恋です!ヤンキー君と白杖ガール (第10話/最終回・2021/12/15) 感想

日本テレビ系・新水曜ドラマ『恋です!ヤンキー君と白杖ガール』
公式サイト:Website、Twitter、Instagram
第10話/最終回『良かったんじゃない。みんな、幸せで。ちょっとみんないい人過ぎて世の中はそんな甘くないんだろうけどこんなドラマだからこそ、いちいち世知辛い描写なくていいんだ。』の感想。
なお、原作の漫画・漫画・うおやま『ヤンキー君と白杖ガール』は、未読。
ユキコ(杉咲花)と森生(杉野遥亮)の別れから1年。ユキコは盲学校を卒業し、食品関係の会社で事務の仕事を始めていた。一方、再び無職になった森生は鹿児島から東京に戻って来ていた。そんなある日、仲間内の意外な2人が結婚することになり、その結婚パーティーでユキコと森生が顔を合わせる機会が訪れる。しかし、ユキコが別れを決めた本当の理由を知った森生は…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・うおやま『ヤンキー君と白杖ガール』
脚本:松田裕子(過去作/花咲舞が黙ってない、東京タラレバ娘、正義のセ、レンアイ漫画家)
脚本協力:室岡ヨシミコ 第6,7,8,9.最終話
演出:内田秀実(過去作/あな番、ウチの娘は、彼氏が出来ない!!) 第1,2,5,8,最終話
狩山俊輔(過去作/フランケンシュタインの恋、高嶺の花、俺のスカートどこ行った?) 第3,4,7,9話
今和紀(過去作/サムライカアサン) 第6話
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリース、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド、ナイト・ドクター)
主題歌:JUJU『こたえあわせ』
大好きなドラマだから、「すご~く素敵で良かった部分」と「がっかりした部分」の両方を本気で書く!
本作を最初に見た時から、大好きなドラマで、私が求める「先が見たくなる連ドラ」にもなっている。いわゆる、私の “惜し連ドラ” では、今期でトップクラスに入るドラマ。だから、正直に感想を書こうと思う。
なぜ、このような “言い訳” じみたことを、感想の冒頭で読者さんたちに断っておく必要があるのかと言うと、「すご~く素敵で良かった部分」と「がっかりした部分」の両方が存在するからだ。もちろん、褒める部分だけを書くのは簡単だが、やはり、読者さんを喜ばせるために書いている感想ではないので、あくまでも本気で書こうと思う。
"白杖"は、ユキコのファッションやアクセサリーではない!
と言うことで、最初は「がっかりした部分」について。
ハッキリ言うと、あの “白杖” が、演出上では、ユキコ(杉咲花)の “日常的な持ち物の一つ” になってしまったこと。
こう言う表現は適切でないかもしれないが、このドラマにとっての “白杖” は、ファッションやアクセサリーの類ではなく、ユキコが視覚障害者であることの、ある意味で “象徴” であり、“個性” であり、ドラマとしての最大の “本作らしさ” を表現するアイテムだ。
そこを強調せずに最終回を構成してしまったので、正直 “普通” になってしまったのが、残念なのだ…
今は、コンプライアンスの時代だから…
思えば、数話前から “白杖” と言うアイテムを強調しないで、と言うことは “本作ならではの設定” を活かした部分が減っていた。まさか、クレームでも入って、肝心な “設定” を抑えめにした脚本と演出に変更し、普通のラブコメにした可能性はゼロでない。今は、コンプライアンスの時代だから。
"設定"を"強調し過ぎない"ように、途中から少し改変したと信じている…
でも、もしも、「クレーム対応」が本当なら、いや、本当であっても、もっと、つくり手として矜持を持ち、自信を振りかざして、最後の最後まで、ユキコが視覚障害者であることと、森生(杉野遥亮)が外見でヤンキーと判断されてしまう差別に困って生きる人として描き…
その上で、本作の初期の頃のような、それぞれ背中に何かを背負っていても “同じ “同じ人間” であり、相思相愛の関係にだってなれることを、描き切って欲しかった。恐らく、本作のスタッフなら、上からの指示で、視聴率に配慮して “強調し過ぎない” ように、少し改変したと信じているが。
壮大で広大なメッセージが、最後の最後に込められていた
この上までが「がっかりした部分」で、ここから下が、「すご~く素敵で良かった部分」。良い部分もたくさんあった。だから、良い部分を書くと「がっかりした部分」より遥かに多くなるから、まず、「すご~く素敵で良かった部分」を簡単にまとめておく。
それは、「がっかりした部分」と隣接したエリアにあるのだが。要は「一人では出来ないことも、相手を思う気持ちがあり、自分の立場を自覚した人同士なら、外から見ると無理だと思えることも、パートナーなら、そのパートナーでしか作れない世界が広がるってこと。
そして、それは、障害を持っている人に限った話ではないと言う、壮大で広大なメッセージが、最後の最後に込められていたと思う。だから、ここが “設定” が無くても描けてしまうのではないのか? と言うのが私の考え。
本作で描くのは、「ユキコと森生」、「青野と空」だけで良かった
それでは、最終回を含めた全10話の感想のまとめを。やはり、本作で描くのは、「ユキコと森生」、「青野(細田佳央太)と空(田辺桃子)」だけで良かったと思う。
特に今作では、脚本協力の室岡ヨシミコ氏がスタッフに加わる以前の第4話までは、特に「ユキコと森生」のタイトル通りの “ヤンキー君と白杖ガール” を、丁寧に、且つ、斬新に、自信を持って描いて来た。しかし、第5話から、視覚障害者以外の脇役たちのパートがどんどん増えて、結果的に私にとっては相当に “普通” になってしまった。
"白杖"と"本作ならではの設定"を活かし続けて欲しかった…
この最終回だって、「ユキコと森生」、「青野と空」のパートと同程度に、他の脇役のパートの方が描かれた。いや、“ドラマ” としても、“脇役パート” も、悪いとは思わない。むしろ、前述した「障害を持っている人に限った話ではない」と言う部分では、必要なエピソードなくらいだ。
ただ、第4話までの秀逸な放送回を見た後では、見劣りまで言わないが、物足りなさを感じたし、何より “普通” になってしまったのが残念でならない。
やはり、「人間、みな一緒」と言うことと、「ユキコと森生たちが、みな一緒」であること」を描くのは、似てはいるが、全く違うことだから。しかし、第5話から回を重ねる毎に、「人間、みな一緒」の方向へ軌道修正してしまった。そう、やはり私としては、“白杖” と “本作ならではの設定” を活かし続けて欲しかった…
あとがき(その1)
何度も書いて恐縮ですが。本作に期待し、大好きなドラマだから、最後に、もう一度書きます。「人間、みな一緒」と言うことと、「ユキコと森生たちが、みな一緒」であることを描くことは、絶対に似て非なることです。そこが、中盤からブレたのが本当に残念でした。
あとがき(その2)
でも、「全員がハッピーエンド」と言うのは、良かったです。それは、今の現実が世知辛い世の中で、フィクションの世界だから描くことが出来る “いい人ばかりが存在する、私が目指したい世界” が描かれたからです。
その意味でも、このドラマを推薦し、多くの読者さんたちと、ドラマの感想を共有できたことも、しあわせなひと時でした。ありがとうございました。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16359/
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