連続テレビ小説「おかえりモネ」〔全120回〕 (第98回・2021/9/29) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第98回/第20週『気象予報士に何ができる?』の感想。
※ 本作は、9月3日、宮城県気仙沼市のロケで約11か月間の撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も雲のように毎日変わります。ご理解を。
百音(清原果耶)は、遠藤(山寺宏一)から了承を得て、ラジオで天気予報を放送させてもらうこととなった。意気込んだ百音は、地元の天気を細かく延々と話し続ける。すると「もっと楽しい話題も」とクレームが入ってしまう。その夜、永浦家に亮(永瀬廉)、三生(前田航基)、悠人(髙田彪我)、そして未知(蒔田彩珠)が集まり、百音はそれぞれの近況を聞く。はじめは楽しい時間だったが、やがて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2,7,9,12,15,20週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3,4,10,11,16,19週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん) 第5,6,8,13,18週
押田友太(過去作/まいご。、うつ病九段) 第14週
中村周祐(過去作/ハムラアキラ、「おかえりモネ」プロデューサー) 第17週
原英輔(過去作/オーディオドラマ「エンディング・カット」) 第18週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
お知らせ
●第7週目から “超” が付く程、好意的に本作を見るモードに入っております。そのつもりで、読んで頂ければ幸いです。
●先日、脚本・俳優・演出の関係を簡単に “おさらい”出来るように 【脚本プチ講座】を投稿しました。最後まで読んで頂けると、本作へ漂い始めた暗雲が晴れて、木漏れ日が差し込むかもしれません。途中離脱するまでは、愚痴や意見を言いながら応援します。
【脚本プチ講座】脚本家と俳優と演出家の関係とは? 良き脚本「強い物語」とは? ※現在放送中の連続テレビ小説『おかえりモネ』完全対応版
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前回の感想で「コミュニティFM」に深入りしなかった理由
前回の感想では「面倒」の一言で、最重要事項だけ書いた。その理由、実は、「面倒」以外にもあるのだ。少し長い話になるが、是非聞いて欲しい。
私、20年以上前に、千葉県のある町で「ミニFM局」を開局するNPOの役員をやっていたのだ。「ミニFM」と言うは、「コミュニティFM」よりも安価で小規模(小範囲)に届く市民FMラジオのシステム。
阪神淡路大震災のあと、「いつか千葉県にも大災害が来るから、その時のために地元の情報をいち早く地元へ」をテーマに県や市の資金援助を受けて始めたが、一度5年でとん挫した。そう、20~15年前は、地元の人が地元の情報に興味なんて持たなかったのだ。
そして、10年前の東日本大震災の時に、市民から「ミニFM復活を復活して欲しいとの声」は上がったが、千葉県の南端の小さな地域へ、所謂「地元ラジオ」を広く伝えるには、海や山を越えて電波を届けなくてはいけないため「コミュニティFM」クラスの規模にしないと電波が届かない。
全国の「コミュニティFM」の多くが経営困難なのは、殆どが「災害の時のため」に存在しているだけだから
しかし、「コミュニティFM」は開局するだけでも申請から機材まで数年間、数百万かかり、いつでも放送可能な防音施設のスタジオや維持費が必要で、維持費が相当な金額になって、結局、千葉県も近隣の市も「財政困難」を理由に参加しなかった。そして、2019年の9~10月に千葉県が複数の台風に襲われて、甚大な被害を被った。そう、あの地域の話だ。
今、全国に300を超える「コミュニティFM」があるが、どこも経営困難。コロナ以前のことだが、飲食店に入っても、スーパーには言っても、「地元のコミュニティFM」を流している店なんて、殆ど無い。これが現状。
私の知る限りでも、大きな観光地がある場所では、観光情報を電波に乗せて、飲食店やお土産屋の店内、自家用車で来た観光客に地元の観光情報を伝えると言うやり方で成功している例はある。しかし、その他の殆どが「災害の時のため」に存在している。これが実情。
だから、百音(清原果耶)が突然気仙沼に帰って来て、運良くコミュニティFMがあり、そこに即日、天気予報担当に採用されるなんて “馬鹿げたポエム” に付き合うつもりは無くなったのだ。でも、心の隅っこで、ポエムが現実になって欲しいとも思っていることだけは伝えたい。
