リコカツ (第10話/最終回・2021/6/18) 感想

TBS系・金曜ドラマ『リコカツ』(公式サイト)
第10話/最終回『離婚から始まった恋の結末… あなたと、ずっと…』の感想。
共に生きると誓った咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)。しかし二人に困難はつきもの、売ってしまった新居を買い戻そうとした矢先、紘一は咲のパリ研修を知る。咲の夢を応援し自分もパリに行くため、密かに自衛隊を辞めようとする紘一。その行動は新たな波紋を生み…それぞれの両親が自分達の答えを見つけていく中、愛ゆえにすれ違い続けたリコカツ夫婦が最後に選ぶ幸せのかたちとは!?そして、二人の物語は続く…ずっと…ずっと…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:泉澤陽子(過去作/あまんじゃく2018,2020、お迎えデス。、ブラックスキャンダル、大恋愛)
演出:坪井敏雄(過去作/凪のお暇、カルテット、わたナギ、恋あた) 第1,2,5,9,最終話
鈴木早苗(過去作/3年B組金八先生ファイナル) 第3,7話
韓哲(過去作/ATARU、IQ246、コウノドリ、集団左遷!!) 第4,8話
小牧桜(過去作/この恋あたためますか) 第6話
音楽:井筒昭雄(過去作/民王、99.9、トクサツガガガ、妖怪シュアハウス、書けないッ!?~脚本家)
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
最終回を見ながら、感想を書いて行こうと思う
さて、遂に最終回がやって来た。前回の最後で “リコカツ完結” したはずの2人が、再び一緒に歩んで行くことを決めた。そして、自衛官は単身赴任して常時任務に就く隊員が多いが、平日だけ単身赴任と言う生活を選んだ紘一(永山瑛太)と、仕事を諦められない咲(北川景子)。
お互いを愛して一緒に居ようと決めた中で、2人がどうのように折り合いをつけて解決するのか? ここが最終回の見所だ。と言うことで、これから最終回を見ながら、感想を書いて行こうと思う。
いつもの口喧嘩で宣戦布告! 『サイコン』の幕開けだ!!
さて、やはり本作は気持ち良く、予想を、期待を裏切ってくれる。ありがたい位だ。だって、前回のラストを考えれば、最終回の冒頭は、遂に「リサイコン」の道が開けた2人なのだから、ラブラブなシーンから始まっても良いはずなのに、やっぱりいつも通りの他愛もない口喧嘩で口火を切った。正に、リングでゴングが鳴った感じだ。
寺の鐘の音、中華のドラ、太鼓の音、鈴(りん)の効果音。これこそ、『リコカツ』お約束の盛り上げ担当のSE(効果音)だ。そして、今回の試合開始の合図はこれまでとは一味も二味も違う不気味な効果音。これで、最終回が一筋縄では終わらないことが何となく分かる。
2人の互いへの気遣いのための嘘が宣戦布告になって始まった『リコカツ』改め『サイコン』になるやも知れない最終回の幕開けだ!
『渡る世間は…』でしか行わないカメラ6台でのマルチ撮影
さて、最終回までずっと当blogの感想を読み続けて来て下さった読者さんには “耳にタコ” だと思うが。やはり本作の感想、それも最終回の感想で、TBSではドラマ『渡る世間は鬼ばかり』でしかやっていない、カメラ6台を使ったマルチ撮影を取り入れている「主人公の自宅のシーン」について最後に触れさせて欲しい。
その前にこのカメラ6台によるマルチ撮影をする意義が。普通なら2~3台のカメラでスタジオ収録するのだが、マルチ撮影方法によって、そこで演じる俳優陣の一連の芝居を1度で撮影するため、実際に俳優同士が台詞の掛け合いをしている “間” の全てが収録される。
普段なら台詞を喋っていない時は映っていないのに、マルチ撮影では映るのだ。いや、敢えて映すのだ。どう、相手の言葉を聞いているのかと言う態度や心情を。
最終回でのマルチ撮影の立役者は"自分では動けない抱き枕"
最終回で、このマルチ撮影が活かされた最終回の最初のシーンが、恋愛小説家の水無月連(白洲迅)が本名の「山田幸男(やまだ さちお)」で咲たちの部屋を買った人物として登場して、ことわざ通りに “口も八丁手も八丁” でやり合う場面だ。
ここで興味深いのは、登場人物の数と性質だ。自分で動ける人間4人と、本作が「CRAFTHOLIC©」のキャラクター「RAB」とコラボレーションしたドラマオリジナル・デザインの「自分では動かない抱き枕」の合計5人? なのだ。
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画面の奥行き感は当然のこと、「自分では動くはずのない抱き枕」が紘一や山田幸男らによって、自由に室内を動き回る。そして、画面にちょこっと見切れる。これ、私の勝手な推測だが、この抱き枕って、紘一が持っている時は「咲と紘一の絆」の代用品となり、水無月連が手にすると「武士野郎たちを弄ぶ道具」の一人二役を演じて? いるように思う。
ただの抱き枕なのに、まるで味方と敵の間を行ったり来たりする “全く隠れないお茶目な忍者” って感じ。まさか、抱き枕の動きを強調するために、マルチ撮影を駆使したとは恐るべし!
