連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第26回・2021/12/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第26回/第6週『1948』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
安子(上白石萌音)は、るいを連れて雉真家に戻ってきました。美都里(YOU)も孫の姿に顔をほころばせ、2人の帰りを快く受け入れたのでした。そして雉真家には女中の雪衣(岡田結実)が加わり、千吉(段田安則)と美都里(YOU)、勇(村上虹郎)と共に新たな生活が始まりました。大阪での苦しい暮らしから一変、不自由ない日常を手に入れたはずでした。しかし、安子の心はどこか大阪での日々を恋しく思う気持ちが出てきて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
演出家が交代して、全体の雰囲気が変わり過ぎたのに驚いた
まず、驚いたのは、第6週目で、演出家を本作初担当の二見大輔氏へ交代したこと。とは言え、演出家の交代は、朝ドラでは必ずあることだし、何より “岡山での新生活” を描く一週間のようなので、まあ、順当と言えば順当だ。
しかし、これまでの『カムカムエヴリバディ』が構築してきた “映像的な雰囲気” が変わり過ぎて、大袈裟に言うなら、別のドラマになったような感じすらした。とは言え、時代も以前とは変わっているから、好意的に見ておくことにする。
先週までの演出との違いの"ネタバレ"を書く!
では、これからネタバレを書く。従って、読みたくない読者さんは、2つ先の『"岡山での新生活"を描く週で演出家を変えたのは、意外に正解かも!?』の章まで飛ばして構わない(『章』のタイトルをタップ&クリックで飛びます)。そのネタバレとは、<私>が感じた、先週までの『カムカムエヴリバディ』の演出と違うところだが…
私は、ネタバレと言うより「宝探し」風に、以下に挙げた “私が感じた、今までとの違い” が、どのシーンのどのカットのことなのか、探して本作を更に楽しんで欲しいとの思いで書く。しかし、最近は、こう言う “遊び心” も「ネタバレだ!」と卑怯な【名無しの非公開コメント】で書く輩がいるから、最初に断っておく。
先週までの演出との"11種類"の違いを"宝探し"して欲しい…
で、探して欲しいのは、以下の11種類。何度も登場するものもあるから、気長に暇つぶしと「演出のお勉強」を兼ねて、宝探しをして欲しい…。当然、<私が基準>の違いだから、「そうは思わない人がいるのは当たり前のこと」だと理解出来る人だけで構わない…
●登場人物のアップの多さ
●フィックス(固定カメラ)の多さ
●フィックスのカットの長回しの多さ
●ダイアローグ・カットの多さ
(台詞を話している登場人物だのカットを中心に撮影し、編集する技法)
●雉真家の室内(スタジオセット内)の照明の明暗のメリハリの無さ
(単純に言うと、照明が全体的に “ベッタリ” して奥行き感が乏しい)
●雉真家の室内が全体的に暗め(照明による “日光” の入れ過ぎによる)
●雉真家の室内(スタジオセット内)から見える外の道や家の照明の粗さ
(以前は、きちんと植木などに照明が当たっていた)
●食べ物のアップの少なさ
●劇伴の選曲センスや無音の使い方
●屋外に建て込んだ路地のシーンは、ほぼ自然光主体で人工的な照明を強調しないため、太陽光が強過ぎて登場人物たちが暗めに映る
(ここでも、以前は植木などに照明が当たっていた)
●マイキング(収音マイクを置く位置や角度)
(木漏れ日の道を歩くシーンでは、台詞より引きずり歩く下駄の音が大きい)
撮影技法に関する演出、演技指導とカット割りに関する演出、そして、照明技法に関する演出の、大きく “3つ” に分類できるが、そこまで詳しく書くのは、今回はやめておく。
なぜなら今回は月曜日だから、「週5放送」の中で、「違うのは、どこじゃ? 違うのは、どこじゃ?」と念じながら、1つでも、2つでも見つかったら、それだけで凄いし、素晴らしいことだから。そう、「おいしゅうなれ」の気持ちで、5日間の宝探しを楽しんで欲しい。
"岡山での新生活"を描く週で演出家を変えたのは、意外に正解かも!?