劇中のコミュニティFM「はまらじお気仙沼」は"ポエム"だと知って欲しい
因みに、気仙沼市には「ラヂオ気仙沼」と言う実際のコミュニティFMが存在し、今でも経営と放送を続けている。また、私の市にも「コミュニティFM」があり、運営・運用に関わってはいるが、「聴いてます」と言われることは殆ど無い。だって、周波数が普通のラジオだと、ダイヤルなど回して合わせないと聞くことが出来ないからだ。
脇道に反れた話しばかりで恐縮だが、私はフィクションを否定しないし、夢を描いても良いと思う。でも、何かのカタチで現実も描いて欲しいのだ。だから、今回の感想は、NHKがやらない現状報告から始めることにした。
NHK、朝ドラは "きれいごと" しか描かないはずなのに…
そして、主題明けは、コミュニティFM「はまらじお気仙沼」のシーン。やはり、NHK、朝ドラは “きれいごと” しか描かない。僅か数分間のやりとりだが、上の私の体験談を読んだ読者さんなら、これが “きれいごと” だと分かるはずだ。
基本的に、成功する番組は、普通の番組なのだ。要は、地元の人が、地元の出来事を面白おかしく語る番組。天気予報が、各職業別になっているのなんて、お店や観光客に必要かってこと。
「百音の気象情報コーナーにクレームが入る」のは良かった
そんな中で、「百音の気象情報コーナーにクレームが入るシーン」を描いたのは、NHK、朝ドラとしては褒めたい。
そして、恐らく、本作のコミュニティFM監修・大島智博氏のアドバイスによるものだと推測する。「大島智博」と言えば、コミュニティFMを好きな人なら名前を知らない人はいない程の人物。東日本大震災の時に地元のコミュニティFMの必要性を強く訴え、2021年4月にの臨時災害放送局「女川さいがいFM」の設置した人。
そして、今は東日本大震災の被災地となった宮城県・女川町の「いま」を伝えてきた「OnagawaFM」のプロデューサー。だから、このシーンが入ったのだと思う。
どうせクレームを描くなら「あなたの自己満足では?」くらい言って欲しかった…
でも、厳しい意見かも知れないが、震災を描くプロジェクトの一環として制作・放送されている『おかえりモネ』だからこそ、もっと、番組の内容にも触れて欲しかったし、リスナー(出資者を含む)のクレームを描いて欲しかった。
それこそ、「はまらじお気仙沼」代表の小山(佃典彦)には、「あれでは、企画書を超えた、あなたの自己満足では?」くらい言って欲しかった。こう言う曖昧な表現は、もう飽きた。そして、百音の仕事の描写を “きれいごと” や “あまやかし” で誤魔化して描くのにも、正直うんざり気味だ。
客寄せの「プチ同窓会」にも「土曜日版」に残るような内容が欲しい
そして、また、同級生中心の「プチ同窓会」。結局、東京でも、亀島でもやるわけか。やったって、「土曜日版」では、内容は、(ドラマの中の “1つの情景” として残っているのはあるが)ほぼ削除されているのだから、明らかに “客寄せ” だ。どうだろう?
「プチ同窓会」で台詞が「土曜日版」に残って、私の記憶にも残っているのは、亮(永瀬廉)と三生(前田航基)の「UFOの話」くらい。劇中での回想シーンでも、幼馴染や望郷を表現するための、イメージカットとして利用されることは度々あるが、物語の中に食い込むことは殆ど無かった。
これって、残酷な言い方になるが、(敢えて脚本家とは言わない)本作そのものが、「プチ同窓会」には “大きな役割は無い” と証明しているのと同じこと。それでも、客寄せパンダとしては、視聴率や提灯記事に反映されるから、今後もやるだろうが、本当に描く必要のあることを、まずは描いて欲しい。ただ、それだけ…
前回で、百音が故郷に戻る理由を、百音自身が自己否定すると言う大間違いがあった
さて、前回で百音が観光課課長の遠藤(山寺宏一)に「ツアーの開催日を決定します」と言った直後に、遠藤課長が、「でも 予想が外れるってごども ありますよね」と疑問視(反論)を投げ掛けた時、「それは 自然相手のことですから」と言ってしまった。
そのことで、百音自身が故郷に帰る理由は、気象予報士の資格を活かして、地元の人たちの役に立つことと言う、百音が一大決心をした自分の大義名分であり、行動の裏付けを、「自然相手=予測はハズレる」と自身が全否定してしまったことに触れた。こう言う、大間違いをこの脚本家は度々やる。やるから困る。
是非とも「土曜日版」に残して欲しい、亮と百音のやり取り
しかし、今回の12分頃、亮が百音に次のように問い質した。このシーンは、是非とも「土曜日版」に残して、全ての視聴者に印象付けさせるべきシーンだ。「プチ同窓会」が一段落して…
亮「モネはさ…。何で帰って来たの?
