連続テレビ小説「おかえりモネ」〔全120回〕 (第87回・2021/9/14) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第87回/第18週『伝えたい守りたい』の感想。
※ 本作は、9月3日、宮城県気仙沼市のロケで約11か月間の撮影が終了しました。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の感想も雲のように毎日変わります。ご理解を。
百音(清原果耶)が提案した企画は「あなたの町の気象予報士 全国津々浦々計画」。地域の産業や医療などと連携する、密着型の予報士の必要性を力説したのだった。しかし、安西(井上順)に「採用になったら、地元に帰るのか?」と問われてしまう。その一方、高村(高岡早紀)から莉子(今田美桜)が、ある大事な相談を受ける。数日後、過去にあまり例がないほどの大型台風12号が、日本列島に近づいていた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2,7,9,12,15週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3,4,10,11,16週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん) 第5,6,8,13,18週
押田友太(過去作/まいご。、うつ病九段) 第14週
中村周祐(過去作/ハムラアキラ、「おかえりモネ」プロデューサー) 第17週
原英輔(過去作/オーディオドラマ「エンディング・カット」) 第18週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
お知らせ
●第7週目から “超” が付く程、好意的に本作を見るモードに入っております。そのつもりで、読んで頂ければ幸いです。
●先日、脚本・俳優・演出の関係を簡単に “おさらい”出来るように 【脚本プチ講座】を投稿しました。最後まで読んで頂けると、本作へ漂い始めた暗雲が晴れて、木漏れ日が差し込むかもしれません。途中離脱するまでは、愚痴や意見を言いながら応援します。
【脚本プチ講座】脚本家と俳優と演出家の関係とは? 良き脚本「強い物語」とは? ※現在放送中の連続テレビ小説『おかえりモネ』完全対応版
↓『おかえりモネ』完全対応版です↓
百音のプレゼンは説得力不足の「気象予報士・万能説」か?
前回こそ「簡単感想」で済ませたかったのだが、あまりにも多いツッコミどころに長文になってしまった。そして、今回こそ「簡単感想」で済ませようと思った矢先、百音(清原果耶)のプレゼンの中に、とんでもない台詞が飛び込んで来たため、書き起こしておく。
百音「もし 気象予報士が 常に町にいたら
天気の急変や 突然の災害の危険性なども
自分の目で見て いち早く察知することが出来ます
その土地の地形を熟知しているので」
演説は、まだまだ続くがリライトが面倒だから、この辺で終わり。安西社長(井上順)の言っていることの方が、道理として合っていると思う。いや、なぜこの台詞を「とんでもない台詞」としたのは、「もっと地域密着」と言う役割をつけて、無理矢理に「気象予報士・万能説」を繰り広げ始めたように感じたから。
これ、「スマホのアプリ上での話」と言うことにしたら良かったのでは?
これ、「スマホのアプリ上での話」と言うことにしたら良かったのでは? それを、あたかも「百音の理想」のようにプレゼンで描いたから、違和感を覚えるのだ。実際の現実を見たって、「天気予報を発表できるのは気象庁」、「天気予報を解説するのが気象予報士」、そして「災害時の避難行動の指示は各自自体」と決まっている。
このコロナ禍でも、そうではないか? 「ワクチンを買ってくるのは国、「ワクチンを国民に接種するのは各自自体」。「国全体の経済や危機管理を考える(考えている?)のが政治と国」で「保証金などの手続きの多くは自自体や関連団体」。このように、既に、良いか悪いか別にして、日本は「縦割り行政」であり、その中でシステムが動いているのだ。
そのことを、安西社長は百音に言った。でも、百音は「もっと地域密着」と食い下がった。食い下がるは勝手だが、じゃあ、町中に気象予報士が歩いていれば、どの気象予報士も「今、自分が立っている場所」の地形を熟知していると言えるだろうか?
「気象予報士は気象の専門家」であることは認めるが…
面倒なので詳しい説明は省略するが。確かに「気象予報士は気象の専門家」であることは認める。しかし、地形を始め、ハザードマップにしても、土木のことや土壌のこと、海や河川の専門家ではない。気象庁だって、気象予報士だけで天気予報を発表しているわけでは無い。
様々なジャンルの専門家が集まって、「これだ!」と言うのを発表している(まあ、最近は一部の民間気象会社が、独自の天気予報を発表できるようになったが)。それを、「気象予報士なりたての人」を含めて、「気象予報士・万能説」を繰り広げるのは、いくらフィクションと言えども、現実を無視し過ぎている。
これ、「災害・防災コーディネーター」みたいな役割では?
だから、百音が必死に熱弁しているつもりなのは、それぞれ細かな地域の範囲の天気や災害の被害を食い止められると言う「気象予報士・万能説」ではある。でも、実際は、万能ではない。う~ん、何と表現しようか? 「万能っぽさ」か。それも、説得力の掛けた「万能っぽさ」。
これを言ったらおしまいかも知れないが、百音がプレゼンした “万能っぽい気象予報士” って、もはや「気象予報士」とは呼ばないのでは? フィクションに本気になっても意味はないが。これ、「災害・防災コーディネーター」みたいな役割では?
