大豆田とわ子と三人の元夫 (第9話・2021/6/8) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(公式サイト)
第9話『最後の決断・幸せの行方』の感想。
また、本作は昨夏に全話を撮影終了しているため、要望などは基本的に書きません。
大史(オダギリジョー)はとわ子(松たか子)に説得され、望まない相手との結婚をやめる。その後、思いを互いに伝え合った2人の関係は、大人の恋へと発展する。ある日、大史がとわ子に、海外の会社へ転職しようと考えていることを明かす。一方、唄(豊嶋花)はとわ子の現状を八作(松田龍平)に話し、この件は慎森(岡田将生)には内緒にしようと伝えるが、そこへ慎森が現れる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:坂元裕二(過去作/東京ラブストーリー、問題のあるレストラン、カルテット)
演出:中江和仁(過去作/映画「嘘を愛する女」、きのう何食べた?) 第1,2,6,8話
池田千尋(過去作/プリンセスメゾン、まどろみバーメイド) 第3,4,7話
瀧悠輔(過去作/僕はどこから) 第5,9話
音楽:坂東祐大(過去作/美食探偵 明智五郎)
ナレーション:伊藤沙莉(過去作/ひよっこ、これは経費で落ちません!、いいね!光源氏くん)
挿入歌:「Ils parlent de moi feat. Maika Loubte」
「All The Same feat. Gretchen Parlato, BIGYUKI」
主題歌:STUTS & 松たか子 with 3exes(Sony Music Labels)
「Presence I (feat.KID FRESINO)」(第1.2話)
「Presence II(feat. BIM, 岡田将生)」(第2,7話)
「Presence III(feat. NENE, 角田晃広)」(第3,8話)
「Presence IV(feat. Daichi Yamamoto, 松田龍平)」(第4,9話)
「Presence V(feat. T-Pablow)」(第5話)
本作のセンスの良さを感じさせるアバンタイトル!
バッティングセンターの待合室で、2人の元夫と小鳥遊大史(オダギリジョー)がバッティングしているのを見ながら、大豆田とわ子(松たか子)が口すさんでいた歌を、高校野球漫画の金字塔とも言えるフジテレビ系列で放映されたテレビアニメ『タッチ』の第2期オープニングテーマ曲「愛がひとりぼっち by 岩崎良美」にするセンスが、本作のセンスの良さを感じさせるアバンタイトル。
「一瞬」だけで登場人物の性格や関係性を上手く描いている
さて、序盤で「人によって “一瞬” の “時間の長さ” が違う」と言う小さなエピソードがあった。まあ、「そう言うの、あるある!」と思って終わったら、本作を折角見たのにって思う。だって、この脚本家の書く脚本に無駄なんて無いのだから。
そこで「「人によって “一瞬” の “時間の長さ” が違うのか?」を少しだけ掘り下げてみる。ご存知の通り、例えば「1秒」は誰にとっても同じ長さの「1秒」だ。私の「1秒」とあなたの「1秒」の長さが違ったら、時計どころか世界が成り立たない。
小学生でもわかる時間を使った公式に「【速さ】=【距離】÷【時間】」と言うのがあるのはご存知のはず。この公式が成立するのは、【速さ】と【距離】と【時間】が「同一の空間」に存在する時にだけ通用する。ほら、宇宙旅行に行くと地球と宇宙では時間の進み方に違いがあるなんてことは聞いたことがあると思う。そう「同一の空間」に於いて成り立つ。
そこで先の公式を次のように書き替えてみる。「【自分が納得できる一瞬】=【人と人との距離(関係)】÷【時間】」と。
そうすると、例えば、とわ子と六坊仁(近藤芳正)の関係で見ると、 【お互いに理解し合っている関係】÷【20秒】=「納得出来る速さ」となる。とわ子社長と新人・黒部涼(楽駆)の関係は【お互いにまた理解し合っていない】÷【12分】=「期待より遅すぎる速さ」となる。
こうやって、人間関係性によって感じる「一瞬」の長さは変わるのに、中村慎森(岡田将生)は「僕の一瞬は せいぜい2秒だけど」と決めつける。ここが良く出来ているのだ。
序盤で、とわ子が4回目の結婚をするかも知れないと大豆田唄(豊嶋花)が田中八作(松田龍平)に伝えるが、慎森には「取り乱すから」と内緒にしておくようお願いするシーンと呼応しているのだ。
