連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第24回・2021/12/2) 感想 「早う、あしたになあれ」 ※修正と追記アリ

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第24回/第5週『1946~1948』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
1947(昭和22)年。米や砂糖、小豆など菓子作りの材料が少しずつ手に入るようになり、安子(上白石萌音)はおはぎやおまんじゅうを作って売り、るいとつつましく暮らしていました。カムカム英語は日本中で爆発的な人気を誇っています。倹約して買ったラジオから聞こえるカムカム英語は、安子とるいの毎日の楽しみでした。そして1年の時が経った頃…安子のもとにおはぎを毎朝200個仕入れて欲しいという依頼が舞い込みます
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん)
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
まさか、一気に時間経過をさせて、母と娘のやり取りを表現してくるとは思わなかった
前回の「あとがき(その3)」で、1歳児である、るい役のクレジットに「今井望鈴」と「永尾琉衣」の2名分がり、終盤に登場した「しゃべることが出来る “るい”」が、字幕で「水色」になり、 準主人公(強力な脇役)に格上げされたため、来週あたりから、安子(上白石萌音)とるいの “母と娘” のやり取りが増えて、これで益々「三世代100年史」を描く朝ドラとして、楽しみが増えます… と書いたばかりなのに。
前回の るい役は、クレジットタイトル上では「今井望鈴」と「永尾琉衣」とあり、今回は「中野翠咲」。まあ、最初から中野翠咲ちゃんが、「5歳の るい」を演じることは発表されていたが、まさか、週の後半の木曜日で、一気に数年間の時間経過をさせて、安子と るいの母と娘のやり取りを表現してくるとは思わなかった。
中野翠咲ちゃんが「3歳の るい」を演じていると好意的に脳内補完して問題クリア
だって、るいは、1944生まれで、劇中が1947年。何となく唐突な3年間の時間経過に若干の違和感を覚えるが、安子が19歳の時(1944年)に生まれた「5歳の るい」を演じる予定の中野翠咲ちゃんが、「3歳の るい」を “来週に先立って” 演じていると解釈すれば、何とかなる…
また、この類のことを本作に対して言い出すと、実はキリがないから、本作では「描くことが多い割に撮影時間がない」と意図的に無視して、好意的に脳内補完をしているから、今回も同じ処理で…
アバンのワンカット目で、季節が「初夏から夏」であることが分かる
さて、今回のアバンタイトルには、様々な情報や演出が盛り込まれていた。舞台は、早朝の安子の家。ワンカット目は、犬の遠吠えと、家の周囲に咲いているのは、白いユリの花。もう、このワンカットだけで、季節が「初夏から夏」であることが分かる。
アバンで見事に、"純潔の心"が成せる現実が見られるような期待感を創出!
また。ユリの花言葉は、結婚披露宴でも使用されるから「無邪気」・「清浄」・「自尊心」・「誇り」・「栄華」などがあることはご存じだと思うが、「白いユリ」の花言葉で一番有名なのが「純潔」だ。
正に、これまでは当然のこと、前回での親切者の主婦・澄子(紺野まひる)との “ご縁” から広がった「生きる糧」を得るための商売の話など、正に、安子が生まれた時から持ち合わせた “純潔の心” が成したこと。
そして、その象徴である「白いユリ」をアバンのファースト・カットに持ってくることで、更なる“純潔の心” が成せる現実が見られるような期待感を創出。ここにこそ、本作のアバンのファースト・カットを選ぶセンスの良さが際立った。
「起きて来た るいの目線」カメラで時間経過や成長を描く
そして、以前にも書いたが、本作の手持ちカメラでの撮影には、「意図的に強く手振れを効果的に活かしたカット」と「敢えて機械を使って、手振れをさせないカット」の2種類を使い分けている。
そして、安子の「おいしゅうなれ」と言いながら、鍋の小豆をかき混ぜるシーンが、妙に「引きの画」になり、それが、ユラユラと揺れ始めた。すると、そのカメラが、「起きて来た るいの目線」であることが分かる。
別に特筆するような演出ではないのだが、前回で始めて喋った(歌った)るいが、今回のアバンタイトルでは「お母さん」と言葉を話し、朝の挨拶が出来るまでに清涼したことを、その手振れカットで描いたことに意味がある。
そう、ここまで、一切のナレーションもなく、台詞も安子の「おいしゅうなれ」しかないのに、時間経過が映像だけで表現されていることに意味があるから取り上げた。ここも、映像で魅せる良いシーンだ。
るいの無邪気さが、和菓子店「たちばな」の栄華を予想させるようで、何とも気分が良い
更に褒めれば、僅か2分程度のアバンで、暖簾こそ違うが、和菓子店「たちばな」の “看板娘” が、安子からるいに代替わりしている。これは、冒頭で書いたユリの花言葉である、るいの無邪気さが、和菓子店「たちばな」の栄華を予想させるようで、何とも気分が良い。当然、衣装が夏服で揃えられていることは、書くまでもないが…
今回のアバンは、明るくして、一瞬暗くして、歌で焦らして、主題歌明けへ。計算無くしては出来ない構成!