我が人生を振り返る正と、「人生100年時代」の薫の新カップル
紘一の父・正(酒向芳)が、一度は退社を促されたものの、土下座をして心機一転を誓った、その後も描かれた。ホテルで接客業を30年以上やっている私にとって、あれだけの堅物オヤジだった正が、旅館のサービス員としてあそこまで物腰が柔らかく、人懐っこさも出せるようにまでなった描かれない努力と、描かれた笑顔に救われた。
そして「あがいてみたい」とさり気なく言った、元メディックのへこたれない根性を応援したいと思った。そして、紘一の母・薫(宮崎美子)とのやり取りで初めて明かした、無意味な存在の自分を、愛した元妻の思い出の中に残したいと告げたシーンも良かった。
一方では、「正は身勝手すぎる」との意見もあろうが、薫が言った「人生100年って時代」、そう「昭和~平成~令和」と3つの時代を生き抜いた熟年(元)パートナー同士だからこそ、新たに構築できる「パートナー・シップ」はあると信じたい。
私たち夫婦も、生憎の雨降りだが、14日(月)に我が家にやって来た「4人目の家族」に乗って、オジサンとオバサン(妻に激怒されるか)で近くのホームセンターへ “初ドライブ” に行こうと思う。新しい思い出をつくりに…
紘一が咲の布団に入って胸の辺りに顔を埋めた場面が好き
私が最終回で、意外と好きなワンシーンがあった。それは23分頃。咲が突然に緒方家にやって来て、一晩泊って行くシーン。突然、紘一が咲の掛け布団の中に入って、咲の胸の辺りに顔を埋めて、咲の鼓動を耳にして「とても… 安心… する」と言って寝てしまう場面だ。
咲の母親を思わせるような優しさや心の広さも垣間見られたし。強がる紘一の女々しさも見えた。夫婦って、結局は時に頼り、時に頼られる存在だから…
32分50秒から米津玄師「Pale Blue」の特別バージョンのCM
そして、本編の32分50秒から、本作のための米津玄師が歌う主題歌「Pale Blue」の特別バージョンのCM。「紘一さんがいてくれて 良かった」「自分も 君がいてくれて良かった」の咲と紘一の台詞入りバージョン。なお、米津玄師「Pale Blue」については、他にも投稿があるので、未読の方は是非!
ドラマ『リコカツ』主題歌・米津玄師「Pale Blue」と藤井 風「青春病」のMVの縦横比「1:√2」を深読みしてみた ※追記あり
"米津玄師×有働由美子"のドラマ「リコカツ」主題歌『Pale Blue』と「news zero」エンディングテーマ『ゆめうつつ』に関する対談をまとめてみた(2021年6月17日 放送)
最終回の"3年間の時間経過"をしっかり綴ったのは想定外!
そして、連ドラの最終回として、時間経過をして結末に突入する作品は数多い。しかし、約2年10ヶ月後の「婚姻届 提出まで あと 1038日」と言う “木製&筆で手書き” の日めくりカレンダーを作るだけでなく、時間経過の過程をしっかりと映像で綴った作品は少ないと思う。流石に、これは想定外だ。よくぞ、描くと言う判断を選択したと思う。
現実的な撮影の手間暇も掛かるし、似たような映像にならないようなアイデアも必要だし、何より「3年後を見たい」と思わせないといけない。そんな難儀なことを選んで、見事にやってのけた。これこそが “日常の描写” であり、登場人物らの日常描写の積み重ねでしかドラマも、連ドラも作ることが出来ないことの証明になった。『リコカツ』、ここまでやるか!
