ミステリと言う勿れ (第9話・2022/3/7) 感想 ※追記あり

フジテレビ系・月9『ミステリと言う勿れ』
公式リンク:Website、twitter、Instagram
第9話『暴かれる嘘と本当 恩人を死に追いやった犯人は誰だ』の感想。
なお、原作となった漫画、田村由美『ミステリと言う勿れ』は、未読。また、本作は2021年11月下旬に全話をクランクアップ(撮影終了)しているため、感想には要望などは基本的に書かずに、単純な感想のみとします。
奇妙な‘ミステリー会’の夜が明け、整(菅田将暉)は5年前に山荘でパートナーの喜和(水川あさみ)を亡くした天達(鈴木浩介)が「うそをつく人を見ていて」と頼んだ真意に頭を巡らせる。すると停電が発生。何かのゲームが続いていると感じる整は、風呂光(伊藤沙莉)と共に橘高(佐々木蔵之介)や蔦(池内万作)、デラ(田口浩正)とパン(渋谷謙人)の話に注意を傾けるが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:田村由美『ミステリと言う勿れ』
脚本:相沢友子(過去作/鍵のかかった部屋、ビブリア古書堂の事件手帖)
脚本協力:烏丸棗(過去作/死役所) 第8,9話
演出:松山博昭(過去作/鍵のかかった部屋、トレース~科捜研の男) 第1,2,3,5,6,7話
品田俊介(過去作/ルパンの娘1-2、探偵の探偵、ナオミとカナコ) 第4話
相沢秀幸(過去作/アンサング・シンデレラ、トレース~科捜研の男、SUPER RICH) 第8,9話
共同演出:阿部博行(過去作/ココア、シャーロック アントールドストーリーズ) 第6話
音楽:Ken Arai(過去作/鍵のかかった部屋、トレース~科捜研の男~)
主題歌:King Gnu「カメレオン」
田口浩正さんと渋谷謙人さんは、"気配を消す"演技を"二重"にやっていた!
前回の感想の「あとがき」に次のようなことを書いたのを覚えていらっしゃるだろうか?
ドラマ的に見ちゃうと、蔦(池内万作)が招いたデラとパンを演じた、田口浩正さんと渋谷謙人さんの “気配の消し方” の演技が絶妙。あの “空気感” こそが、「一人だけ嘘をつく人がいる」と 「一人だけ嘘をつかない人がいる」を分からなくしていましたね。
この部分が、あるブログに丸パクリされたのだが(涙) そのことは、置いておいて…
前回を見終えた時は、正直言うと、デラ(田口浩正)とパン(渋谷謙人)が “犯人側” の怪しい人物だと勝手に想像して、上手く気配を消していると書いたのだが。後編を見ると、実は、2人共 “刑事” だった。
これには意表を突かれたが。逆に、刑事だから “気配の消し方” が上手いのは当然で。と言うことは、田口浩正さんと渋谷謙人さんは、“気配を消す” と言う演技を “二重” にやっていたことになる。流石、中堅バイプレーヤーここにあり! だと感心してしまった。
「前後編」をセットで見るのが最良だが、後編だけでも楽しめる親切な構成
さて、ドラマウォッチャー的な視点で、今回の前後編の事件を見てみると…
まず、連ドラとして興味深いのは、「後編」だけを見ても、終盤の「解決編」部分の面白さが、きちんと味わえる “つくり” になっていたことだ。そして、「前編」も見た視聴者なら更に、あちこちに立てられていたフラグに納得したり、複雑な展開を楽しめたと思う。
特に、いつも今作の感想に書いているように、謎解きが「見える事件」と「隠れている事件」の “二重底” になっていること。今回で言うなら、「ゲームのためのお題」 の底に「天達教授の恋人がストーカーに殺された事件」が “二重底” になっており、考えようによっては「真犯人の事情」も更に “三重底” にも見えた。
その意味でも、やはり、真犯人の証拠隠しの技を探す楽しみと、主人公が謎を解き明かす楽しみを両方味わうなら、「前後編」をセットで見るのが最良なのは間違いないが…
整の"おしゃべり"のBGMが、今回は薄目の印象だった理由を考えてみた
また、連ドラとして、これまでとちょっと違っていたのは、「解決編」のパートに於ける整(菅田将暉)の “おしゃべり” の音楽的な処理方法を挙げたい。
