彼女はキレイだった (第4話・2021/7/27) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『彼女はキレイだった』(公式サイト)
第4話『二人きりの出張旅行 鬼上司の最高の笑顔』の感想。
なお、原作である韓国製ドラマ『彼女はキレイだった』(韓国「MBC」製作、脚本:チョ・ソンヒ)は、未見。
愛(小芝風花)は雨の中で動けなくなった宗介(中島健人)を介抱し、風邪気味だった。それを知った宗介は薬を渡して礼を言おうとするが、これまできつく当たってきた手前、素直に声を掛けることができない。一方、愛の初恋の相手が宗介だと知る樋口(赤楚衛二)は、宗介がいつも愛を気に掛けていることに気付き、焦り始めていた。さらに、梨沙(佐久間由衣)が諦めようとしている恋の相手も宗介だと知り、驚く。そんな中、宗介と愛は泊まりがけの出張へ。あるハプニングがきっかけで、宗介は愛に初めて素の自分を見せる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:『彼女はキレイだった』(韓国「MBC」製作、脚本:チョ・ソンヒ)
脚本:清水友佳子(過去作/夜行観覧車、わたし定時で帰ります。朝ドラ「エール」) 第1,2話
三浦希紗(過去作/死役所、あのコの夢を見たんです。) 第3,4話
演出:紙谷楓(過去作/海月姫、後妻業、竜の道 二つの顔の復讐者) 第1,2,3話
木下高男(過去作/警視庁いきもの係、デイジー・ラック、M 愛すべき人がいて) 第4話
松田祐輔(過去作/ハチミツとクローバー、コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命(1)、婚カツ!)
音楽:橋本由香利(過去作/千住クレージーボーイズ、悦ちゃん~昭和駄目パパ恋物語~、朝ドラ「なつぞら」)
オープニングテーマ:Awesome City Club「夏の午後はコバルト」
主題歌:Sexy Zone 「夏のハイドレンジア」
先週、今作の関係者から【非公開コメント】を頂いた…
先週の感想投稿後に、ドラマ『彼女はキレイだった』の関係者から、【非公開コメント】を頂いた。内容は「感想本文中に演出担当の紙谷楓氏が過去に担当したドラマに間違いがあるので、訂正して欲しい」というもので。決して、感想に対するクレームではなかったことだけ紹介しておく。
そして、今作についても、当blogがドラマ制作陣の “エゴサーチ” の対象になっているってことが分かった。だから、きちんと見て、感想を書くなら書かないと…
今回も、嘘偽りなき、本作への感想を書く!
さて、本作の関係者が、この感想を読んでいるから、いいことばかり書こうなんて思わない。だって、これまでも、数十名の演出家を含めたスタッフからコメントを頂き、こんな拙稿を読んで、受け止めてくれているわけだから。今回も、嘘偽りなき、本作への感想を書く!
継続視聴停止する程の第3話でなかったから第4話も見てみた
さて、第2話の感想では「第3話の感想の投稿が無ければ、継続視聴停止」と書いた。そして、第3話の感想には、「子役が演じる回想シーンが、諸般の事情で全て一気に撮影済みの可能性があるので、そうなると、巻き返しのハードルは厳しいかも。と言うことで、第4話も感想含めて “様子見” します」とし、継続視聴停止とは書かなかった。だから、もちろん、約束通りに第4話を見た。
今でも、この程度のプロットを国産しない事には否定的だが
前回の感想に書いた通り、本作は第3話で第2話までと見違えるほど “違うドラマ” に変化した。そう、番宣通りの “見た目が変わった幼馴染” が “上司と部下の関係” の “ラブコメ” の3つの要素が、ちゃんと揃った “ただそれだけ” の連ドラになったのだ。
そして、第3話までの演出担当だった(第4話は交代)紙谷楓氏が、<私>は「突然に初恋同士だった男の子と女の子が大人になって再開したら、上司と部下になっちゃった… 程度」のプロットをわざわざ韓国ドラマの原作を買ってまで、作る必要があるのかと、今でも思っている。
第3話で紙谷楓監督が目指した「日本人が見たくなるような作風」が、今回の木下高男監督も、きちんと継承し進化させている
しかし、第3話で演出の紙谷楓氏が「脚本と演出の方向性」として「韓国製の香りを感じさせる作風」を目指すのではなく、「日本人が見たくなるような作風」を目指し始めた。これが、上層部への反発なのか、独自の判断なのか、スタッフ全体の軌道修正の結果なのかは、分からない。
ただ、言えることは、第4話の演出担当(本作は初担当)の木下高男氏も、継承、そう、同じ路線を歩んでおり、更に進化させている。
木下高男監督は『警視庁いきもの係』で橋本環奈さんの"コメディエンヌ"の才能を引き出した人
木下高男氏は、『警視庁いきもの係』(フジ・2017年)で、当時の橋本環奈さんの “コメディエンヌ” としての才能を存分に引き出し、主演で主役を演じた渡部篤郎さんや、これまたコミカルな演技も巧みに熟す三浦翔平さんの存在までも食ってしまうような、演出や演技指導をやった監督だ。
