コタローは1人暮らし (第10話/最終回・2021/6/26) 感想

テレビ朝日系・オシドラサタデー『コタローは1人暮らし』(公式サイト)
第10話/最終回『さらばコタロー』の感想。
なお、原作の漫画、津村マミ『コタローは1人暮らし』(小学館『ビッグコミックス』刊)は、既刊7巻を既読。
あかね(高梨臨)から狩野(横山裕)の重荷だと言われショックのコタロー(川原瑛都)。狩野は漫画家人生が懸かった短期連載をこなしながら、コタローの世話も両立させようと奮闘するが、負担になりたくないコタローから拒絶される。一方で綾乃(百田夏菜子)は、コタローの父親が再びコタローの居所調査に動き出したと知る。そんな中、幼稚園でお楽しみ会が開かれるが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・津村マミ『コタローは1人暮らし』(小学館『ビッグコミックス』刊)
脚本:衛藤凛(過去作/のだめカンタービレ、偽装不倫、私たちはどうかしている)
演出:松本佳奈(過去作/東京センチメンタルシリーズ、デザイナー渋井直人の休日、きょうの猫村さん) 第1,2,3,8,9,最終話
樹下直美(過去作/オトナ高校、未解決の女シリーズ、東京独身男子) 第4,5,6,7話
音楽:篠田大介(過去作/映画「蜜蜂と遠雷」、きょうの猫村さん)
主題歌:関ジャニ∞「ひとりにしないよ」(INFINITY RECORDS)
泣いた。笑った。感動した。そして、明るい未来が見えた!
泣いた。
笑った。
感動した。
そして、明るい未来が見えた。
そんな最終回だった。
少しだけ、原作となった漫画と、このドラマを比べてみたい
私は、既刊の7巻全巻を既読した。しかし、いつも通り、ドラマ化されたことで「原作漫画(以下「原作」と省略)」と呼ばれることになった原作と、実写ドラマは基本的に比較しない立場だ。でも、今作に限って、少しだけその立場を壊してみたい。
しかし、原作のネタバレ等はしないから、是非とも、このドラマを見て興味を持ったら、下記のリンクから原作を読んで欲しい。
この漫画を、地上波ドラマで実写化した意味と価値は大きい
では、なぜ比較しない立場を壊すのか。それは、原作と実写ドラマには不思議な関係があるからだ。
まず、この原作にたくさん盛り込まれ、扱われている様々なテーマ。例えば、「DV夫」、「育児放棄」、「ネグレクト」、そして「コタローの母のその謎」など、5歳の男の子が主人公である漫画には、到底釣り合わないし、複雑で難し過ぎる内容ばかりだ。
そのようなシビアなテーマを扱った原作を、自らお金を出して買って読む「有料漫画」と言うメディアでなく、子どもを含めた ほぼ全ての人たちが無料で見られる「テレ朝の地上波深夜ドラマ」と言うメディア、ある意味で気軽に見ることが出きるドラマに落とし込んだと言う挑戦的な企画が素晴らしい。
ネグレクト経験者の横山裕さんが演じる狩野の言葉の説得力
また、原作に登場する売れない漫画家・狩野の風貌が、アイドルグループ・関ジャニ∞の横山裕さんに似ていると言う、映像的に抜群なキャスティング。
更に知る人ぞ知る、横山裕さん自身が3歳の時に両親が離婚し、両親代わりの義父に邪魔者扱いされ、祖父母に預けられ、詳しく書くのは避けるが、横山裕さん自身がネグレクトと暴力という典型的な虐待を受けた人で、そのネグレクトから逃げる手段がジャニーズ事務所への入所だったと言う稀有な現実。
だからこそ、10分頃、忙しい連載漫画の仕事をやり繰りして、「こどもおたのしみ会」でのコタロー(川原瑛都)の合唱を、どうしても見に来たかった理由を、次のように元カノ・あかね(高梨臨)に言った台詞が、この上なく、胸に突き刺さるのだ。
狩野「せめて… 記憶してやりたいんだ。
子供の成長する姿って
身近にいる親が ちゃんと見て きおくしてくれるんだろ?
その記憶ってさ… 生きてる証しだと思うんだよ。
あいつが この先 どういう人生を送るのか
あかねの言うとおり 俺には責任もてないのかもしれない。
ひょっとしたら あいつは
明日にでも 俺と離ればなれになる可能性だってあるわけだし。
だから 今だけでも
俺が あいつの一日一日を記憶してやるって決めたんだよ」
コタローに影響を受け、最も人間として変化したのが狩野
この台詞の中に登場する、「記憶」、「子供の成長」、「生きてる証し」と言うキーワードは、狩野がコタローと暮らした中で気付かされ、実感させられ、続けたいと思ったことばかりだ。
そう、原作と実写ドラマは若干だがアプローチが異なる。しかし、どちらも最も伝えたいことは、コタローがアパートに引っ越して来てから、最も人間として成長し、変化したのが狩野だってこと。そこが、最終回でも見事にブレずに統一されたことが、一番良かった。
住人たちに助けてもらったコタローが、より強くなると決意
さて、ドラマとしての順序は逆になるが、7分頃にあかねから “狩野の邪魔者” を言われて悩みに悩んだコタローが、次のようなことを言っていた。
コタロー「わらわは 強くなるために 1人暮らしを始めたのである。
しかし ここに来てからの わらわは
みんなに助けられてもらってばかりだと気づいたのだ」
そう、実は、コタロー自身も、狩野を始め、秋友美月(山本舞香)、田丸勇(生瀬勝久)、清水のじーさんとばーさん(イッセー尾形)、そして、弁護士の小林綾乃(百田夏菜子)に助けられていたのだ。
そして、ここで重要なのは、住人たちに助けてもらってばかりだと気づいたコタローが、更に上の、明るい未来を想像し、それを目指して “もっと強い人間になる” と決意したことだ。
辛すぎる現実を、決意とお金で解決しようとする切ない5歳児
しかし、このドラマの凄いところは、コタローに明るい未来(希望や夢)を語らせつつも、母親の死については知らされていないこと。
そして、DVやネグレクトの治療を受けているとされる父親(滝藤賢一)が、綾乃から渡されたコタローからの手紙を読んで改心をしたように見せつつも、コタロー自身は、もっと自分が強くなり、お金を貯めて、両親や狩野たちとお城のような場所で暮らしたいと…
しかし、母は亡くなっているし、父も改心したとは限らないと言う現実を、「もっと強くなる」と言う決意と、「貯金」と言うお金に頼るしかない事実で締め括ったこと。結局、これからしばらくの間は大人に頼り、大人に振り回されて生きて行くコタローであること間違いはないと思う。
大人のコタローの「コタローの大家族暮らし」を見てみたい
でも、コタローが大人になって、強くなって、自分で生きて行けるだけのお金が稼げるようになった時、「コタローの大家族暮らし」が始まっていると信じたい最終回だった。
あとがき
第1話では、川原瑛都くんが演じるコタローに違和感を覚えましたが、もう完全に「川原瑛都=さとうコタロー」になりましたね。
また、今コロナ禍で、隣近所との付き合いも希薄になっている今、お隣さんやご近所さんとの付き合いの大切さを再認識させてくれたドラマでもありました。
今回が最終回でしたが、コタローの人生はまだまだ続くと言うことを考えると、あくまでも今回は “通過点” として捉えた方が、純粋に「ハートフル・ホームコメディ」として楽しめると思いました。素敵なドラマに出会えて良かったです。横山裕さんの代表作の完成、Blu-rayとDVD BOXの発売も喜ばしいです。
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【これまでの感想】
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