ナイト・ドクター/Night Doctor (第3話・2021/7/5) 感想

フジテレビ系・月9『ナイト・ドクター/Night Doctor』(公式サイト)
第3話『無保険患者が抱える不公平な現実とは?』の感想。
桜庭(北村匠海)が美月(波瑠)をかばってけがをした。救急救命センターに現れた本院の会長・麗子(真矢ミキ)は、桜庭に救急離脱を指示。桜庭は、本郷(沢村一樹)に救急医になりたいと直訴するが、足手まといは不要と言われてしまう。一方、桜庭の事情に気付いた成瀬(田中圭)は、一同への説明を要求。美月は桜庭を応援しようと考える。そんな折、無保険の患者が搬送されてきて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:大北はるか(過去作/グッドドクター、ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~)
演出:関野宗紀(過去作/コードブルー1[演出補]、ハラスメントゲーム、ラジエーションハウス) 第1,2,3話
澤田鎌作(過去作/CHANGE、不毛地帯、セシルのもくろみ、監察医 朝顔)
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリース、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド)
オリジナルナンバー:yama「Sleepless Night」
eill「hikari」
琴音「君は生きてますか」
Tani Yuuki「Over The Tim」
三浦風雅「Start」
桜庭の話って医療ドラマと無関係な「出生から来る悩みの話」
本作は、放送当初から「救急医療にスポットを当てた青春群像ドラマ」と名乗っている。従って、「緊急医療ドラマ」と「青春群像ドラマ」の “2つ” を見見せてもらわないと困る。
と言うわけで、今回は桜庭(北村匠海)が抱える病気や家庭での立場や医師としての困惑を描き来つつ… と言う感じで、「青春群像ドラマ」としては、それほど悪かったとは思わない。ただ、今回の桜庭の話って、医療ドラマとしての見せ場や面白味とは違う、「出生から来る悩みの話」のような…
しかし、ここで大きな問題が「3つ」も出て来てしまった!
群像劇より、救命救急ドラマとしての見せ場を作るべき!
1つ目は、これは偶然なのか狙って対抗意識で放送したのか分からないが。昨日放送されたTBS日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』の存在だ。まず、同じ「緊急医療ドラマ」として、明らかに見劣りしてしまった。
もちろん、『TOKYO MER』が描こうとしている救急救命の世界と、本作が描こうとしている救命救急の世界は、全くと言って良い程に違う。でも、ドラマファンで、今のコロナ禍で注目を浴び、感謝したい医療従事者を扱ったドラマとして、「見比べられては困る」と言われても、その方が困る。だって、見たいのだから。
だから、『TOKYO MER』を意識する必要な無いが、もっと手術のシーンなどのを頑張って作り込むとか、医療ドラマのエピソードを、今回のような既視感の内容でなく、グッと心に迫るような感動エピソードにするのが、良いと思う。
もっと早くメイン5人分の素性だけでも視聴者に伝えるべき!
2つ目の問題は、「青春群像ドラマ」をやるために、やたらと “台詞” が多いこと。それでなくても、もう第3話なのにメインの5人の人物設定も良く見えていない状態で、劇中で互いのことを思って、あれこれ言っても、正直つまらない。
そりゃ当然だ。誰がどんな人間性なのかわからない状態で台詞ばかり喋られても、台詞は飽くまでも説明であり補強する要素であって、本当にドラマを面白くするのは “台詞” でなく “人間関係” そのものなのだ。そこを蔑ろに、ただ台詞のやり取りだけ増やしても、面白さを感じるのは難しいと思う。
やはり、もっともっとメインの登場人物だけでも、素性を明らかに視聴者に伝えるべきだと思う。
「月9」は「アベンジャーズ化」と「戦闘モノ化」が進む!
