日本沈没―希望のひと― (第4話・2021/11/7) 感想

TBSテレビ系・日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
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第4話『関東沈没のはじまり』の感想。
なお、原作となった小説・小松左京『日本沈没』は既読。また、過去のドラマや映画も鑑賞済み。※本作は、今春に全編撮影終了しているため、要望などは書きません。
「半年以内に関東圏沈没。政府が危機対策を検討」との記事が政府発表より先に新聞に掲載された。さらに東山(仲村トオル)が国民に向けた会見を検討しているとの報道まで出て、各所に動揺が広がる。この機に乗じ、日本未来推進会議の場で危機対策を訴える天海(小栗旬)に、常盤(松山ケンイチ)は疑いの目を向ける。一方、新聞に情報をリークした椎名(杏)は官邸の呼び出しを受け…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:小説・小松左京『日本沈没』
脚本:橋本裕志(過去作/LEADERS リーダーズ、死神くん、リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~)
演出:平野俊一(過去作/S最後の警官、インハンド、TOKYO MER) 第1,2話
土井裕泰(過去作/重版出来!、カルテット、凪のお暇、逃げ恥) 第3,4話
宮崎陽平(過去作/下町ロケット、陸王、ブラックペアン、集団左遷!!、半沢直樹2020)
音楽:菅野祐悟(過去作/半分、青い。、シャーロックUS,テセウスの船、危険なビーナス、青のSP、恋はDeepに)
回が進む度に"話の縮小化"が見て取れ過ぎて困惑が拡大中…
なんか、放送前は多いに期待しただけに、回が進む度に “話の縮小化” が見て取れ過ぎて困惑している。
確かに「情報源は秘密」なのは “お約束” としても、本来なら前回で大手新聞社が一面報道した時点で、本当の意味での日本国民や首都圏民の恐怖心や危機感を、ありったけの演出力と撮影費用を投入して表現しないと、本作を作った意味が無いのでは?
それをやらなかったのなら、今回の総理の会見を受けた時点で、きちんと、総理の言葉を受け止めた国民たちの映像を挿入するべきだったと思う。それをしないから、冒頭から、官邸内での茶番劇のように見えてしまったのが、本気で残念だ。そして、今回のアバンタイトルでも、まず “そこ” から描くのが、真の人間ドラマだと思うのだが…
日本国民や首都圏民の恐怖心や危機感を、ありったけの演出力と撮影費用を投入して表現しなればいけなかった
なぜ、本当の意味での日本国民や首都圏民の恐怖心や危機感を、ありったけの演出力と撮影費用を投入して表現しなればいけなかったのか?
それは、多くの日本人が、現実の社会の中で、日本政府の新型コロナウイルス感染への後手後手の対応、野戦病院の一つも作れなかった “日本政府の底力の無力さ” に気付いてしまったから。もちろん、ワクチン接種の速さなど評価すべき点はあるが、全体的には不満の方が多かったのでは?
そして、今作がこの春に既に撮影終了している時点で、もっと、今の国民の意識をドラマに反映すべきだったのではないのかと思う。いや、撮影時期と、コロナの感染拡大が広がっている時期が近かったから、おまけをつけて「期待度★4つ」にしたのに…
「政治対決」や「パワー対決」で、視聴者たちを十分楽しませていると言う自負が間違っているのでは!?
本気で表現すべき部分を表現しないのには、次の作り手の根拠が見える。それは、本作は、若くて優秀な管理官たちや、ジャーナリストたちと、ベテランで超強力な政治家軍団たちとの、「政治対決」や「パワー対決」で、視聴者たちを十分楽しませていると言う自負があるのだろう。
しかし、ドラマを良く見れば誰でもわかることだが、「日本沈没」「関東沈没」や「国民」「人命」、そして「経済」などの、如何にも “政府が国民に危機感を煽るような台詞” を並べたところで、見ているテレビの外に、その危機感が伝わっていないのが、今作の現実なのだ。
国民の危機感を蔑ろにして、政治の"パワー・ゲーム"ばかりでは飽きて来てしまった
ドラマとして、連ドラとして、若い官僚とベテラン政治家たちの “パワー・ゲーム” を描くのは間違っていない。更に、『日曜劇場』としては、やって当然とも言える。しかし、もう撮影終了しているドラマの感想でムキになっても意味はないが。
今作が、悉く “雑” に描いている “国民たちの危機感” は、あんな映像では表現できていない。むしろ、そこが「出来る!」と判断してから、制作に進むべきだったのでは? 流石に、「我が身=国民の危機感」をきちんと丁寧に描かずに、“パワー・ゲーム” ばかりでは飽きて来てしまった。
会議や表現が、エキストラの選び方、スタジオセット選択を含めて軽過ぎる
更に言えば、あの閣僚らの出席している会議や会合の表現だが、エキストラの選び方、スタジオセットやロケ現場の選択を含めて、少々 “軽過ぎる” と思う。制作費の予算の関係もあろうが、「日本の一大事」を議論する会議と言うより、大手スーパーチェーンの幹部や店長会議程度にしか見えなかった。
やはり、もっと日本SFの金字塔『日本沈没』をドラマの冠に掲げるなら、もっと「国民は怯えています」がリアルに映るように作って欲しかった。せめて、そこだけでも描かれていれば、サブタイトル「―希望のひと―」の部分にも期待できたのだが。この現状で撮影済みとなれば、自ずと私の答えも出て来そうである。
大騒ぎしている主人公の出ずっぱりで、肝心の物語が描かれていない!
そして、第4話にして、回が進む度に “話の縮小化” が見て取れ過ぎている大きな理由が、主人公を登場させ過ぎている上に、彼に大騒ぎばかりさせている描写の連続で、肝心の “ストーリー” を描いていないこと。
ただ、報道がどう報じているとか、公務員たちは何ををしてるとか、そんなカットを幾ら山済みしても、天海(小栗旬)や常盤(松山ケンイチ)の必死の形相を編集で繋いでも、話自体は、正直 “官僚たちの内輪話” に見えてしまっている。ここが、本当に残念でならない。
早く、私の予想を裏切って、2023年の東京を舞台にした“首都圏沈没”と言う未曾有の危機が迫る中で、諦めずに未来を信じ続けた者たちの究極の人間ドラマに進んで欲しい。
あとがき
これだけ「国民」「経済」「人命」と連呼しているのに、関東圏の住民の描写の安っぽさと少なさに唖然とするばかりでした。
それと、最後に『ディレクターの目線blog』らしい指摘をします。
ラストシーンで、天海(小栗旬)と椎名(杏)が、破壊していく道路を手を取り走って逃げるシーンがありましたが、カメラは道路にフィックス(固定)でした。今どきのドラマなら、せめて手持ちカメラで二人と向き合って撮影した方が良かったと思いますよ。日本沈没だって時に、三脚使って固定カメラで撮影って…(失笑)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16192/
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