そして、これは敢えて書くことでは無いかも知れないが。この明るく活気ある朝を切り取ったアバンから、主題歌の『アルデバラン』に繋げると、どうしても箇条書き風になる。
だから、それを阻止する工夫として、甲子園の野球と、安子親子を逃がしてくれた勇 (村上虹郎)への感謝を描いて、ほんのわずかだけ「明 から 暗」へ雰囲気を下げて、主題歌明けや終盤までの展開を “気にさせる” 手法は見事だ。明るくして、一瞬暗くして、歌で焦らして、主題歌明けへ。計算無くしては出来ない構成だ。
ラジオ越しに笑顔で歌う母と娘に、ほっこりさせられた
主題歌明けのファースト・カットもお見事だ。遠くでカラスが鳴いて、電柱の影が斜めになり、当たる日差しも夕暮れだ。そして、「たちばな」の店先の軒下には、おはぎが売り切れたことを表す「赤色の下地に、黒色の文字でおはぎ」と書かれた看板が、下がっていた。
これだけで、「夕暮れ」と「おはぎの売り切れ」を見せて、その裏にある、「たちばな」の “誇り” を持って一日、真面目に働いた安子と、看板娘とてお手伝いをしたるいが見えて来る。
だから、ナレーションの「安子は 倹約して」が身に沁みるし、「ラジオを買うことが できました」に拍手を送りたくなる。「努力は必ず実を結ぶ」だ。ラジオ越しに笑顔で歌う母と娘に、ほっこりさせられた。
「当たり前と、ありがとう」等の相反することが、同時に丁寧に嫌味なく自然に描かれた
さて。この調子で残りの9分の感想を書いていたら、大変なことになるので、掻い摘んで書く。
素敵な流れでラジオを手に入れてから、「カムカム英語」の番組へ繋ぎ…
日本人の日常を扱っていると言うテキストを、ありえないアニメーションで映像化し、その “ありえない” の延長線上に、ありえない「るいと稔の朝の風景」を織り交ぜながら、「安子が欲しかった でも 手に入れることのできなかった 家庭の姿がありました」で、“ありえない” を “あって欲しかった” へ、ナレーションで変換して補足。
現実と理想、事実と妄想、そして、私が読者さんに伝えたいのが「当たり前と、ありがとう」と言う、相反することが、同時に、丁寧に嫌味なく自然に描かれた。
劇中は、無事に「1948年の春」へ…
そして、7分頃。数か月後、春の日差しの下で、洗濯物を干している安子とるい。視覚障害をお持ちの方のための “副音声” で「数か月後、春の日差しの下」と解説が入っていたため、年が明けて、劇中は「1948年の春」になったと解釈するのが正しいようだ。
そして、その約8~9か月の時間経過だが、その間、安子とるいには大事件や騒動は起こらず、平和で幸せな日々が続いて来たことが分かるシーン。更に、「毎朝、おはぎ200個の大口注文」も舞い込んで来た。順風満帆な親子に、突然のるいの泣き声。でも、それも親切者の岡野店の人たちの優しさに助けられ…
とにかく、しっかりと「強い物語」になっている!!!
とにかく、しっかりと、主人公が物語をけん引して行く「強い物語」になっている。商売繁盛の更なる可能性を描きつつ、二人の未来の幸せの可能性も描きつつ、ありえない妄想と、楽しい思い出の自転車訓練など、バランスよく散りばめられた笑顔の帰り道では、更に「よもぎ」を使って食育や食文化を描いて、家賃のシーンなどでは躾も描いて…
朝ドラは、毎朝見て、勇気や元気や希望を与えてくれるホームドラマであって欲しい…
本当に、全体のバランスが絶妙だ。これぞ、ホームドラマと言う感じ。そして、やってみる勇気を教えてくれて、その勇気に元気をもらえる朝ドラが、この『カムカムエヴリバディ』。やはり、朝ドラは、毎朝見て、勇気や元気や希望を与えてくれるホームドラマであって欲しい…
あとがき
いい感じで進んでいますね。箇条書きとか、ご都合主義とか、戦後はあんなもんではないと言う人は、他の番組を見た方が、時間の有効活用にも、知的満足も得られると思います。
さて、終盤で千吉 (段田安則)がやって来ましたね。るいを連れて雉真家に戻るよう説得しようとするのでしょうが、怖い表情ではなかったんですよね。この調子で、おはぎが売れて大人気になって商売繁盛するのは良いことですが、そうなると、『英語会話』を聞く暇がなくなる可能性もありますよね。一体どうなるんでしょう?
「おいしゅうなれ」と言う “小豆の呪文” を唱えながら。「早う、あしたになあれ」と感情移入しまくりの私です。
お詫びと感謝(2021/12/02 17:25)
「1948年の春」と書くべき部分を「1945年の春」と誤記してしまいました。【非公開コメント】で教えてくださった読者さんに、すぐに修正できなかったことをお詫びをすると共に、感謝致します。午後は、幾つかの病院を回って診察していたので、対応が夜になってしまいました。勢いで書いてしまう癖を直そうと思います。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16312/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23
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