連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全24週〕 (第3週/土曜日版・2021/11/20) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
公式リンク:Website、Twitter、Instagram
第12回/第3週『1942~1943』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
太平洋戦争が勃発。安子(上白石萌音)は稔(松村北斗)を想い続けていたが、雉真繊維の社長・千吉(段田安則)は、軍と協力して会社の事業を拡大するため、跡取りの稔と銀行の頭取の娘との見合い話を進めていた。安子との関係を断つよう命じられた稔は、安子への思いとの間で苦しむが、そんな状況を察した安子は自分から身を引くのだった。そんな中、戦争に学徒も動員されることになり、稔も出征することに。安子に思いを寄せていた勇(村上虹郎)だったが、兄の出征を知り…。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/マッサン、ちかえもん、西郷どん)
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
あくまでも、ここは「土曜日版」の感想を書く場所だから…
まず、これを読んでおられる読者さんにお伝えしたいのは、「週5放送=本編」についての感想は、都度の感想を読んで頂きたい… と言うこと。あくまでも、ここは「土曜日版」の感想を書く場として、私は位置付けしているのを、了承の上で読んで欲しい。
何処か削除しなければ「土曜日版」に収まらない
さて、今週の「土曜日版」は、見る前からハラハラドキドキが止まらなかった。なぜなら、「週5放送=本編」を見届けた私にとっても、恐らく多くの視聴者や読者さんにとっても、今週の「15分間×5回」は、明らかに “不要な部分がない上の情報過多” だった。
だから、どのように、主題歌と予告編の放送尺を差し引いた “残りの時間” で描くのか、期待と不安でいっぱいだったのだ。なぜなら、今週の “良き雰囲気” と “淀み無き流れ” と “圧倒的な説得力” が、欠落しやしないかと。だって、何処か削除しなければ「土曜日版」に収まらない、それが現実なのだから。
感覚的に、9割近く盛り込まれていたと言っても過言でない
しかし、私の不安は、瞬く間に消され、期待は意味無くなった。一体、どこを削除したのか、録画と比較しないと判別できない位に、感覚的には、9割近くは盛り込まれていたと言っても過言でないと思う。
なぜ、「土曜日版」が山盛りなのに違和感も物足りなさも無かったのか?
普通、あれだけ “てんこ盛り” の内容を、13分程度の「ダイジェスト版」に再編集したら、間違いなく “欠落箇所” が出来て、その “穴” から零れ落ちた部分が気になって、違和感を生じるのが関の山のはずなのだ。しかし、今回の「ダイジェスト版」に違和感はなかったし、物足りなさも感じなかった。
とにかく、凄いしか表現できない。ただ、当ブログの読者さんにだけ、編集の極意をお伝えしよう。ただ、単純に、状況説明や重複部分、繰り返したが表現方法が異なる部分を削除しただけなのだ。
いや、そう言うと「そんなに、説明や、重複、繰り返しがあったの?」と言う質問が届きそうだ。答えは、イエスだ。では、もう少し、掘り下げてみよう。
本編で "丁寧過ぎる位に描写した部分"を、「土曜日版」用に削っただけ…
例えば、戦時下で業務拡大を計画中の「雉真繊維」や、戦略的お見合いに関わる部分は、多少省略されている。その上、実は、安子(上白石萌音)との稔の母からの仕打ちや、自分の身の置き場についての苦悩まで、若干省略されている。
そんな大事なところが省略されているのに不自然でないのは、「週5放送」を日割りで成立させるために、一種の “のりしろ” として余計に盛り込んであるのをカットしただけだからなのだ。まあ、もっと簡単に言えば、本編で “丁寧過ぎる位に描写した部分” を、「ダイジェスト版」用に削っただけ。実は、これこそが「ダイジェスト版」なのだ。
"良き雰囲気"と"淀み無き流れ"と"圧倒的な説得力"について掘り下げてみる
では、諄いようだが、3つの要素、“良き雰囲気” と “淀み無き流れ” と “圧倒的な説得力” について掘り下げてみる。
