ひきこもり先生〔連続5回〕 (第4話・2021/7/3) 感想

NHK・土曜ドラマ『ひきこもり先生』(公式サイト)
第4話〔連続5回〕『戦場』の感想。の感想。
同級生にいじめられて登校するのが辛くなった生徒に陽平(佐藤二朗)が言った「無理して学校に来なくていい」という言葉が波紋を呼び、学校を休む生徒が続出。いじめゼロ、不登校ゼロを方針に掲げる榊校長(高橋克典)は、教育委員会の聞き取り調査を受ける陽平に「この学校にはいじめがない」と証言するように迫る。生徒の将来のためと説得された陽平は、教育委員会にうそをついてしまい、それを苦に再び家にひきこもってしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
原案:菱田信也(過去作/ジウ 警視庁特殊犯捜査係、グ・ラ・メ!~総理の料理番~)
脚本:梶本恵美(過去作/オソコマエ!2、隠密八百八町、ボーダーライン)
演出:西谷真一(過去作/あさが来た、サギデカ、ディア・ペイシェント~絆のカルテ~) 第1,2,3話
石塚嘉(過去作/てっぱん、海底の君へ、4号警備、パラレル東京) 第4話
音楽:haruka nakamura(過去作/ドラマ劇伴は不明)
これまでは「本作が何を描きたいのか」伝わって来なかった
これまでとは、まるで違いドラマになった『ひきこもり先生』の第4話。
これまでは、本作が何を描きたいのか、ストレートにも、もやもやしながらも、どちらにしても伝わって来なかった。「不登校クラス(STEPルーム)」の存在意義も感じ難かったし、そもそも、38歳から11年間ひきこもり生活を送り、3年前に部屋から脱出した主人公・陽平(佐藤二朗)でなければ、解決できない事案では無かった。
要は、熱意と生徒の心を本気で分かろうとすれば、新人教師の深野祥子(佐久間由衣)が孤軍奮闘する社会派学園ドラマに模様替えしても良かったくらいだ。
今回は、漸く"全体像"も"描きたいもの"も、かなり見えて来た
しかし、次回が最終回だからだろうか。今回は、ようやく “全体像” も “描きたいもの” も、ハッキリとまでは言えないが、かなり見えて来た。
「また続くかもしれない、11年間のひきこもり生活」と「ひきこもりから脱出したいのに半年の余命宣告」と言う、“終わりが見えない時間” と “終わりが決まってしまった時間” を、奇しくも同時期に持った苦しい人間同士のやり取り。
そして、学校を生きたくない場所として「戦場」と口を揃えて言った、ひきこもり時代の陽平のサポーター・長嶺幸二(半海一晃)や不登校生徒たち。その「戦場」に生徒たちの応援を受けて出向いた「戦場」のど真ん中で、“戦場を牛耳る” いじめゼロ、不登校ゼロを方針に掲げる榊校長(高橋克典)との攻防戦も見応えがあった。
私の心に一番残ったのがラストで校長にった次の洋平の言葉
第4話で、私の心に一番残った台詞が、ラストで自信ありげに校長にった次の洋平の言葉だ。
洋平「学校を 子供たちが 安心していられるところにしたいんです」
「戦場」と言う言葉の対義語を調べてみた。すると、意外にも「戦争」や「主戦場」の対義語は簡単に見つかるし思い付く。でも、「戦場」の対義語は、なかなか出て来なかった。でも、私なりに考えてみた。「戦場」の対義語は、意味の取り方によって「2つ」に分けられた。
その前に、「戦場」と言う言葉を私なりに定義しておく。「戦場」とは「戦闘が行われる場所」と言うこと。ここで注意と注目して欲しいのは、私は「戦争が行われる場所」とは考えていないと言うこと。
あくまでも “戦闘” とは “たたかい” や “いくさ” のこと。武器が何であるか、たたかう理由が何であるかは関係ない。ただ、そこに漠然と存在する、存在してしまう “戦闘” が行われる場所だと言うこと。
「戦場」の対義語は、「公園」と「家庭」ではないだろうか?
で、「戦場=戦闘が行われる場所」と考えて、その対義語を探すと、「1つ目」に、多くの人たちが憩うことでき、安心して遊びを楽しむために “公開” された場所として『公園』と言う単語が思いつく。「2つ目」には、普通に生活を共にする、家族と言う社会の最小単位である『家庭』ではないだろうか。
洋平が目指す学校は、開けた場所であり、自然に相手を許し合える環境では?
そして、この主人公・洋平は、校長によって「我が校には、いじめはない」と嘘をついたことで、「不登校クラス(STEPルーム)」だけでなく、学校全体を『公園』のような開けた安全な場所で、『家庭』のような自然に相手を許し合える環境にしたいと訴えたのではないだろうか?
この(自分勝手な)結論に達するまで、3回見直した。そして、洋平の勇気が私の心にグサッと音を立てて刺さった。と同時に、ひきこもりはしなかったが、小学校時代に “いじめ” を経験した私の心を大きく揺さぶった。第4話まで、見続けて本当に良かった。
あとがき
第2話あたりで、今回のエピソードを盛り込んで、生徒や洋平にとっての「戦場」を「公園」や「家庭」にするストーリーになっていたら、世間の評価も違ったかもしれません。最終回のサブタイトル『できる、できる、できる』(公式サイトにて、既に発表済み)に、洋平と不登校生徒たちが、心の扉を開ける姿に期待します。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15716/
- 関連記事