咲からの電話の音声が、微妙にダブっているのも素敵な演出
で、上手いねぇ。「0日目」の朝になって、咲から「行けない」って電話が入るが、ちゃんとその電話のスピーカーからの音声と、コンマ何秒差で咲の声がダブって聴こえる。それも、ダブっている方の咲の声は少しこもり気味。だから、ドアの外で喋っていることは明々白々。この辺の、分かり易くて潔く、あざとく引っ張らないのが、今作の良いところ。
じゃれ合って、言い合って、抱き合って、背伸びした咲の足元に「完」の押印の結末の満足度の高さ
決して、ドラマにありがちな「きれいごと」のエンディングを準備せずに、「そう来てね」と焦らして、ちゃんと「そうきたか」と見せるし、魅せる。その上、また「サプライズ」と「もてあそぶ」の言葉遊びでじゃれ合って、言い合って、抱き合って。
そして、最後はキスシーンは見せずに、スリッパで背伸びをする先の足元のアップに大きな赤い判子で「完」の押印。その傍らに婚姻届け。判子も、テーブルも、結婚指輪も指輪ケースも「円形」で、色も茶色の婚姻届けに合わせて「ベージュ系」で統一。やはり、作り込みが徹底的だと、見終えて満足度が本当に高い。お見事!
かなり高度なことを幾重にも重ねて、伝えたいことを描いた!
お見事ついでに、軽く総括を。本作が伝えたかったことは、今さら言うまでもないが、夫婦の数だけ夫婦のカタチがあり、家族も家族の数だけカタチがあるってこと。そこを、本作は、かなり高度なことを幾重にも重ねて描いた。
まずは、ラブコメだからこそ、シリアスな場面は必要で、そのシリアスな部分を手抜きをしないで際立たせるから、コミカルな部分が更に磨きが掛かる。一見、簡単に思えるが、最近の人魚のドラマを見た人なら、これがどれほど高度なことかお分かり頂けるはずだ。
また、そもそも本作は「離婚」と言う、一般的な人には “マイナス要素” を取り扱ったドラマして、大前提として好みが分れる。特に、「恋愛」や「結婚」の方に大きく興味を抱く、今のドラマ制作界がメインターゲットにしている19~49歳の女性には「離婚」より「恋バナ」をつくるのが得策。
でも、本作は、「離婚」そのものを描くのでなく「離婚をきっかけにした新たな恋愛ドラマ」と言う新スタイルの構築に成功した。メインターゲットの興味関心の薄いテーマを主軸にした連ドラとして、平均視聴率9%前後は、成功したと言って良いと思う。
咲と紘一の両親もリコカツさせた点に、勝因があると思う
でも、この視聴率は決して、偶然の産物でなない。その原因は、「リコカツ」をしたのを、若い夫婦だけでなく、その両親、それも2組共にもリコカツさせた。これによって、熟年離婚を本気で考えている50代以上の女性たちが食いついた。逆に、60歳以上の男性は怖がって離れた。
しかし、40~50代の男性は「熟年離婚されない方法」として本作を見始めた。このような複合的な要素によって、ドラマは決して、メインターゲットにしている19~49歳の女性目当てに作らなくても、面白い作品は作れるし、評価も視聴率もそれなりに高い作品が出来ることも証明した。何とも書くが、お見事だ!
あとがき
こんな素敵なストーリーを原作なしのオリジナルで書き上げた脚本家の泉澤陽さんが素晴らしいです。そして、演出、俳優さんたちも素晴らしかったです。特に、紘一を「自衛官」にした斬新な設定は簡単に思い付かないのでは? 続編、作れるなら是非とも見たいです。
※本作のBlu-ray & DVD BOXの購入特典が、Amazonと楽天市場で異なるので、ご購入の際はお間違いないように…
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15667/
【これまでの感想】
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