連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第45回・2022/1/5) 感想 ※キャプチャー画像追加

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第45回/第10週『1962』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
平助(村田雄浩)からお給金をもらったるい(深津絵里)。和子(濱田マリ)に使い道を聞かれ「貯金」と答えたところ、強く叱られてしまいます。何かを買おうと商店街を歩いていたところ、トランぺッターのジョー(オダギリジョー)にばったり出くわします。ジョーと一緒にジャズ喫茶を訪れたところ、居合わせたトミー(早乙女太一)とベリー(市川実日子)に素性を詮索されたるいは…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
前回と今回、「安子編」と「るい編」では、まるで別のドラマを見ているような違和感…
前回の感想にも書いたが。是非とも、「演出部」全体で、作風の統一感について考えて欲しいのだ。
例えば、「るい編」が始まってから、るい(深津絵里)のモノローグの分量が異常なくらいに多いと思っていたが、今回を見ると、前回だったら間違いなくモノローグだった部分が台詞になっていた。
やはり、演出家単位とか、週単位とか、ストーリーの区切りで、ドラマの雰囲気が変わるのは、人間がつくるものだから多少は目をつぶるし、許容しているつもり。しかし、前回と今回、「安子編」と「るい編」では、まるで別のドラマを見ているような違和感。これだけは、何とかしてでも統一して欲しいものだ。
まずは、安子と るいのことを少しずつでも描くのは良いこと
でも、それだって、相当にスタッフ間で統一性を議論しないと、簡単に出来ることでない。そこで、今回は、「るいの名前の由来」と、「On the Sunny Side of the Street」と「安子と るいの回想シーン」を盛り込んで来た。
そのおかげで、雰囲気は違っても、前回までの「るい編」よりは「安子編」との “繋がり” や “連続性” を感じさせたのは、良いアイデア。
いくら、ヒロインが3人いようが、時間経過があろうが、祖母、娘、孫と続く “連ドラ” なのだから、今回のように、僅かでも、まずは、安子と るいのことを少しずつでも描くのは良いことだと思う。
クリーニング店の台所や食事で季節感を描写するのは良い事
また、「るい編」が始まったばかりで、今後がどうなるのか分からないが。映像として、季節感を表現しようとしている演出意図が伝わったのも良いことだ。
「安子編」の時は、庭や屋外の木々や花々や和菓子で季節感を描写していたのに対して、「るい編」では、クリーニング店の台所や食事で季節感を描写している。今回なら、アバンタイトルの冒頭の「スイカ」や、夕食の「そうめん」など。服装が「半袖」とか、「七月分給与と書かれた給料袋」と言うのも悪くない。

©NHK

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でも、ホームドラマらしさを創出するとなると、食材や食事で季節感を感じさせるのは、見ていて自然に「夏」が頭に入って来るから、良いと思う。
レコード店には、数々の美術スタッフの工夫が見て取れたのも良かった
また、大月錠一郎(オダギリジョー)と、成り行きで入店したレコード店には、数々の美術スタッフの工夫が見て取れたのも良かった。
本作のサントラ盤にも参加している「渡辺貞夫」のポスターが貼ってあったり。店に並ぶレコードが、勇 (村上虹郎)が好きだった野球の “スリーストライク” を彷彿させる歌手名「スリーライク勇作」と “勇” の文字が入っていて、そのタイトルが『遠くへ帰りたい』と言うのも、何となくだが「安子への思い」と繋がる。

©NHK

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更に隣のレコードについては、言わずもがな算太(濱田岳)を連想させる、哀愁を歌う悲しきピエロ風のザ・ピーナッツを彷彿させる女性デュオの『道化師』など。
ストーリーをけん引すべき脚本家や、演出をけん引すべき指揮官である演出家の “ブレ” は否めないが、少なくとも美術(小道具さんや持ち道具さん)スタッフの懸命な「安子編」と「るい編」の “繋がり” を作ろうとしているのには、大いに好感が持てる。
「るい編」を「安子編」と「ひなた編」への"強力な接着剤"になるよう、作り込もうと言う意図が見えたのが良かった
それと、今回で意外に良かったと思ったところ。それは、序盤で、「竹村クリーニング店」の和子 (濱田マリ)が、るいの “初月給” の使い道について、るいに “小言” を言って、その “小言” の真意を るいが真剣に考えることをきっかけにして、ストーリーが構成されていたこと。
母・安子が自分を育てた時代を想像し、母と娘の関係を見直し、名前の由来や、なぜか惹かれてしまうジャズ音楽とレコード、サッチモ、無駄遣いをしないで貯金とか。キッチリと描いていないことについては不満があるが。
でも、やはり、何とか、今作の中核となる「るい編」が、その前の「安子編」を受け継ぎ、三部作の最後の、るいの娘を描く「ひなた編」への “単純な橋渡し” でなく、何とか必死に “強力な接着剤” になるように、作り込もうと言う意図が見えたのが良かった。
あとがき(その1)
ズブの素人が偉そうに言うのも、何ですが。本作を「京都、岡山、大阪を舞台に、昭和から令和の3つの時代をラジオ英語講座と共に生きた祖母、母、娘の3世代のヒロインの一世紀(100年)に及ぶ家族の物語をハートフル・ホーム・コメディー・ドラマ」も仕上げるのは、至難の業だと思います。
例えば、「安子編」から「るい編」へ移行する際に “10年間もの時間経過” を挟んだら、誰が脚本を書いても、別のドラマのようにするしかないと思うのです。これが “描かれなかった安子の10年間” も描かれたなら、それなりに、しっくり来たでしょうが。本作は、そこを描いている時間は無いでしょうし…
あとがき(その2)
そこで、こんなことを考えてみました。「安子編」は、和菓子店「たちばな」の和菓子づくりの矜持である「おいしゅうなれ」が取り持った “縁” を活用して、人間関係の “熟成” や “成長” や “変化” を描きました。
そして今、「るい編」では、汚れものを扱う「竹村クリーニング店」の “汚れをきれいにすること” を活用して、人間関係に良くある “先入観” や “思い込み” や “人付き合い” を描くのではないかと。このように考えると、舞台(店など)がドラマ全体に与える影響の強い作品だと思うのです。
あとがき(その3)
その意味でも、「たちばな」が「竹村クリーニング店」になり、「雉真繊維と雉真家」が「ジャズ喫茶・Night and Day」に取って代わると、そこから連ドラで最も大切な “連続性” や “繋がり” や “パターン化の面白さ” へ、結び付いていくのかなと思った次第です。
まだまだ、「るい編」は始まったばかりで、「安子編」のインパクトが残っているので、どうしても比較してしまうのは私も一緒。でも、もう少し様子見しても良いような、今日の15分間でした。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16429/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
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第9週『1962』
41 42
妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44
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