何事も否定から入る捻くれ者で、勝手に自己解決する慎森は自分の許容範囲の「2秒間の一瞬」と言う価値観に拘る。でも、押し付けるまでしないで「17秒かな」と前社長の息子・城久間悠介(平埜生成)との人間関係の距離を取っているのだ。
こう考えると「一瞬」だけで、本当に登場人物の性格や関係性を上手く描いているドラマだと思う。それも、押し付けがましくなく…
「三角関数」と「とわ子の人生」を重ねて考えてみた
小鳥遊と とわ子が夕食を食べ終えて、テーブルの上で2人で解いていたのが「三角比の相対関係」の問題集。高校数学1で習う範囲だから、「サイン」、「コサイン」、「タンジェント」なんて数学用語に悩まされて、数学から挫折した人も多いと思う。まあ、大人になっても、普通に生活していれば滅多に使わないし。今となっては「なんで、勉強したの?」って感じではないだろうか。
しかし、一度でも三角関数と苦戦した人は、脳の論理的思考が少しはそれ以前よりも押し上げられると言う効果が実証されている。また、三角関数に登場するので有名なのが「サイン‐カーブ(sine curve)」だ。まあ、ここで数学の授業をするつもりはないので詳細は省くが。
この「サイン‐カーブ」は、私たち生活の中の見えない部分で、特に電流の強さを制御する時の曲線として、とても重要なのだ。そんな「サイン‐カーブ」を人生に見立てた実験的な短編映像作品をご紹介したい。ロシア生まれ、イギリス在住のアニメーター、Neely Goniodsky氏による『The Sine(サイン)Wave』だ。
まるで「人生、楽あれば苦あり」と言わんばかりに。曲線が交互にやって来る。そして曲線の振れ幅で、にんげんが登山のように上る時もあれば、綱渡りのようにふらふらと進む時もあれば、地面の底へ落ちてしまうこともある。でも、少し休むと、再び立ち上がる元気が出る。
正に、3度の結婚と離婚を繰り返し、少しの休憩で出会った小鳥遊と4度目の幸せを掴もうとする とわ子と重なると思うのは、私だけだろうか。暇な時に、是非とも下の動画を見て欲しい。
The Sine Wave from Neely Goniodsky on Vimeo.
レギュラー陣の"presence(存在感)"を人間関係、恋愛、結婚、幸福と言う4つのキーワードで連携させて描いた
そして、終盤の「もしも、かごめ(市川実日子)が居たら…」と言う展開から、「かごめは、今でも とわ子と八作のそばに居て…」と言う、ちょっぴり映画『シックスセンス』みたいな奮起から、更に「もしも、離婚していなかったら…」と言う「あるはずの無い未来」が描かれて、現実に戻る。そして、指輪が虫になって終わる。
スマホの中でしか登場しない人物を含めて、ほぼレギュラー陣の “presence(存在感)” を人間関係、恋愛、結婚、幸福と言う4つのキーワードで連携させて描いた第9話。小鳥遊と結婚へ進まなかったのが意外だったが。
「小鳥遊(たかなし)」と「大豆田」の苗字を深掘りしてみた
でも、この「小鳥遊(たかなし)」と言うあまりお目に掛からない苗字は、「小鳥が遊んでいるならば鷹はいないはず」と言う意味から出来た姓。と言うことは、小鳥遊と言う男は一見 “表裏” があるような人間だったが、実は波風を嫌う人間だったと言うことだろう。だから、とわ子は結婚しなかった。
だって、とわ子の姓は「大豆田」だから。「大豆田」の姓の由来には諸説あるが、最有力なのが「大豆の植えられた田んぼ」が地名になり、姓に使われるようになった」と言う説。大豆とは節分の豆まきにも使う、あの「大豆(だいず)」。
大豆を育てる際の最大の特徴であり注意事項は「連作障害」を起こし易いこと。だから、植えるには数年間空けて植えないといけない。この「連作障害」は、とわ子の3度も結婚と離婚を繰り返して失敗したことと、4度目は自ら止めたと言う「とわ子の人生」と重なっているように思えてしょうがない…
あとがき
書きたいことが山ほどあって、まとまりのない感想になってしまいました。さて、とにかく人間描写が丁寧で見ていて心地良いです。そして、演出もさり気なくセンスが良くて。もちろん、俳優さんたちは、もはや “その人” にしか見えないし。どんな最終回になるのか楽しみです。
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15626/
【これまでの感想】
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