連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第81回・2022/2/24) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第81回〔全112回〕/第17週『1983-1984』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
モモケン(尾上菊之助)と虚無蔵(松重豊)の因縁についての噂話を聞いたひなた(川栄李奈)は、CM撮影の時に会った謎の振付師(濱田岳)に真相を聞こうとするのですが、映画「妖術七変化!隠れ里の決闘」のリバイバル上映のチケットをもらってはぐらかされます。そのチケットを欲しがる五十嵐(本郷奏多)の熱意に押されたひなたは、二人で一緒に映画を見に行くことなり…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9,13,17週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7,15,16週
泉並敬眞(過去作/まんぷく、スカーレット、六畳間のピアノマン) 第11週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10,12週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6,14週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
"サンタ黒須" が「ダンゴちゃん」と呼んだこと…
まあ、好き嫌い、是非はあるだろう。そう、謎の振付師(濱田岳)の名前を “サンタ黒須” にしたことや、初代桃山剣之介の息子で、二代目 桃山剣之介(尾上菊之助)の前名が桃山団五郎で、その団五郎のことを “サンタ黒須” が「ダンゴちゃん」と呼んだことが。もちろん、“算太” だし、“和菓子” を連想させるわけだが。
それに、先日も書いたが、劇中は「1984年」だから、安子58~59歳で、兄・算太は安子より “年上” なわけで、60代。その兄・算太と、ほぼ同い年である「あかにし」の清子を77歳の松原智恵子さんが演じているわけ。更に、「1984年」頃なら、60歳を過ぎていれば、現役を退いている方が普通だし。
演出と演技指導で、ギリギリ捩れないように留めている感じ
でも、私は不思議と気にならなかった。その理由は、長めの4分弱のアバンタイトルが、「シリアス → コミカル → シリアス → ミステリアス」と、上手くメリハリがついて進んだから。そして、前回と同様に、流れるように主題歌(オープニング映像)に繋がったから。
この辺も、まだ脚本があざといしブレてはいるのだが、演出と演技指導で、ギリギリ捩(よじ)れないように留めている感じだ。そう、折角、前回から “前進” にギアが入ったのだから、周囲に注意しながらも、少しでもアクセルを踏むべきなのだ。
1984年頃の、映画の縦長の紙チケットが懐かしかった…
さて、「1984年」に自分で映画のチケットを買って映画を見た人なら懐かしく思ったのではないだろか? あの縦長の映画チケットを。最近は、映画のチケットそのものを見なくなったが、1984年頃は紙のチケットが当然で、映画好きなら、チケットの半券、チラシ、パンフレットが コレクターアイテムの “三種の神器” だった。
また、当時は、ロードショー作品が「1作品=1,500円」だったから、リバイバル上映が「1,100円」と言うのも、強ち間違っていない。
ひなたに五十嵐がチケットを懇願するタイミングが…
ただ、折角、強調したチケットのくだりの演出が気になってしまった。ひなた(川栄李奈)が一恵(三浦透子)を映画に誘うくだりで、途中から五十嵐(本郷奏多)が「譲ってくれ」と懇願するが。気になったのは、ひなたと一恵の会話に五十嵐が割り入って来るタイミングが、ほんの僅か “遅く” 感じたのだ。
要するに、五十嵐が、ひなたの「いっちゃ~ん…」の台詞の言い終わりを待って、飛び出している感じに受け取れたのだ。まあ、気にならない人が殆どだろうが。ここ、明らかに、ひなたと一恵の会話に食い気味に五十嵐が入った方が良いはずのだ。
もう一呼吸、五十嵐の動作が速くても良かったかも…
食い気味に五十嵐が割り込んだ方が、まず、コミカル度が増す。それに、五十嵐の “時代劇愛” が明確に描けるし、ひなたの “時代劇好き” と五十嵐の気持ちがリンクしているように見えたはず。
まあ、あまり五十嵐が食い気味に入り過ぎると、五十嵐が主人公になってしまうし、一恵を誘わなければ、ひなたと五十嵐の世界に留まってしまうから、ドラマとして前進することを最優先に考えると、世界観が狭まるのは嬉しくない。と言うわけで、微妙な演出だったと言うことだ。とは言え、もう一呼吸、五十嵐の動作が速くても良かったと思うが…
人工の光だからこその"夏の夕暮れ"が美しく創出されていた
しかし、映画を見終えて、映画の中の殺陣に見惚れて帰路に就く主人公ひなたと五十嵐は、ワンカットでも済むところを、電車内だけでなく、歩く二人を商店街のあちらこちらの角度から撮影した。この辺は、雰囲気のいい「夕景シーン」が似合っていた。
