ナイト・ドクター/Night Doctor (第4話・2021/7/12) 感想

フジテレビ系・月9『ナイト・ドクター/Night Doctor』(公式サイト)
第4話『女の戦い勃発!? 壊れゆく2人の関係!』の感想。
幸保(岡崎紗絵)の恋人でレストラン経営者の北斗(竹財輝之助)が、救急搬送された患者・詩織(松井愛莉)の恋人として現れた。美月(波瑠)が他の重症患者の処置に当たる一方、詩織の経過観察担当となった幸保は、頭を負傷した詩織に雑用を押し付けられ、いら立ちを募らせる。深澤(岸優太)は、入院中の妹・心美(原菜乃華)の恋人で見舞いにやって来た勇馬(宮世琉弥)と出くわし…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:大北はるか(過去作/グッドドクター、ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~)
演出:関野宗紀(過去作/コードブルー1[演出補]、ハラスメントゲーム、ラジエーションハウス) 第1,2,3話
澤田鎌作(過去作/CHANGE、不毛地帯、セシルのもくろみ、監察医 朝顔) 第4話
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリース、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド)
オリジナルナンバー:yama「Sleepless Night」
eill「hikari」
琴音「君は生きてますか」
Tani Yuuki「Over The Tim」
三浦風雅「Start」
私は「医療ドラマ」でなく「青春群像劇」だと半ば諦めて見てる
第1回の感想で、次のことを書いた。
本作は、放送当初から「救急医療にスポットを当てた青春群像ドラマ」と名乗っている。従って、「緊急医療(=ナイト・ドクター)のドラマ」と「青春群像のドラマ」の “2つ” を見見せてもらわないと困る。
従って、私は本作に、「医療ドラマ」としての正誤も楽しみも殆ど期待していていない。とにかく、そこそこの出演者を揃えたのだから「青春群像劇」として、何とか見応えのあるドラマにならないかと、第4話まで期待して見て来た。
「女性医師同士の恋バナ」や「女性同士のギスギスしたやりとり」位しか書くことがないのだろう
従って、セクハラになるかも知れないが「女性医師同士の恋バナ」とか「女性同士のギスギスしたやりとり」、「病室での大喧嘩」など、「医療ドラマ」としては、相当 “やすっぽい” 建付けになっているとは思うが、「青春群像ドラマ」なら、「まあ、こんなことしか書くことはないだろうな」と諦めも我慢も出来る。
まあ、ここまで好意的に解釈してまで、連ドラを見る意味があるのか自問自答とすると答えに悩むが。でも、毎日、朝ドラ『おかえりモネ』でやっていることだから、それが週に1作品増えることくらい、今のところは “良し” と出来る。
第4話に"ナイト・ドクター"の設定が全く活かされていない
さて、本編の感想。第1話と第2話は、番組タイトル通りに、「夜間だけ雇われた “ナイト・ドクター” たちのお話」になっていた。そして、第3話は、桜庭(北村匠海)が抱える病気や家庭での立場や医師としての困惑を描いたから、まあ別物として考えてもいいだろう。
ただ、この第4話については、流石に困った時代になった。それは、前述の通り、いくら「青春群像劇」として楽しむことにしているとは言え、ここまで “本作の肝” にしている “ナイト・ドクター” と言う設定が、ほぼ? いや、殆ど活用されておらず、「普通の救命医のドラマ」に成り下がってしまったことだ。
確かに、時間帯は「夜」だ。ただ、「夜の病院内」で働く医療従事者、特に医師たちを “ナイト・ドクター” などと呼ぶ病院があるなんて聞いたことがない。それを言うなら、 “ただの夜勤” とか “普通の当直勤務” ってこと。いいや、そもそも、今回描かれたエピソードの多くが、「夜」と言う時間帯である必然性がないのだ。
益々増える関係者を「群像劇」の"群像"の盛り込み過ぎ!
