連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第30回・2021/12/10) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第30回/第6週『1948』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
ロバート(村雨辰剛)に招かれ将校クラブに立ち入った安子(上白石萌音)。これまでの人生で見たこともないけんらん豪華な会場の空気に圧倒されてしまいます。稔(松村北斗)の命を奪った国の豊かさを前に呆(ぼう)然と立ち尽くすばかり。そんな中、会場にシンガーたちの歌声が響き渡ります。アカペラコーラスに聞き入る安子は、いつの間にか涙を流していました。そうして、ロバートは安子をこの場へ連れてきた意味を語りはじめ…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
まえがき
前回の感想で、今週初めから、本作に対して、「新章に入ってから、演出以上に脚本が雑になった」と愚痴を書いたら、コメントの類が減りました… と、書きました。
そして、そんな中でも、当ブログの意見に賛同して下さり、コメントを送って下さる、本作を、ドラマとして、連ドラとして、朝ドラとして、毎朝を楽しく、毎日を明るく過ごさせてくれる作品として、まだまだ大いに期待している読者さんが、<私意外>にも大勢いることに感激すらしている… とも書きました。
実は、ここ数日、個人的なことで、当ブログの存続を含めた人生設計を妻とやっていたので、ついつい、いろいろな読者さんに対して、気配り出来ない投稿やコメント返信があったことをお詫びします。
今は、何とか解決に向かっているので、「急にブログ閉鎖」はありませんので、ご心配なく。と言うことで、今回も、PV(閲覧)数の増加や、読者さん取戻しなど考えないで、本音で感想を書こうと思います。
感想の冒頭は、少し砕けて始めようと思う
まず、今回の感想は、かなり「戦争」と「夫婦」と言うキーワード(私の場合は「将来設計」と「夫婦」ですが)について、深く掘り下げないと、今回の本当の部分を解釈するのは困難だと思う。従って、かなり手厳しく、シリアスな感想になる。だから、感想の冒頭は、少し砕けて始めようと思う。
ロバートが英語を話せる少女を拉致しているように見えちゃう(苦笑)
今週の脚本と演出、特に脚本に比重が掛かっている “雑な展開” の一つが、《とにかく、主人公の気持ちを描けば良い》と、勘違いしている点だ。その良い例が、今週の途中で突然に登場した米軍将校・ロバート(村雨辰剛)の存在だ。
確かに「時代の説明アイテム」としての役割として、ある程度必要なのは納得できる。やはり「戦後の日本=進駐軍」のイメージは強いし、簡単だから。
しかし、問題は(表現が難しくて困る)、脚本がストーリーを進めるために、英語がそれなりに話せる少女に偶然出会って、「おはぎを買うこと」を条件に、将校クラブへ拉致したように見えてしまったことなのだ。もちろん、拉致などしていない(苦笑)
登場人物が主体でない「弱い物語」化の推進役がロバート
しかし、先日の感想にも書いたが、「新章」以前は、明らかに “主人公の言動” がストーリーをけん引して行くと言う理想的だった「強い物語」の脚本と、それを的確に支える演出のコンビネーションがあった。
しかし、先週末あたり、そう、娘るい(中野翠咲)が言葉を喋りだした頃(これを私は最近「ヒロイン二人体制」と呼んでいる)から、“この先の展開” がストーリーをけん引している、登場人物が主体でない「弱い物語」化が進んでいる。その代表格がロバートだ。
ロバートと安子が、今回のような関係になるなら、もっと丁寧に出会わせるべきだった
ロバートと安子が、今回のようにまで、「戦争」や「夫婦」について語り合う関係になるのが、最初から分かっていたなら、なぜもっと、出会いのきっかけを含めて、もっと「戦後」であることを丁寧に描写する中で、安子(上白石萌音)とロバートを出会わせなかったのか不思議でならない。
実際、安子とロバートについては、水曜日で花売りの行商の女性と出会い、木曜日で拉致(おっと、招待)され、金曜日でーパーティーと、3日間も尺を割いている。放送時間を多く使っていることが “雑” なのではない。雑なのは、花売りの老女が英語で困っているところを安子が助けることと、今回の15分間がつながって見えないことなのだ。
両方をある意味で欲張り、ある一方で描かないから、不可思議な出会いから会話劇になった
せめて、あの花売りの老女からも、ロバートがパーティーの花を仕入れて、怖がらせたお礼に彼女を招待するとか。逆に、ごく普通に和菓子を行商中の安子に「これ、何ですか?」と声かけしてであっても良かった。
その両方をある意味で欲張り、ある一方で描かないから、不可思議な出会いから会話劇になったのだ。まあ、拉致ではないから、来週には将校クラブから安子は帰ってくると期待するが(苦笑)
絶対に言っておかなければいけない"脚本の雑"が"2つ"ある!
