連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第47回・2022/1/7) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第47回/第10週『1962』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
ジャズ喫茶のサマーフェスタにきたるい(深津絵里)でしたが、錠一郎(オダギリジョー)が演奏した『On the Sunny Side of the Street』を聞いて、曲の途中で店を飛び出してしまいます。演奏を終えたジョーが追いかけると、るいは涙を浮かべていて…。忘れようと思っていた岡山での母・安子(上白石萌音)との記憶が、るいの頭の中でよみがえろうとしていました。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
今回は、音楽の"記憶"へ繋がる回想が多かったのが功を奏した
異論反論はあると思うし、共感できる、出来ないもあると思う。
ただ、私にとっては “連ドラ”、特に今作が描こうとしている「京都、岡山、大阪を舞台に、昭和から令和の3つの時代をラジオ英語講座と共に生きた祖母、母、娘の3世代のヒロインの一世紀(100年)におよぶ家族の物語をハートフルコメディー」として、漸く「安子編」と「るい編」が繋がったと思う。
そう感じさせた要因は、「On the Sunny Side of the Street」への “記憶” へと繋がる “回想シーン” が多かったからだ。
もっと、撮影前に計画性を持って挑むべきだった…
回想シーンを使うのは間違っていない。但し、私は「回想シーンは、出来るだけ使わずに、奥の手として残しておいて、現在進行形の心情描写で描くべき」と言う脚本と演出への思想の持ち主だから、モヤモヤしたのは間違いない。
でも、一方で「しょうがない」とも思っている。なぜなら、「安子編」と「るい編」の “繋ぎ” に使える “映像” が、今作は極端に少ないからだ。今回も、それ以前も、使われる回想シーンは、殆ど同じシーンばかりなのだ。
これは、脚本家と演出家が、企画段階で全体の構成を精査せずに、クランクインしたために発生したミスだ。いや、失敗と言いっ切っても良いくらい。だから、もっと、撮影前に計画性を持って挑むべきだったと思う。
「出会い、交際、結婚、出産、育児」こそ"繋がり"そのものなのだ!
さて、そこで “繋がり” について、もう少し掘り下げてみる。すると、三世代の “繋がり” を描くためには、必ず “夫(パートナー)” がいないと話が進まない。そう、要するに、ヒロインが好きな男性(今のマイノリティーの時代には逆行するが、劇中の時代として勘弁して欲しい)と出会い、交際、結婚、出産、育児こそが “繋がり” そのものなのだ。
しかし、本作は内容が多い割に、放送回が少ない。従って、どうしても、“恋バナ” に偏ってしまう。だって、「出会い、交際、結婚、出産、育児」は、最低限、絵が描くべきことだから。
"恋バナ"ではなく、"夫婦と子供の物語"に見えるように描けば良いだけ
だからと言って、現状を全面的に肯定するつもりもない(分かり難いですか?)。ドラマ制作の現実として主人公の「交際、結婚、出産、育児」を絶対に描く必要があるなら、そこを “恋バナ” ではなく、“夫婦と子供の物語” に見えるように描けば良いだけ。
そうすれば、ドラマ全体も「ホームドラマ」に、より見えて来るだろうし、そう見えるようになれば、自然と “次の世代の話” に繋がると思う。やはり、音楽だけでなく、先日の感想でも書いたように、ラジオ、英語講座、和菓子などの “思い出アイテム” を、もっと有効利用して “繋がり” を描いて欲しいし、今からでも遅くないと思う。
もう一段格上げして「先が見たくなる連ドラ」にすることが出来れば…
例えば、今週を見渡してみると、前半は、るい(深津絵里)のモノローグが多過ぎて、それ以前のドラマと別の作品のようになって驚かされた。
しかし、後半は、モノローグが減って、るいが感情を言葉で話すようになり、音楽だけではあるが、「安子編」と「るい編」の “繋がり” が見え、更にジョー(オダギリジョー)との関係の進展が見えて来て、それなりに「先が気になる連ドラ」になって来た。これを、もう一段格上げして「先が見たくなる連ドラ」にすることが出来れば…
脚本家が、詳細に回想シーンの指定をすることは滅多にない
朝ドラに限らず、連ドラにも限らず、いろいろなドラマや映画に共通することとして知って欲しいことがある。それは、全ての脚本家が、本編の映像に入れる “回想シーン” を「第〇回の、あの場面を使って」と、指定することは無いってこと。
殆どの脚本家が、脚本の中に「ここで回想」と “ト書き” を入れる程度。と言うことは、どの回想を使うのかは、演出家の判断に委ねられているってこと。そして、前述の通りに、回想に使える映像が極端に少ないから、似たような雰囲気になって、飽きられてしまうのだ。
既に、安子(上白石萌音)はクランクアップしてしまっているから撮り直しや加えることは出来ない。でも、まだ、残りの二人のヒロインについては、工夫の余地が残っているはず。どうか、そのことに気づいて、撮影に臨んで欲しい…
あとがき
SNSなどの情報が正しいとは限りませんが。今作は、3人のヒロインを同時並行して撮影しているとの情報があります。そうなると、「安子編」と「るい編」の “繋がり” を表現する映像が無いことは、「るい編」から「ひなた編」へ移行する際にもない可能性が高いです。
だったら、ここは、もっと語りを使って、“繋がり” を表現したらよいと思います。だって、城田優さんの語りだけが、唯一の作り手が自由に使える “繋がり” なのですから。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16436/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
26 27 28 29 30 土
第7週『1948-1651』
31 32 33 34 35 土
第8週『1951-1962』
36 37 38 39 40 土
第9週『1962』
41 42
妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44 45 46
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