また、日が落ちるのが速くて屋外ロケは大変な「夕景シーン」を、スタジオセットでの撮影だからこそ活かしたのも悪くない。自然光の素晴らしさには負けてしまうが、人工の光だからこその “夏の夕暮れ” が美しく創出されていた。この辺の照明演出の巧さは、アバンタイトルの冒頭の道場の日差しでも見て取れる…
るいの頭上の電球が僅かに見切れて映っているのが良かった
特に、スタジオセット撮影の「夕景シーン」だからこそ、撮影できたと感じたカットがある。それは、「大月屋」の前を二人が通り過ぎてしまう時に、るい(深津絵里)が二人に声を掛けるカットだ。
良く見ると、るいの頭上の電球が僅かに見切れて映っている。電球の全体ではなく、下半分だけ。それと上手(画面右側)の土管に当たる夕日と影が呼応して、画面に奥行き感を出しているのだ。やはり、照明演出に力を入れる余裕があると言うのは良いこと。先週は、照明演出に光を当てて感想なんて書いたことは無かったのだから…
五十嵐の設定の紹介は、意外といいタイミング!
そして、五十嵐が店先で急に倒れたと思ったら、今度は「ザ・ホームドラマ」、「ザ・朝ドラ」と言わんばかりの劇伴で盛り上げた、困った若者を助ける一家のくだりへ直行。人助けを描きながら、同時に五十嵐の設定の紹介。
まあ、いつまでも謎めかせる必要は無いし、何より物語を前進させる意味でも、この辺で五十嵐の人物像を説明しておくのは悪くない。いや、ひなたと意気投合したと言う意味では、意外といいタイミング。むやみやたらに引っ張るより好印象だ。丁寧に描いているのも伝わって来るし。
「3世代の家族の物語」だから"繋がり"や"血縁"を感じさせるのは重要
その上、ラストでは、ひなたが五十嵐を応援するくだりが描かれた。この辺は、「るい編」で、るいがジョー(オダギリジョー)をコンテスト前に励ましたことと、何気にリンク。そう、連ドラだし、3世代に亘る家族の100年の物語だから、こう言う “繋がり” や “血縁” を感じさせるのは重要なこと。
その意味でも、大きな前進はなかったものの、全体的に、登場人物の心情を丁寧に描こうとしているのは間違いない。そして、人の心が動いて、物語が動いているのも確かだ。この調子で、欲張らずに少しずつ前進して欲しい。
あとがき(その1)
今回も賛否両論ありそうですが、私は悪くなかったと思います。残り1か月と少しですが、何とか、まとめようとしているのと、まとめるために前進させているのが伝わって来ますので。
もちろん、「ラジオは?」、「ラジオ英語講座は?」、「ジョーのトランペットは?」、「ジャズは?」、「渡米した安子とロバートは?」と気になる点はあります。
ただ、ここは “伏線の回収” なんてことは二の次にしてでも、前に進むべきです。でなければ、「3世代に亘る家族の100年の物語」の壮大なドラマを納得できる形で終わらせるのは至難の業だと思うので…
あとがき(その2)
今夜放送予定のNHK総合『SONGS 第594回 AI』は、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の主題歌「アルデバラン」が大きな話題を集めているAIさんの特集。その中で、先日の『うたコン』で素晴らしい歌唱をして下さった世良公則さんのコメントが放送されます。
総合 2022年2月24日(木) 午後10:30 ~ 午後11:15
再放送:総合 2022年3月1日(火) 午前0:48 ~ 午前1:33 ※月曜深夜
番組ホームページ:https://www.nhk.or.jp/music/songs/460730.html
明るくなぁれ、楽しくなぁれ…(Be cheerful, be joyful...)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16588/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
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第3週『1942-1943』
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第8週『1951-1962』
36 37 38 39 40 土
第9週『1962』
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妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44 45 46 47 土
第11週『1962-1963』
48 49 50 51 52 土
第12週『1963-1964』
53 54 55 56 57 土
第13週『1964-1965』
58 59 60 61 62 土
第14週『1965-1976』
63 64 65 66 67 土
第15週『1976-1983』
68 69 70 71 72 土
第16週『1983』
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第17週『1983-1984』
78 79 80
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