また、『M 愛すべき人がいて』(テレ朝・2020年)では、今日(こんにち)の「女優・田中みな実」の実力をふんだんに発揮させた監督でもある。
小芝風花さんが得意とする"コメディエンヌ"の魅力が満載
だから、、まず、この第4話で際立ったのが、小芝風花さんが得意とする “コメディエンヌ” の魅力を満載させたこと。
このことによって、宗介(中島健人)のキャラ、特に、最近の若い女性たちに嫌悪感を抱かれているとされる、ラブコメの定番「ドSキャラ」が、かなり薄まって見えた。
フジとTBSは大ピンチ! ラブコメの定番「ドSキャラ」に視聴者うんざり|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/
月スタートの夏ドラマにも、ドSキャラが2人。ひとりは「彼女はキレイだった」(カンテレ・フジテレビ系)で小芝風花(24)とダブル主演の中島健人(27)。もうひとりは二階堂ふみ(26)主演の「プロミス・シンデレラ」(TBS系)に出演中の真栄田郷敦(21)だ。
「どちらも俺様で意地悪で横暴と典型的なドSキャラなのに、なぜか視聴者からの評判がイマイチなんですよね」(テレビ誌編集者)
中島が演じる敏腕副編集長の宗介と、真栄田演じる男子高校生・壱成という2人のドSキャラ設定に対して、共通するこんな書き込みがネット上ではチラホラ。
〈ドSというより、人としてダメなレベルじゃない?〉〈こんな性格悪い男と、この先、恋愛関係になれるヒロインに感情移入できない〉……。
もちろん、脚本と演出によっても、確実に「ただの視聴率狙いのドSキャラ男」から脱出しつつあり、まだまだ足りないとは言え、それなりに共感できる男になった。この二つの変化は、第4話だけでなく、今後の展開にも必ず影響を与えると思う。
「見たかった中島健人さんが演じる自然体のイケメン男子」が帰って来たのは朗報
その上、中島健人さんだって、黒服物語(テレ朝・2014年)では、コミカルなチーフ黒服を演じて笑わせてくれたし、映画『ニセコイ』(2018年公開)では、“王子様キャラ” が “冴えないもやし男” を上手に演じていた。
だから、今作も強引に「ドSキャラ」を演じさせ続けるのは、今作にとっては明らかに得策ではない。そして、その通りに、「見たかった島健人さんが演じる自然体のイケメン男子」が帰って来た。これも、朗報だ。
"幼馴染同士"の設定が程良く強調され、いい感じのドラマに
ただ、(私が、「なって欲しいと願う作風う… と言う意味で)こうなってしまうと、愛(小芝風花)と宗介の2人の部分だけを抽出して見れば、第2話までとは見違えるほどの、普通の “ラブコメ” になっているし、“幼馴染同士” と言う設定も、やり過ぎない程度に強調されて、いい感じに仕上がったと思う。
もちろん、いい感じのドラマが、面白いかどうかは、人それぞれの感想だから、何とも言えないが…
メインの愛と宗介の恋バナが良いだけに、梨沙と拓也の絡ませ方が余計に難しくなったが、続けるべき
しかし、私は、いい感じに面白くなっていると感じた。だから、今度は困ったことが起きた。
これまで、三角関係や四角関係を描くための要員、謂わば、梨沙(佐久間由衣)と拓也(赤楚衛二)と言う2人の “道化役” であり “恋の噛ませ役” のエピソードが、メインの愛と宗介の恋バナに “無理矢理に割って入る感じ” や “話に水を差す役割” になってしまったのだ。
もちろん、ドラマ全体の構成を考えれば、梨沙と拓也をメインの2人に絡ませ、且つ、盛り込むことは正しいし、やり続けるべきこと。
テーマを描くのに不必要なエピソードは全て削除するべき
しかし、「このドラマ全体の構成」ではなく、「このドラマが描きたこと」や「視聴者に伝えたいこと」を中心に考えれば、残念ながら “ギリギリ、まだ蛇足未満” って感じなのだ。
原作があるのは知っている。原作との契約による、何らかの “縛り” もあるはずだ。でも、前述の通りに、幼馴染同士のラブコメとしては、かなり良く出来ているし、面白くもなっているから、<私>は、せめてテーマを描くのに不必要なエピソードは全て削除した方が良いと思う。そして、“蛇足” にならないぎりぎりの範囲で、程々に残すべきだと思う。
あとがき
本作の感想とは直接関係ありませんが。先日、『カンテレ制作・火曜9時ドラマが10月から月曜10時に移行で「月曜は連ドラ4本放送時代」突入!』との投稿をしました。と言うことは、今作が、「カンテレ制作の火9ドラマとしては最終作となる」わけです。
これまでも、フジテレビでは挑戦すらできない企画のドラマを多数作成して来たこの放送枠の「最終作」だけに、有終の美を飾って欲しいと思うのです。
※次回の放送は、8月10日(火)21:00~21:54です。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15796/
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