ハコヅメ~たたかう!交番女子~ (第1話・2021/7/7) 感想

日本テレビ系・新水曜ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(公式サイト)
第1話『新米×元刑事の最強交番女子ペア誕生!意外と知らない超リアルお巡りさん物語』の感想。
なお、原作の漫画・泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲』は、既刊17巻と『ハコヅメ別章 アンボックス』の「既刊17+1巻」(2021年7月現在)は全巻既読済み。
安定収入を求め警察官になった川合(永野芽郁)は‘ハコヅメ’こと交番勤務に就くが、2週間で限界を感じ、交番所長の伊賀崎(ムロツヨシ)に辞職願を出そうとしていた。その矢先、川合は刑事課から‘パワハラ’が理由で飛ばされたという藤(戸田恵梨香)と組むよう言われる。パトロール中に早速、不審な男(モロ師岡)を捕まえた藤。その男は藤の同期で刑事課捜査一係の源(三浦翔平)、後輩の山田(山田裕貴)らが追う連続窃盗犯だった。さらに、「今から自殺する」という通報で、藤と川合は自殺の通報の常習者・坂本(森田甘路)の元へ向かう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲』
脚本:根本ノンジ(過去作/監察医 朝顔1,2、相棒シリーズ、フルーツ宅配便)
演出:菅原伸太郎(過去作/ど根性ガエル、君と世界が終わる日に) 第1話
南雲聖一(過去作/東京タラレバ娘、ウチの娘は彼氏が出来ない!!) 第1話
伊藤彰記(過去作/35歳の少女、過保護のカホコ、恋はDeepに)
音楽:井筒昭雄(過去作/民王、99.9、トクサツガガガ、妖怪シュアハウス、リコカツ)
オープニングテーマ:ロイ-RoE-「YY」
主題歌:milet「Ordinary days」
原作のネタバレは書きませんので、ご安心下さい
※原作の漫画・泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲』は、既刊17巻(2021年6月現在)と『ハコヅメ別章 アンボックス』は全巻既読ですが、ネタバレは書きませんので、ご安心下さい。但し、私の見解では、全18巻を読んで “完全なる完結” する作品です。
「期待度・星4つ」の高得点を付けたドラマが始まった!
『2021年7月期/夏ドラマ視聴予定&期待度!配役,スタッフ,概要は?』で「期待度・星4つ」の高得点を付けた本作。“警察官だって、中中身は普通の人たち” と思って、毎日交番勤務にあたる大先輩と新人警察官の物語だ。
今作は、これまでの"警察モノ"とは相当違う異色な警察モノ
とにかく、警察モノと言うジャンルは、映画、ドラマ、小説、アニメ、漫画と、この世にあまたとある。だが、それらの殆どが、犯人逮捕、熱血刑事、アクション、謎解き的な、まあ大袈裟に言えば、「警察ヒーロー」を描いた作品が多い。
しかし、本作は、それらとは全く違う点が、最大の魅力だ。だからこそ、この原作を実写連続ドラマ化するのは難しい。で、成功するのを期待して「期待度・星4つ」を付けたのだ。
今作は「警官の日常」を描いただけだから実写化は難しいと
上↑にも書いてあるし、ほぼ何時も書いているように、基本的に私は原作となった漫画や小説などと、新たに自社連続ドラマ化された咲作品は比較しない立場だ。だから、ネタバレもしない。ただ、第1話の感想だから、少しだけ原作のことを書かせて欲しい。
原作の『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(ビミョーにドラマのタイトルとは異なる)は、交番勤務の2人を中心に、そこの関わる警察官の日常を描いただけなのだ。要するに、アニメ『サザエさん』のように、「3話/日」の各話に小さないトラブルが起きて、いつも通りに解決して、また次のエピソードになる。登場人物も基本的に変わらない。