しかし、「11種類も演出家で違いがあるなら、もっと違和感を覚えるのでは?」と言う質問が飛んで来そうだが、それは違う。理由は簡単。「11種類の演出の違い=演出家の個性の違い」だから。
どんなに、チーフ演出の安達もじり氏が「演出部全員」に “今作の演出の基準” を提示しても、人間には捨て切れない個性がある。いや、その “捨て切れない個性” こそ、演出家に必要なこと。だから、今週を描くのには、朝ドラ『マッサン』を担当した二見大輔氏が選ばれたと思う。
むしろ、違和感でなく、違いを楽しむくらいの気持ちで見るのが、安子(上白石萌音)とるい(中野翠咲)の雉真家を中心となるであろう “岡山での新生活” を描く第6週『1948』に相応しいと思う。
今回が「嵐の前の静けさ」であることは、ほぼ間違いない!
では、内容について。新キャラの雉真家の女中・雪衣(岡田結実)の登場や、美都里 (YOU)の安子への態度の違い、詳しく書かない “フラグ” の数々、ラストの “きっと何かが起こりそうな” 雰囲気たっぷりのナレーションを含めて、今回が「嵐の前の静けさ」であることは、ほぼ間違いないはずだ。
従って、久し振りの豆腐屋「水田屋とうふ」の看板娘だった水田きぬ(小野花梨)と安子、雉真家の人たちと安子とるいが、どうなるのか、静かに見守りたくなった第26回だった。
本作は、"ナレーションが少なく感じる"ように作られている
さて、演出の違い、内容と来たら、最後は脚本についてだ。まず、抑えておくべきは、基本的に、本作はナレーションが少なく感じるように作られていること(実際も、物理的に少ないが)。
その理由はいくつかあると思うが。1つが「逐次通訳方式」だから。ご存じの方も多いとは思うが。「逐次通訳」とは、例えば、日本語を話した直後に同じ内容の異国言語を喋る通訳のやり方。因みに、良くテレビなどの国際会議の映像で出席者全員がインカムを使って行うのが「同時通訳」。でも、今作のナレーションは前者方式。
従って、通常は2倍以上の時間が架かるのは、お分かりいただけるはず。だから、これまでの本作は、ナレーションが少なく感じるように作られていたのだ。
日本語だけのナレーションを活用して、もっと連ドラらしさを伝得る工夫を増やしたら良いと思う
例えば、時間経過を表現する際に、意図的に挿入して、「日本語から英語」で時代の変化を表したり。また、「何か変化が起こりそう」な雰囲気を醸し出すために使ったり。しかし、今回は、意外と言う程ではないが、ナレーションが多い回だったのは間違いない。それが、「これまでと違う!」と言うつもりはない。
むしろ、今回は、ラジオも「英語講座」も登場しないのだから、本作らしさを “補強” する意味でも、時間経過や場所移動を分かり易く視聴者に伝えるためにも、もっとナレーションを増やすことで、連ドラらしさが伝わったと思う。
例えば、なぜ、安子が左手にギプスを付け、るいが額に包帯を巻いているのか。その理由でさえ、ナレーションだけでなく、視覚障害の方向けの「副音声」でも説明が無かったのだ。こう言う、ちょっとした “気遣い” の積み重ねも、大きな物語の “うねり” と同様に必要だと思う。
あとがき
あまり、「逐次通訳方式」に拘らずに、日本語だけのナレーションを増やした方が、良いと思います。だって、これから、どんどん時代も変化するし、登場人物も増えては減って行くわけだから。
とにかく、今作が始まって、初めてサブタイトルが『1948』と “単年” となった月曜日としては、女中の雪衣を含めて、「嵐の前の静けさ」を見事に感じさせたと思う。あとは、今後の展開に期待します。早う、来週になぁれ。早う、来週になぁれ…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16325/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
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