義母と娘のブルース【2022年謹賀新年スペシャル】 (2022/1/2) 感想

TBS系・『義母と娘のブルース【2022年謹賀新年スペシャル】』
公式リンク:Website、Teitter、facebook
『『ぎぼむす』が再び帰ってくる!亜希子の初ロマンス!?義母(綾瀬はるか)と娘(上白石萌歌)と2人を支える人間たちの愛が詰まった物語の完全新作!!』の感想。
なお、原作となった漫画:桜沢鈴「義母と娘のブルース」(ぶんか社)は未読。
義母・亜希子(綾瀬はるか)が再建した企業がハゲタカファンドに乗っ取られる!しかもそのオーナー岩城良治(竹野内豊)は、亜希子の元夫・良一にそっくりだった・・ 良治は、ベーカリー麦田に目をつけ大手製パン会社と合併させるため店長の麦田章(佐藤健)に近づくが裏がありそうだと亜希子は猛反対する。ハゲタカ良治にリベンジか、はたまた恋か!? 元キャリアウーマンの義母と娘、その家族を支えた人たちの愛の物語。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:桜沢鈴「義母と娘のブルース」(ぶんか社)
脚本:森下佳子(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、ごちそうさん、天国と地獄)
演出:平川雄一朗(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、天皇の料理番、天国と地獄)
音楽:髙見 優、信澤宣明
主題歌:MISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」
まえがき
正月の三が日で、私も読者さんも忙しいだろうから、今作の感想は、出来るだけ皆さんに伝えてポイントだけ掘り下げて、書いてみようと思います。
"やや好意的な解釈""が上手く出来ず、"期待感"だけ膨張して見た人なら、流石にスッキリしないのでは!?
まず、正直な感想は、「スペシャル版を重ねる度に、期待からハズレた内容になっている」と言うこと。
連ドラを最高潮としたら、その連ドラらか3年以上経過し、その後のスペシャル版からも2年が経過し、放送直前まで番宣打ちまくりで煽って煽って、満を持して正月の2日に【2022年謹賀新年スペシャル】と題してまで放送したドラマとして、好みの問題以前に「TBSさんの答えは、これでファイナル・アンサーなんですね?」と聞きたくなるような内容だった。
なんか、全体的に、(敢えて、口悪く言うが)そこらに転がっている「企業ドラマ」や「恋愛ドラマ」と変わらないではないか!? 特に、もしも「恋愛ドラマ」として作っているつもりなら、もっと麦田章(佐藤健)を前に出して強調しないと、『ぎぼむす』でしか表現できない “本作らしさ” は決して出てこないのではないかと思う。
とは言え、全面否定するつもりはない。だって、冷静に、次のように見れば、それなりの面白さはあったのだから。
それは、全体的な「連ドラから継承され、変化し続けて来たドラマの設定への理解」と、「今作が、それら全てを踏まえた “続編” であることを、やや好意的な解釈を添えて見てみれば、目くじらを立てて、「私が見たかったのは、これじゃない!」と言う程、仕上がりは悪くないのだ。
しかし、その “やや好意的な解釈を添えて” が上手く出来ずに、“期待感” だけ膨張されて見た人なら、恐らく、流石にスッキリしないとは思う。
「明日は来ない…」と薄っすら涙ぐむシーンだけで十分だし、それが『ぎぼむす』と言うドラマの底力なのでは?
特に、もう何も言わなくても分かるであろう、あの「写真」の使い方について、私は、流石に “無神経” だと思う。いつも、いつも私が当ブログで書いているように「ドラマで人の死を扱う時は、絶対の必然性と、最大の経緯と配慮をして欲しい」に反していたから。これが、本当に残念だった。
あのエピソードを、つくり手たちが本気で「小さな奇跡」と信じて作ったのなら、それは、「人間を描くこと=ドラマ」であることを、遂に、このドラマのスタッフの魂からも抜かれてしまったのかと。
やはり、「思い出の家族写真」を汚すように見えるような展開も表現も避けるべきだった。あれを “償い” や “お年玉” と言うのには、無理があり過ぎると思わなかったのだろうか?