天気は気象予報士、医療は保健所を中心に中核病院とかかりつけ医と薬局、各家庭の状況なら警察や役所、山林なら森林組合、漁業なら漁協、一般の人への情報発信は報道、避難所等は自治体やボランティア。これらを的確にコーディネートするってことではないのか?
それを、「気象予報士・万能説」で “気象予報士が全部できちゃう” と、強引に引っ張ろうとするから、現実味がなくなるし、「そもそも、百音は気象予報士らしい仕事をしていない!」ってなる。結局、八方ふさがりなプレゼンで終わって、呆れてしまった。
「百音、例え莉子先輩をいつも気にしていても、高村の前で言っちゃダメ」って感じ…
「簡単感想」のつもりだったが、どうしても触れたかったことも書いておく。9分頃、莉子(今田美桜)が報道キャスターとしての先輩で、今はレビ局の社会部気象班デスク・高村(高岡早紀)から「神野さん ちょっと残ってくれる?」と声をかけた時、百音が異常な位に大袈裟に驚いた。
そして、高村が「ああ 大丈夫。降板の話とかじゃないから」と言ったら、二人で「ああ…」と一安心して、莉子が「何で モネが(心配するの?」と言うと、百音は、次のように言った。
百音「だって 莉子さん いっつも気にしてるから」
何て言うのかな? 言わんとしていることは一応わかる。「先輩をいつも気にして心配している百音」を描きたいために書いたと思うのだが。ここでの、莉子への百音の “二つの台詞” に引っ掛かった。
<私が莉子だったら>の感覚で話をしてみる(気味が悪いのは、ご勘弁を)。<私が莉子だったら>後輩から「いっつも気にしてる」と言われても嬉しくないと思う。だって、高村のいる前だから。いや、そうじゃない。<私が莉子だったら>、後輩の百音から、高村が目の前にいる時に「いっつも気にしてる」と聞きたくない… が、正解だ。
逆に素直に考えれば、「百音、例え莉子先輩をいつも気にしていても、高村の前で言っちゃダメ」って感じ。人によっては、百音の高村からの点数稼ぎに見えてしまう演出だ。こう言う百音の態度を積み重ねるから、いつまで経っても、最近の主人公は莉子に見えてしまうのだ。
あとがき
今日の百音は、意味不明なプレゼンで「気象予報士・万能説」を繰り広げて、あとは “恋バナ” と “実家に電話” しただけ。全体の印象としては、プレゼンの説得力不足によって、主人公は恋バナにしか、やっていない印象が強いです。
それにしても、気象予報士になって、百音が気象予報士の何をどれだけ分かっているのかも描かずに、話だけ視聴者置いてけぼりなのは困ります。あと、ネットを飛び交う提灯記事にも、ぼちぼち、うんざり気味です。
お願い…
管理人が返信に困るようなご意見などには対応いたしかねます。発表するなら、ご自身の場所でやって下さいませ。また、何度も諄いコメントの投稿者は、投稿機能をブロックします。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15961/
【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
1 2 3 4 5 土
第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
11 12 13 14 15 土
第4週『みーちゃんとカキ』
16 17 18 19 20 土
第5週『勉強はじめました』
21 22 23 24 25 土
第6週『大人たちの青春』
26 27 28 29 30 土
第7週『サヤカさんの木』
31 32 33 34 35 土
第8週『それでも海は』
36 37 38 39 40 土
第9週『雨のち旅立ち』
41 42 43 44 45 土
第10週『気象予報は誰のため?』
46 47 48 49 50 土
第11週『相手を知れば怖くない』
51 52 53 54 55 土
第12週『あなたのおかげで』
56 57 58 59 60> 土
第13週『風を切って進め』
61 62 63 64 65 土
第14週『離れられないもの』
66 67 68 69 70 土
第15週『百音と未知』
71 72 73 74 75 土
第16週『若き者たち』
76 76 77 79 80 土
第17週『わたしたちに出来ること』
81 82 83 84 85 土
第18週『伝えたい守りたい』
86
- 関連記事
-
- 連続テレビ小説「おかえりモネ」〔全120回〕 (第88回・2021/9/15) 感想 (2021/09/15)
- 彼女はキレイだった (第10話/最終回・2021/9/14) 感想 (2021/09/15)
- 連続テレビ小説「おかえりモネ」〔全120回〕 (第87回・2021/9/14) 感想 (2021/09/14)
- よるドラ「古見さんは、コミュ症です。」〔全8回〕 (第2話・2021/9/13) 感想 (2021/09/14)
- ナイト・ドクター/Night Doctor (第11話/最終回・2021/9/13) 感想 (2021/09/14)