連続テレビ小説「おかえりモネ」〔全120回〕 (第99回・2021/9/30) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第99回/第20週『気象予報士に何ができる?』の感想。
※ 本作は、9月3日、宮城県気仙沼市のロケで約11か月間の撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も雲のように毎日変わります。ご理解を。
翌日、漁協組合長の滋郎(菅原大吉)が百音(清原果耶)を訪ねてくる。滋郎は「来週あたりアワビの解禁日になるだろう」とラジオで喋り帰っていった。アワビ漁をするには、海の透明度が重要となってくると知った百音は、アワビの開口日を予測させてほしい!と滋郎に提案。しかし、全く相手にされない。百音は、電話で菅波(坂口健太郎)に相談、再び説得する気持ちでいると、今度は、子供たちを連れたグループが現れる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2,7,9,12,15,20週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3,4,10,11,16,19週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん) 第5,6,8,13,18週
押田友太(過去作/まいご。、うつ病九段) 第14週
中村周祐(過去作/ハムラアキラ、「おかえりモネ」プロデューサー) 第17週
原英輔(過去作/オーディオドラマ「エンディング・カット」) 第18週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
お知らせ
●第7週目から “超” が付く程、好意的に本作を見るモードに入っております。そのつもりで、読んで頂ければ幸いです。
●先日、脚本・俳優・演出の関係を簡単に “おさらい”出来るように 【脚本プチ講座】を投稿しました。最後まで読んで頂けると、本作へ漂い始めた暗雲が晴れて、木漏れ日が差し込むかもしれません。途中離脱するまでは、愚痴や意見を言いながら応援します。
【脚本プチ講座】脚本家と俳優と演出家の関係とは? 良き脚本「強い物語」とは? ※現在放送中の連続テレビ小説『おかえりモネ』完全対応版
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今回のアバンでは、亮に「きれいごど」と言われた百音が開き直っているように見えた
映像と言うのは不思議なもので。物語の一部として、一連のシーンの連続の中で見る “瞬間” と、ダイジェスト版のように切り取られた “瞬間” として見るので、だいぶ印象が変わるものだ。今回のアバンタイトルとが良い例だ。
前回、亮(永瀬廉)に「きれいごど」と言われた百音(清原果耶)は、何となく “痛いところを突かれたな” と言う感じで、「亮には言われたくない」と言う気合のようなものが、薄っすら演技に見えた。しかし、今回のアバンでの百音は、明らかに開き直っているように見えた。
それは、 清原果耶さんの演技だけが理由ではない。妹や母、祖父のカットとの組み合わせによって、開き直っているように “見せて” いるのだ。そう、要は本作は、度々、百音が開き直っているように描く。特に、自分の意見が思い通りに運ばない時。きっと、意図的にそれぞれの担当の週の演出家が創っているのだろう。
と言うことは、みんなで示し合わせているってこと。別に、今さらどうでも良いのだが、私は自分の意見が通らない時こそ、主人公が挫折を味わい、悩み、苦しみ、次の一歩を歩きだす姿を見たかった。でも、本作にそれを求めても無理なのは、今回の15分間を最後まで見れば、納得出来るはずだ。
私は、今回の漁協長から百音の話に展開する筋書きが大嫌い
とは言え、主題歌以降のストーリーも、ハッキリ言ってハチャメチャと言うか、如何にも「作り話」って感じ。いきなり協組合長の滋郎(菅原大吉)が百音(清原果耶)を訪ねて来て、「牡蠣の開口」の話から、強引に牡蠣の養殖販売を営む百音の祖父・龍己(藤竜也)へ繋げて、更に強引に “天気” と “百音のビジネス” に繋げている。
私は、こう言う、明らかに主人公が中心になるように創られた筋書きが大嫌い。確かに、ドラマだから少しは受け入れないと、今日で視聴継続中止するしかなくなるから。
今回を見て、実は百音は何かをしているように見えただけだと、お気付きだろうか?
