連続テレビ小説「おかえりモネ」〔全120回〕 (第80回・2021/9/3) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第80回/第16週『若き者たち』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
未知(蒔田彩珠)や亮(永瀬廉)たちは気仙沼へ帰っていった。同じころ、サヤカ(夏木マリ)や龍己(藤竜也)は、自分たちより下の世代のためにも、まずは自分たちが楽しく、格好よく生きなければ、と電話で語り合っていた。そして前日、百音(清原果耶)と結局会えずじまいだった菅波(坂口健太郎)が改めて汐見湯にやってくる。百音は菅波から、地域医療に専念するためにした意外な決断を聞かされ、激しく動揺して…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2,7,9,12,15週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3,4,10,11,16週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん) 第5,6,8,13週
押田友太(過去作/まいご。、うつ病九段) 第14週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
お知らせ
●第7週目から “超” が付く程、好意的に本作を見るモードに入っております。そのつもりで、読んで頂ければ幸いです。
●先日、脚本・俳優・演出の関係を簡単に “おさらい”出来るように 【脚本プチ講座】を投稿しました。最後まで読んで頂けると、本作へ漂い始めた暗雲が晴れて、木漏れ日が差し込むかもしれません。途中離脱するまでは、愚痴や意見を言いながら応援します。
【脚本プチ講座】脚本家と俳優と演出家の関係とは? 良き脚本「強い物語」とは? ※現在放送中の連続テレビ小説『おかえりモネ』完全対応版
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今回も、15分間を一気に見てから総括的な感想を書いてみた
さて、前回の感想は、久し振りに15分を一気に3回見て、その中から自分に湧き出た気になった点などを綴ると言う書き方をした。私としては、かなり珍しい書き方で、読者の皆さんに気持ちが伝わるか、とても心配だった。
でも、Web拍手を32回も頂き(投稿時点で)、「この方法も悪くないのか」と、再認識できて良かった。と言うわけで、金曜日も同じ方法で感想を書いてみる。
今回の感想の書き出しは、褒めてみよう
いつもは、愚痴やツッコミから始まるが、と思う。「なんて、百音って、昼も夜も元気なんだろう!?」って。そして、いつの間にか仕事も少し出来るようになっているし。ただ、本当は、きちんと気象予報士の仕事、中継キャスターの仕事をしている映像を踏まえた中で、妹や幼馴染たちや “ほぼ恋人” のことを、今週の「週5放送」で描いて欲しかったが…
聡明な読者さんなら私の文章の癖はとっくに分かっているはず
さて、このブログの読者さん、それも常連さんなら、私の文章には、繰り返しの言い直しや、「要は」と “まとめ癖” があることや、同じ内容を別の言い方で言い直すことが多いことは、既にご存知だと思う。
こうなってしまうのは、多くの企画書を書いて来た癖で、「強調すべき点は “言い換え” を上手く使って強調すべし」や「要点をまとめて、相手の理解度を深めるべし」と言う、自身の体験や経験から生まれた、企画書が通る秘訣みたいなものから由来している。
まあ、問題は、上記のように私自身は「企画書が通る秘訣」から生まれた、分かり易い文章の書き方だと信じているものが、本当に読者さんの一人ひとりに、きちんと伝わっているかどうかだ。それを判断するのは、ありがたく頂くコメントから察するわけだが。
最近の読者さんから頂くコメントで多いのが…
なぜ、今回の感想で、こんな個人的な話題から始めたのか? それは、最近の本作への読者さんから頂くコメントの中に、「時間軸や、登場人物、脚本家の言いたいことが分かり難い」とか、「表現が遠回しで、くどくて疲れる」と言った類のものだ。
素人の私が、その理由を、またクドイ言い回しで解説するのも、堂々巡りになってしまうが。ここを分析すると、本作の “ある特徴” が見えて来るから、是非とも読んで欲しい。
次の未知の台詞の回りクドさによる弊害は、未知の真意の分かりづらさ
例を挙げると分かり易いから、幾つか今回の15分間に登場した台詞ややり取りで解説してみる。まずは、先日の放送回で言われ、今回のアバンタイトルでも引用された主人公・百音(清原果耶)の2歳年下の妹・未知(蒔田彩珠)が姉に言い放った次の台詞だ。
未知「お姉ちゃんは 正しいけど 冷たいよ。私が そばにいる」
これを聞いて、「回りくどい」と思わないだろうか? 恐らく、既に「3か月半以上」に亘って、安達奈緒子氏の脚本や、数々の演出によって、ある意味 “洗脳” と言うのはキツイから “慣れ” とでもしておくが、慣れてしまっているから感じないかも知れない。
でも、よ~く未知の台詞を考えて欲しい。これ、「お姉ちゃんは冷たいから、私がそばにいる」で済むのだ。それなのに、「正しいことは、だいたい冷たい」と言う、私も世間でも、つい使う言葉を付け加えている。このことで、未知の感情自体が “回りくどい言い回し” になってしまっているのだ。
そして、その結果、未知の真意が分かりづらくなる。これ、「お姉ちゃんは 正しい。でも、私にとっては正しいことが、全て “いい事” だとは思わない」とか、「お姉ちゃんは相手に冷たいところあって、そこが私は嫌い」とか言う、未知の気持ちも含んでいると思うのだ。
でも、あの言い方で済ませてしまうと、そこが見えづらくなる。因みに、この台詞での未知の “本音” は「私がりょうちんのとそばにいて守りたい」だと、私は思う。でも、そう言わずに遠回しする。
菅波の台詞の特徴は、一度"逆"を言って分かりづらくなる点
このように、本作では、本人の “本音” や “本心” を台詞にする時、「回りくどい」とか「遠回し」を使うと同時に、本音とは “真逆” のことを言って、本心をわかり難くする癖もある。その、ちょうど良い例が9分頃に、菅波(坂口健太郎)が百音に言っ、次の台詞だ。字幕のままだなので少々長いが…
菅波「あなたがずっと抱えてきたことを
僕が 正確に理解して 受け止めているとは思わない。
ただ 登米に行って あなたに会って
