連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第21回・2021/11/29) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第21回/第5週『1946~1948』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
安子(上白石萌音)は稔(松村北斗)のことを思い続けていました。すくすくと育つるいの成長が安子にとっての心の支えでした。そんな安子を勇(村上虹郎)は気にかけ続けています。そんな中、美都里(YOU)は安子にひどくきつく当たるようになっていました。とうとう美都里は安子を雉真家から追い出すよう千吉(段田安則)に持ちかけます。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん)
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
大前提として、安子は"賢い人"であり"器用な人"ってこと…
今回の感想も全部を見てから、遡って感想を書く手法で書いたので、15分間全部を先に見てから読んだ方が、分かり易いかも知れない。
まず、本作の基本情報として、主人公・安子は、幼少期は実家の和菓子屋の看板娘として商売に関わり、本当は(当時は男性社会だった時代に)菓子職人になりたい夢を抱いたり、先週では戦後の闇市で少年に商売や生き方を教たりするような、所謂 “賢い人” であり、「やれ!」と言われれば “やれてしまう器用な人” だ。
だから、朝ドラお約束の"嫁 VS 姑"のエピソードを扱い難かった…
だから、朝ドラのお約束的な “嫁 VS 姑” のエピソードを扱い難かったと言うのが現実だと思う。
確かに、安子と長男の稔 (松村北斗)が結婚するかしないか… の頃には、「もっと、稔には相応しい嫁がいる」と反論していたのが、美都里 (YOU)だが。先週の「稔の戦死」をきっかけに、“嫁 VS 姑” の問題が発生したわけだ。
流れとしては不自然さはないし、何より、これまで続けて来た「強い物語」として、主人公がストーリーをけん引しなくてはいけないから、主人公が “次の段階” へ進むための “きっかけや動機” としての「月曜日」として、かなり良かった。
アバンで注目は、ラジオのチューニング用の"ダイヤル"を模した円形の図案の位置
では、いつも通り、アバンタイトルから。まず、私が注目したのが、毎回のアバンタイトルのファーストカットに登場する「EPISODE 〇〇 連続テレビ小説」と書かれた、恐らくラジオのチューニング用の “ダイヤル” を模した円形の図案の位置だ。
いつもは画面のど真ん中に出るのに、今回は、画面上手(右側寄り)に出たこと。因みにこれまでの全20回分の保存された録画を見直すと、全体の1/3~1/4が、円形の図案がど真ん中を外れていた。結構、意外に感じないだろうか?
今回の"ダイヤル"が中央でなかった理由を推測してみた!
そして、今回が中央でなかった理由を推測してみた。結論から言ってしまうと、今週は「主人公が “次の段階” へ進む」と言う大命題を背負った一週間だから、中央に置かずに、画面右に置いて、意図的にバランスを崩したと思う。
やはり、演出家と言うのは、とてもシンメトリー(左右対称)であると言うことに細心の注意を払う人種なのだ。なぜなら、アンシンメトリー(左右非対称、不均衡)を観客に感じさせた場合、やり過ぎると、警戒心を強く持たれてマイナス要素に働くし、中途半端に寄せると違和感にしかならないから。
"ダイヤル"のワンカットに、実は高度な編集と演技指導が行われている
しかし、今回のアバンタイトルでは、実は高度な編集と演技指導が行われている。本来なら、安子は、画面右から普通に「フレーム・イン(画面の外側から内側に入ること)」して、机に座ればよいだけのこと。しかし、映像を良く見ると、安子は、円形の図案の真ん中あたりからと登場して、座った。なぜ、こんなことをしたのか?
そう、時間がないからだ。本作が、描くべきことが多いことはご承知の通り。だから「フレーム・イン」からのカットを全部使ったら、数秒無駄になる。でも、前述の通り、本来は部屋に入って来るのだから「フレーム・イン」が基本。その基本を破ってまで、今回の15分間で描き切ることは描き切ると言う、つくり手の本気を感じるカットなのだ。
安子の表面に物理的な"光"は当てることで、心の中まで"光"が届いていない"安子の暗闇"表現!