で、今日は、木曜日なのに大したエピソードもなく終わったから、感想の冒頭に書いた「主人公が挫折を味わい、悩み、苦しみ、次の一歩を歩きだす姿を、本作では無理」について、私なりに掘り下げてみる。
まず、今回を振り返ってみよう。アバンで亮に開き直る百音。漁協組合長と百音の意見の対立。菅波(坂口健太郎)に機嫌を直してもらう百音。自主的にラジオブースにやって来た家族。これだけ。
これ、昨日の亮から「きれいごど」と言われたことや、ラジオの仕事を奪い、天気コーナーを強引に入れ込ませたことも、全部に言えることだが、これ、主人公が何かをやっているように描いてはいるが、実は、そうでないことにお気付きだろうか?
今の百音がやるべきこと。そして、自ら探して動くこと
だって、思い出して欲しい。ウェザーエキスパーツ社の同僚たちや社長、テレビ局の気象班の人たちを、滅茶苦茶な内容と、やる気のないプレゼンで、基本給まで分捕って、故郷に帰って来たのが、今の百音の立場。このドラマに「普通」がないのは、いつも言ってはいるが。
普通、今の百音がやるべきことは、「Uターンしてきた自分だからこそ故郷に貢献できること」や「僅か2,3年の経験しかないが、一応全国放送のテレビに出演したこともある若き気象予報士として出来ること」を、自ら探し、調べて、あの滅茶苦茶なプレゼンを、本物にするための行動では?
今の百音がやるべきことを、描かない本作
なのに、それを描かない。むしろ、全部 “棚ボタ” にしちゃう。例えば、コミュニティFMの仕事にしたって、そもそも、気象予報士がいなくても出来ていたことであり、逆に、地方のコミュニティFMが、細心のAIナビゲーターを利用して、人手不足と経営の効率化を図っている所に、給料が発生する仕事をやると割り込んだ。これ、前述の「今の百音がやること」だろうか。
脚本の"運び(筋書きの順序)"を変えるだけで、大きく印象が変わったのに…
これだって、脚本家の工夫一つで、百音の印象はガラリと変わる。例えば、まず、祖父との会話の中で「牡蠣の開口」の話を知って、その難しさやリスクを知る。そして、ネットで調べて、関係者に聞き回る。そんな中で漁協組合長と出会うことになり、滋郎の苦労や愚痴を聞いて、百音が新ビジネスを思い付けば、良かっただけのこと。
あのプレゼンが実効性のあること、ウェザーエキスパーツ社に有益であると証明する “見込み” を、故郷と言う場所で模索する言動をとるのが、百音のやるべきことではないかってこと。
今、本作が描くべきは「仕事をしている、探している百音」を見せることではないのでは?
でも、本作は、そうは描かない。描けないのでなく、描かない。だから、本作では、百音自身は動かずに、周囲の人たちが仕事を与えるような印象ばかり。確かに、気象予報士も、現地リポーターも、FMも、主人公が仕事をしている映像であるのは間違いないが。
でも、本当に重要なのは、百音がお金を自分で稼いで仕事をしていると言うのを、視聴者に見せることではないのは、お分かりのはずだ。
本作に一番欠けているのは、ズバリ "百音の心情の描写"
私は、本作に一番欠けているのは、ズバリ “百音の心情の描写” だと、ほぼ確信している。百音が何を考えているのか、どんなトラウマを抱えて悩んでいるのかが、ブラックボックス化されてしまっているのだ。
だから、本作に於ける百音は、基本的に主体性がなく、受動性を感じる描写ばかりになる。これは、例えば、同じ仕事をしている映像でも、視聴者にとっては、無理矢理やらされているようにも映るし、内気な子だから周囲が手を貸して… と、映ってしまう。
今の百音から、「逃げた」と言う十字架を下ろそうと言う必死さが感じられないから「きれいごと」に見えるのでは?
