ナイト・ドクター/Night Doctor (第1話/初回30分拡大・2021/6/21) 感想

フジテレビ系・月9『ナイト・ドクター/Night Doctor』(公式サイト)
第1話/初回30分拡大『舞台は夜間救急!性格も価値観もバラバラな5人の医師たちの戦いが、今始まる!』の感想。
「柏桜会あさひ海浜病院」では、逼迫(ひっぱく)する救急医療を立て直すべく、夜間勤務専門の救急医チーム「ナイト・ドクター」の新設が決まり、元々救急医だった美月(波瑠)や成瀬(田中圭)のほか、深澤(岸優太)、桜庭(北村匠海)、幸保(岡崎紗絵)の5人の医師が集められた。年齢も経験も全く異なる5人をまとめるのは、並外れた技術を持ち、米国で夜間勤務専門の救急医をしていた指導医・本郷(沢村一樹)。半ば強引に日本に呼び戻された本郷は、美月ら部下達に厳しく当たる一方で、嘉島(梶原善)ら日勤の医師達とも対立する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:大北はるか(過去作/グッドドクター、ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~)
演出:関野宗紀(過去作/コードブルー1[演出補]、ハラスメントゲーム、ラジエーションハウス) 第1話
澤田鎌作(過去作/CHANGE、不毛地帯、セシルのもくろみ、監察医 朝顔)
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリース、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド)
オリジナルナンバー:yama「Sleepless Night」
eill「hikari」
琴音「君は生きてますか」
Tani Yuuki「Over The Tim」
三浦風雅「Start」
既にフジ等から公式リリースされている情報をまとめると…
今回の感想の前に、既にフジテレビ等から公式リリースされている情報をまとめると。
『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』の脚本家と演出家などスタッフを集結させ、映画版まで作った『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命』シリーズのような人気シリーズに創り上げていくつもりだそうだ。医療ドラマだが、「青春群像劇」に重点を置いている点も、『コード・ブルー』を意識しているとのこと。
来期の「月9」は『ラジエーションハウスII』が決定!
更に、来期(2021年10月期・秋ドラマ)の『月9』枠は、既に『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』の放送が、窪田正孝さん主演で決定している、そのため、スタッフは当然のこと、病院内のスタジオセットなども共有することで、人件費および制作費の削減も企んでいる。
人気の『月9』枠でも、挑戦し続けないと…
「月9=恋愛ドラマ」と言う視聴者の古い固定概念を一気に変えると言うフジテレビの意気込みもある。まあ、簡単に言えば、「月9だから、そこそこの視聴率は取れるはず」みたいな呑気なことは言っておられず、人気の『月9』枠でも、挑戦し続けないとフジ(関テレは別にして)のドラマの低迷下および低品質化はどうにもならないってこと。
「月9も背に腹は代えられぬ」と言う強い改革で作られている
と言うわけで「月9も背に腹は代えられぬ」と言う強い改革によって、本作は半ば “やけくそ” になんでもやり、本気で『コード・ブルー』の “柳の下の二匹目のドジョウ” を狙らっているのが、この『ナイト・ドクター/Night Doctor』と言う作品なのだ。
テレ朝の医療ドラマとして大ヒットシリーズとなった『DOCTORS?最強の名医?』の沢村一樹さんと小野武彦さんを起用していることからも、背に腹は代えられぬ事情はお分かり頂けると思う。こっちはフジだが『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』の田中圭さんと真矢ミキさんも出演しているし。
「新設部署の医師たち=同期」の初期設定が上手く活かされた
さて、ここからが、本作の感想。まず、流石、フジテレビの肝入りの作品だけあって、若干の “大人の事情” は感じるものの、全体の俳優と役どころのバランスが、かなり良い。更に、「夜間専門の救命医チーム」と言うのを含めた人間関係などの初期設定も、意外と悪くない。
