妻、小学生になる。 (第1話/初回15分拡大・2022/1/21) 感想

TBS系・金曜ドラマ『妻、小学生になる。』
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第1話/初回15分拡大『君がいない人生は、とても長い』の感想。
なお、原作となった漫画・漫画・村田椰融『妻、小学生になる。』は、未読。
圭介(堤真一)は、10年前に最愛の妻・貴恵(石田ゆり子)を亡くして以来、残りの人生を‘余生’と思って生きている。一人娘・麻衣(蒔田彩珠)の幸せを願うも、生活費を稼ぐ以外何もできず、うまくコミュニケーションも取れない。ある日、圭介親子の前に見知らぬ少女・万理華(毎田暖乃)が現れる。彼女は自身を10年前に他界した圭介の妻で、生まれ変わったのだと言い出す。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・村田椰融『妻、小学生になる。』
脚本:大島里美(過去作/花燃ゆ、凪のお暇、おカネの切れ目が恋のはじまり)
演出:坪井敏雄(過去作/凪のお暇、カルテット、わたナギ、恋あた、リコカツ) 第1話
山本剛義(過去作/凪のお暇、コウノドリ2、わたナキ、オー!マイ・ボス!、最愛)
大内舞子(過去作/「凪のお暇」AD、恋あた、TOKYO MER)
加藤尚樹(過去作/コウノドリ1,2、ホワイト・ラボ、MIU404、にぶんのいち夫婦)
音楽:パスカルズ
主題歌:優河「灯火」
「生まれ変わりモノ」とか「憑依モノ」と言うジャンル
『2022年1月期/冬ドラマの視聴予定&期待度』の投稿では、“原作の発想は面白そうですし、脚本家も演出家も揃っています” と言うことで、「期待度の星★3つ」を付けた、今期視聴予定の連ドラの最後がこの『妻、小学生になる。』だ。
まあ、「生まれ変わりモノ」とか「憑依モノ」と言うジャンルがあるとすれば、間違いなくその類のドラマだ。10年前に交通事故で亡くなった妻が、別人として生きている小学生の魂に憑依して帰って来てから、遺された夫と娘の人生が変わっていく… そんなドラマのようだ。
「最後の最後に、素敵なドラマが残っていたか!」と好印象
15分拡大によって、多少は助長気味なところはあったが、全体的には「最後の最後に、素敵なドラマが残っていたか!」と好印象。個人的には、1999年に映画化もされた東野圭吾氏の小説『秘密』に似たような印象を受けなくもなかったが。
ただ、何と言っても、最愛の妻・貴恵(石田ゆり子)が憑依した、謎の小学生・万理華を演じた毎田暖乃ちゃんの大人顔負けの演技と、堤真一さんの自然体の演技の中でも溢れ出るエネルギーが、奇想天外な設定を、か~るくクリアした上に、更に、ファンタジーならではの “在り得ない” を自然に感じさせたのは、お見事だ。
「憑依モノ」は、演出と演技が他のジャンルより難しいが…
実は、番宣も殆ど見なかったし、原作も未読だが、「生まれ変わりモノ」とか「憑依モノ」は、演出と演技指導、そして演技が何より難しい。特に、生まれ変わる対象の年齢が下がれば下がるほど、違和感が生じる。また、当然として生まれるのが、「本当に生まれるハズだった魂はどうなったのか?」と言う疑問だ。
きっと、脚本は原作があるから良いとして、演出部は相当に考えたはずだ。答えは二択。常に、少女・万理華の姿や台詞に貴恵を感じせるように映像化するのか、しないのか? だ。そして、今作は前者を選択した。
敢えて、毎田暖乃さんと石田ゆり子さんを意図的に重ねて描写するのを割けた演出
それが良く分かるのは、毎田暖乃さんと石田ゆり子さんを意図的に重ねて描写したのが、終盤の自転車の二人乗りのカットだけだったことだ。
これ、やろうと思えば、いくらでも同様のことは出来る。キッチンで調理するシーンでも、下校時の夫婦しか知る由もないやり取りでも、姿や音声をオーバーラップさせたり、入れ替えたりするだけで済むのだから、俳優陣と撮影スケジュールさえ何とかなれば、簡単なこと。
しかし、今作はそれを避けた。私は、賢明な決断だと思う。だって、そんな事を1時間以上、所々とは言え挿入していたら、視聴者がどんどん現実に引き戻されてしまう可能性の方が大きいと思うからだ。
カメラを第三者でなく圭介の"視点"に近くした演出で、視聴者に高い壁を超えさせた
所詮、ドラマなのだ。そして、現実的には在りえない奇想天外な設定なのだ。“普通のドラマ” と言う表現で分かって頂けると思うが、“普通のドラマ” だって、見た映像をすんなりと「虚構の中の真実」であると感じて、作品の世界観へ没入されるのは至難の業。しかし、今作は、その “普通のドラマ” より没入させる壁が高い。
しかし、その高い壁を視聴者に上って貰わないとドラマとして成立しない。だから、敢えて、映像や音声で二人を重ねず、むしろ、カメラを第三者でなく圭介(堤真一)の “視点” に近くすることで、サブタイトルの『君がいない人生は、とても長い』を表現し、且つ、ラストで父と娘を大きく前進させた。
ドラマづくりとしては一種の賭けだが、私は今作の選択で間違いなかったと思う。
夫婦や家族を考えるドラマ、グッと来る「家族再生の物語」としても、面白くなりそう…
その「圭介に近い視点」で全編が描かれたことで、当然、単純な奇想天外のコメディにはなっていなかった。
きちんと、メインの3人、いや本当の貴恵を含めた “風変りな3人家族” と “風変りな夫婦” がコミカルに描かれつつ、「最愛の妻がいなかった10年間」も見えたし、メリハリもあり、更に、謎めいた部分も残して、「続きが見たくなる連ドラ」にもなっていた。
結末がどうなるか予想がつかないが、夫婦や家族と言う “身近な最小限の社会” を考えさせられるドラマとしても、グッと来る「家族再生の物語」としても、面白くなりそうだ。
あとがき
最後の「君が18歳になったら 結婚しよう」なんて台詞、コンプライアンスや世間体を考えたら、カットした方が無難ですよね。「小学生を性的な対象に見せちゃう」可能性がありますから。
でも、あの台詞、一種の「踏み絵」なのではないでしょうか? あの台詞に違和感を覚えたり、不安を感じない人向け… みたいな。やはり、あれも「高い壁」の一つなのだと思います。あれを、「今後が楽しみ」と思える人は、どうぞ楽しめますよ… って。その意味で、潔い脚本と、考え抜いた演出、見事な演技で、第1話は良かったと思います。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16482/
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