ドラマとしては、無理矢理で滅茶苦茶な展開だとしても、既に本社の許可を得て、故郷で新事業を “出来るようになった” のだから、ここは、あのプレゼンの正しさの証明や、社長たちへの恩返しの意味も含めて、百音は、もっと積極的に動くべきだと思う。
そうでないと、「逃げた」と言う、百音が背負っている(と、私は勝手に解釈している)十字架みたいな重荷は、背中にズシリと乗ったままでは無いのかと。
いや、その十字架を外すための言動が、あのプレゼンであり、「Uターンしてきた自分だからこそ故郷に貢献できること」や「僅か2,3年の経験しかないが、一応全国放送のテレビに出演したこともある若き気象予報士として出来ること」を必死にやり続けることなのではないのか。
そう言う部分を、百音の言動に全く感じさせないようにしか描かないから、「きれいごと」に見えるのだと思う。
今回は、思い切って、百音と亮たちの人生経験験・人生観について掘り下げてみようと思う
もう、今回は、ここまで深掘りしてしまったので、ついでに更に深掘りする。それは人生経験・人生観のこと。
亮や未知(蒔田彩珠)や三生(前田航基)や明日美(恒松祐里)たちは、各自が抱えた問題はあっても、中学を卒業してから高校の3年間とその後の約2年半、自分なりに、震災や津波の恐怖と向き合い、闘い、自分の進むべき道を模索しながら生きて来たし、今も模索して生きている。
しかし、百音はどうだろう。祖父の紹介の森林組合の仕事を「東京で気象予報士になる」と辞めた。いや、故郷から逃げたと言っても良いと思う。もちろん、「故郷の役に立つ」とか「気象予報士になって故郷を守る」と言う人生の目標を決めたと解釈すれば、百音はスゴイと思う人はいるとは思う。
でも、「亀島でみんなと津波を見ていない」とか「島から出たい」とか「逃げた」と言う、ある種の百音が抱えた苦悩は、正直、表現されていない。ただの想像。それでも、自分の故郷で、中学の卒業式からの約5年半を、故郷で生きた亮たちと、故郷の山の上の登米で、2年程仕事をして辞めて、上京してからはチヤホヤされっ放し、応援されまくりで、自由を勝ち取って帰省した百音とは、心の根っこの部分で大きな違いがあると思う。
だから、前回の亮の「きれいごと」発言に繋がって、今回の百音の開き直りの態度になるのだと思う。だから、やはり本作は間違っている。
残り約1か月しか放送が無いが、やはり、本当の意味で、百音が亮たちと腹を割って話せる関係に慣れる日が来るためにも、故郷の役に立つためでも、心機一転した百音が、自分自身で動いて物語を創り上げるべきなのだ。それが、上手く行った時、今作はやっと「強い物語」になって、完成すると期待したい。
あとがき
アバンタイトルで気になったことを書いておきます。皆さんは、どう感じましたか? 24歳前後なら結婚していてもおかしくないのだから、立派な大人だと思っています。そんな若くて未熟な大人たちの会話のシーンです。そう、亮が百音に「きれいごど」と言った場面。
龍巳が騒ぎを納めさせるために、亜哉子(鈴木京香)に目配せしましたよね。私は、あそこで、祖父には「親が口を出すな」と目配せして欲しかったです。ああ言う百音に過剰に過保護な永浦家体質が、今の未知を作ったように感じました。どこまでも、私と本作の相性は良くないようです。
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【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
1 2 3 4 5 土
第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
11 12 13 14 15 土
第4週『みーちゃんとカキ』
16 17 18 19 20 土
第5週『勉強はじめました』
21 22 23 24 25 土
第6週『大人たちの青春』
26 27 28 29 30 土
第7週『サヤカさんの木』
31 32 33 34 35 土
第8週『それでも海は』
36 37 38 39 40 土
第9週『雨のち旅立ち』
41 42 43 44 45 土
第10週『気象予報は誰のため?』
46 47 48 49 50 土
第11週『相手を知れば怖くない』
51 52 53 54 55 土
第12週『あなたのおかげで』
56 57 58 59 60 土
第13週『風を切って進め』
61 62 63 64 65 土
第14週『離れられないもの』
66 67 68 69 70 土
第15週『百音と未知』
71 72 73 74 75 土
第16週『若き者たち』
76 76 77 79 80 土
第17週『わたしたちに出来ること』
81 82 83 84 85 土
第18週『伝えたい守りたい』
86 87 88 89 90 土
第19週『島へ』
91 92 93 94 95 土
第20週『気象予報士に何ができる?』
96 97 98
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