連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第33回・2021/12/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第33回/第7週『1948-1951』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
1951(昭和26)年。るい(古川凜)は7歳になり、小学校入学の準備をしています。るいが入学する小学校の制服は、雉真繊維が製造することに。経営状況も順調で、勇(村上虹郎)はすっかり頼もしい跡取りでした。また、安子(上白石萌音)も、たちばなを立て直す決心をした算太(濱田岳)とともに行商に出向く日々です。それぞれが順調に進み始めたかに思えたやさき…千吉(段田安則)が勇を呼びだし、とある提案をします。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
アバンタイトルで、娘るい役の変遷の歴史をさり気なく…
さて、今回は前回の感想で書いた “物足りなかった部分” や “やや描写不足に感じていたところ” が、かなり補足されて、とてもいい感じに仕上がっていた。
まず、アバンタイトルで娘るい役の変遷の歴史をさり気なく。特に大きいのは、第23回から娘るいを演じていた中野翠咲ちゃんから、古川凛ちゃんに交代していること。
娘るいは、1944年生まれで、主題歌明けの部分で小学校入学を強調していたから、恐らく、劇中の今は、美都里 (YOU)が亡くなった1949年の翌年、1951年初頭だろう。映像からは、クリスマスも正月の気配も感じられないし、衣装が冬服だからだ。
さり気ない"気遣い演出"が出来るのが、先週の演出家と違い
それにしても、安子(上白石萌音)の娘るいは、0歳児から数えると、なんと今回で10人目。とは言え、前回までの “初めて喋った娘るい” を演じた中野翠咲ちゃんと、今回からの古川凛ちゃんへのスムーズな交代と違和感の無さが、本作のキャスティング時点での力の要れ様が分かる。
前回と見比べると分かるが、完全に別人(当然だが)なのに、アバンタイトルのおかげで、す~っと切り替わった。この辺のさり気ない “気遣い演出” が出来るのが、先週の演出家と違うところ。
今週、特に、今回を見た限りでは、照明演出のやり方から、メイン監督の安達もじり氏が相当に手を入れて演出しているようだから、週末まで安心して見られると、期待している。
前回でなく、今回でロバートを巧みに利用するとは!
そして、10分頃。前回の感想で、「もっと、ロバートを活用すべき!」と,大人げなく熱弁を振るったが、大阪の進駐軍から雉真繊維野球部と試合をすると言うエピソードが盛り込まれた。
こののちに、ロバート・ローズウッド(村雨辰剛)が、大阪と岡山を行き来していると言っていたから、明らかに “ここでロバート” だ。多少の時間差は気にしない。問題は、脚本家が、ロバートと言う進駐軍と安子を引き合わせた理由が、単純に「戦後だから」ではなく、「全体の流れから計算した必然性」によるものだと言うこと。
その後の、喫茶店でのシーンでも、やや物足りなさはあるものの、前回の感想で書いた、一定の “親睦” や “コミュニケーション” が描かれた。これによって、先週は当然、今週も前半は “雑さ” が残っていたが、今回の進駐軍からの野球試合の申し込みで、まだまだ、脚本家に落胆するのは早過ぎると感じた。
【今回の重要なエピソード その1】母の安子から娘るいが「ひなたの道を」の"なれそめ"を聞いたこと
また、ロバートの一件に続いて。いや、それ以上に、今回で重要なエピソードは、11分過ぎから、母の安子から娘るいが、「On the Sunny Side of the Street(邦題:ひなたの道を」のレコードをBGMにして、亡き父・稔 (松村北斗)との “なれそめ” を聞いたことだ。それも、いい感じで、稔の回想シーンを挟んで。
【今回の重要なエピソード その2】娘るいが、ロバートと"初の英会話"をしたこと