第2話以降から、「解決編」のパートに於ける整の “おしゃべり” の後ろには “音楽” が流れている。第2話の感想でも触れたが、第1話では “音楽” が無かった。だから、整の “おしゃべり” が “演説” や “小難しい能書き” のように聞こえていたのだ。
しかし、第2話以降は、必ず “音楽” が流れ、小難しさを緩和しつつ、ドラマ的に分かり易いクライマックスに仕立てて来たのだ。しかし、今回は、ここ最近の今作では珍しく、印象的に “音楽” を利用しなかった。まあ、印象的だったと言えば「ピノキオ効果」を話している際にBGMが流れるが、そんなに強い印象は無かった。
その演出意図を考えると、やはり今回の事件は所謂 “密室殺人” であり、整以外の登場人物たちの “おしゃべり” も謎解きのための “重要アイテム” であり、整だけ強調してしまうと、ドラマ然としてしまうのを避けたのではないだろうか。
あくまでも、視聴者も事件の全容の目撃者(体験者)として没頭して楽しめる仕掛けとして、敢えてドラマチックに仕上げなかった。そう考えると、私は腑に落ちるのだが…
【原作未読者】として、ちょっと気になったのが、天達が"刑事を3人も"呼んだ理由…
ただ、【原作未読者】として、ちょっと気になった部分がある。それは、今回の ‘ミステリー会’ での風呂光(伊藤沙莉)の言動が、これまでの風呂光とは若干違ったこと。「未熟な刑事」と言う点では、ギリギリ合格点だが、やはり違和感を覚えてしまった。まあ、そのことは、デラとパンの2人の刑事にも言えることだが。
簡単に言うと、天達(鈴木浩介)は、なぜ風呂光を呼んでおいて、デラとパンにも同席を依頼したのか? ってこと。ダブルスタンバイする必然性を感じないってことなのだ。この違和感は、残念ながら、終盤の整の台詞にも影響されてしまっていた。
"風呂光ありき"でも、"男性刑事2人"は"男性大学生2人"の方が良かったような…
そこで、【原作未読者】として、次のように思うのだ。まず、事前情報として、放送前の番宣記事で「風呂光が、この度のドラマのためのオリジナルキャラクターである」ことは知っていた。だから、今回で違和感を創出してしまったのではないか? と。
これ、刑事ドラマや推理モノが好きな私が考えるに、天達が ‘ミステリー会’ に呼ぶのは、自分のゼミの生徒である「整」と「男子学生2人」が良かったと思う。その理由は。1つは、全員男性の方が、喜和(水川あさみ)のミステリアスな存在が際立って、本作らしくなるから。
もう1つは、整の1人の推理力と対抗するには、天達が2人は必要だと考えるのが順当だから。もしも、ドラマ上、風呂光を男子学生2人に差し替えていたら、いろんな意味で “密室” であることが強調されてはず。
だって、刑事が3人も ‘ミステリー会’ にいるなら、例え、整が謎解きに成功しなくても、事件は解決してしまう可能性が出て来てしまうから。まあ、原作がどのような人物配置になっているのか知る由もないが。それだけに、最終回のあとに読む原作が楽しみでしょうがない!
●風呂光が整に恋愛感情を抱いているのが、ドラマオリジナルの設定だそう(読者さんのコメントより)
あとがき
今回も面白かったです。「刑事3人」の部分を、もっと上手く違和感なく描ければ、もっと無駄がない今作らしい仕上がりになったと思いますが。とは言え、やはり、この私にはちょうど良い塩梅の謎解きの難しさ、俳優陣の演技を堪能できる “間” のつくり方、前後編をみたからこその面白さは、格別です。
次週は、ファイナルエピソードだそう。謎の女性 “ライカ” は、やはりあの有名なカメラメーカー「ライカ」と関係があるようですね。予告編にチラッと映っていたカメラは、恐らくライカ社製の名機「M型ライカ1号機のライカM3」(参考資料)ではないですかね。楽しみ~
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16633/
【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話
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