連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第80回・2022/2/23) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第80回〔全112回〕/第17週『1983-1984』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
再映画化することになった「妖術七変化!隠れ里の決闘」の敵役をオーディションで選ぶという話が発表され、ひなた(川栄李奈)や五十嵐(本郷奏多)は驚きます。女優の役はないのかと不機嫌になったすみれ(安達祐実)に付き合わされたひなたは、時代劇スターのモモケン(尾上菊之助)と大部屋俳優の虚無蔵(松重豊)の因縁についての噂話を聞かされるのですが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9,13,17週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7,15,16週
泉並敬眞(過去作/まんぷく、スカーレット、六畳間のピアノマン) 第11週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10,12週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6,14週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
昨晩の『うたコン』での主題歌とそのBGVがとても感動的!
昨晩に放送された、NHK総合の『うたコン』が『カムカムエヴリバディ特集』で、柳沢定一を演じた世良公則さんが「On the Sunny Side of the Street」を定一風に熱唱し、往年の大ヒット曲「銃爪」も披露してくれた。それは、1978年の大ヒットを肌で知っている私には、大きな感動だったが。
それ以上に、感激したのが、今作の主題歌「アルデバラン」を歌唱した AIさん。あの歌唱力で改めて「アルデバラン」を生歌で聴くと、歌詞の凄さがひしひしと伝わって来た。
また、同曲のBGVとして流れた「安子編」や「るい編」の名場面集とも言えるダイジェスト版とのコラボの素晴らしさ。やはり、「アルデバラン」は、「安子編」や「るい編」の名場面に良く似合う… と再認識したのだ。
今回の主題歌の印象は、ここ最近の今作では全く違った
しかし、今回の主題歌(オープニング映像)の印象は、ここ最近の今作では全く違っていた。前々回と前回が月~火曜日で、先週の “続き” であったことからも、今日の水曜日が実質的な “今週の始まり” となる。だから、前回の演出は多少先週の演出を引きずっていたが、今回は、しっかりと、今作のメイン監督である安達もじり氏流の丁寧な演出から始まった。
まるで、先週までとは区切りをつけるように、劇伴もしっとり、ひなた(川栄李奈)を始めた登場人物たちも、落ち着いた感じで、何やら主題歌明けから “何かが始まる予感” を漂わせた。
今週のメイン監督の演出で、主題歌とドラマの内容がしっくり来た!
それに続いた主題歌の「アルデバラン」。いつもなら、録画を飛ばそうかと思ってしまうが、今回は聴き入ってしまった。やはり、むやみやたらに “語り” に英訳を付け足すことなく、「ひなたには想像もつかない…」を強調したナレーションが、視聴者を惹き付けるのだ。
そして、この不穏な感じ、これまでの「ダメな子」で押しまくるコミカルな描写とは一線を画した演出が、「アルデバラン」の歌詞の最初の2行に自然に繋がって行った…
♪君と私は仲良くなれるかな
この世界が終わるその前に
そう、残念ながら、ひなた役が川栄李奈さんになってからの第16、17週の演出では、「アルデバラン」の最初の2行の感動的な歌詞とメロディと歌唱と不釣り合いだったのだ。
しかし、今回のアバンタイトルから主題歌の流れは、実に自然だった。これ位に、ドラマと主題歌がしっくり来ると、主題歌明けに期待が高まる。やはり、演出家の違いによる “差” が大き過ぎると思うと同時に、ひなたの「新たな章」が、メイン監督の演出で良かったと、つくづく思う。
脚本は同じなのに、演出の違いで、こんなに"差"が出るのか
主題歌明けも、アバンに続いて、演出家の違いによる演出の “差” がハッキリと見て取れた。例えば、今回だって、脚本は先週と大差は無い。わざわざ描く必要があるのか良く分からない “主人公たちの日常” を挟み込んだ上で、登場人物たちのやり取りが中心で物語が構成されている。それを、箇条書きに描いているだけなのは、先週と殆ど変わっていない。
メイン監督の演出の方が、脚本家が伝えたいことが良く伝わって来る
しかし、物語の見せ方が、演出で違うのだ。別の言い方をするなら、同じ物語でも、映像から伝わって来るものである “印象” や “雰囲気” や “空気感” が違うのだ。
もっと、分かり易く例えるなら、まず、俳優の演技を見せて、その演技で物語を見せて、ドラマ全体を魅せようとしているのだ。う~ん、端的に言ってしまえば、メイン監督の演出の方が、脚本家が登場人物を演じる俳優を通して伝えたいことが、良く伝わって来るのだ。
例え箇条書きでも、どうでも良いようなシーンがあっても、面白味を感じる演出
だから、後半の回想部分は抜きにして、今回のエピソードの中心である “再映画化することになった「妖術七変化!隠れ里の決闘」の敵役をオーディションで選ぶという話” に関して、「土曜日版」では削除するシーンが無い位に必然性を感じる。
そう、無駄を感じ難い演出なのだ。だから、例え箇条書きでも、どうでも良いようなシーンがあっても、登場人物たちの心情の深いところまで感じ取れるから、面白味が出て来る。まあ、NHKも、それが分かっているから、大切な週は、メイン監督の演出にしているのだろうが…
"何気ない主人公たちの日常"の描写が実は、とても大切!
それに、前述の書き方では、「わざわざ描く必要があるのか良く分からない “主人公たちの日常”」と書いてしまったが。本来は、半年間も続く朝ドラでは、実は “何気ない主人公たちの日常” の描写が実は、とても大切。
なぜなら、“何気ない日常” があるから “主人公たちに舞い降りる非日常=奇跡やトラブル” が際立つのだから。そして、日常を上手に飽きさせないように積み重ねることでしか、非日常をドラマチックに描写できないのだ。だから、先々週と先週に限らず、「るい編」の結婚以降を上手く描いていれば… と、悔やまれるのだ。
あとがき(その1)
美空ひばりさんの歌「愛燦燦」の歌詞に「人生って 不思議なものですね」と言うのがありますが。ドラマって、不思議なものですね。演出が変わると、ドラマへの興味関心も変わってきます。
例えば、「アメリカに行った安子の結婚生活」についても、「トランペットが吹けなくなった錠一郎のジャズへの情熱」についても、未だ宙ぶらりんですよね。『カムカムエヴリバディ』の由来でもある「ラジオ英語講座と共に歩んだ親子3世代の100年間の物語」も、最近は封印状態。
なのに、演出で登場人物たちの心情の深いところまで感じ取れて、面白味が出て来ると、何となく、「ひなたと時代劇」もアリかな? って思えちゃう。
あとがき(その2)
その延長戦上に、これまで時代劇風の話し言葉だった虚無蔵さんが、「モモケンさん。わしも受けますわ。左近役のオーディション」と現代の京都弁で話したことで、先代のモモケンからの敵役が彼の中に入ったままだったような感じも伝わって来ました。また、五十嵐の時代劇に賭ける情熱も見えて来ました。
それらによって、ひなたが、どう影響を受けて変化するのかも、楽しみになって来たような。とにかく、メイン監督の演出で、「先が楽しみな朝ドラ」、「先が見たくなる朝ドラ」に返り咲いて欲しいです。
明るくなぁれ、楽しくなぁれ…(Be cheerful, be joyful...)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16584/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
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妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
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第11週『1962-1963』
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第17週『1983-1984』
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