僕は 自分が少し 変わったと思っています。
今なら 少しは 受け止められる。いや… 受け止めたい」
これだって、切り詰めれば「僕はあなた(百音)の気持ちを受け止めたい」で済む台詞だ。極論で言ってしまったら「I LOVE YOU」だ。しかし、一度「受け止めているとは思わない」と、“逆” のことを言わせる。だから、菅波の真意がわかり難くなる。
百音が菅波の指に触れる場面は、違和感だらけ
他にもある。11分頃に、百音が菅波の指に触れる場面だ。ここは、台詞を書いているとキリがないから省略するが。結局、百音も菅波に対して「I LOVE YOU」なのだ。しかし、実に回りくどい。
だって、そもそも、このシーン、演出がおかしいのだ。前段で、菅波が百音に「I LOVE YOU」なのは分かると書いた。だから、菅波から百音に近づくのは、パーソナルスペースを縮めたい気持ちと同じだから、間違っていない。でも、この時点では、まだ百音側の「I LOVE YOU」が描かれていないから、演出的に最初から二人の距離が近すぎるってこと。
う~ん、何ていれば良いのだろう。要するに、既に百音が菅波の指に触れることを前提に、二人の “立ち位置” を演出家が決めてしまったのが失敗なのだ。
ここは、百音は一、二歩後ろにいて、菅波の「相談しようと思っていたのですが」の台詞で、百音も「相談したかった」と言う気持ちが同調して、百音が菅沼に近づいて、指に触れる演出をすべきだった。それをしないで、今度は一方的に百音が自分の気持ちばかりを喋るから、良く分からなくなる。
百音は、自分を正当化するために周囲を巻き込む人だから…
更に、12分に、冒頭で引用した未知の台詞が登場。これも回りくどい。更に、亮(永瀬廉)の話も付け加える。ここ、亮、関係ないでしょ。その上、亮からの「I LOVE YOU」を受け入れない理由も、中途半端でわかり難いまま、会話が進む。
本来なら、前回の亮と百音の二人きりのシーンで、「亮は、私の好きなタイプじゃない」とか「私は、皆と違って亀島で津波を見ていない」とか、何でも良いから、理由づけをしたら良かったのだ。それが例え百音にとっても嘘でも。言えば、亮は百音に区切りを付けられたかもしれないし。
もう、お分かりだろう。百音と言う登場人物は、未知の言うような「お姉ちゃんは 正しいけど 冷たいよ」な人ではないのだ。自分を正当化するために、周囲を巻き込んで、相手を悲しませるのだ。偶然にも、久し振りにサヤカ(夏木マリ)が登場したが、サヤカや森林組合の人たちなんて、正に犠牲者って感じ。
菅沼先生、「あなたの痛みを共有したい」で、良くない?
そして、今回の極めつけは、14分の菅波。
菅波「あなたの痛みは 僕には分かりません。
でも 分かりたいと思っています」
これ、「あなたの痛みを共有したい」で済むわけ。でも、お約束だから一度 “逆” を言わせる。
全部が全部、悪いとは思わないが、未知の台詞を流用すると
全部が全部、悪いとは思わない。こうしないと、放送尺が埋まらないと言う事情もあろう。こう言う台詞を書くことで、個々のキャラクターの個性を描き分けているのも、あるに違いない。しかし、未知の台詞を流用させてもらうなら、「脚本家や演出家は 正しいけど 登場人物の真意が伝わらないと 私が 自分で意味を考える」しかないってこと。
あとがき
もしも、たまたま今週の一週間を見られなかった人に「今週って、どんな話だったの?」と質問されたら、どう答えますか?
「気仙沼の幼馴染たちが、震災のトラウマに今も苦しんでいる亮を救ったお話」と言いますか? それとも、「興味のない亮そっちのけで、百音が菅波とイチャイチャしていたお話」と言いますか? 「久し振りに、仕事をしている百音が見られた」とでも答えますか。
結局、中身がないのですよ。時間も場所も人間関係も移動し、変化しているのに、耳障りの良い “台詞=ポエム” を並べているだけで、各登場人物たちの “言葉” が伝わらないのです。これでは、共感するとか、応援したい以前の次元。
まずは、残りの2か月弱、どんな百音の未来を描くのか、ほんの少しでも良いから、見せた方が良いと思います。その第一弾として、話を気象予報士に戻すのが一番手っ取り早いと思います。
お願い…
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【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
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第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
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第4週『みーちゃんとカキ』
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第5週『勉強はじめました』
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第6週『大人たちの青春』
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第7週『サヤカさんの木』
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第8週『それでも海は』
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第9週『雨のち旅立ち』
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第10週『気象予報は誰のため?』
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第11週『相手を知れば怖くない』
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第12週『あなたのおかげで』
56 57 58 59 60> 土
第13週『風を切って進め』
61 62 63 64 65 土
第14週『離れられないもの』
66 67 68 69 70 土
第15週『百音と未知』
71 72 73 74 75 土
第16週『若き者たち』
76 76 77 79
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