また、タイミングとして褒めたいのは、愛聴していたラジオの「カムカム英語」が終わってしまうと言う知らせを知って、その流れで、娘るいが、ロバートと “初の英会話” をしたこと。
これで、数日、表に出てこなかった、「ラジオ」や「英語講座」が描かれ、正に、正しく軌道修正されて感じた。1~2分間の短い尺だったが、本作にとっても、親子の繋がりを英語で描いた貴重なエピソード。「土曜日版」にも、是非ノーカットで残して欲しいシーンだ。
月/火曜の感想の"辛辣さ"の裏には、常に"不安"が伴っていたのだ
さて、常連の読者さんたちは、さぞ、月曜日と火曜日の辛辣な私の感想に、嫌な思いや異論があったに違いない。しかし、それらは嘘ではない、本心だ。しかし、その “辛辣さ” の裏には、常に “不安” が伴っていたのだ。
やはり、演出家が交代するだけで、作品全体の雰囲気が変わってしまうことは、先週で多くの読者さんも体験したこと。だから、いくら、今週がベテラン演出家の「二人体制」で、そのうちの一人が、メイン監督の安達もじり氏でも “完全な安心” は無いと思ってみていたから。事実、月と火曜日は “不安” があった。
初期の頃の演出の "丁寧さ"と "気遣い"” が戻ってきた!
しかし、今回を見た限りでは、初期の頃の演出の “丁寧さ” と “気遣い” が戻ってきた。もちろん、ベテラン演出家の「二人体制」のおかげだろう。
脚本が “ややピンポイント化(箇条書きとは違う)” しているのを、照明の美しさと、それによる奥行き感で深みを出し、更に(恐らく)シーンの順序も編集で変えて、演出で “流れ” を円滑にしようとしている気がするのだ。
例えば、算太(濱田岳)と女中・雪衣(岡田結実)とのやり取りは、明らかに脚本の台詞としても不自然だから、15分間の中盤にまとめて、肝心な「安子、娘るい & ロバート」と「稔の安子への思い」は、終盤の4分程度にギュギュっと凝縮した編集なんて、演出家による裁量だと思う。
女中・雪衣の"演出的な魅せ方"が、まだ不安定なのは、脚本が雪衣を積極的に描かないから
なぜ、そう感じるかと言うと、女中・雪衣の “演出的な魅せ方” が、まだ不安定なのだ。その理由は、脚本が雪衣の立場や心情を、まだまだ積極的に書いていないから、演出で違ったキャラに作ってしまうと、後からの修正が面倒だから。だから、今回は中盤に持って来て、意図的に “曖昧” に描いたと思う。
と言うことは、先週の演出家は別にして、まだ、安達もじり氏と橋爪紳一朗氏は、脚本をしっかり読み込んで、可能な限りに不自然な書き込みは映像化せず、必要最小限の部分を上手く強調しながら、あくまでも “普通” に描く。
それは、騒動や事件や死だけでに及ばず、しっかりと登場人物たちのやり取りにも “普通” が活かされていることからも分かるのではないだろうか。
あとがき(その1)
先週の演出担当の二見大輔氏と、今週の二人の違いや差は、ほんの僅かなことなんです。照明の色とか角度、カメラアングル、登場人物の喋り方や立ち振る舞いなどの、ちょっとした “変化” なのです。
しかし、私たちは約1か月間で沁み込んでいる “何か、一種の慣れ” みたいなものがあって、それと違うと違和感になってしまう。そこが、演出の難しさだと思います。
あとがき(その2)
特に、今作は、時間経過が速いため、特に「一種の慣れ=連続性」には、敏感になっています。そこを “違和感” を覚えさせず、しっかりと “連続性” として信頼させる “丁寧さ” で処理していくのが演出力。私は、今週の火曜日と水曜日の違いを見て、「もっと出来る」と確信めいたものを感じました。
最後に、いつものおまじないを。明るくなぁれ、楽しくなぁれ…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16357/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
26 27 28 29 30 土
第7週『1948-1651』
31 32
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