時間軸通りに、雰囲気を崩壊させずに、きれいに残した
とにかく、まず、今週の “良き雰囲気” は完全に残されていた。残せたことが不思議な程にシーン毎の雰囲気は異なっているのに、「土曜日版」は、太平洋戦争が勃発し、学徒動員による時代が、きちんと描かれて残っていた。
その上で凄いのは、時間軸通りに、戦争は危機迫っているのを描きつつ、安子と稔(松村北斗)の心の中と発言を残して、自分と相手を思う気持ちまで、雰囲気を崩壊させずに、きれいに残したことだ。
ナレーションと音楽が"淀み無き流れ"を残し、再構築した
では、“淀み無き流れ” は、どうだったか。結論から言ってしまうと、“淀み無き流れ” をしっかりと担保したアイテムが、ナレーションと音楽だ。城田優さんの流れるようなナレーションが生み出す絶妙な優しい声質とテンポの良さと、劇伴の選曲のセンスの良さが相まって、流れが滞ることは感じなかった。
その上、残されたナレーションが、削除した部分の「補強担当」として再利用する工夫で、「ダイジェスト版」と感じさせなかったのだ。使えるものは、役割を変えてでも良い方に向くために利用したと言うわけだ。
「ダイジェスト版」でも、意味は十分に伝わったし、つくり手の伝えたいことも、伝わった
そして、最後は “圧倒的な説得力” だ。もう、これは言うまでもない。雰囲気と流れが完璧なのだから、例えコンパクトになった「ダイジェスト版」でも、意味は十分に伝わったし、つくり手の伝えたいことも、伝わったと思う。
繰り返しになるが、単純に、状況説明や重複部分、繰り返したが表現方法が異なる部分を削除しただけだから、「週5放送=本編」で感じた “圧倒的な説得力” が「ダイジェスト版」に無いはずがないのだ。とにかく、安直な表現になってしまうが、ほぼ完ぺきな「ダイジェスト版」だったと思う。
あとがき(その1)
「土曜日版」、本当に心配無用でした。でも、やはり、本編を見て欲しいです。そして、今週は、たくさんの通常コメント、非公開コメント、非公開校閲コメント(汗)、そして、数多くのWeb拍手を頂戴しました。本当にありがとうございます。
先日も書いたように、本気で「これだけ完成度の高い朝ドラに、私の拙稿な感想なんて書く意味があるのか?」さえ思ったくらいでした。しかし、読者さんの応援で、書き続けることにしました。きっと、私だから気付く “何か” が書けると信じて…
予告編の内容は知りたくない人は、この段落だけ飛ばして!
さて、「予告編」について。読者さんの中には、「予告編のことは知りたくない」と言う人は、「数行=1段落」だけ飛ばして、次の「あとがき(その2)」へ進んで下さい。
来週のサブタイトルは『1943-1945』です。従って、1週間で3年間の時間経過があり、予告編の中には出征後の稔(松村北斗)と勇(村上虹郎)はいませんでした。その代わりにいたのが、恐らく、安子と稔の間に生まれた赤ちゃん。そして、岡山が受けた空襲と戦後に再起しようとする「たちばな」。安子の人生の大きなターニングポイントを描くであろう第4週。大切に見届けたいと思います。
あとがき(その2)
最後に。「同一人物でない3世代のヒロインを3人が演じる100年史」が今作。これ、祖母、母、孫娘と話が連続するとなると、確実に各時代に “のりしろ” のような「2人、もしくは3人が存在する時間」がある可能性もありますよね。そんなことも、「オープニング映像」の3人の輪に繋がって行くのでしょうか。今後の展開も楽しみです。
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/16254/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15
- 関連記事
-
- 言霊荘 (第7話・2021/11/20) 感想 (2021/11/21)
- 二月の勝者 -絶対合格の教室- (第6話・2021/11/20) 感想 (2021/11/21)
- 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全24週〕 (第3週/土曜日版・2021/11/20) 感想 (2021/11/20)
- スナック キズツキ (第7話・2021/11/20) 感想 (2021/11/20)
- 最愛 (第6話・2021/11/19) 感想 (2021/11/20)