ここからが3つ目だ。さて、このブログの常連の読者さんなら、既に先週投稿した『「月9」で「アベンジャーズ化」、「戦闘ヒーローモノ化」が次々と制作される理由を考える』と、上記の記事から、『TOKYO MER』を「戦隊ヒーローモノ」として細かく分析した『TOKYO MER~走る緊急救命室~ (第1話/初回25分拡大・2021/7/4) 感想』は、読んで頂けたと思う。
もしも、どちらも読んでおられない読者さんは、次の章を読む前に、上記の2つの投稿を読んでから、読んで頂きたい。
『TOKYO MER』を「戦隊モノ」風に色分けすると完成度が高い!
実は、今作も『TOKYO MER~走る緊急救命室~』も「アベンジャーズ化」と「戦隊ヒーローモノ化」が、分かり易い程に取り込まれ、意識的に作られている。『TOKYO MER』の時は、丁寧に色分けしたが、今回は省略する。
まず、『TOKYO MER』では、主要な7人の登場人物を、「戦隊モノ」風に色分けすると、下記のように明確に性格付け、立場設定、キャラ設定などの完成度が高い。
【ブルー】=知的でクール:臨床工学技士で医療機器のスペシャリスト・徳丸(佐野勇斗)
【イエロー】=明るいムードメーカー:外見からも麻酔科医の冬木(小手伸也)
【グリーン】=癒し系のバランサー:シングルマザーで外科病棟副看護師長・蔵前(菜々緒)
【ブラック】=すごく強い一匹狼:若手エリート官僚で医系技官の音羽(賀来賢人)
【ピンク】=女性を活かしたキャラ:ベトナム出身の看護師・ホアン・ラン・ミン(フォンチー)
【ホワイト】=まだ何の色に染まっていない:研修医・弦巻比奈(中条あやみ)
本作にいない、均衡役&癒し役の【緑】に深澤を使うべき!
では、本作を同じようなチャートを使って考えてみると、おかしな点が一目瞭然だ。
【ブルー】=知的でクール:クールでドライな現実主義者・成瀬暁人(田中圭)
【イエロー】=明るいムードメーカー:明るく人懐っこい性格の桜庭瞬(北村匠海)
【グリーン】=癒し系のバランサー:不在
【ブラック】=すごく強い一匹狼:今のところ一応、本郷亨(沢村一樹)
【ピンク】=女性を活かしたキャラ:女子力を持つ高岡幸保(岡崎紗絵)
【ホワイト】=まだ何の色に染まっていない:辛い過去と強い医師の信念を持つ深澤新(岸優太)
第3話時点では、上記のようになっているように思う。確かに、深澤と言う登場人物は、両親を早くに亡くし、病気がちの妹の面倒を一人で見る研修医あがりの元内科医で、孤軍奮闘しつつ自己改革をしながらないとナイト・ドクターとして認められたいと思っているから、これから何色に染まって行くのか楽しみなキャラクターではある。
しかし、本来の「戦闘ヒーローモノ」のお約束を考えれば、【白】よりも、危険で命懸けの医療現場を描くドラマに於いて、実はさり気なく重要なのが、チーム全体の “バランサー” であり “癒し役” である【緑】なのだ。
そして、これまでの岸優太さんが出演したドラマ『仮面ティーチャー』や『お兄ちゃん、ガチャ』、更に最近のバラエティー番組での活躍を見れば、岸優太さん演じる深澤こそ、緊張感あふれる(予定)の救命救急の現場の “癒し系” 役である【緑】にするべきなのだ。
天然な岸優太さんが演じる深澤の魅力を、もっと前面に押し出すことで、「戦隊モノ」風としてはキャラが弱い【赤】も、自然に際立つような気がする。
あとがき
今作って、恐らく「全10話」。そして、メインの5人の紹介エピソードを、この調子だと、第5話まで要してしいます。そして、第6話から、一人前になったナイト・ドクターたちの、感動的な救命救急ドラマをやってくれると信じたいです。でも、第3話まで見た感じでは、そのまま青春群像劇の方を強調して終わりそうですね。ネタ次第で面白くなりそうなのに…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15722/
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