だから、『サザエさん』のように、漫画やアニメのように、映像的な区切りの有無は別にして、「日常の連続」で1時間、それも全10話ちかくの連ドラを創るのは、かなり困難なことだと思ったのだ。もちろん、原作の漫画は大変面白いのは当然のこととして…
原作の専門的&細かい描写を、ドラマでは分かり易く描いた
しかし、第1話を見て、不安は解消された。まず、このドラマ化が凄いのは、原作がかなり専門的で細かい描写が多くて、一見分かり辛い作風なのに、幾つかのエピソードを描いて、交番勤務のこと、交番と警察署の関係、そして「制服を着た警察官と言う人間が、どんな気持ちで仕事をしているのか?」などを、かなり分かり易くドラマ化した。
配役が絶妙過ぎる上に、いつのコミカルな演技と変えている
その上、配役が絶妙過ぎる。そして、褒めたいのは、それこそ、シリアスはもちろん。コミカルな方向性ならどこまでも行けちゃうような、ムロツヨシさんや三浦翔平さんなどの個性的な俳優陣を揃えておきながら、これまで彼らが演じた “ぶっ飛んだ系ドラマ” とは違う演出で、漫画では意外と伝わりにくい、コミカルな部分を描き切ったこと。
コミカル過ぎたり、馬鹿馬鹿しい部分を描かない時代なのに
ディレクターの目線で少しだけ語ると。最近のドラマの演出家、例えば、『99.9 -刑事専門弁護士-』シリーズ等の木村ひさし氏、『トリック』シリーズの堤幸彦氏、『勇者ヨシヒコ』シリーズ等の福田雄一氏などの超個性的な映像をまるで “我が道を貫く” と言わんばかりに、コミカル過ぎる部分、馬鹿馬鹿しい部分を描き切る。
でも、その他の多くの演出家もテレビ局も、スポンサーも、そう言う部分は出来るだけ “描かない” と言う選択をしている。もちろん、この判断には、昨今のコンプライアンス問題や、ちょっとして過剰表現がバズって問題化すると言う現実が大きくのさばっているからに他ならないが。そんな中で、この位まではやってくれたら、私は満足だ。
最近の地上波のドラマとしての"タブー"を無視して欲しい!
なぜなら、この原作、そしてドラマが面白いのは、本来ならお茶の間で見る地上波のドラマとしては “タブー” とされる、警察組織を敢えて “ブラック業界” のように描きつつ、それを “ブラックジョーク” で吹き飛ばしている部分だから。
そして、更に少し前なら笑って済ませられた “○○ハラスメント” 系の描写を多用することで、それに立ち向かう警官たちの心を描いている。
今回は第1回目と言うことで、私としては少し抑え気味にも見えたが、抑え気味に見えたと言うことは、今後はもっとやる可能性があるってこと。原作の良さを活かすためにも、このドラマの絶妙な配役、そして、医療従事者だけでなく、このコロナ禍で市民の命と安全と財産を守る警察官の日常を描くドラマとして、もっともっと、やり切って欲しい。
むしろ、バズる位にやっても、いいと思う。
あとがき
そもそも、真面目な仕事を、コミカルに描いたり、ブラック業界に例えたりドラマと言う意味で、好みは分れると思います。また、現実とフィクションの境界線を突いて攻撃したり、毛嫌いする人も多いと思います。また、このシュールさも、よる10時から放送のドラマのハードルとしては高いです。
でも、第1話で、ここまで、あの原作を実写化ドラマで、それも連ドラとしても面白く作り込んで来たのは、大いに歓迎します。次回も楽しみです。
今回は、ドラマ『フルーツ宅配便』を書いた根本ノンジさんの “人生悲喜交々” 的な脚本が良かったです。また、監督は、ドラマ『ど根性ガエル』等の菅原伸太郎さんと、ドラマ『東京タラレバ娘』等の南雲聖一のコンビで演出。更に、3人共にドラマ『相棒』シリーズに関わっていますから、期待は膨らみます。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15728/
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