連続テレビ小説「おかえりモネ」〔全120回〕 (第95回・2021/9/24) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第95回/第19週『島へ』の感想。
※ 本作は、9月3日、宮城県気仙沼市のロケで約11か月間の撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も雲のように毎日変わります。ご理解を。
宮田(石井正則)は、菅波(坂口健太郎)に頼まれホルンの演奏を披露する。優しいホルンの音色は、百音(清原果耶)の背中を押してくれる。数日後、高村(高岡早紀)に、Jテレの仕事について、百音はある決意を話す。そして、会社の新規事業審査会で、地域密着型の気象予報士を活用する企画を発表、自分の思いのたけを皆に話す。それを聞いた安西(井上順)は…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2,7,9,12,15週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3,4,10,11,16,19週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん) 第5,6,8,13,18週
押田友太(過去作/まいご。、うつ病九段) 第14週
中村周祐(過去作/ハムラアキラ、「おかえりモネ」プロデューサー) 第17週
原英輔(過去作/オーディオドラマ「エンディング・カット」) 第18週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
お知らせ
●第7週目から “超” が付く程、好意的に本作を見るモードに入っております。そのつもりで、読んで頂ければ幸いです。
●先日、脚本・俳優・演出の関係を簡単に “おさらい”出来るように 【脚本プチ講座】を投稿しました。最後まで読んで頂けると、本作へ漂い始めた暗雲が晴れて、木漏れ日が差し込むかもしれません。途中離脱するまでは、愚痴や意見を言いながら応援します。
【脚本プチ講座】脚本家と俳優と演出家の関係とは? 良き脚本「強い物語」とは? ※現在放送中の連続テレビ小説『おかえりモネ』完全対応版
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最終回までには、照明演出が最適化されるの?
今回も良く分からないことがあるので、まず、その辺から書いてみる。
いつぞやも書いたが、なぜ今週の演出家は、照明演出の違和感を平気でいられるのだろう。アバンタイトルで宮田がホルンのケースを空けた時間帯は、照明の感じから明らかに昼間。まあ、照明の色温度がやや低い目のオレンジ色になっているから、午後であることは間違いない。でも、主題歌明けで宮田がホルンを拭く時は、明らかに夕方。
百歩譲って、ノスタルジックとか幻想的な雰囲気を出したくて、百音と菅波に強い影が出る位の夕方にするなら、アバンもそれなりの夕方に見えるように “合わせ” たら良かっただけだと思う。
ホルン演奏を聴いただけで「音楽なんて、何の役にも立たないよ」を、あっさりと改心か…
それにしても、何なの、これ? そもそも、仕事で忙しいはずの菅波が夕方に、自分の思い出と無関係な百音を誘って、仕事中の宮田がホルン演奏って?
「2011年 夏」に父と娘の共通の趣味である「音楽」の話で父・耕治(内野聖陽)が、震災後5か月近く経過しているのに、やる気を見せない娘を心配した父親に対して、“病的” だった百音が父に言い放った、「違うよ お父さん。音楽なんて、何の役にも立たないよ」を改心して… って言うエピソードと捉えるのが正解のようだ。
なぜ、菅波が百音に宮田のホルンを聴かせたのか?
分かるんだけど、分からない。これが正直なところ。なぜ、菅波が百音に宮田のホルンを聴かせたのか?
これが、例えば、菅波自身も音楽経験があって、「音楽の神様の力」を知っていて、悩んでいる百音に何かしてやれることは出来ないか? と考えたとか。まあ、宮田と百音は “音楽” と言う共通点があるから、宮田のこれまでの努力を、一人で多くの人に見せたかったことにしておくが。
宮田が吹いた「ダニー・ボーイ」は「女性が男性に別れを告げる歌」
さて、今回の宮田が吹いた楽曲は、アイルランドの民謡「ダニー・ボーイ」(Danny Boy)で、「ロンドンデリーの歌」として知られる旋律に歌詞を付けたもの。従って、本来は金管楽器で演奏するより、歌う曲。その歌詞も、世界各国で各作詞家が独自の解釈で翻訳している。
本来の歌詞の意味は、「女性が男性に別れを告げる歌」だが、男性歌手も歌うため「両親や祖父母が戦地に赴く息子や孫を送り出す歌」の設定も多い。こう書くと、このシーンに「ダニー・ボーイ」は似合わないと言うことになるが…
「ダニー・ボーイ」は、音楽や人生の素晴らしさを描いた映画『ブラス!』の印象的なシーンで使用されている
しかし実は、絶妙と言うべきか、あざといと言うべきか、この選曲には、私には次の理由があると思っている。それは、1996年に制作されたイギリス・アメリカの映画『ブラス!』(Brassed Off)の印象的なシーンで使用されていること。
映画『ブラス!』をご存知ない方のために少し解説してみる・閉鎖されると騒動中の小さな炭坑の町で結成されたブラスバンド(指揮者の名前が「ダニー」)が、苦難を乗り越えてコンテスト優勝を目指すヒューマンドラマ。その中で最も印象的なシーンで、市民ブラスバンドが演奏するのが「ダニー・ボーイ」。
「音楽」や「生きること」の素晴らしさを、人間味と社会風刺を織り交ぜて描いた感動作だ。個人的な「おすすめ度は星4つ」。もし、未見なら見ておいて損はない作品なのは間違いない。
良く聞くと、百音が"島の人たち"をディスっているように聞こえてしまう
これも、人それぞれの解釈だと思うが。演奏を聴き終わった百音が、「地元の人たちも 本当は強くなんていられないし」と語り出し、“島の人たち” に元気を貰った体験談を菅波に話すシーンがあった。
まあ、普通に聞き流せば気にならないが、3度の録画を見直すと、百音を上位に位置付けるために、台詞の内容が “島の人たち” を軽くディスっている(否定している)。百音がディスっていないのは分かるが、プロの脚本家なら、もっと言葉を適切に選んで、台詞に落とし込んだ方が良いと思う。
百音が自分のやりたいことを押し切るために、周囲を巻き込んで共感させる強引な展開は不快だが…
それにしても、最終回が約1が月後に見えて来ているのに、ここまで無茶苦茶にするとは思わなかった。
「百音を故郷に戻す」と言う最終段階になったために、百音が自分の “やりたいこと” を押し切るために、社長以下、周囲の人たちを次々と巻き込んで、何としても「うん」と言わせると言う強引な展開。そんな1週間だったとのではないだろうか?