私は良く「ドラマは、引き算が大事」と書いている。それに従えば、「明日は来ない…」と、薄っすら涙ぐむシーンだけで十分だったし、それで、「今、その瞬間、瞬間を一生懸命に生きよう!」と、各自が自覚しているように見(魅)せることが出来るドラマが『ぎぼむす』の “良さ” だったのでは?… と、思う。
「連ドラの続編」としては、ある程度は正しいが、『ぎぼむす』初見の視聴者には、ハードルが高過ぎた…
但し、悪い部分ばかりではない。例えば好感が持てたのは、前作から時間経過をしているための “穴埋め” をきちんと盛り込んだ点だ。まあ、本作のファン向けのサービスシーンでもあるわけだが。
やはり、つくり手が本気で、前作と今作の “穴埋め” をするなら、亜希子(綾瀬はるか)の現在をもっと丁寧に描くべきだし、良治(竹野内豊)との出会いのきっかけについても、誰が見ても納得できるように作り込むべき。
そして何より、義母の亜希子、娘のみゆき(上白石萌歌)、みゆきの父である宮本良一〈享年46〉(竹野内豊)の関係、当然、麦田たちとの関係も、もっと丁寧に描写すべきだった。
要するに、今作は、「連ドラの続編」としては、ある程度は正しい。でも、今作、いや『ぎぼむす』を初見の視聴者には、全く分からないとまでは到達しなくても、満喫するには “ハードル” が高過ぎたと思う。
見たいのは『義母と娘のブルース』でしか描けない世界観なのに…
また、私は『ぎぼむす』と言うドラマのコンセプトが好きだから、“続き” を見られたことには、納得しているし、連ドラ時代からスペシャルを通して続く “壮大な連ドラ” の “一つの過程” としてのエピソードとしては、間違っていないと、言い切れる。
ただ、やはり、私を含めて(恐らく)ファンと言うのは、【2022年謹賀新年スペシャル】なんて、大々的なサブタイトルが付こうが、見たいのは飽くまでも『義母と娘のブルース』そのものでしか描けない世界観だと思う。その意味で、“義母と娘” に関する描写が少な過ぎたのは、本末転倒であると、ファンだから言いたい。
ここで、敢えて言う。やはり、こうやって、全体を考察してみると「私が見たかったのは、これじゃない!」と、なってしまうのだ。
ファン以外が理解するにはハードルが高い話は、シンプル・イズ・ベストに限る!
短い感想にするつもりだったが、長くなってしまったので、もう少しお付き合いして頂きたい。
そもそも(あっ、言っちゃった)、放送時間が長過ぎる。長くても必要なら納得するが、不要な紆余曲折、「また?」と思ってしまうような堂々巡りの描写が多過ぎて、話がこちらに伝わりづらい(「伝わらない」とまでは、言わない)のだ。やはり、前述の通りに、「ドラマは、引き算が大事」なのだ。これは、脚本も演出も演技も、同じこと。
ここまで、ファン以外が理解するにはハードルが高い話は、シンプル・イズ・ベストに限るのだ。
『ぎぼむす』の設定と世界観に、ここまで"凝ったエピソード"は似合わない!
でも、私はファンだから、援護もする。「企業モノ」として割り切れば、悪くない。『ぎぼむす』の設定を活用して、創意工夫して “懐かしさと、目新しさの両立” を目指したに違いない。それは理解する。
しかし、それが、本を見終えた “読後感” とか、映画を見た後の “余韻” の類として、「面白かった。見て良かった」と思えるかどうかは、話は別だ。やはり、私は、『ぎぼむす』の設定と世界観に、ここまで “凝ったエピソード” は似合わないと思う。基本設定の身の丈に合ったエピソードを持って来るべきだった基本設定の身の丈に合ったエピソードを持って来るべきだったと思う。
いくら、大人の事情で放送尺を長くして、視聴率などを稼ぐとしても…
あとがき(その1)
どうしても、TBSの営業的事情で「2時間30分」が必然目標なら…
「2年の時間経過」を、とことん有効利用して、まず <“今作までの経緯” を、ファンが楽しみにしている “回想シーン” を織り交ぜながら、上げ底するなりして、割り増して、プラスアルファ感を創出し、「中身は見てのお楽しみ」的な “福袋” のようにした方が、シンプルで多くの人が納得できるスペシャル版になったのでは? と思います。
そう、『相棒・元旦スペシャル』の感想でも書いたように。普通を普通にやるだけ良いと思いました。
あとがき(その2)
そして、最後に。決して、面白くなかったわけではありません。ただ、『ディレクター目線blog』的なアプローチで、今作を分析すると、「初めて見る人には、分かり難い設定」であり、「ファンにとっては、共感しづらい内容」であり、一体、TBSは、どちらの視聴者層にターゲットを絞ったのか良く分かりませんでした。
なぜなら、日本には「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言う諺があるですから。やはり、「人の死の扱い扱い方が上手くないドラマ」と「引き算が出来ないドラマ」は、どんなに事前の人気があっても、蓋を開けるまで分からないと言うのを、再認識した次第です。
それでも、また「続編」があれば、見てしまうのがファンの性(さが)なのですが(笑)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16425/
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