八月は夜のバッティングセンターで。〔全8回〕 (第5話・2021/8/11) 感想

テレビ東京系・水ドラ25『八月は夜のバッティングセンターで。』(公式サイト)
第5話〔全8回〕『バッテリー』の感想。
なお、原作のスマートフォンゲームアプリ『八月のシンデレラナイン』(公式サイト)は、未体験。また、本作はメディアミックスではあるが、アニメーションの類いも基本的に未見。
夏葉舞(関水渚)がバッティングセンターに着くと、伊藤智弘(仲村トオル)が困惑していた。常連客・寺本沙織(佐藤仁美)の息子・優斗(中村羽叶)に懐かれてしまったからだ。遅れてやって来た沙織は、到着するなりバッティングエリアへ。打席に立つ優斗を笑顔で応援している。一見幸せそうに見える親子だが、伊藤は問題を抱えていることを見抜く。その読み通り、家では夫婦喧嘩が絶えず、優斗の顔に明るさはなかった――。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原案:スマートフォンゲームアプリ『八月のシンデレラナイン』
脚本:山田能龍(過去作/100万円の女たち、新宿セブン、この恋で私は生まれた) 第1,2,3,5話
矢島弘一(過去作/コウノドリ2、健康で文化的な最低限度の生活、ハルカの光) 第4話
演出:原 廣利(過去作/100万円の女たち、日本ボロ宿紀行、絶メシRoad) 第1,2,4話
志真健太郎(過去作/映画「LOCAL→TOKYO」、舞台「黄色い叫び」 第3,5話
原田健太郎(過去作/弱虫ペダルSeason2、W県警の悲劇)
音楽:未定
オープニング主題歌:クリープハイプ「しょうもな」
エンディング主題歌:クリープハイプ「こんなに悲しいのに腹が鳴る」
今回の構成の妙は、前半でだいぶ事情を見せたこと
今回の構成は、これまでの4回分とちょっと違った面白さがあった。例の「Life is Baseball」のシーンの前後で、違ったドラマが描かれたと言うか。
今回は、事前に伊藤智弘(仲村トオル)が事前に常連客・寺本沙織(佐藤仁美)の息子・優斗(中村羽叶)の「お母さんが、バッティングセンターでしか笑わない」と言う悩みを、妙に懐かれてしまったことで最初に知ってしまう。
その上で、母・沙織の態度を見て、寺本家に家庭内不和や夫婦問題があり、それらに巻き込まれた形になってしまった一人息子の優斗が、子どもでありながら、何とか、両親と言う夫婦だけでなく、家庭内不和まで、自分自身のバッティングで解決しようと頑張っている。ここまで前半で見せてしまった。
「Life is Baseball」が、明確に"手段"になったことが見所
そして、全部お見通しの伊藤に対して、遂に家族関係に苦悩している沙織自ら、それを吐露する瞬間から、「Life is Baseball」になると言う新展開。何が新展開かと言うと、これまでは、一人の女性客のバッティングから、その女性の生き様や問題点を見出して、「Life is Baseball」に繋げた。
でも、今回は、「Life is Baseball」が、明確に “家族3人の気持ちを救う手段” として描かれた。これまでの “本当に自分がやるべきことを見つける道具” だった、「Life is Baseball」が “手段” になったのだ。「道具も手段も変わらない」とお思いの方もいると思う。
「道具」と「手段」の違いは「他の選択肢があるかどうか?」
これ、英語で考えると分かり易い。一般的には、「with」 が「道具」を表し、「by」 が「手段」を表すと言われる。「with」と「by」を英語で使い分ける時に使うのが、「他の選択肢があるかどうか?」。他の選択肢があれば「with」で、その一択なら「by」を使う。
これまでの4話を見た人なら分かると思う。第4話までは「Life is Baseball」の世界は、悩みを持つ女性の解決方法の1つとして、ドラマチックに描いて来たのだ、しかし今回は違う。これまでの “1人分ではなく家族3人分” の関係を改善する選択肢は「Life is Baseball」しか無かったのだ。
だから、前半のドラマ部分が、とても丁寧に作り込まれた。だから、その分だけ「Life is Baseball」の世界が輝いた。
伊藤の台詞こそが、今回の「Life is Baseball」そのものを表現
さて、実際の「Life is Baseball」の世界は、どうだったろう? もう、私の解説なんて野暮で必要ないくらいだ。
野球レジェンド・チームの勝利のため長い目で投手と向き合う捕手(女房役)・ 里崎智也(本人役)が登場して、キャチャーを妻と変わり、ピッチャーである夫に好きな球を投げさせる。結果的に負けてはしまうが、そこで伊藤が次のように言う。この台詞こそが、今回の「Life is Baseball」そのものを表現した。
伊藤「目的は、家族と言うチームが勝つことだろ
そのためにキャチャーは長い目でピッチャーと向き合って
勝負に勝たせてやるんだよ」
2つのターニングポイントに"沙織"が絡んでいるから面白い
そして、後日談。妻は夫がやりたいことを受け入れた。そして “鬼嫁” ぶりも健在ながら、それも「家族を守るため」の言動ばかり。「起承転結」と言うスタイルとは異なるが。
これは、アメリカ映画等で多く用いられている「三幕構成」と言うスタイル。設定 (Set-up)、対立 (Confrontation)、解決 (Resolution) の役割を持つ3つの幕があり、幕と幕はターニングポイントで繋がっているのが特徴。
今回で言うなら、1つ目のターニングポイントが「沙織が家族不和の事実を伊藤に告白したこと」。もう1つは、「里崎キャッチャーの姿と伊藤の言葉に動いた沙織」だ。どちらのターニングポイントにも「沙織」が絡んでいるから、1本のドラマの完成度が、より高くなったのだ。
あとがき
今回も、とても面白かったです。そして、感想の本文に書いた通り、家族の進路も変えてしまう「Life is Baseball」の世界に感動しました。でも、今回の感想は、だいぶ説明や解説が多くなってしまいましたね(謝) 次回にも、大いに期待します。最後に一言だけ。本作を見ている読者さん、大きな得をしてますよ。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15848/
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