婚姻届に判を捺しただけですが (第3話・2021/11/2) 感想

TBS系・火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』
公式リンク:Website、Twitter、Instagram
第3話『禁断の三角関係! 友情のハグ!?』の感想。
なお、原作となった漫画・有生青春『婚姻届に判を捺しただけですが』は、未読。
百瀬(坂口健太郎)の好きな人が兄嫁の美晴(倉科カナ)だと知り、明葉(清野菜名)はなぜかモヤモヤ。2人は百瀬の同級生たちが開いてくれる結婚祝いパーティへ。思い出話で盛り上がっているとなぜか麻宮(深川麻衣)が飛び入り参加!明葉のお節介で百瀬は心のシャッターをガッツリ降ろしてしまう。家では気まずい空気が流れる中、明葉に大きなコンペの話が舞い込む。予期せぬ出来事が起こりコンペは思わぬ展開に…!?
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・有生青春『婚姻届に判を捺しただけですが』
脚本:田辺茂範(過去作/参道高校合唱部!、トクサツガガガ、インハンド、オーマイボス) 第1,3話
おかざきさとこ(過去作/家政夫のミタゾノ3,4、正しいロックバンドの作り方) 第2話
演出:金子文紀(過去作/G線上のあなたと私、恋つづ、逃げ恥、俺の家の話) 第1,2話
竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、警視庁ゼロ係シリーズ、MIU404) 第1,3話
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:あいみょん「ハート」
本作を見始めて、"コメディ作品"を創る難しさを痛感させられている
『婚姻届に判を捺しただけですが』を見始めてから、改めて、且つ、つくづく “コメディ作品” を創る難しさを痛感させられている。
そもそも、本作『婚姻届に判を捺しただけですが』は、同じTBS火曜21時枠で放送されていた『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年、以下『逃げ恥』)と、比較されやすい設定のドラマだ。
「契約結婚」と言うキーワードを共通項にして、互いの利害関係を合致させた上での、まあ言うなれば「ビジネス的な結婚生活をし… と、この先は、本作と『逃げ恥』ではテーマが離れていくから、単純に比較は出来ないし、すること自体に意味があるのかとも思う。
『逃げ恥』の"二匹目のドジョウ狙い"に、ほぼ間違いないが
しかし、前述の「ビジネス的な」と言う部分を引用するならば、誰がどう考えても、TBSは “大人の事情” を丸出しで、『逃げ恥』と比較されることを大前提に、本作の企画を同じ放送枠に投入して来たのは、間違いないはず。まあ言うなれば「二匹目のドジョウ狙い」と言うやつだ。だから、ついつい比較してしまいがちだが。
脚本家と演出家が、"ラブコメ得意派"と"苦手派"に分かれているのが今作の特徴
<私>は「期待度」の投稿をした時から、『逃げ恥』はもちろん、前期の人気ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子』(日本テレビ系)と比較しても、コミカル要素のセンスは劣っていると思っていた。それは、スタッフ・リストで一目瞭然。
どう言うことかと自論の展開を続けると、本作の脚本家と演出家は、それぞれ「2人体制」になっており、その「2人体制」の2人の得意ジャンルが、ほぼ全くと言っていい程、真逆なのだ。簡単に書けば「ラブコメが得意な人と、そうでない人」に分かれている。
だから、本作こそ、今は流行りの “マッチング” を上手くやるべきなのだ。「コメディ要素の多い放送回」と、「シリアスな部分が多い放送回」と、脚本家と演出家の “マッチング” を上手く切り替えたら良いと思う。
「脚本・ラブコメ得意派×演出・苦手派」で創った第3話
その意味で、今回の脚本家と演出家の “マッチング” は、どちらかと言えば「脚本・ラブコメ得意派×演出・苦手派」。従って、脚本が… 正直、盛り込み過ぎの印象が余計に強くなった。演出家も、冒頭ではコミカル要素で頑張ったが、序盤以降は、普通の「偽装結婚を歩かった恋愛ドラマ」になってしまった。
その上、本作って「W主演」のように見えるが、実際の主演は清野菜名さんのみ。だから、明葉の状況や心理描写に集中するべきなのだ。しかし、昨今の坂口健太郎さんの人気もあって、百瀬のシーンが第3話から急増(『おかえりモネ』が終わったからかな?)。
これだと、流石に明葉と百瀬にそれぞれ「仕事と私生活」があるから、最低でも、4つの物語が同時進行することになる・。その上、脇役の話もあるし。やはり、ここは一度、明葉を中心に交通整理をしたら、もっと良くなると思う。
今以上にラブコメとして笑えなくなると、明葉と百瀬の魅力が乏しく見えてしまう
私は、前回の感想で、『各職場や家のシーンの割合が良くなれば、もっと面白くなるかも…』と『もっと、"不意キュン"でラブコメらしさを盛り上げるべき!』との、2つの提案をした。要するに、「恋愛ドラマ」としては、“普通” に楽しめているし、意外にも「偽装結婚」を扱った類似作品との既視感も違和感も少ないのだ。
しかし、第2話では、脚本家と演出家の “マッチング” に失敗したために、前回は明らかに “コメディ要素” が若干薄まってしまった。ドラマとして “コメディ要素” が薄まると、単純に笑えなくなる。笑えなくなると、明葉(清野菜名)と百瀬(坂口健太郎)の魅力が乏しく見えてしまう。
オジサンの私が、「期待度★1つ」の本作に魅了されつつある理由
そして、この第3話の脚本家と演出家の “マッチング” は、前述の通りの「脚本・ラブコメ得意派×演出・苦手派」だから、もはや、主人公が、真面目な百瀬になってしまった。これは、坂口健太郎さんファンには叱られるかも知れないが、やはり違うかな? と、思う。ただ、なぜ本作の感想に、ここまで私が深掘りしてしまうのか?
それは、主人公が入れ替わっている程のドラマなのに、前回よりも、この第3話の方が、「偽装結婚」だから描ける “コミカル度” は、間違いなく増していること。そして、明葉が困って悩んで笑わせるよりも、百瀬が笑わせようとしない方が、ドラマとして面白くなっている。
特に、兄嫁の美晴(倉科カナ)を好きなってしまった百瀬がメインの方が、むしろ、明葉らしさを強調すると言う逆転現象まで起こっているのだ、これは本当に興味深い。
ドラマって、「益々、不思議なものだなぁ」と感じた第3話
だから、ここで、今回の感想の冒頭に巻き戻す。つくづく “コメディ作品” を創る難しさを痛感させられるのだ。
脚本家と演出家の “マッチング” は、私が考えるに、第3話の内容とは真逆なのに、ラブコメとしては “イマイチ” でも、ドラマとして面白くて、終盤で描かれた「偽装結婚した夫婦ならではの「妻の窮地を華麗に救う夫」で描いた “不意キュン” のたった一つで、意外過ぎる程に恋愛ドラマとしては楽しくなるから。
ドラマって、「益々、不思議なものだなぁ」と感じた第3話だった。
あとがき
第3話の感想は、能書きばかりになってしまいました。でも、“ラブコメ食傷気味のオジサン” にとっては、想定外に、ワクワクしますし、ドキドキもありますし、“不意キュン” が、楽しくて面白い恋愛ドラマだと思います。
もう、いっそのこと、公式サイトに書いてある「偽装結婚した夫婦が織りなす、不意キュンラブコメディ」のように、百瀬を前面に押し出して “偽装夫婦” を “W主人公” にした方が、面白いかも知れませんね。次回にも、期待しようと思います。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16169/
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