(中略)
地元のために 働きたかった?」
百音「うん」
亮「フフ…。ごめん きれいごどにしか聞こえないわ」
恐らく、視聴者も、亮と同じ気持ちや印象を百音に抱きつつ、今回の自己満足のための冒頭のラジオ放送のシーンを見たと思う。
主人公に反旗を振りかざす登場人物を創出したのは1つの光
申し訳ないが、ここから、少し砕けた表現を使わせて頂く。でないと、私の真意が伝わらないと思うから。
ここね、分かりづらいと思うのだが、すっごく脚本上の台詞として、演出上の解釈として、そして亮を演じる永瀬廉さんにとって、微妙なの。それは、津波でほぼ全てを失った亮が、いよいよ全てを賭けて再起を誓った頃って設定だよね。その亮に幼馴染の百音に「きれいごどにしか聞こえない」と言わせるのって、受け取り方で真逆になっちゃうから。
百音の応援団なら「百音だって、それなりに自分のやれる方法で帰省して、仕事に就いたのだから、応援してあげて…」って思はず。
でも、亮の応援だったら… ここが難しいの。確かに、百音がやって来たこととは、気象予報士の試験を受ける辺りから、ほぼ “きれいごと” にしか描かれていないから、「亮が、そう言って当然」ってなるのだが。やはり、酒の席だし、前段のやり取りが全く描かれていない中で、「ちょっと酔った」と笑顔で曖昧にしているから、いきなり言うのは亮が言ったように「嫉妬して 当たっているとか思われ」るように見えてしまう。
だから、本当は、永瀬廉さんが超多忙でなければ、亮の苦悩や葛藤を描いた上で、今回の「プチ同窓会」へ繋げたら良かった。とは言え、いつものように、意味不明で不必要な “ポエム” で誤魔化さずに、亮に「きれいごど」と言わせたら良かった。
でも、主人公に反旗を振りかざす登場人物を創出したのは、残りの1か月に、ちょっぴり光が射したと思う。あとは、継続することを願うばかりだ。
未だに、設定や心情でモヤモヤしていることを箇条書き風に
それと、前回は「面倒」の一言で切り捨てたので、今現在で、私が、本作の中のエピソードや登場人物の心情について、分からないことや曖昧で困っていることを、思い付いたままに箇条書き的に書いてみる。
まず、相当話を巻き戻すが。百音の妹・未知(蒔田彩珠)は姉に「お姉ちゃんは、津波を見てないから」みたいに非難した。亮を含めた幼馴染も、未だにどこかで「百音は、亀島で津波を見ていない。被害に遭っていない」と言う差別とまではいかないが、何となく “わだかまり” があるように、特に明日美(恒松祐里)の態度の表現でチラ見させている。
しかし、私だったら「モネ、仙台は大丈夫だった? とにかく、全員無事で良かった」って感じるのだが。まあ、それだけ、津波のトラウマが凄いと言いたいのだろうが、「津波を見た or 見ない」で、友だち、幼馴染、親友を分断するような初期設定が未だに解せない。
また、百音が故郷に帰って故郷で人の役に立ちたいと思ったのは、だいぶ前の話だが、先日の突風騒動の時、必死に急いで実家に帰ったら、意外な程のドンチャンどんちゃん騒ぎで疎外感を味わった。そして、この疎外感こそ、前述の「津波を見た or 見ない」の疎外感と重なった。だから、家で暮らし、気仙沼で働けば、そう言う思いはしないで済むと考えた可能性が、あるのか、ないのか。そこも曖昧。
やはり、初期設定で、「百音だけ別行動」にしたのが、全てのギクシャクの元かな… と。だから、「残りの1か月に、ちょっぴり光が射した」かも知れないが、こんなちっぽけな光で全てが明るくなる程、今作の初期設定の “暗さと闇” は簡単ではないと思う。
あとがき
百音が14分過ぎに、亮に反論しましたよね。「きれいごとだと思われても しかたない」って。この台詞、編集で良いから切ったら良かったのに。だって、誰の目にも “きれいごと” だし、“トントン拍子” だし、“ノープラン” なのですから。ここで、百音が開き直っちゃうと、また応援し難くなるだけ。
本作で “普通” が無理なのは百も承知ですが、普通にFMの小山代表やリスナーからの苦情を素直に受け入れて、金曜日までに、「お天気コーナー」を改善する百音を描くだけで、努力や苦労が見えて、サブタイトル『気象予報士に何ができる?』にピッタリな内容になるのに…
お願い…
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16011/
【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
1 2 3 4 5 土
第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
11 12 13 14 15 土
第4週『みーちゃんとカキ』
16 17 18 19 20 土
第5週『勉強はじめました』
21 22 23 24 25 土
第6週『大人たちの青春』
26 27 28 29 30 土
第7週『サヤカさんの木』
31 32 33 34 35 土
第8週『それでも海は』
36 37 38 39 40 土
第9週『雨のち旅立ち』
41 42 43 44 45 土
第10週『気象予報は誰のため?』
46 47 48 49 50 土
第11週『相手を知れば怖くない』
51 52 53 54 55 土
第12週『あなたのおかげで』
56 57 58 59 60 土
第13週『風を切って進め』
61 62 63 64 65 土
第14週『離れられないもの』
66 67 68 69 70 土
第15週『百音と未知』
71 72 73 74 75 土
第16週『若き者たち』
76 76 77 79 80 土
第17週『わたしたちに出来ること』
81 82 83 84 85 土
第18週『伝えたい守りたい』
86 87 88 89 90 土
第19週『島へ』
91 92 93 94 95 土
第20週『気象予報士に何ができる?』
96 97
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