特に、『DOCTORS』や『ドクターX』のように、医療技術が突出している登場人物を初期設定に盛り込んで、オペシーンなどで見せ場を作ると言う、まあ所謂、“最近の医療ドラマのやり方” に頼らずに、「新設部署の医師たち=同期」と言う設定の中で、経験値や年齢差を強調することで、医療技術の差を描き出したは意外と新鮮味はあった
今作には"スーパードクター"がいないから描けることもある
まあ、よくよく考えてみれば、最初から視聴者に複数のスーパードクターがいることを前提にして、その当然の活躍を、これ見よがしに描いて毎回似たようなドラマチックな展開のドラマは、食傷気味なところが確かにある。
しかし、今作には強烈なスーパードクターがいるわけでない。得意分野や性格や人間性の違いから、救命医が医療に向き合う姿勢を描いているから新鮮に見えたのだろう。もちろん、流石に海外の群像系の医療ドラマ程の完成度はまだないが。
でも、スーパードクターがいないと言う設定が、各人の職場での姿と私生活を描き分けるのも自然に見えたし。殆ど期待はしていなかったが、意外と見易く、すぐに馴染めるドラマと言う気もした。
物語や設定そのものを楽しむドラマとして見るのが良いか?
但し、良いところばかりでない。『DOCTORS』のような、嫌味と優しさとスキルで魅せることは出来ないし、『ドクターX』のように「私、失敗しないので」のようなドラマチックな大成功も創れない。
だから、この第1話もそうだったが、基本的にはドラマチックな医療ドラマではなく、次々と急患が来て処置をして… の “繰り返し的な内容” になってしまう。
ただ、前述の通り、あくまでも医療ドラマだが、「青春群像劇」に重点を置いている点をもう一度考えると、ストーリーそのもの、設定そのものを楽しむドラマとしては、この程度のさじ加減が適当にも見えて来た。
視聴者の好みが分れる部分が、意外な程に多いような…
また、これはコロナ禍の影響もあるかも知れないが。『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命』シリーズにあるようなリアルで見応えのある手術シーンが殆ど無く、むしろ中心は会話劇。それに、意外な位に “公私の私” のシーンが多いのも好みが分かれそう。
美月(波瑠)は何かと偉そうだし、成瀬(田中圭)は『アンサング・シンデレラ』の時の役とほぼ同じだし。それに個人的には『仮面ティーチャー』や『お兄ちゃん』以来の岸優太演じる深澤の役どころは悪くはないと思うが、やはりあの俳優陣の中に入ると、かなり好みが分れる人も増えそう。
「ドラマの先が見たくなる」ための"大きな何か" が足りない!
でも、やはり、『DOCTORS』の相良先生や『ドクターX』の大門未知子のような、画面に映るだけで存在感があって、面白いドラマに見えてくるようなワクワク感やドキドキ感は、“かなり” とまでは言わないが 、“明らかに” に物足りない。
ドラマとしては悪くないが、やはり『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命』シリーズのような人気シリーズに創り上げていくつもりなら、何か「ドラマの先が見たくなる」ための “大きな何か” が足りないと思う。
それが通常の「1時間枠」になったら、引き伸ばし感や強引さが薄まるのに期待しようと思うが、このまま “既視感” ばかりが増大し、“劇的な展開” が無いままだと、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命』シリーズのような人気シリーズを目指すなんて、遠い目標のように思う。
あとがき
結局、フジテレビは大きな目論見を持って作った作品ですが。夜間救急専門医 “ナイト・ドクター” と言う職業に焦点を当てたのは新鮮でした。夜間救命は特にコロナ禍の今では大きな病院が抱える解決不能とも言える問題ですから。
でも、蓋を開けてみたら、しんせんさよりも既視感が漂い、年齢も性格も価値観も全く異なる医師たちの “ありがちな” 「青春群像医療ドラマ」になっていました。次回は「15分拡大」。さっさと、「通常枠」で腕の見せ所を魅せて欲しいです。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15681/
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