連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第19回・2021/11/25) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第19回/第4週『1943~1945』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
「たちばなの菓子で救われる人が、きっとおるはずじゃ」再び、菓子作りへの意欲を取り戻した金太(甲本雅裕)。戦後焼け野原となった岡山の町も、少しずつ復興に向け動き出していました。安子(上白石萌音)は材料集めに奔走し、幼い頃からの憧れだったあんこ炊きを金太から教わります。そうして出来上がったおはぎを売りに町へ出ると、持ち逃げしようとする小さな手が…。その男の子を引き止めた金太は、とある賭けをします。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん)
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
まえがき
今回の感想も、15分間を見終え、15分間の全てを心で咀嚼して、冒頭シーンから感じたままを綴ってみます。従って、感想なのか解説なのか分からない部分も出て来ると思いますが、最後まで読んで頂けると嬉しいです。
また、思いのままを綴るため、そして、今回も何度も録画を見直して、私の感情いっぱいに書いたため、拙稿で誤字脱字多数、長文であることも、どうかお許し下さい。また、お願いばかりで恐縮ですが、もし前回の感想をお読みでない読者さんは、是非とも前回の感想を読んでから、読んでみて下さい。
美味しいお菓子を食べることは、幸せに繋がるエピソード
アバンタイトル。前回で、「80日間(私の予想で。予想は前回の感想に書いてあります)」も苦しんだからこそ、やっと、安子が心を込めて作った “出来損ないの おはぎ” を口にする変化が訪れた金太(甲本雅裕)が、世話になった雉真千吉 (段田安則)と美都里 (YOU)に、戦前から千吉が好きだった「たちばな」の味の “おはぎ” を振る舞った。
ただ、ただ、それだけのシーンなのだが、ドラマに於いて「食べるシーン」は、非常に重要だ。「食べることは、生きること」、「生きることは、食べていくこと」でもあるし。中でも、お菓子、美味しいお菓子を食べることは、幸せに繋がる。
ギンビスのお菓子のパッケージには、必ず"7色"を使う理由
ところで、読者の皆さんは、株式会社ギンビスと言う会社をご存知だろうか? 東京の日本橋に本社があり、看板商品には「アスパラガスビスケット」や「たべっ子どうぶつ」がある。
私は、2005年に帝国ホテルで開催された株式会社ギンビス「創業75周年パーティー」で上映された「75年の社史ビデオ」の映像監督を引き受けることになった。社長さんや社員さんへのインタビューや、工場見学などを行い、完成した。
その際、印象的だった言葉がある。それは「ギンビスのお菓子のパッケージ(箱や袋)には、必ず “レインボーカラー(7色)” を使うのです」だった。その理由は、「ギンビスのお菓子を手にする世界中の人たちに、虹の7色で幸せになって欲しいから」だった。
もし、スーパーへ買い物に行く機会があったら、ギンビスのお菓子を手に取って見て欲しい。7色があちこちに使われているから。お菓子を作る人、お菓子を食べてもらいたい人には、「食べた人を幸せにしたい」と言う気持ちが強くあると言うことを、忘れないで欲しい。もちろん、自宅でお菓子を作る時も、同じ気持ちで作るとは思うが…
奇を衒わずに復興を描く。これが、本作らしいと思う
そんなことを思いながら聴いた、今朝の『アルデバラン』は、どこか “力強さ” を感じた。それは気のせいではなかった。
主題明け、あの深夜の「岡山大空襲」から100日後に百貨店が開業したと言う。やはり、町の大きな商店(今回は百貨店)が開業すると、戦後焼け野原となった岡山の町も、少しずつ復興に向け動き出して来た。ごく自然なことだが、とにかく「前向きな生き方」を強調するには最適。
やはり、奇を衒わずに復興を描く。これが、本作らしいと思う。そして、2人の父親が縁側の日当たりの中で、息子の帰還に未来を見出し、託す姿が力強くも見え、不安にも見え、複雑な父親心を丁寧に描いたのも良かったのは、言うまでもない…
生きて「たちばな」が再開することの幸福感が、おはぎを食べて喜んだ客たちを見た笑顔の金太と安子から伝わった
そして、「たちばなの菓子で救われる人が きっと おるはずじゃ」から始まる、「たちばな」の。父と嫁に行った娘による復活劇。作業場に入ることを禁じられていた安子が、バラック小屋だが金太と一緒に “おはぎ” を話しながら作るシーンも素敵だった。