これ、第1話の感想以前から、ず~っと書いて来ていることだが。前作『イチケイのカラス』から、「月9」枠は「戦隊モノ」を基本にして、それぞれの役割を描き、個々のエピソードを描くと言う手法をとっている。
既にこのことは、当blogでは散々書いて来たから、読者の皆さんも “耳にタコ” だから、気になるなら、先日放送されたTBS日曜劇場TOKYO MER~走る緊急救命室~ 』の第2話の感想を読んで頂きたい。
これ、6人の “ヒーロー” を個々に活躍させて描くならともかく、「群像劇」と謳ってしまったから、どんどん関係者が増えていき、それを「群像劇」と言う “群像” の中にギュウギュウに盛り込んだお陰で、肝心な “ナイト・ドクター” と言う設定を利用できない、もしくは、利用している暇が亡くなっているのではないだろうか。
恐らく、この1時間を見た限りでは間違っていないと思う。
医師を描くドラマとしても、看護師の存在感が無さ過ぎる!
他にも、書きたい愚痴は山ほどあるが、妻が看護師だから、そこだけ言わせて欲しい。
救命救急センターのある大病院では、緊急性の高い患者がひっきりなしに救急搬送される。ただ、いくらなんでも、ドラマとは言え多過ぎやしないかってこと。今は、消防署と病院の間で患者の搬送先を相当的確に行えるシステムが導入されている。
なのに、「群像劇」を作らなければいけないと言う過ちに気付かずに、緊急性、及び(特にコロナ禍では)危険性の高い患者がどんどん搬送されて、医師たちの処理能力を超えた感じまでに描いてしまう。そして、あれこれ言いあって、喧嘩して。これを「病院を舞台にした青春群像劇」だと思って作っているなら、考え方を変えた方がいい。
それに、第1話からず~っと思っていたこと。それは、この病院には看護師はいないのか? ってこと。描かれるのは「医師のドタバタ」ばかりで、本来は医師は患者に病名をつけて、治療方法を決めたら、あとはほぼ全部看護師の仕事。そこを蔑ろにして描かないのは、間違っている。
名作『コード・ブルー』のお手本があるのに、この程度?
前述の感想にも書いたが、救命救急医療ドラマの名作『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』なんて、フライトドクター候補生4名とフライトナース1名で、緊急性の高い患者たちを、自分たちも命懸けで救うと言うストーリーを、「2008年」に既にやっていたのだ。あれだって、「戦隊モノ」のカタチを使った「青春群像劇」だった。
でも、きちんと5人の個々の活躍と、5人の一致団結力、そして、5人それぞれが抱えた複雑な青春が、見事に描かれたのだ(因みに、私は「Season2」までしか認めないが)。そんな『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』を本作を比較すると、あんなに素晴らしいお手本があるのに、なぜこうなちゃうの? と言う疑問しかない。
あとがき
第4話でこの体たらくなので、第5話以降にも期待は出来ません。でも、せめて、「夜間救急専門医」の “ナイト・ドクター” として招集された医師らであると言う初期設定は、もっと視聴者に映像的に強調し続けるべきだとも思います。このままでは “ナイト” の意味が不要の、ただの「救命救急医たちの内輪話」で終わると思います。
愚痴ばかりの感想もどうかと思うので、唯一、褒めても良いかなと思うこと。それは、これまで期待していたように、深澤新(岸優太)が、今回の最大級のモンスター・ドクター幸保(岡崎紗絵)の “癒し役” と、美月(波瑠)を含めた身勝手なメンバーたちのバランサー(仲間たちの均衡をとる人。平衡を保つ人、嫌な雰囲気を消す人)に、ちょっぴりだが、なったこと。
要は、下記のような「戦闘モノ」の構図になりつつあるってこと。これは、岸優太さん自身のキャラクターを活かす意味でも、“一人二役” を、もっとやった方が良いと思います。
【ブルー】=知的でクール:クールでドライな現実主義者・成瀬暁人(田中圭)
【イエロー】=明るいムードメーカー:明るく人懐っこい性格の桜庭瞬(北村匠海)
【グリーン】=癒し系のバランサー:辛い過去と強い医師の信念を持つ深澤新(岸優太)
【ブラック】=すごく強い一匹狼:今のところ一応、本郷亨(沢村一樹)
【ピンク】=女性を活かしたキャラ:女子力を持つ高岡幸保(岡崎紗絵)
【ホワイト】=まだ何の色に染まっていない:研修医あがりの未熟な深澤新(岸優太)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15746/
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