最愛 (第2話・2021/10/22) 感想 ※サブタイトル追記

TBS系・金曜ドラマ『最愛』
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第2話『消された記憶が甦る…! 初恋の二人は刑事と容疑者…!?』の感想。
大輝(松下洸平)は梨央(吉高由里子)に任意同行を求める。会社に戻った梨央に、専務の後藤(及川光博)は事件との関連を追及。また弁護士の加瀬(井浦新)は1人で警察と会わないよう約束させる。一方、梨央が今も新薬開発を夢見ていると知った大輝は今回と15年前の事件の関連を調べ始める。遡って14年前。真田家になじめない梨央は、再会した弟の優からある事実を知らされる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:奥寺佐渡子(過去作/夜行観覧車、Nのために、リバース、私、定時で帰ります) 第1,2話
清水友佳子(過去作/夜行観覧車、女はそれを許さない、リバース、私、定時で帰ります)
演出:塚原あゆ子(過去作/アンナチュラル、グッドワイフ、グランメゾン東京、MIU404)) 第1,2話
山本剛義(過去作/凪のお暇、コウノドリ2、わたナキ、オー!マイ・ボス!恋は別冊で)
村尾嘉昭(過去作/アンナチュラル、Nのために、キワドい2人、死にたい夜にかぎって)
音楽:横山克(過去作/わろてんか、映画「ちはやふる」シリーズ、ドリームチーム、メネシス)
主題歌:宇多田ヒカル「君に夢中」
第2話で既に「どうしても次回を見たくなるドラマ」になっていることに、驚きを隠せない…
前回(第1話)では、初期設定の説明だけでなく、ミステリーとして、15年の時間経過を含めて、フラグであるのか、ただの描写なのかと思いつつ見終えた。しかし、第2話で、それらの私が抱えていた疑問の幾つかを、今回では明瞭に映像化して、提示して来た。特に、例の携帯電話の映像や、防犯カメラ映像など。
とにかく、何がフラグで、何が事実で、と言うのが分からないように、巧みに物語に組み込まれているため、今後も、次々と予想を良い方、面白い方に覆して来ることが分かったのが、第2話。正に「どうしても次回を見たくなるドラマ」になっていることに、驚きを隠せない…
今回も、【演出プチ講座】的なことを書いてみようと思う
さて、前回の感想での【演出プチ講座】として書いた「吉高由里子さんと松下洸平さんの"14cmの身長差"への工夫」への評判が良かったので、今回はまた違った角度から、【演出プチ講座】的なことを書いてみようと思う。
ただ、その前に是非とも言っておかなければいけないのは、脚本が緻密に作られているから、演出が冴える余地があるってこと。ここだけは、押さえていて欲しい。その上で…
今回の【演出プチ講座】のテーマは…
本作は、脚本だけでなく演出が、ミステリーとしても、ラブストーリーにしても、映像による見せ方が、実に上手い。本来なら、一つずつ説明したところだが、ほぼ全編なのでブログ上で文字によって表現するのは、ほぼ不可能。そこで、まず、どんな演出、特に撮影に於いて、工夫が施されているのかについて書いてみる。
人物配置、画面内での人物が占める分量など、様々な撮影や編集技法を駆使して…
例えば、人物配置、画面内での人物が占める分量、衣装の色、髪型、天気、炎を含めた光のコントロール、風景カットへの意味の持たせ方、色処理効果による恐怖感、寄りと引きのカット編集で出すテンポの良さ、屋外のカットと室内のカットの繋ぎで作る物語の広がり、カットとカットの繋ぎ方で生む期待感、縦横無尽なカメラワークによる先が見ない感などだ。
これらの撮影や編集技法を駆使して、映像としての美しさや季節感を感じることが出来る。また、俳優の配置等が “やり取り” が言わんとしていることと絶妙に合致しているため、“台詞” は聞こえず、きちんと “言葉” となって、視聴者を惹きつけ、説得させる。
最近ドラマで、特に、ここまで徹底的に映像に凝ったドラマは久し振りだと思う。
ここで、本作のチーフ監督・塚原あゆ子氏の演出法に注目!
その理由の一つに、本作のチーフ監督・塚原あゆ子氏の演出法がある。
普通のドラマのメイキング映像などで見るディレクターは、基本的に演者と別室でモニター画面を見てチェックし、修正が必要な場合は、インカムを使って、演者の近くにいるAD(アシスタントマネジャー)経由で、演技指導(立ち位置や、カメラへの角度など)を伝える。
しかし、塚原氏の演出は違う。自分がモニター画面で見て、違和感を覚えたら、自分が走って演者たちの元へ行き、その違和感を伝えて、演者やスタッフと共に即時、その場で改善していくのだ。
時間が掛かる撮影方法だが、これには実はとても良いことがある。まず、塚原氏の頭の中には、第2話が撮影前から完成しており、その完成度がもの凄く正確であるからこそ、出来る技なのだが。塚原氏の頭の中で完成されている「第2話」は、「このカットやシーンの前後に、どんなカットやシーンが繋がること」が明瞭になっている。
だから、例えば、あるシーンを撮影する際も、その前後は勿論、全体の中での存在を強く意識して、撮影に臨んでいるのだ。これは、特番の番宣で、さり気なく塚原氏が語っていたことだから、ほぼ間違いないはず。それを、私が咀嚼して、ここに分かり易く書いただけ。だから、信用して頂いて頂きたい。
要するに、優れた脚本を活かして、それに見合った絶妙な映像が存在することで “良質なドラマ” が出来ると言うことだ。
あとがき
今回は、敢えて具体的なシーンやカットを抽出しませんでした。
ですから、逆に、この感想を読んで、どこが…
・人物配置
・画面内での人物が占める分量
・衣装の色
・髪型
・天気
・炎を含めた光のコントロール
・風景カットへの意味の持たせ方
・色処理効果による恐怖感
・寄りと引きのカット編集で出すテンポの良さ
・屋外のカットと室内のカットの繋ぎで作る物語の広がり
・カットとカットの繋ぎ方で生む期待感
・縦横無尽なカメラワークによる先が見ない感
なのかを、探して見て欲しいです。
必ず、「このシーンだ」「ここのカットとカットの栂決めの事か」と思うはずですから。宝探し気分で、見直して欲しいです。そして、私は、本作が好きな読者さんなら、それを自分で見つける楽しみを味わって欲しいです。それ位に、二度見以上する価値があると思っています。
そして、内容については、本当に “気になること” ばかりです。ミステリーとしても、ラブストーリーとしても、先が見えるようで見えないし、フラグかと思ったら見せてしまうし。
この感想を書いている間に、「どうしても次回を見たくなるドラマ」を超えて、「見ないと、気が済まないドラマ」に昇格中と言う感じです。だって、脚本も演出も良いですが、それを超える位に、俳優さんたちの演技が素晴らしくて、久し振りに、本格的に嵌っており、次回が楽しみでしょうがないです。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16115/
【これまでの感想】
第1話
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