連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 (第12回・2021/11/16) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第12回/第3週『1942~1943』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
雉真家に配達に来た安子(上白石萌音)は、美都里(YOU)から「二度と稔(松村北斗)に近づくな」と厳しい言葉を浴びせられます。注文の品も受け取ってもらえず、代金だけを押しつけられる始末。そんな美都里の屈辱的な態度を知った稔は、千吉(段田安則)と美都里の前で強く怒りをあらわにし、安子とは将来を見据えた真剣な交際をしているのだと訴えます。一方、安子は自分の立場を考え、稔のことを忘れようとしますが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ)
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん)
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
第12回に、私の拙稿な感想など「無意味な存在ではないか」と散々悩んだ
4回録画を見直したのだが、先日もそうだが、感想の切り口が見出せない。一体、この15分間の人間ドラマを、その視点から、どの解釈で感想を書くべきなのか? いや、この15分間に私の拙稿な感想など、無意味な存在ではないかと、散々悩んだ。それ程に、今回の15分間は、呼吸をすることさえ忘れてしまう位に、見惚れてしまった。
「圧巻の15分間だった」と、書けば、大袈裟に聞こえるかも知れないが、もっと単純に言うなら、息を飲む程に全てのカット、全てのシーン、全体の構成に感服してしまって、正直、文章が上手くまとまらない。
たったの1回分で徹底的に、様々なことを描き切った!
主題歌を除けば、約13分なのに、2時間の映画を見終えたような感動を見事に創出した。中でも、絶対に書かなければならないのは…
たったの1回分で、徹底的に、これでもかと言わんばかりに、安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)の決意、商売と言う面では同じでも大企業「雉真繊維」と町場の御菓子司「たちばな」の格の違い、雉真家と橘家の家柄の違いを、描き切ったことだ。
もはや、「あのカット割りが…」とか、「あのシーンが…」など、約13分間を構成している “パーツ” の良し悪しを語る次元の仕上がりでない。
意外と安子の出番は少ないのに、安子がいなければ成立しない「強い物語」になっている!
感想の結論が、そこへ達したのには、当然、理由が存在する。今回を良く見ると分かるが、実際に主人公である安子が、13分間、出ずっぱりではない。むしろ、印象としては、他の登場人物たちの方がインパクトが強い。
しかし、ここで重要なのは、出番の尺の長短に関わらず、主人公の存在、主人公が受けた悲しみ、主人公が感じた落胆、そして、主人公が決心せざるを得ない “切ない決意” が、物語を動かしていると言うこと。安子がいなければ成立しない「強い物語」になっていると言うことだ。
私が、今回を見て、本当に改めって分かったこと!
また、前述の主人公の様々に変化していく感情が、それぞれの脇役の登場人物しか持つことの出来ない心情や感情や方法でしか、描写できないことにも、注目すべき。
要するに、それぞれの登場人物の言動によって紡がれる人間関係と、それによって起きてしまう感情の爆発や心情の変化を、丁寧に描写することでしか “物語” も、“ドラマ” も成立しないと言うことが、本当に改めて分かった放送回だった。
【見所解説1】美都里の「暮らしの足しにしてちょうだい」
とは言え、当ブログをわざわざ読みに来て下さった読者さんのためにも、自分自身のための備忘録としても、書かないと言った「あのカット割りが…」とか、「あのシーンが…」など、約13分間を構成している “パーツ” の良し悪しを、少しだけ語ってみたい。
まず、序盤での雉真美都里 (YOU)が安子に「暮らしの足しにしてちょうだい」と言って、安子が持参した和菓子にのせて背を向けたシーンにゾワッとした。これこそ、大企業「雉真繊維」と町場の御菓子司「たちばな」の格の違い、雉真家と橘家の家柄の違いを端的に表現した。
【見所解説2】千吉 の「あの菓子屋の婿になりゃあええ」
また、稔の母への怒りと父への説得のシーンも見応え十分。このシーンだけで、稔の両親の関係も薄っすらと透けて見える。だから、稔は安子と言う一人の女性への気持ちを、荒げることもなく、冷静沈着に、真剣に両親に伝える。
その真剣さに勝る力強さで、大事な息子を「あの菓子屋の婿になりゃあええ」と突き放す。ホント、ここは “台詞” でなく “言葉” が3人の心情を見事に視聴者へ伝えた。
【見所解説3】稔に話し掛ける安子の父・金太の複雑な心情
家を捨てる決心を胸に、稔が「たちばな」に来たのをチラリと見つけて、稔に話し掛ける安子の父・金太(甲本雅裕)の、稔に対する敬意、安子に対する愛情が巧みに入り混じった “願い” に心を打たれた。
そして、店で二人きりで向き合う安子と稔。目、瞳の芝居だけで、もう決心している安子も分かるし、何より、「やっぱり こねえなん 間違うとる」と改心するまでの稔の心理変化がきちんと過ぎる位に描写されている。若い俳優さんで、ここまで瞳の動きだけで、強さ、弱さ、切なさを表現できるのを見られただけでも良かった。
【見所解説4】"本物"だけが持つ、虚構の中の真実の"説得力"
そして、そして。「間違うとったんです。最初から」、「長ごうて甘え夢を見続けてしまいました」 、「稔さんのことも きっと忘れられます」と言う安子。この二人きりの店内でのシーンの素晴らしいところは、微塵の欠片ほども “胸キュン” と思わせない “力強い説得力” があることだ。
時代に翻弄される若き男女の人間ドラマとして、朝ドラで、これ程に完成度が高い恋愛シーンを最近見た記憶がない。徹底的に「引き算」された台詞と人間関係で、物語を少しずつ確実に積み上げ、前進させる。これこそ “本物” だけが持つ、虚構の中の真実の “説得力” だ。
あとがき(その1)
「朝ドラでも、やる気になれば、この次元まで描けるのか!」と見惚れる仕上がりでした。脚本、演出、演技、劇伴、美術のどれを見ても、「ベタで良い。ベタ過ぎると言われても、伝えるべきものは絶対に伝えてみせる」と言う作り手の真剣さを感じました。
火曜日で、このレベルなら、今週は安泰ではないでしょうか? 一方、劇中は戦争が本格的になって行き、どうなるのか目が離せません。
あとがき(その2)
今日から、『カムカムエブリバディ』のアイキャッチ画像を替えました。これで、スマホやその他で、タイトルがあまり見切れないと良いのですが。少しずつ改良していきます。
それと、昨日投稿した睡眠障害の件ですが、一昨日の夜だけ偶然に好条件が重なっただけのようです。ご心配をお掛けしました。引き続き、経過報告はしようと思っております。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16239/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
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