連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第29回・2021/12/9) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第29回/第6週『1948』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
12月25日。街には、サンタクロースの格好をした進駐軍の米兵たちがお菓子を配り、子どもたちや親子連れを楽しませていました。この日も安子(上白石萌音)はおはぎの行商をしていますが、クリスマスの盛り上がりの前に、当然売れ行きはよくありませんでした。途方に暮れる安子の前に、先日助けた米軍将校・ロバート(村雨辰剛)が再び現れます。安子はロバートに招かれ、進駐軍のオフィスでロバートと話をすることに…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
まえがき
月曜日の感想で「演出家が交代して、全体の雰囲気が変わり過ぎたのに驚いた」と書きました。
更に火曜日の感想で「『新章」になって、明らかに「強い物語」から、“この先の展開” がストーリーをけん引している、登場人物が主体でない「弱い物語」化が進んでいる」と、本作に期待をしているからこその苦言と意見を書いたら、コメントの類がかなり減りました。
しかし、そのことを後悔していません。むしろ、本作を最初から、「好きな人が出演している朝ドラだから」とか「時計代わりだから」を理由に見ているのではなく、ドラマとして、連ドラとして、朝ドラとして、毎朝を楽しく、毎日を明るく過ごさせてくれる作品として、まだまだ大いに期待している読者さんが、<私意外>にも大勢いることに感激すらしています。
ですから、今回も、PV(閲覧)数の増加や、読者さん取戻しなど考えないで、本音で感想を書こうと思います。
アバンで"ラジオ"をしっかり画面に登場させたのは良かった
今回のアバンタイトルは良かった。コンパクトに「クリスマスイーヴ」の解説を入れながら、安子(上白石萌音)と娘るい(中野翠咲)で一緒にラジオ英会話を聴くシーン。季節、時間は当然のこと、各登場人物たちの「クリスマスイーヴ」を描きながら、自然に進んで行った。
やはり、大人の事情とは言え、既に「ラジオ放送の100年史」を描くことと、その「ラジオ放送の最初の放送が『英語講座』だった」のは事実だから、ここは “ラジオ” をしっかり画面に登場させたのは良かった。
最低限、アバンタイトルは、これ位に気分よく迎えて欲しいものだと再認識
また、今週になって乏しくなっていた “母と娘のやり取り” が、「カムカム英語」を通して描かれたのも良かった。更に褒めれば、字幕で「クリスマスイブ」ではなく 「クリスマスイーヴ」と表記されていたのにも、字幕製作者(脚本家も?)の気遣いが伝わって来た。
また、英語の先生・平川(さだまさし)の声で、「私たち カムカムの赤ちゃんは 毎日 辺りへ 幸福をまき散らしているんですから 自分も幸福なわけですね」のセリフは、何となく、私たちの気持ちも乗っかっているような気分になって嬉しくなった。やはり、最低限、アバンタイトルは、これ位に気分よく迎えて欲しいものだと再認識した。
アバンタイトルの中に、美都里が敵国の言葉だから… まで盛り込んできたのは残念
ただ、残念なのは、僅か1分程度のアバンタイトルの中に、美都里 (YOU)が敵国の言葉だから… まで盛り込んできたところ。普通に、平川の「クリスマスイーヴ」の意味だけで終わらせて、シリアスな展開は、主題歌明けに繰り越したら良かったと思う。
だって、アバンでシリアスな部分のイントロを、娘るいの母への “疑問(問いかけ)” と言うかたちで始めてしまうには、もっと、安子の稔 (松村北斗)が戦死したことへの思いだって、るいに対しての美都里たちの “雉真の子” だと言う気持ちも、事前に描いておくべきだと思うから。
月~水曜日に尺を作って、敵国や英語に対する安子や雉真家の人たちの心情は描いておくべきだった
と言うのも、安子と娘るいが、現状、雉真に間借りして、昼間の安子は行商で、るいは女中・雪衣(岡田結実)に面倒を見てもらわざるを得なくなった理由が “戦争” なのだから、やはり、幾ら時間がないと言っても、それなりの放送尺を割いて、安子や雉真家の人たちの心情は描いておくべきだったと思う。
今からでは遅いが。例えば、るいと雪衣がやり取りする尺が取れるなら、アバンでの平川の解説の補強と補完と言う意味で、月~水曜日に尺を作って描いた方が、今回の “走馬灯” 風の描写が効果的に見えたと思う。
エピソードの順序が、最も人間関係にも影響を与えるのだからこそ…
やはり、好みの問題もあるが、<私>は、「ドラマは “後出しじゃんけん” に非ず」だと思っている。そうすべき作品もあるにはあるが、基本的には、特に「一代記」は、時間軸に沿って、細かいエピソードを積み重ねて、視聴者に各登場人物を知ってもらい、その上で描くべき “本質” のようなものが見えてこそだと思うから。
なぜなら、エピソードの順序が、最も人間関係にも影響を与えるのだから。そこを “後出しじゃんけん” で逃げるのは、単純に勿体ないし、間違っていると思うのだ。そう、「まずは時間軸に沿って徹底的に描くべきことを描け!」ってことだ。
今週になって時間の使い方が雑。もっと、限りある放送尺を有効利用して欲しい
主題歌明け、安子が行商するシーンがあった。「安子にサンタのコスプレをさせろ」とか「おはぎをクリスマス使用した方がいい」なんて、微塵も思わない。
むしろ、アバンで平川が必要十分に「クリスマスイーヴ」の米国、英語圏での日常を語ったのだから、岡山の「クリスマスイーヴ」の状況描写も、先日助けた米軍将校・ロバート(村雨辰剛)との再会シーンすら、ナレーションで済ませることが出来たのではないか? と、思うのだ。
それこそ、お互いの自己紹介のシーンなんて、前回の花の行商直後に挿入すれば済んだ話。これを、私は “良くない後出し” と言っているのだ。だって、本作には時間がないのだから、脚本家が積極的に重要な部分と、そうでない部分をきちんと精査して、順序良く並べるだけで良いのだ。
しかし、なぜか、先週末あたりから今回まで出来ていない。いや、正確に言えば “時間の使い方が雑” なのだ。もっと、限りある放送尺を有効利用して欲しい。
「油を売っている暇があるなら、おはぎゅう売れ!」状態なのでは?
