TOKYO MER~走る緊急救命室~ (第3話・2021/7/18) 感想 ※画像追加

TBSテレビ系・日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(公式サイト)
第3話『立てこもり事件… 人質の少女を救え!』、ラテ欄『立てこもり事件発生 病の人質少女を救え』の感想。
娘の保育園で夏梅(菜々緒)が医療従事者への差別に直面する中、飲食店で立てこもり事件が発生。客や従業員らが刃物で切られたとの報を受け、MERが出動する。現場では、犯人が銃器を所持していたという情報もあるため、規制線の中に入らないよう指示が出る。だが、喜多見(鈴木亮平)は規制線をくぐり、トリアージを開始。現場を指揮する警視庁・特殊犯捜査係(SIT)係長の新井を無視し、深い刺創のある女性・香織(森脇英理子)を運ぼうとすると、突然発砲音が鳴り響く。一方、香織の娘が店内に残されていることが分かる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:黒岩勉(過去作/モンテ・クリスト伯、グランメゾン東京、アンサングシンデレラ、危険なビーナス)
演出:松木彩(過去作/下町ロケット2018、半沢直樹2020、危険なビーナス) 第1,2話
平野俊一(過去作/S最後の警官、インハンド、ノーダイド・ゲーム) 第3話
音楽:羽岡佳(過去作/チーム・バチスタシリーズ)
斎木達彦(過去作/ガールガンレディ)
櫻井美希(過去作/4分間のマリーゴールド ※兼松衆と共同)
主題歌:GReeeeN「アカリ」
医療監修:関根和彦(東京都済生会中央病院 救命救急センター)
浅利靖(北里大学病院 救命救急・災害医療センター)
長谷川剛(上尾中央総合病院)
医事指導:北里大学病院 救急救命・災害医療センター
看護指導:堀エリカ(過去作/朝ドラ「エール、日曜劇場「テセウスの船)
消防協力:東京消防庁
レスキュー指導:幾田雅明(NPO法人 日本消防ピアカウンセラー協会)
警察指導:伊藤鋼一
「虚構の中の真実」で見る人の心を動かすのがドラマの本質
こう言う警察と医師たちのドラマを作ると、やたらと、「あんなことは現実に無い」とか「リアルさに欠ける」とか言う視聴者が一定数いる。そう言う人たちは、「見ない」か「別の有意義な時間の使い方を考える」のが、最も賢明だと思う。だって、「虚構の中の真実」で視聴者や観客の心を動かすのが、テレビドラマや映画の本質なわけだから…
これまでの2話は、複数の事故や事件を次々と描いたが…
さて、これまで本作の2話は、複数の事故や事件を次々と描いて、「敵=案件」と言った感じの流れの中で、(もう詳しく書かないが)主人公たちが、まるで「戦隊モノ」のように大活躍する様子を描いて来た。
今回は、敵と向き合う相手を変えて、新境地を開いた
しかし、今回は、往年の大ヒット刑事ドラマ『踊る大捜査線』での青島刑事の名台詞「事件は会議室で起きてんじゃない。現場で起きてんだ」を主軸に、まず「敵=会議室のお偉いさんたち」と明確に変えた。
更に、事件(案件)を “1つ” に絞り込んで、TOKYO MER・喜多見(鈴木亮平)と、警視庁SIT隊長・新井将兵(山田純大)との、事件&治療現場での TOKYO MER と SIT それぞれの立場での対立と協働を描いた。第2話までの「戦隊モノ」丸出しな感じも悪くはないが。今回のように案件を1つにするだけで、だいぶ分かり易くなったと思う。
ただ、その分だけ前回までとは若干違った印象になったのは、仕方がないと思う。また、演出家も交代しているので、連ドラとして見れば、今回のようなパターンもあれば、ストーリーの幅が広がって、益々、面白くなると思う。
最近の縦軸と伏線に拘るばかりの連ドラより、相当質が高い
それにしても、1つの「人質籠城事件」だけで、しっかりと犯人役や患者役を含めて、登場人物が動くことで作り出されるストーリーは、本当の意味で「強い物語」になっており、そのお陰で “人間をドラマ” として、かなり秀作な仕上がりになった。
もちろん、冒頭に書いたように、「あれだけ事件に関わった夏梅が、あんな早い時間に警察の事情聴取を終えて、娘を保育園に迎えに行けるのか?」は、ツッコミどころとして楽しめば良いし、医療ドラマにしては派手過ぎる点も無くはない。
まあ、好みの違いはあると思うが、ごちゃごちゃと人間関係を描いて、縦軸と伏線ばかりに注力するような最近の傾向の連ドラに比べたら、相当、質の高い連ドラであることは間違いない。
私が気付いただけで "3人" の注目すべきゲストがいた
また、ドラマ本編の内容とは直接的な関係はないが。今回には、私が気付いただけで “3人” の注目すべきゲストがいた。
まず、夏梅(菜々緒)の娘・桃花 役が、昨年末に放送されたNHK『岸辺露伴は動かない 第3話『D・N・A』で、あの不思議な少女・片平真央 役を演じた北平 妃璃愛(きたひら ゆりあ)ちゃん。

©特集ドラマ『岸辺露伴は動かない』第3話「D.N.A」より(NHK)
そして、人質立てこもり犯・品川樹 役の川島潤哉さんは、朝ドラ『エール』で小山田耕三(志村けん)の付き人・猿橋重三 役を演じ、終盤では小山田が、亡き後手紙を裕一に渡し、彼が裕一に嫉妬していた事を謝る、あの人。また、同じ朝ドラで『おちょやん』では、「鶴亀撮影所」のアメリカ・ハリウッド帰りの映画監督・ジョージ本田 役を演じた。

©連続テレビ小説『エール』第119回より。小山田からの手紙を読む裕一(窪田正孝)(NHK)
そして、Ⅰ型糖尿病とアーモンドのアレルギーを患っていた、香織と品川の娘の 日葵(ひまり) 役は、『監察医 朝顔』で桑原つぐみ 役を演じていたのが加藤 柚凪(かとう ゆずな)ちゃん。と言うわけで、ドラマファンも気付いた人は、より楽しめたのではないだろうか。

©加藤柚凪“月9”『監察医 朝顔』クランクアップ ”ママ”上野樹里&“じいじ”時任三郎と3ショット(フジテレビ)
あとがき
今回の冒頭で、娘の保育園で夏梅が医療従事者への差別に直面するシーンが描かれました。身近に医療従事者がいない人は分り難いと思いますが、まだ本当にあるんです。特に、子育て世代と親の介護をしている世代の医療従事者に対しては、かなり強く。
それこそ(絶対とは言い切れませんが)医療従事者の多くが2度目のワクチン接種は終わっていますし、医療従事者の殆どが、「コロナ病棟専従者」でもありません。もちろん、何らかの病気を患った患者がやって来ると言う意味では、他の職場とは違いますが。もうそろそろ、医療従事者への差別は無くなって欲しいと思います。
また、今回での最後で、夏梅と喜多見(鈴木亮平)が、SIT隊長・新井に敬礼する場面では、和久さん(いかりや長介)が、警察学校で雪乃(水野美紀)に敬礼の正しいやり方を享受する微笑ましいシーンを思い出した人も多いのでは? 次回にも、大いに期待します。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15769/
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