婚姻届に判を捺しただけですが (第4話・2021/11/9) 感想

TBS系・火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』
公式リンク:Website、Twitter、Instagram
第4話『温泉で急接近! 掟破ってもいいですか』の感想。
なお、原作となった漫画・有生青春『婚姻届に判を捺しただけですが』は、未読。
友情のハグをきっかけに初めての女友達ができたと喜ぶ百瀬(坂口健太郎)。食事は各自、お互いの食器は使わないという百瀬自身が決めたルールをまるっきり無視して、明葉(清野菜名)に懐きまくり。「友達」という言葉を嬉しそうに繰り返す百瀬の態度に、明葉は戸惑うばかり。そんな中、温泉旅館の招待券を貰った百瀬は明葉を日帰り温泉旅行に誘う。当日、浮かれた明葉だったが美晴(倉科カナ)と旭(前野朋哉)の姿もあり…!
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・有生青春『婚姻届に判を捺しただけですが』
脚本:田辺茂範(過去作/参道高校合唱部!、トクサツガガガ、インハンド、オーマイボス) 第1,3話
おかざきさとこ(過去作/家政夫のミタゾノ3,4、正しいロックバンドの作り方) 第2,4話
演出:金子文紀(過去作/G線上のあなたと私、恋つづ、逃げ恥、俺の家の話) 第1,2話
竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、警視庁ゼロ係シリーズ、MIU404) 第1,3,4話
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:あいみょん「ハート」
前回の感想では、こんな風に今作を評価した…
前回の感想で、本作の脚本家と演出家は、それぞれ「2人体制」になっており、その「2人体制」の2人の得意ジャンルが、ほぼ全くと言っていい程、真逆。簡単に書けば「ラブコメが得意な人と、そうでない人」に分かれていると書いた。そして、前回の第3話は「脚本・ラブコメ得意派×演出・苦手派」で創った。
そのために、脚本が… 正直、盛り込み過ぎの印象が余計に強くなり、演出家も、冒頭ではコミカル要素で頑張ったが、序盤以降は、普通の「偽装結婚を歩かった恋愛ドラマ」になってしまった。
その上、本作って「W主演」のように見えるが、実際の主演は清野菜名さんのみ。だから、明葉の状況や心理描写に集中するべきなのだ。しかし、昨今の坂口健太郎さんの人気もあって、百瀬のシーンが第3話から急増(『おかえりモネ』が終わったからかな?)。
これだと、流石に明葉と百瀬にそれぞれ「仕事と私生活」があるから、最低でも、4つの物語が同時進行することになる・。その上、脇役の話もあるし。やはり、ここは一度、明葉を中心に交通整理をしたら、もっと良くなると思う… と、書いた。
二人の心情もテーマも分かり易くなり、物語も動き出した
そして、今回の第4話は「脚本家も演出家も苦手派」で創られた。しかし、苦手同士だからこそ、気が合ったのだろうか。全体的に、脚本・ラブコメ得意派の脚本家が苦手派になったおかげで、ネタの盛り込み過ぎが薄まって、きちんと明葉(清野菜名)を中心としたドラマへと交通整理された。
そのために、明葉の心情に対する百瀬(坂口健太郎)の心情も分かり易くなって、「何を描きたいのか?」が、前回までよりも見えて来たし、何よりも “物語” が明瞭に動き始めた気がする。「苦手同士だから互いを補う」点では、秋葉と百瀬、脚本と演出も同じのようだ。
もっと秋葉と百瀬に"魅力"や"応援したくなる要素"が欲しい
そうなると、もっと “恋バナ得意派” や “苦手派” に限らず、4人の脚本家と演出家のチームで、秋葉と百瀬のキャラクターとしての “魅力” や “応援したくなる要素” が視聴者に見え始めれば、ラブコメとしてワンラックアップするのに。だって、今のところ、演者の魅力だけで押し切っているカタチになっているから。
やはり、ドラマは登場人物のキャラクターで魅せるべき。まあ、そこが出来ていないから、演者目当ての人以外には、ドラマとしての評価を「好きか嫌いかは別にして…」と書かざるを得ないのだ。ホント、もう一歩なのに。
「引きの画」を増やすか、逆にアップと独白を増やせば…
例えば、脚本家と演出家が、秋葉と百瀬のキャラクターとしての “魅力” や “応援したくなる要素” を映像的に訴求する手段として、無理のない範囲で、もう少し引きの画(「詰まった画角」の逆」を増やしたらどうだろう。
今回なんて、自動車内のシーンは、当然「寄りの画(詰まった画角)」になるわけで、「詰まった画角」のカットばかりだと、全体の印象も “息が詰まる” のだ。自宅は元々、ドラマ『リコカツ』の家を流用しているのだし、職場も狭苦しい雰囲気を出す必要もないのだから、この2シーンで、もう少し「引きの画」を使って、くつろいで楽しめる “映像づくり” を目指したら… と。
いや、逆もある。アップをもっと多用して、更に今以上にモノローグを盛り込んだら、二人の魅力も分かり易く伝わって、全体の雰囲気が、よりラブコメらしさが増すかも?
「友だち」の連呼によって、"不意キュン"は残って良かった
さて、物語としては、前回の終盤で若干物語が進んだ上に、残念ながら、第1~2話の頃の “ほぼ普通の恋バナ” になってしまった。ただ、強引と言っても良い位に、「友だち」の連呼によって、本作が推している “不意キュン” は残った。
きっと、本来は、清野菜名さんと坂口健太郎さんの「W主演」にして、公式サイトに書いてある「偽装結婚した夫婦が織りなす、不意キュンラブコメディ」にした方が、良かったかも知れない…
あとがき
まあ、脚本家と演出家の組合せが、ほぼ出揃ったため、これ以上のワンラック上昇は、前述の方法をやる以外ないのは、ある意味、諦めたというか、しょうがないかなって。
そうなると、どこまで美晴(倉科カナ)をドラマの中で強調するか? 美晴と百瀬の関係を描き続けるのか? それ次第では、更に明葉の存在が薄まるし。これ、もしかして、坂口健太郎さん人気に思い切り便乗して、朝ドラ『おかえりモネ』の菅波先生のイメージを払拭させた方が、視聴率は上がるかも?
ただ、ラブコメ食傷気味のオジサン視聴者としては、それなりに楽しんで見ています。特に、旭(前野朋哉)のキャラや、ポソッと言う台詞が良いなと思います。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16205/
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