そう書いた直後に、安子とロバートの世間話が始まる。単純に「要る?」って思う。ロバートが安子の英語に深入りする必然性もないし、安子は、先日の描写で大量の和菓子をリアカーと豆腐屋「水田屋とうふ」の店先で、娘るいの治療費稼ぎのために翻弄していたのに、息抜き?
「油を売っている暇があるなら、おはぎゅう売れ!」状態なのでは? ラジオや「カムカム英語」の話を盛り込めばいいってものではないような。更に、唐突に稔の思い出話。やはり、安子を応援したいが、「油を売っている暇があるなら、おはぎゅう売れ!」と思ってしまった。
4日間で、ここまで内容が"空疎"且つ、"希薄"で良いのか?
気が付いたら、今日は木曜日。そこで、今週で描いたことを簡単に整理してみる。
●安子と娘るいが、岡山の義理の実家・雉真家で生活
●岡山で、懐かしい人々に出会う
●行商中に、将校ロバートに出会う
この3つだけ。それを繰り返して、回想シーンを入れているだけでは? 確かに、今回の終盤でのロバートに語った「稔と英語の逸話」を描きたいのは理解するが。流石に、「週5放送」のうちの4回(4日)が、ここまで内容が “空疎” 且つ “希薄” だと、この先以前に、今週の「土曜日版」が気になる。一体、今回のどこが残るのか? って。
今週の脚本と演出は、「尺を割き過ぎているシーン」が、先週までより多めに感じるように作られている
そう思う理由は、簡単。今週の脚本と演出は、「尺を割き過ぎているシーン」が、先週までより多めに感じるように作られているから。繰り返し、時間の無駄遣い、回想シーンの多さで、大したエピソードでもないのに、強引に膨らませているのだ。だから、先月までより物足りないし、違いに違和感を覚えるのだ。
この先、どんな展開になるか分からないが。未だに行先不明の算太(濱田岳)でも登場すれば、起爆剤になるかも?
あとがき(その1)
個人的な好みと、私が演出担当だったらと言う大妄想の上で書きますが。12分頃、ロバートに対して、安子が感極まって、泣きながら流暢な英語で思いを吐露しましたが、あそこは、感極まっているのですから、日本語の方が良かったと思います。
ラジオ講座だけで、あんなに流暢に英語を話せるのはフィクションとしても、ドラマ、連ドラとして考えると、安子が英語で自分の気持ちをロバートに伝える意図すら分からなくなりました(好意的に解釈することは可能ですが)。何でも、やれば良いと言うものではないと思います。
あとがき(その2)
また、本作が、今後、安子から娘るいへ、そして、そのもっと先、どうなるか分かりません。しかし、「昭和から令和の3つの時代をラジオ英語講座と共に生きた祖母、母、娘の3世代のヒロインの一世紀(100年)におよぶ家族の物語をハートフルコメディーとして描く」(情報源)であることは、2020年7月28日にNHKから発表されているわけです。
だったら、少なくとも本作で最大限に描くべきことは、「昭和から令和の3つの時代」と「ラジオ英語講座と共に生きた祖母、母、娘の3世代のヒロインの一世紀(100年)」と「祖母、母、娘の家族のハートフルコメディ」であることは明らかです。今週、上記3つのうち、どれが描かれたのか? ってことです。
せめて、「安子と娘るいの絆」と「安子と娘るいの小さな希望や笑み」を見たかったです。明日に期待します。おいしゅうなれ、おいしゅうなれ… と。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16336/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
26 27 28
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