはず。いや、むしろ、《感動の再会シーン》 として、ネットで大騒ぎになったかも知れないのだ。何とも、愚かで、勿体ないことか…
あとがき(その1)
今作は、「ファミリーストーリー」と謳っているのです。だから、「家族だけ描けば良い」と言うわけでは無いと思うんです。だって、それだったら、るいの家族なんて、夫の錠一郎と、娘ひなたと息子の桃太郎しかいませんから。「ファミリーストーリー = 恋バナ」になっちゃいます。
だから、本当に「ファミリーストーリー」を描きたいなら、るいは当然のこと、家族が世話になった人、ご縁があって知り合った人たちとの関係性を描くしかないのです。しかし、肝心の るいが “人でなし” の設定なので、そこから話が広がらない。ここが、この「ファミリーストーリー」が狭い世界の話の元凶なんです。
あとがき(その2)
と言うことで、前回と今回で、今作が改めて「ファミリーストーリー」として “狭い世界の話” であることが証明されてしまったわけです。それでも、恋バナは描いているので、せめて “恋愛” や、その延長線上の “家族愛” を描けば良いのですが、何せ、いが “人でなし” の設定なので “愛情” そのものが見えないのです。
もちろん、ぎりぎりで るいの錠一郎たちへの “家族愛” は見えてはいますが、その愛情も誤解を恐れずに言えば、ペットに抱く愛情のような感じに見えています。いや、「私は、恋人も家族もペットも同じくらい愛しています」と言うのを全否定するつもりは無いのです。そう思っておられる人は、私の近くにもいますから。
あとがき(その3)
ただ、モノの例えとして…。るいの “それ” が、「死ぬまで面倒を看なきゃ」とか「飼えなくなったら、誰かに譲る」みたいな、どこか “義務感” に見えるのです。ドラマですし、「ファミリーストーリー」ならば、“無償の愛” を徹底的に強調して描いても良かったかなぁと。
第4週の第20回で安子が稔の戦死を知り茫然自失で、家を出てフラフラと走り神社に辿り着き、拝殿に跪いて「稔さん 意地悪せんで…」と号泣するシーンとか、第13週の第59回で海辺で錠一郎を抱き締める るいとか。奇しくも、どっちも、演出は安達もじりさんなのですから、出来ないはずが無いのです…
あとがき(その4)
最後に。前回の感想に、74回(投稿時点)もの Web拍手を頂きました。コメントも、たくさん頂きました。本当に、ありがとうございます。
きっと、応援した下さる読者さんは、同じ気持ちなのかなぁと。「このまま終わるはずない。終わって欲しくない。だって、感動的な時だってあったのだから」だと思います。私も同感です。とにかく、最終回を見るまで評価はお預けしておきます…
明るくなぁれ、楽しくなぁれ…(Be cheerful, be joyful...)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16663/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
26 27 28 29 30 土
第7週『1948-1651』
31 32 33 34 35 土
第8週『1951-1962』
36 37 38 39 40 土
第9週『1962』
41 42
妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44 45 46 47 土
第11週『1962-1963』
48 49 50 51 52 土
第12週『1963-1964』
53 54 55 56 57 土
第13週『1964-1965』
58 59 60 61 62 土
第14週『1965-1976』
63 64 65 66 67 土
第15週『1976-1983』
68 69 70 71 72 土
第16週『1983』
73 74 75 76 77 土
第17週『1983-1984』
78 79 80 81 82 土
第18週『1984-1992』
83 84 85 86 87 土
第19週『1992-1993』
88 89 90 91 92 土
第20週『1993-1994』
93 94 95
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