生きるとか死ぬとか父親とか〔全12回〕 (第12話/最終回・2021/6/25) 感想

テレビ東京系・ドラマ24『生きるとか死ぬとか父親とか』(公式サイト)
第12話/最終回〔全12回〕『生きるとか 死ぬとか』、ラテ欄『母の包丁 つなぐ親子の絆と父の遺言』の感想。
なお、原作のエッセイ、ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』は、未読。
トキコ(吉田羊)が父・哲也(國村隼)や自分のルーツについて痛みと共に向き合いながらつづったエッセー本がついに完成した。そんなある日、トキコと哲也は、亡き母(富田靖子)の残した出刃包丁を研いでもらうため、連れ立って出掛ける。2人の間にはいつもとは少し違った穏やかな空気が流れていた。一方で、トキコはパーソナリティーを務めるラジオ番組の放送時間の変更を提案されて悩んでいた。深夜番組から昼間の帯番組というステップアップだ。珍しく相談を持ち掛けたトキコに、哲也が贈った言葉とは…。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』
シリーズ構成:山戸結希(過去作/映画「溺れるナイフ」、映画「21世紀の女の子」、映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」)
脚本:井土紀州(過去作/私立探偵・濱マイク シリーズ、ダムド・ファイル シリーズ)
演出:山戸結希(過去作/映画「溺れるナイフ」、映画「21世紀の女の子」) 第1,2,9,10,11,最終話
:菊地健雄(過去作/仮面同窓会、この男は人生最大の過ちです) 第3,4,5,6,7,8話
音楽:Vampillia
OP主題歌:高橋優「ever since」(unBORDE / Warner Music Japan)
ED主題歌:ヒグチアイ「縁(ゆかり)」(ポニーキャニオン)
実は、本の出版時期が実際の時間軸からずらした構成だった
そうだったのか。毎日のようにTBSラジオの『ジェーン・スー 生活は踊る』と『赤江珠緒たまむすび』を聞いている私だから、ついつい肝心なことに気付かぬまま、最終回になってしまった。
ご存知の方も多いと思うが。そもそも、トキコ(吉田羊)のモデルとなっているジェーン・スーさんは、2014年4月~2016年4月まで自身の冠番組となる『週末お悩み解消系ラジオ ジェーン・スー相談は踊る』のメインパーソナリティーを務めていた。
そして、劇中にも登場し、このドラマの骨格となったエッセイ集『生きるとか死ぬとか父親とか』が出版されたのが、2018年5月18日。そして、現在は、2016年4月より『ジェーン・スー 生活は踊る』に毎週月曜日から金曜日の生放送番組に出演中している。
だから、現実の時間軸とは違うのだ。ドラマの展開としてはこちらの方が、“お悩み相談” と言う括りを活かした構成になっており面白いが、敢えて、ドラマ用に時間軸をいじったのは、なかなかのアイデアだと思う。
コロナ禍の今、"変化しない価値の大切さ"を強調した勇気!
中盤の「老舗のたくましさ」の解釈は意外だった。普通なら、老舗と言えども、生き残るにはその時代のニーズに合わせて変わって行く部分を作って行かないと、本当に老舗として残したいものは残せない… と言うと思っていた。
ところが、トキコの相談に答えた父・哲也(國村隼)は、同じことをやり続けることでその価値が本物として世の中に定着してくると答えていた。うん、これ、コロナ禍の今だからこそ、意外とリアルでシビアな感覚なような気がする。
生き残りのために柔軟に変化することと、変化せずに生き残ること事価値があると言う、ある意味で真逆の価値観を対比させて、「変化しない価値」の大切さの方を強調した。これ、なんな凄く心に響いた。
2020年3月から、約1年3か月間も続いている「コロナ禍でどの商売も疲弊が続く世の中」への、本作なりの希望と言うか、勇気と言うか、メッセージのような気がした。適度に、且つ柔軟に対応はするが、根本的な部分では変化しないことの価値の重要性。流石、最終回。いいことを言うものだ。
父から「母の好きだった老舗の店一覧」を貰ったトキコの心情
そして、中盤以降から始まった、トキコと父が、亡くなった母の出刃包丁を研ぎに行く場面から、続いた「申し次ぎ」の場面も良かった。
哲也が、20年前に亡くなった妻の好きだった「老舗の店一覧」を、飄々とした感じでトキコへ渡した。トキコは遺言書のようで、あまり気分は良くなかったようだが。しかし、次の父・哲也の何気ない一言で、トキコは一気に動揺し、悲しみが溢れ、怒りも込み上げる。
哲也「それに 俺も いつまで生きてるか わかんないしさ」
トキコは、必死に自分の気持ちを哲也に見抜かれないように話を逸らし、とんかつを頬張るが…
バラバラだった家族が、やっと父と母と娘の「3人家族」に!
今までは、トキコは母親を愛し、母が亡くなって父の面倒を本格的に看始めた。でも、トキコの中には、父が母親に対してやったことを許せずぎくしゃくした父と娘の関係が続いていた。しかし、「亡き母が好きだった老舗の店の一覧表」をきっかけに、バラバラだった家族が、やっと父と母と娘の「3人家族」になった。
吉田羊さんが鼻歌で、高橋優さんの「ever since」を歌唱!
27分からは、いつもはドラマのエンディングで、吉田羊さんと國村隼さんがED主題歌:ヒグチアイ 「縁(ゆかり)」を “口パク” で歌うが、今回は雨降りの橋の下で、トキコを演じる吉田羊さんが、OP主題歌:高橋優「ever since」を、自身の声で鼻歌のように歌った。
※上↑の動画は、違法アップロード動画(音声)なので、視聴の際の自己責任、及び、いつ削除されるか分かりませんことを、ご理解下さい。
リアルな番組『相談は踊る』の魅力が分かった場面が印象的
そうか。原作は読んでいないが、毎日のように聴いている『ジェーン・スー 生活は踊る』の中の12:00~12:15に放送されている、私の大好きなコーナー『相談は踊る』の魅力が分かったシーンが印象的だった。
未婚で出産・育児の経験のないジェーン・スーさんが、子育ての悩みや夫婦間関係の悩みに対して、独特な切り口で答えることができる理由って、「結婚して出産と育児をした母親」と「自営業の父親」と言う両親がジェーン・スーさんの心の中にいるから、可能なんだ…
私自身も、結婚はしたが、子どものいない人生を選んで、フリーランスで生きている。でも、あのコーナーの自分の中には湧いて来ない悩みと、その答えを導くための過程の提案には、とても共感する時がある。それって、バラバラだった家族が、やっと父と母と娘の「3人家族」になったからだったのか。うん、納得だ。
あとがき
私も、自分のこのブログで、自分自身の悩みや近況報告をたまに書きます。逆に、実際に会ったことも直接喋ったことのない読者さんからも、悩みや近況報告を頂戴します。
もちろん、私なんぞにトキコやジェーン・スーさんのような明確な回答は書けませんが、「読者さんのことを個人的には損じ上げない私」なりの “役目” もあるのかなぁなんて、偉そうなことを思ってしまいました(謝)
最後に。最終回まで、しっかりラジオ番組の 親並 お悩み相談コーナーを描くことに徹し続けたスタッフとキャストにエールを送ります!
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15690/
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