ハコヅメ~たたかう!交番女子~ (第2話・2021/7/14) 感想

日本テレビ系・新水曜ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(公式サイト)
第2話『交番女子ペア始動! 犯人尾行でラブホに潜入!? 涙のガサ入れ』の感想。
なお、原作の漫画・泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲』は、既刊17巻と『ハコヅメ別章 アンボックス』の「既刊17+1巻」(2021年7月現在)は全巻既読済み。
宿直のパトロール中、助手席で睡魔に襲われる川合(永野芽郁)を藤(戸田恵梨香)は学校で降ろし、見回りを指示。川合は恐怖におののく。その後、2人は中学生の優太(南出凌嘉)を補導。交番にはピアスを落とした理沙(山口まゆ)が現れる。翌日、2人は刑事課の応援に駆り出され、川合は源(三浦翔平)、藤は山田(山田裕貴)とカップルを装って薬物使用が疑われるホストを尾行する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲』
脚本:根本ノンジ(過去作/監察医 朝顔1,2、相棒シリーズ、フルーツ宅配便)
演出:菅原伸太郎(過去作/ど根性ガエル、君と世界が終わる日に) 第1話
南雲聖一(過去作/東京タラレバ娘、ウチの娘は彼氏が出来ない!!) 第1,2話
伊藤彰記(過去作/35歳の少女、過保護のカホコ、恋はDeepに)
音楽:井筒昭雄(過去作/民王、99.9、トクサツガガガ、妖怪シュアハウス、リコカツ)
オープニングテーマ:ロイ-RoE-「YY」
主題歌:milet「Ordinary days」
原作のネタバレは書きませんので、ご安心下さい
※原作の漫画・泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲』は、既刊17巻(2021年6月現在)と『ハコヅメ別章 アンボックス』は全巻既読ですが、ネタバレは書きませんので、ご安心下さい。但し、私の見解では、全18巻を読んで “完全なる完結” する作品です。
地上波の連ドラとしては、珍しく第1話の演出は「2人体制」だった
連ドラの場合、普通は演出家が複数名体制で、各話1名が担当して最終回まで… と言うのがお決まりコース。しかし、前回の感想で触れなかったが、今作はとてもレアケースとして、ベテランの菅原伸太郎氏と南雲聖一氏の「2人体制」で第1話の演出が担当された。
理由は想像の域を出ないが、1つはコロナ禍に於いて素早い撮影が要求されたため。もう1つは、普通1時間ドラマを3人で演出するケースは稀だし、やりにくい。でも、今後の作品の “作風” を出来るだけ “共有” しておくことで、全話の統一感が相当な確率で高まる可能性のため。
第1話より、更に川合の新人らしさを強調したことが大成功!
そして、第2話の演出担当は、第1話も担当した南雲氏。見れば分かるが、全体的に、「より川合の新人らしさが強調されただけ」で、他の部分は “ほぼ第1話と同じ” だった。いや、本来の演出の目的は、他の部分は “ほぼ第1話と同じ” にすることで、「より川合の新人らしさを強調したかった」が正解だと思う。
なぜなら、ここ(第1話終了時点、及び、第2話冒頭)で、川合が書いた「辞職願」を切り捨てられ、一応「新人警察官」として、大先輩の藤(戸田恵梨香)に認められて、それなりに一歩成長した新人警察官として描いてしまうと、話が進み過ぎてしまうし、何より本作の大きな魅力である「ベテランと新人の凸凹コンビ」の面白さがなくなるから。
ただ、やはり「第1話より、より川合の新人らしさを強調したこと」で、連ドラとしての連続性も担保されたし、面白さも継続した。第1話の演出を「2人体制」にすると言うのは、意外と連ドラを面白く作り続ける “いいパターン” だと思う。
コロナ禍に制作・放送される連ドラとして意味のあること
さて、本編の感想。原作既読のためネタバレしないように書くからご心配なく。
まず、ドラマとして面白味を感じるのは、幾つかのエピソードを1時間にまとめている割に、意外な程に “ブツ切れ感” がなく、補導された中学生の優太(南出凌嘉)や、交番にはピアスを落とした理沙(山口まゆ)が一度の “使捨てキャラ” ではなく、巧みに複数の出来事へ活用されていること。
コロナ禍の撮影だから、1人でも撮影現場にいる人間は少ない方が良い訳で、それすらも活用している点は、コロナ禍に制作・放送されている連ドラとして、意味のあることだ。
完全に「交番勤務の警察官ドラマ」にあらず… がスゴイ!
そして、本編の全体の感想。本作らしさを確実に残しつつ、今回は案件がかなりベタだったために、ベタな警察ドラマに仕上がった。ただ、やはり、「刑事ドラマ」ではなく「交番勤務の警察官ドラマ」に仕上がっているのは、流石。
きちんと、交番勤務の2人が前面に出して、刑事たちは「交番勤務の警察官ドラマ」を後方支援。でも、警察学校時代の関係があるから、完全に「交番勤務の警察官ドラマ」にあらず、少し広域な「警察官ドラマ」としての面白味も加わって、更に一層 “本作らしさ” が増した。
あとは、完全に見る人の好みの問題
あとは、完全に見る人の好みの問題だろう。出演者もそうだし、警察の描きかたもそう。また、ご遺体を扱う展開など含めて。この辺は、本当に好みが分かれると思う。
ドラマとして、今期の連ドラの中でトップクラスに面白い!
ただ、私は、既刊の原作を既読だから、当然今回のエピソードも結末まで知って見続けた。それでも、原作とは一味違った永野芽郁さんが演じる新人の川合と、戸田恵梨香さんが演じるベテラン警官の藤だからこそ醸し出せる、独特な笑いあり、涙あり、交番勤務あるあるが良い。
そして本作が古今東西ある様々な警察官を主人公にしたドラマより大好きなのは、交番コメディの楽しさと、交番が舞台だから出来る、大事件を扱う刑事ドラマでは登場しない、一見見逃しそうな “小さなヒューマンドラマ” が描かれ、それによって、新人警官の成長が見られること。
とにかく、脚本が1時間枠を絶妙な配分で構成され、各エピソードも相当に作り込まれており、ドラマとして今期の連ドラの中でもトップクラスに面白いのは間違いない。
あとがき
まだ第2話なのに、ここまでドラマの “カタチ” を作って来たのはスゴイと思います。そして、刑事たちの使い方も絶妙で。それでいて、恋バナ要素は徹底的に排除して、素直な交番勤務の警察官の新人なりの思い、ベテランなりの気遣いに絞り込んで描いているのは、お見事です。この調子でブレなければ、視聴率アップは確実だと思います。次回のエピソードも面白いですよ(おっと、禁句だ)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15756/
【これまでの感想】
第1話
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