結局は「気象予報士 最強説」をただただ描いている感じ…
とは言え、ドラマの主人公としては、百音が物語を動かしていると言う点では、若干疑問は残るが「強い物語」になっているとも言える。だから、最終回を見届けるまで、今週を全否定はしないが。
ただ、気になるのは、主人公が物語をつくり、けん引していく「強い物語」になっているのは良いことだが、良く見ると、何でも自分の意見を通させちゃう無敵のヒロインと言うよりも、全体的には、「気象予報士 最強説」をただただ描いている感じだろうか…
「永浦百音の自己満足日記」を毎日見せられているような気分…
あと、これは完全な個人的な理由で、大嫌いなシーンであり、展開。でも、ドラマとしては、決して間違っているとは思わないシーンと展開があった。
それは、百音が “社員の肩書は残したいけど、自分のやりたいことのためには会社を辞める” ってくだりのこと。私、コロナ禍だからこそ、脚本家の安達奈緒子氏には、こう言う「条件付け」をやって欲しくなかった。
特に、コロナ禍でたくさんの人が失業し、日々の生活もままならぬ時に、百音だけ、脚本家お得意の “主人公特権” で、主人公の夢や未来を切り開く展開を避けて欲しかった。
だって、劇中の時代は、たった今から2年前、2019年。百音は、「会社の観測データにアクセスできなくなるのも きつくて…」と、あれこれ理由付けしていたが。「気象予報士 最強説」を描いているなら、そこを自身の力と工夫と “島の人たち” との協力で乗り越えて欲しかった。
なんか、今の私にとっては「永浦百音の自己満足日記」を毎日見せられているような気分…
あとがき
スタッフは、何が何でも、百音と菅波の恋バナで “恋バナ好きな若年層” を獲得しつつ、「気象予報士 最強説」を描き続けたいようですが。
前回では、姉が実家に戻ることを許させるために妹に上から目線で妹の逃げ道を無くすような態度を描き、今回では自分勝手に実家を心配して帰っただけなのに “島の人たち” をディスって元気をもらったと描き、今回は社長に直談判して強引に自分の言い分を通す百音を描きました。
こう言う部分が、本作のダメなところなのです。普通に、冷静に、節度を持って脚本を読めば、出演者目当ての視聴者は抜きにして、普通に習慣的に朝ドラを楽しみに見ている視聴者が、どう思うか容易に想像できると思うのですが。流石に、今回の百音を不快だと覆わない人がいたら、世界は広いなぁって思うことにします。
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【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
1 2 3 4 5 土
第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
11 12 13 14 15 土
第4週『みーちゃんとカキ』
16 17 18 19 20 土
第5週『勉強はじめました』
21 22 23 24 25 土
第6週『大人たちの青春』
26 27 28 29 30 土
第7週『サヤカさんの木』
31 32 33 34 35 土
第8週『それでも海は』
36 37 38 39 40 土
第9週『雨のち旅立ち』
41 42 43 44 45 土
第10週『気象予報は誰のため?』
46 47 48 49 50 土
第11週『相手を知れば怖くない』
51 52 53 54 55 土
第12週『あなたのおかげで』
56 57 58 59 60 土
第13週『風を切って進め』
61 62 63 64 65 土
第14週『離れられないもの』
66 67 68 69 70 土
第15週『百音と未知』
71 72 73 74 75 土
第16週『若き者たち』
76 76 77 79 80 土
第17週『わたしたちに出来ること』
81 82 83 84 85 土
第18週『伝えたい守りたい』
86 87 88 89 90 土
第19週『島へ』
91 92 93 94
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