そして、稔の戦死から半月間も、「暗闇から抜け出せずにいました」と言うナレーションを活かすために、画面の下手(左側)はライトのオレンジ系の照明にし、画面の上手(かみて・右側)は月明かりを模したブルー系の照明で部屋を彩った。
そして、その真ん中に、るいを抱き抱えてあやす安子を立たせることで、両方の明かりが当たる安子で、「ひなたの道を歩けば 人生は輝く」のナレーションを現しつつ、物理的な “光” は当たっていても、心の中には “光” が届いていない “安子の暗闇” と言う、相反することを同時に表現したのだ。中々、素敵な照明演出だ。
「先週までと今日の美都里の変化の大きさ」に疑問がわいた
さて、主題歌明けに、一つの疑問がわいた。それは、「私が親になったことがないからなのか?」、それとも「演出や演技指導がやり過ぎなのか?」、良く 分からないが。明らかな疑問になったのが「先週までと今日の美都里の変化の大きさ」だ。
確かに、想像の域では、愛して育てた長男が戦死したのだから、そのショックは計り入れないはず。しかし、半月と言う時間経過を経ての今回。
美都里の安子への態度の変化の大き過ぎる部分が、安子を「疫病神」に対する逆恨みでやっているのか、それとも、気遣いなのかが、少々分かりにくかったのが残念に思えたし、なぜ中途半端な演出で済ませたのか疑問になったのだ。
美都里の「正気じゃねえ」を、より明瞭に描くべきだった…
しかし。9分頃に、美都里が千吉に「るいは 私らの養女にしたらええ」と言っていたから、美都里の安子への逆恨みだと思う。
それなら、いっそ、(あまり朝から見たい映像ではないが)るいが居ない時ではなく、安子がるいをあやしていある際に、るいを目の前にして美都里が安子に嫌味を言ったり、るいを強引に奪い取ろうとしたりするような描写があった方が、良かった。だって、12分頃、千吉本人が、「美都里は今 正気じゃねえ」と言っているのだから。
「正気じゃねえ」を映像化するべきだったのではないだろうか。
千吉の安子への提案まで、曖昧になったのが本当に残念…
そして、美都里の安子へ心理描写が少々甘いから、12分頃の千吉からの提案自体も、受け取り方次第で曖昧になってしまったのが、本当に残念。恐らく、千吉は、本気で安子の将来のことを見据えて、様々な提案をしたはず。
そう、何ひとつ、ドラマとして間違っていないのだ。ただ、とにかく尺に余裕がない。それだけのこと。でも、そこを、先週のメイン監督のように、徹底的に無駄を削って、前述したような、るいを目の前にして美都里が安子に嫌味を言ったり、るいを強引に奪い取ろうとしたりするような “ワンカット” を入れて欲しかった。
メイン監督・安達もじり氏との"些細な拘りの違い"を、今の内に「演出部」で意思統一しておいた方が良い
千吉の提案についても同じ。ワンカットで良いから、「ここなら 美都里にも聞こえないだろうから」と一言冒頭にあってから「再婚せられえ」と続くだけで良かった。
この微妙な、今週の演出担当の橋爪紳一朗氏と、メイン監督・安達もじり氏の “ほんの些細な拘りの違い” が、意外とのちのち大きは綻びになる可能性がある。だから、敢えて今回の感想で触れたし、ここは早めに「演出部」で意思統一しておいた方が良いと思う。
あとがき
今回は、演出家が交代したことと、安子の人生が “次の段階” へ進むための “きっかけや動機” を描く大切な週の始めであり、勇 (村上虹郎)の人生や雉真家の変化を描く大事な週でもあります。また、遂に、2か月目に突入した日でもあるので、良い部分と、残念だった部分の両方を書きました。
ただ、声を大にして言いたいのは、「悪い部分が、これと言って一つもないこと」です。ただ、「描くべきことや描きたいことが多過ぎて、時間が足りないこと」です。それが、残念だし、もったいないとおもいます。
でも、これは、今後、3人のヒロインが入れ替わるであろう “繋ぎ目” や “のりしろ” を上手く利用して、物語の “重なり” を作って、埋めていくことは十分可能だと思います。そこへ、期待しようと思います。
最後になりますが、子守歌から関りは感じましたが、ラジオ、英語講座も、もう少し欲しかったです。それが、安子と稔を繋いだ “縁結びの神様” であり、安子の生きるエネルギーのはずですから。とにかく、今週は、七転び八起きで、自らの人生を切り開く、健気で明るく元気な安子を見たいです。がんばれ、安子!
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16297/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
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