連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第27回・2021/12/7) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第27回/第6週『1948』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
安子(上白石萌音)は、幼なじみのきぬ(小野花梨)の力を借り、『水田屋とうふ』の一角に作ったおはぎを置かせてもらい、ささやかな商いを始めます。それはるいの額の傷の治療費を稼ぐ為でもありました。しかしある日、千吉(段田安則)からるいを連れておはぎを売り歩くことを反対されてしまいます。そうして安子は、留守の間るいの面倒を雪衣(岡田結実)に任せ、るいのため一つでも多くのおはぎを売るために奔走するのでした。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
前回で書いた「演出の宝探し」と、「脚本に僅かな"綻び"探し」をしてみようと思う
前回の感想で、今週の演出には「11種類」の、これまでの本作と異なる演出が施され、一見、別のドラマのように見えてしまった… と書いた。調べてみると、演出担当の二見大輔氏は、過去に朝ドラでは『半分、青い。』と『なつぞら』で、各1週分しか演出経験がないため、そう見えてのだと思う。
従って、前回では「演出の異なる点=宝探し」と例えてみたのを、今回の感想に取り込んでみようと思う。もちろん、脚本について、先週末あたりから “チラ見え” して来た “綻び” についても、触れていくつもりだ。
勇が"跡継ぎ"に決まったのに、ここまで るいを"雉真家の孫"として拘るのかが分からない
まずは、「脚本に僅かな “綻び” 探し」をやってみる。従って、本編の感想の序盤から、愚痴っぽくなるのをお許し頂きたいのだが。
ナレーションで明確に言っていたように、千吉(段田安則)は勇 (村上虹郎)を「雉真繊維」の “跡継ぎ” として認め、社長のそばで仕事を覚えさせている映像になっていた。だったら、なぜ、勇を “跡継ぎ” として認めた後も、いくら雉真家のメンツのためとは言え、るい(中野翠咲)は「雉真家の孫」として拘るのかが分からない。
時代と千吉の気性を鑑みれば、幼い女の子の るいを “跡継ぎ候補” に考えるのには無理があるし。急に堂々とした勇と、さげすまれた扱いを受けている “るい” を見ていて、違和感を覚えてしまった。
勇の見合い、結婚、子孫繁栄を、「勇の跡取り修行」と同時並行に描くだけで良いのに…
まあ、ドラマとして自然な流れに持ち込むのは、実は簡単だと思っている。
それは、勇にも見合い話が次々と舞い込んで、千吉と美都里 (YOU)が、一日も早く「正式な夫婦」として “跡取り” になり、更に孫を生んで、その孫を “勇の次の跡取り” にしようと、新たな希望とまでは言わないが、新しい人生設計をし始めていることを、「勇の跡取り修行」の一環として、同時並行に描くだけ。
それだけで、朝から、可哀そうなるいを見ずに済むし、それが、時代の変化の表現にもつながると思うのだが。なぜ、こんな簡単なことをしないのか? やはり、前回でも書いた「嵐の前の静けさ」の “嵐” のために、仕方が無いのかも知れない…
演出的に安子が牽いていたリアカーに積んであった和菓子の分量が多過ぎる!
“嵐” のために、仕方が無いのかも知れないなら、許容できても、ちょっと今回で許容不可能に近い演出があったから、そっちを注視しよう。
それは、安子(上白石萌音)が牽いていたリアカーに積んであった和菓子の分量。流石に、演出的に多すぎやしないかってこと。
だって、幼なじみの きぬ(小野花梨)の力を借りて、『水田屋とうふ』の “一角” に作った “軒先仮店舗” におはぎを置かせて貰うと言う「ささやかな商い」だから、家を出る時は風呂敷一つだったように見えた。事実、映像中の “軒先仮店舗” の在庫も、そんなに多くあるように映っていなかった。
大量の和菓子を、いつどうやって、るいの面倒を見ながら運んだのかと言う疑問も…
なのに、リアカーでの売り歩きを思いついた瞬間に、荷台に「これでもか!」と言わんばかりの和菓子を入れた箱が! 百歩譲って、実は風呂敷一つ以外に『水田屋とうふ』に置かせてもらっていたと好意的な解釈をする。
だとすると、今度は、リアカーで運ぶ程の大量の和菓子を、いつどうやって、るいの面倒を見ながら、早朝に雉真家から『水田屋とうふ』へ持って来たのか、理屈が合わない。確かに、以前「朝、おはぎ200個納品」をやっていたから、作る能力はあっても、運ぶ手段や時間は???
演出家の采配で、和菓子の箱を減らすなりの工夫をすれば良かっただけ
これも、演出家がリアカーに積み込む箱の量を少し減らすか、「リアカー販売」を思いついた翌日以降と言うナレーションでも、テロップでも入れれば、アッと言う間に不自然解消だ。
と言う訳で、今週の演出には、あまり期待しない方が良いと思う。脚本も、少しほころびが見えて来始めているから、今週は、「もっと自然になぁれ。もっと自然になぁれ」と小豆の鍋をかき回すしかなさそうだ。
本作が描くべきは「おはぎ」ではなく、亡き"稔と生きた証と絆"の「英語」では?
そして、今回の15分間で最大に良く分からないこと。
それは、もしも、今回のラストでの「米兵と安子が英語で会話をするシーン」が、明日から金曜日までのエピソード(内容は知らない)の “重要なきっかけ” だとしたら、アバンタイトルで、るいの額の傷を自分が稼いだお金で絶対に治療すると言う、安子の “強い意志” を描いたら…
主題歌明けに、『水田屋とうふ』での商売へ行く途中でも帰り道の途中でも良いから、るいと一緒にいる時に、米兵と偶然に遭遇するだけで良かったかも。いや、本作は時間がないのだから、『水田屋とうふ』で商売中に遭遇しても良かったかも知れないと言うこと。
もちろん、「リアカー販売」と言う “生き抜くアイデア” を描く意味があることは、十分に理解するが。やはり、本作が描くべきは「おはぎ」ではなく、亡き稔 (松村北斗)と “生きた証と絆” である「英語」だと思う。
あとがき(その1)
私の考え過ぎか、疑い深さが、そう感じさせているのか知れませんが。今回は、脚本は “やや盛り込み過ぎ” で、演出は “脚本に対する配慮不足” を感じてしまいました。
そのおかげで、細かな描写が場違いになって、折角、「糸巻き巻き、糸巻き巻き、引いて、引いて、トントントン!」と紡いで来たストーリーと言う、1本1本は細い糸を紡いだ“巻き糸” が解(ほつ)れてかけてきているように見えました。
あとがき(その2)
更に、私の勝手なアイデアですが。前回の安子とるいと勇のキャッチボールのシーンと、「安子は これまでと変わらない るいとの関係が いつまでも続くと思っていました」のナレーションの直後に、豆腐屋の店先なり、るいとの散歩の途中で、米兵に遭遇する(米兵を見かける)だけの “ワンカット” だけ見せるだけで良かったような。
そして、今日は「本物の “生” の英語を初めて聞いて感動する安子」から始めて、一気に『1948』年の進駐軍たちの日常(例えば、冬ならクリスマス)まで進んだ方が良かったかも知れません。そうすれば、感想の序盤で書いた、勇の跡取りのことも、リアカーの大量の荷物にも触れずに、進んだはずですから。
とにかく、「早う、元に戻れ。早う、元に戻れ」ですね。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16329/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
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6 7 8 9 10 土
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