もう一つ、これは絶対に言っておかなければいけない “脚本の雑” がある。それは、大きく分けて、二つある。一つは「安子のアメリカへの思い」。もう一つは、「英語を勉強することの難しさ」だ。
安子は、アメリカと言う"国"より、"アメリカ的思想"で(アメリカン・ドリームもあったかも?)、稔と強い繋がりがあるのだから…
一つ目に関しては、相当に好意的に解釈すれば、美都里 (YOU)の「“敵国” 発言」で代弁されているとも、受け取れなくもない。孫るいへの執着心を含めて。しかし、同じ身内を失ったもの同士とは言え、美都里は長男と最高の跡継ぎを、安子は夫と娘るいの父を失っていると言う、歴然とした違いがある。
更に、安子に関しては、アメリカと言う “国” と言うより、“アメリカ文化” や “アメリカ的思想” で、稔(松村北斗)と強い繋がりがあるのだから、やはり、安子は安子で「安子のアメリカへの思い」は、しっかりと印象付けるように描写すべき。前回での流暢な演説でなんか、到底表現できない “繋がり” を描くべきなのだ。
そこを蔑ろにするから、ひょいひょいとロバートにくっ付いて行って、パーティーを楽しんでいるように映ってしまうのだ。
安子にも"本気"で"稔を奪った敵国"と言う気持ちがあるならば…
なぜ、そう映ってしまうのか? 答えは簡単だ。
もしも、安子にも “本気” で “稔を奪った敵国” と言う気持ちがあるならば、 美都里と話し難いかも知れないが、千吉 (段田安則)や勇 (村上虹郎)とのやり取りの中で、もっと「安子のアメリカへの思い」を描いても良かったのでは? だって、雉真の家族だって、安子と同じ “被害” や “苦悩” や “心の傷” を背負っているのだから。
必要なのは、安子の"繊細さ"や"必死さ"であって、流暢な英語やスピーチ大会ではない!
しかし、今作は、そう描かなかった。美都里が稔の戦死によって “異常になった” ような表現で胡麻化した上に、朝ドラお約束だからか知らないが、不自然な “嫁と姑問題” にすり替えた。これによって、益々「安子のアメリカへの思い」を描く “尺” が無くなったのだ。そう、描きたいことは何となく理解できる。でも、理解はできるが、雑なのだ。
必要なのは、安子の “繊細さ” や “必死さ” であって、流暢な英語やスピーチ大会ではない。描くべき部分、注力すべき部分が間違っているのだ。そう言う意味をひっくるめて、今週の脚本と演出家は “雑” だったと言わざるを得なくなるのだ。
本作の企画意図から察しても、きちんと描くべきことは…
だって、この私、以前は世良公則さんのソロライブに通っていた程に、大好きな世良さんのラストの熱唱に感動しつつも。心のどこかで、「安子って、娘るいを女中に任せたまま、進駐軍のパーティーに行ってるの?」って思ってしまったくらいだから。
いくら、学帽を被った稔が出ようが、思い出の曲を聴いて涙ぐもうが、本作が描くべきは、そう言うことでは無いのでは?
やはり、本作の企画意図から察しても、きちんと描くべきは、「安子のアメリカへの思い」と、「英語を勉強することの難しさ」であり、そこへ、どちらの “きっかけ” をくれた稔への思いを重ね、「二人の愛娘るいの未来」だと思う。そこへ、「ラジオ英語講座」を絡めなければいけないのだから、簡単な朝ドラではないのだ。
あとがき(その1)
娘るいが、ワンシーンも登場しないのに、これですもんね。これで、るいが喋り始めたら完全に「ヒロイン二人体制」になるのすよ。やはり、ここは、脚本に期待するより、全体を丁寧に描写する演出の必要性と、脚本の無駄を省く編集と、脚本・演出・編集を補強と補完するナレーションに頑張ってもらうしかなさそうですね。
あとがき(その2)
それと、今回のラストでの「♪On the Sunnyside of the street」の使い方は安直だと思いました。確かに、視聴者を胡麻化して、お涙頂戴エンディングにするのには手っ取り早いですが。
いくら、安子とロバートが戦死したパートナーの話をしているシーンだとしても、安子とロバートにもパートナー以外の家族もいたはずで、その亡き家族への思いを女性コーラスの「♪きよしこの夜」だけにインサート(挿入)したのでは、ホームドラマとして物足りなかったです。
あとがき(その3)
やはり、来週は、未だ行方不明の算太(濱田岳)に登場してもらって、起死回生、元に戻す起爆剤になってもらうしかないかも? 今週は、若干、暗雲が立ち込めましたが、まだまだ最初の1か月の頃の楽しい『カムカムエヴリバディ』に戻ると期待しています。明るくなぁれ、楽しゅうなぁれ…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16338/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
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第3週『1942-1943』
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第4週『1943~1945』
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