そして、筆書きで「たちばな」と記された白い手拭いのような布の看板(暖簾の代わり)が下がって、ついに「たちばな」が再び開店した。これで、あの「京都の雅」を象徴する “京紫色” に似た色の「橘の花が染め抜かれた暖簾」も焼き尽くされたことも分かった。
切ないが、生きて「たちばな」が再開することの幸福感が、おはぎを食べて喜んだ客たちを見た笑顔の金太と安子から伝わった。
金太は夕日のバラック小屋の「たちばな」の中で、安子に悪ガキにおはぎを託した理由を吐露する名シーン
物語が本格的に動き出したのが、店のおはぎを盗み食いした少年が登場してからだ。
金太は少年を怒鳴りつけるだけでなく “賢く生き抜く術(すべ)” と、“食い逃げは悪いこと” を教えた。それも、見ず知らずの少年へ30個近くの「大切な “おはぎ”」を箱ごと託して。 周囲の人々が言っていたように “持ち逃げ” されるのが関の山だ。
しかし、金太は夕日のバラック小屋の「たちばな」の中で、悪ガキにおはぎを託した理由を吐露する。「似とったじゃろ 算太に。しゃあから 賭きょおしたんじゃ。あのガキが帰ってきたら 算太も帰ってくる…」と。
ラジオの電源と回想シーンから何となく不思議な世界観へ…
夜中、あの少年の声で「おはぎのおちゃん」と戸を叩く音がする。驚く金太が戸を開けあると、そこには軍服姿で元気な算太(濱田岳)が立っていた。算太は金持ちにおはぎを売って、金儲けして帰って来たと自慢話を続けた。算太の話に聞き入る金太。
そして、闇市に建てたバラック小屋の「たちばな」の店内で、橘家にあった大きなラジオの電源が入り、エンタツ・アチャコの 「しゃべくり漫才」がラジオから聞こえて来る。映像では、橘家の幸せ絶頂期の映像が幾重にも重なり、会話のやり取りにはリバーブが大きくかかり、何となく、不思議な世界観へ…
姿無き少年の「おはぎのおっちゃん」と言う呼び声を、どう捉えるか?
今回、人それぞれの解釈があると思う。私は、いつも「劇中で “人の死” を扱う時は、細心の注意と、最高の敬意を払うべき」と言う考えだ。
だから、だから…。恐らく、多くの読者さんや視聴者は、おはぎを持って行き、帰って来た少年の「おはぎのおっちゃん」と言う呼び声は、実際に少年がお金を返しに来た時の声だと思ったと思う。そして、扉が開いてからが、(表現に悩むが)ファンタジーと解釈したと思う。
私は、少年の「おはぎのおっちゃん」と言う呼び声を含めて、金太の「算太との再会を果たした夢」は始まっていたと想像した
しかし、私は、少年の「おはぎのおっちゃん」と言う呼び声を含めて、金太の(これも表現に悩むが)「算太との再会を果たした夢」は始まっていたと想像した。その理由を少し書く。
夕方、安子へ悪ガキに託した思いを告げるシーンと、バラック小屋の中で小豆を炊く金太のカットの間に、「たちばな」の全景カットが入っていた。それが、私の判断ポイント。だって、その全景カットに誰も映っていないから。
少年は持ち逃げし、帰還を待っている算太も… と言うのが私の解釈
そこで、思い出して欲しいのが、今週の感想で言い続けている「引き算の演出」だ。普通の「足し算の演出」なら、少年が店にやって来るカットにする。そして、カットが切り替わって店内へ。そして、少年の声だけ聞こえて、扉が開くと金太がたっている。これが「足し算の演出」。そう、見せるの、ちゃんと少年を。
でも、「引き算の演出」は、見せない。徹底的に見せない。なぜなら、ここで描くべきは、店を再開できて、悪ガキに賭けをした金太の心情だから。もう、おわかりだろうか。この誰もいない店内に薄っすら明かりが灯る「たちばな」の全景カットこそ、金太の心情そのものなのだ。
少年は持ち逃げし、帰還を待っている算太も… と言うのが私の解釈。何度も書いているが、作品は、作り手の手を離れた瞬間に、解釈は観客(視聴者や読者)に委ねられるのが運命なのだ。だから、人それぞれ、解釈があって良いと思う。
あとがき
最後の「一行のナレショーン」で持っていかれたのでないです。最後の「一行のナレショーン」のための15分間だったのです。だから、ナレーションを聞いた直後は、放心状態でした。そして、『あさイチ』を見て、感想を書くために幾度も見直して、涙が今でも止まらぬまま、書いています。
そして、算太の戦死を、父・金太の将来の希望や憧れのようなものを夢に見るような夢想(a dream)として、また、白日夢(a daydream)として、序盤から「たちばなの “おはぎ”」が繋いだエピソードとして感動しました。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16277/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18
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